感想・考察
シャーロッテ姫
14歳で隣国に嫁ぐことになる一国の姫君。
登場シーンでは、行儀が悪く、泣き虫で、子供っぽさが強調されていた。
10歳の誕生パーティーのシーンでも姫君という公の立場に縛られ、一個人としての自分は存在していないような扱いである事が描かれてきた。その一個人のアイデンティティを認めてくれたのが4年前のダミアン王子で、その事はずっと心の中に大切な事として秘めてきた。
ところで、自称「泣き虫」のシャーロッテ姫は5回泣いている。どの涙も違う涙なのが凄い。
- ダミアン王子の公開恋文の返事がドールの代筆で公的で上っ面なやり取りが不満で、すねて泣いた。
- 10歳の誕生日の時、、月夜の庭園で、個人がないがしろにされ、寂しさで泣いた。
- ヴァイオレットにダミアン王子の本心を知りたいと叶わぬ思いに泣いた。
- ダミアン王子のプロポーズに嬉しくて泣いた。
- 婚礼の日アルベルタとの別れに寂しさ泣いた。
シャーロッテ姫はむくれたり癇癪を起したりムキになったり泣いたり笑ったり。子供っぽさ女の子っぽさが炸裂してた。京アニさんありがとう。
とにかく、5話の可愛いを全部独り占めしてたのが印象的なキャラだった。中島愛さんの声と演技も凄くマッチしてた。
シャーロッテ姫とダミアン王子
10歳の時に一度だけ合ったきり。その時に一目ぼれしたシャーロット姫。
4年後、公開恋文を始めた事でダミアン王子に近づけると思いきや、シャーロット姫はここでも「代筆の返信」で公開恋文が公的儀式であり、ダミアン王子の想いに触れられるはずもなく、私的な自分がないがしろにされている事を感じた。相手の気持ちを知りたいと強く願うが、それは叶わない事と納得してしまっていた。
ヴァイオレットの振舞により、自分自身が手紙をぶつけて相手とありのままの気持ちをぶつけあい、4年間停滞して片思いが文通という形で相互の気持ちのやり取りが出来て、文通で恋愛をして、恋愛を成就させた所が面白い。
ダミアン王子の文通のフリは、自分を下げて相手にふさわしくないかも知れない、という切り口で、それに対し、ありのままを受け入れてくれるそのままの人で好きとシャーロッテ姫に返事させる恋の駆け引きテクニックが凄い。(エンターテインメントだから上手くゆくのかも知れないけど)
この文通により縁談が破局すれば、南北情勢的にも悪化する懸念があるという一大事な状況なのだが、そんな背景に気後れする事も無く、自らの想いを書き綴る二人の姿に、国民達もさぞかしハラハラドキドキしつつ、大いに共感したのだろう。
最終的に二人の愛は結ばれた。婚礼の日、街中に溢れる喜びが二人を盛大に祝福していた。
アルベルタとシャーロッテ姫
アルベルタはもう一人の主役。
宮廷女官としてのシャーロット姫のお付きの仕事は、仕事であるが故に淡々とシャーロット姫に対応してゆくが、内面ではシャーロット姫を心配する気持ちが強かった様に思う。
多分、その事はヴァイオレットから見れば、心配していても表情に出さないという裏腹にも似た不思議なパターンに映っていたのだと思う。ヴァイオレットにとっては新しい愛の形。
シャーロット姫が直筆で手紙を書くシーンでは、それを静かに見守っていたが、内心は能動的に手紙にのめり込んでゆくシャーロット姫の姿を見て応援していたのだと思う。最後の情熱的な手紙をそのまま出したのも、その表れだと思う。
アルベルトと離れたくないと言う婚礼衣装のシャーロット姫の髪に白椿を挿し門出を祝うアルベルタの笑顔が良い。劇中見せる唯一の笑顔。このシーンで泣ける。
ヴァイオレットとシャーロッテ姫
同じ14歳の対比。
シャーロット姫は、子供っぽくて感情豊かで、王室の人間が故の不自由さの中で生きてきて、4年前に一目ぼれした年上の男性への片思いを秘めていた。
ヴァイオレットは、感情が著しく乏しく、4年前から兵器・道具として扱われ、戦場の中で生きてきて、いつも一緒にいてくれた年上の男性からの「愛している」の意味を知りたくて探してた。
シャーロット姫がダミアン王子の本当に気持ちを知りたい、という気持ちにヴァイオレットが本人同士で手紙をやり取りさせたのは、手紙が本当の気持ちを伝える事が出来るツールで有ることを過去経験から信じていたから。
人間は自分ではどうしようもないときに涙が溢れてきて泣く。
シャーロット姫の悲しみの涙を見て「あなたの涙を、止めて差し上げたい」と言った。ヴァイオレットはギルベルト少佐の気持ちを知りたい自身の心と重ねて見ていたのかもと思った。
