たいやき姫のひとり旅

アニメ感想など…

ぬるぺた 7話~9話

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はじめに

マイナーな良作である「ぬるぺた」を広めるべくブログを書きました。良い作品なので、是非観てください。

今回は、7話から9話についての感想・考察です。敵であるバグの登場からバグ退治までが描かれました。なお、このバグはアニメと並行して製作中のゲームの内容と大きく重なる世界であり、ある意味、ゲームの宣伝のための話数だったとも言えますが、その中でもぬるの成長のドラマもきっちり描かれ、相変わらずの短尺ながら見応えのある内容となっています。

また、この時点でゲームの情報も開示されてきていますので、そこからもアニメについて考察します。

なお、これまでの話数についても感想・考察を書いていますので、こちらも見ていただければ幸いです。

考察・感想

ゲームについて

ゲームの情報として、公式HPのブログと、Steam上にゲーム情報が公開されました。

タイトルは「ぬるぺた クイーンバグの襲来」。プレイヤーはぺた姉となり、バグを武装で退治する、とある。

ここで、アニメとゲームでいくつか整合性がとれていない箇所があるので整理したい。

項目 アニメ ゲーム
ぺた姉 死亡している 直接バグと戦う、ペたロボの飛行パーツ背負っている?
ぺたロボ - バグと戦う(PV画像あり)
ぬる ぺたロボと共にバグと戦う ぺたをサポートするが、直接バグと戦わない
バグ 7話~9話登場、球体で繁殖力が強い、9話で殲滅済み 球体の他にメカ蜂やメカダンゴムシやメカ恐竜?
クイーンバグ - アニメ未登場?、バグのラスボス?
世界 - サイバー空間

まず、分からないのがぺた姉が生きている事。アニメではぺた姉は死んでいる。少なくとも、死んだぺた姉を再生しようとしてぺたロボを作ったのだから、ぬるにとってぺた姉の死は揺るぎない事実。ぬるにぺた姉が生きていて欲しい願望があり、サイバー空間ゆえに、ぺたロボがぺた姉に見えているという演出なのか?それとも、ぺたロボに手を加えたら、容姿もぺた姉そっくりに作り直す事が出来たのか?いずれにせよ、生身のぺた姉が戦っているとは考えにくい。

また、アニメとゲームの時系列が不明。バグは7話~9話で登場し死滅したので、その後にクイーンバグが登場するという事は、アニメが終了した後も、サイバー空間が残り、そこでラスボスであるクイーンバグとの戦いがある、ということか?メカ蜂などは従来のスライム上のバグとは明確な違いをもった金属ボディであり、クイーンが存在するということは、バグが何らかの刺激を受けて進化したものと考えると、やはり、少なくともアニメ9話以降の話だと思われる。

ただ、C3AFAシンガポールで、アニメの世界観とゲームの世界観は違う、との発言もあったようで、並行世界的に考えてしまえば、時系列を深く考察する意味は無いかもしれない。

アニメ7話~9話について

ぬるの世界についての考察と妄想

このぬるの世界は、1話でペたロボが登場するまでは、誰にも干渉されない、ぬるの都合の良い世界であった。しかし、ペたロボがいろいろとお節介をして、ぬるとしてはウザいと思う様な事が多々あっても、やはりぺた姉との思い出は消せない、書き換えられない、そしてぺた姉の事が今も大好きであることを再認識してきた流れがある。

そして、7話~9話の物語は、妹への過保護から全ての危険を背負い込むぺたロボに対し、ぬるはもう二度とぺたロボ(=ぺた姉)を失いたくない事を自覚し、ぺた姉に頼りきりにならず、ぬる自身で大切なモノを守る、大切なモノを掴み取る、というぬるの心の変化を描くところがポイントである。

これは、心の殻に閉じこもっていたぬるが、殻を破る素地となるのではないかと想像する。

ところで、このぬるの世界がサイバー空間である事を伺わせる点がいくつかある。

  • ゲーム説明にサイバー空間でバグと戦うとあり、バグがいるこのアニメ世界がサイバー空間ではないか?
  • そもそも「バグ」の呼称がコンピュータ用語
  • 8話の非現実的で意味不明な交通標識過多な大通り(ゲーム画面に合わせたと思われる)
  • 6話のグレー人間、8話の学校が不安定になるノイズ表現

やはり、このぬるの世界は、ぬる自身が現実逃避の為に逃げ込んだ仮想現実だった可能性はあると思う。では、現実世界の何が辛かったのか?そこが残り3話のポイントになると思う。

まず、考えられるのは、ぺた姉の事故死を受け止められずに全てのモノから心を閉ざしてしまったというパターン。しかし、それだけでは弱い。もしかしたら、ぺた姉の事故死は、ぬるを助けるため、もしくはぬるの過失によるものかもしれない。

なお、1話でぺたロボの材料にした写真には、ぬるの目が黒く塗り潰されていた。これはぬるの自己否定の現れではないだろうか。上記の理由であれば、ぬるが自己否定する理由にも納得がいく。ちなみに、この時の写真は、9話の指令室にも飾られていた。同じプリントではないので、ぬるの目は黒く塗りつぶされてはいなかったが、演出的に考えたら、9話で初めてぺた姉とぬるが笑顔で二人一緒に写る写真が画面に登場するという事を考えると、ぬるは自己否定の原因を取り除くことが出来て、ぺた姉と一緒に写っていてもOKなのだと、ぬる自身の心境が変化した、と解釈して良いのだと思う。

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そして、それは、与えてもらってばかりの自分と向き合い、ぺた姉に協力し、力添えする気持ちがあって、はじめて自己肯定できるようになったのではないか?さらに言えば、ぺた姉だけでなく、大好きなタマヤも、大嫌いな学校も含めて、この町をバグから守りたいと思った。この町はぬるが育った町であり、ぬるのアイデンティティとも言える。自身のアイデンティティを認め大切にしたい気持ちが芽生えたのではないか?この時のペたロボの笑顔は、そんなぬるの成長を感じての笑顔だったと想像する。

バグについて

私が気付いたバグの特徴について列挙する。

  • 最初に繁殖し始めたのはぬるの小学校
  • 地獄炒飯をも食べて、食べる事で増殖する
  • バグどおしで結合し巨大化してゆく
  • バグどおしの結合の瞬間、内部のコアが光り、そのコアが弱点
  • 最終的にバグは、町全体を覆い尽くすほど増殖した
  • ぬるの片手を取ったとき、ぬるが目を背けていたぺた姉の事故死のイメージを具現化した
  • ペたロボに攻撃した事で、ぺたロボが謎のウィルスに感染し高熱を出した

バグはぺた姉の事故死のイメージを具現化した事で、ぬるの記憶にアクセスした。それは、この世