Twitterのつぶやき
ヴァイオレット・エヴァーガーデン 5話
— 伊藤つくし (@itoutsukushi) 2018年2月7日
何この俺得スタッフ。
脚本は鈴木貴昭。絵コンテは山田尚子。演出は藤田春香、澤真平。#VioletEvergarden pic.twitter.com/YvhImamp1r
ヴァイオレット・エヴァーガーデン 5話
— 伊藤つくし (@itoutsukushi) 2018年2月7日
例外的な本人が手紙を綴るパターン。
戦争前に1回会っただけのシャルロッテとダミアンが4年の時を経て手紙で心をぶつけて文通で恋愛する。恋愛の過程でシャルロッテの気持ちが鋭くなってゆく過程、嫁に行く心の揺れ動きの描き方が丁寧。#VioletEvergarden
ヴァイオレット・エヴァーガーデン 5話
— 伊藤つくし (@itoutsukushi) 2018年2月10日
両国の王族の結婚は南北世界平和に繋がる。CH郵便社は軍部の依頼で両国の王室に公開恋文の代筆に有能なドールを派遣した。今回のヴァイオレットは一つ間違えば世界を不安定に導く行為だったと思う。#VioletEvergarden
ヴァイオレット・エヴァーガーデン 5話
— 伊藤つくし (@itoutsukushi) 2018年2月10日
ヴァイオレットは相手のホントの気持ちを知りたいシャルロッテ姫の願いを尊重し本人同士に手紙を書かせた。ホッジンズの許可は取るすべもないが、カトレアも世界平和がかかったこの博打に良く協力してくれた。代償が焼肉で済んで良かった。#VioletEvergarden
ヴァイオレット・エヴァーガーデン 5話
— 伊藤つくし (@itoutsukushi) 2018年2月10日
思えば、この場にカトレアが居ないことが伏線だったのかもしれない。アイリスも居なくて、郵便配達のオジサンが居るあたり巧妙。#VioletEvergarden pic.twitter.com/HN4BlebocG
ヴァイオレット・エヴァーガーデン 5話
— 伊藤つくし (@itoutsukushi) 2018年2月10日
ドロッセル国のシャーロッテ姫と白椿。
フリューゲル国のダミアン王子と赤薔薇。
両国の二人の結婚を祝う国民たち。
紅白がめでたいのはなんか日本ぽい。#VioletEvergarden pic.twitter.com/pyME5Jgq9J
ヴァイオレット・エヴァーガーデン 5話
— 伊藤つくし (@itoutsukushi) 2018年2月10日
シャルロッテ姫の部屋の窓辺の花。
公開恋文の返事がいかにも代筆で悩みをヴァイオレットに吐露した夜は、白椿が一輪。
自らで公開恋文の返事を書いている時は、だんだん赤薔薇が増えてく。
ダミアン王子への想いの強さを視覚化。#VioletEvergarden pic.twitter.com/xhlz7TkKEQ
ヴァイオレット・エヴァーガーデン 5話
— 伊藤つくし (@itoutsukushi) 2018年2月10日
返事に悩んでいる時にヴァイオレットがアドバイスしていたり、アルベルタもシャルロッテ姫の真剣な姿を嬉しく見守っていたり。この文通はシャルロッテ自身のものだが、二人の見守りがあってこその文通だったと思う。3人のチームと感じた。#VioletEvergarden pic.twitter.com/WQRs1q0nvo
ヴァイオレット・エヴァーガーデン 5話
— 伊藤つくし (@itoutsukushi) 2018年2月10日
今回のもう一人の主人公、宮廷女官のアルベルタ。
シャルロッテ姫が生まれた時から世話し続けてきた。シャルロッテ姫を大切にするが故の距離感。
シャルロッテ姫が癇癪を起した時も、淡々と話しつつもシャルロッテ姫を心配する。#VioletEvergarden pic.twitter.com/Sbh8jhVWY9
ヴァイオレット・エヴァーガーデン 5話
— 伊藤つくし (@itoutsukushi) 2018年2月10日
多分、ヴァイオレットからすればアルベルタの淡々とシャルロッテと接する姿というのは特殊な雰囲気だったと思うが、
アルベルタへの淡々と接する態度と内面のアルベルタを案ずる心の強さの言葉と表情の不一致は珍しかったのかも。#VioletEvergarden pic.twitter.com/lDUuucGgzE
ヴァイオレット・エヴァーガーデン 5話
— 伊藤つくし (@itoutsukushi) 2018年2月10日
アルベルタはシャルロッテ姫が公開恋文を直筆で書いている時の真剣な表情を見守っていた。
最後の思いのたけを出し切った手紙を見ても止めなかったのはアルベルタが応援する気持ち。シャルロッテ姫の姿を喜ばしく見ていたのだと思う。#VioletEvergarden pic.twitter.com/JkVUfmGX1w
ヴァイオレット・エヴァーガーデン 5話
— 伊藤つくし (@itoutsukushi) 2018年2月10日
「大人をからかうものではありませんよ」
「あら、私だってもう立派な大人だわ」
シャーロッテ姫の婚礼の旅立ちの日。シャーロッテ姫の隠れ場所を見抜けてなかったアルベルタ。もう自分の手の中から旅立っている事を感じさせていた。#VioletEvergarden pic.twitter.com/qrJPOU4kTI
ヴァイオレット・エヴァーガーデン 5話
— 伊藤つくし (@itoutsukushi) 2018年2月10日
EDで花嫁衣装でシャルロッテ姫のアルベルタとの別れを惜しむ言葉に、旅立つシャルロッテ姫の髪に白椿を挿し笑って祝福するシーンで泣ける。5話で唯一のアルベルタの笑顔。#VioletEvergarden pic.twitter.com/4npLpI4sPy
ヴァイオレット・エヴァーガーデン 5話
— 伊藤つくし (@itoutsukushi) 2018年2月10日
毎回凝り過ぎてる食べ物の描写。マカロンなんてどうやって食べるの?もしかして食べないの?!#VioletEvergarden pic.twitter.com/tTn5YAtrAL
ヴァイオレット・エヴァーガーデン 5話
— 伊藤つくし (@itoutsukushi) 2018年2月10日
年上の異性の本心を知りたい。
あまりに違う14歳の二人の共通点。
ダミアン王子とシャルロッテ姫の年の差は10歳。
ヴァイオレットとギルベルト少佐の年の差はいくつだったのだろうか?#VioletEvergarden pic.twitter.com/D75oTiv4oU
ヴァイオレット・エヴァーガーデン 5話
— 伊藤つくし (@itoutsukushi) 2018年2月11日
この物語は政略結婚で隣国に嫁ぐというイベントの中でシャーロッテ姫の自立と独り立ちをテーマにしていたと思う。
見せ方が上手く余分な引っ掛かりが無く見れるが、非常に情報量が多く、感情の揺れ幅や豊かさが細やかに描かれていたと思う。#VioletEvergarden
ヴァイオレット・エヴァーガーデン 5話
— 伊藤つくし (@itoutsukushi) 2018年2月11日
シャーロッテ姫の隣国王子との縁談。でもそこは何も知らない誰も知らない新天地。今まで世話してくれたアルベルタも居ない独りぼっちの世界。公開恋文のダミアン王子の返事も上っ面な代筆の返信。この時点で不安マックスなシャーロッテ姫。#VioletEvergarden
ヴァイオレット・エヴァーガーデン 5話
— 伊藤つくし (@itoutsukushi) 2018年2月11日
ダミアン王子への想いと、相手の本音を気にしていたシャーロッテ姫。本人同士の文通となり文通で恋愛を重ね相手の気持ちを確かめ合う形に。最終的にプロポーズにYesで答えて結婚に。これでシャーロッテ姫の不安の半分は解消。#VioletEvergarden
ヴァイオレット・エヴァーガーデン 5話
— 伊藤つくし (@itoutsukushi) 2018年2月11日
婚礼の旅たちの日シャーロッテ姫の残りの不安、それはアルベルタとの別れだと本人に告げる。アルベルタは無言で白椿を送る。シャーロット姫はアルベルタに今までの感謝の思いを返す。これにて思い残す事無く旅立つ事が出来る。奇麗に完結。#VioletEvergarden
ヴァイオレット・エヴァーガーデン 5話
— 伊藤つくし (@itoutsukushi) 2018年2月11日
もちろんシャーロッテ姫とダミアン王子の恋愛は重要で、今回の「手紙」はその部分に使われていただが、物語の頭とお尻は、シャーロッテ姫の自立、旅立ちを外側のカッコでくくっていると感じた。#VioletEvergarden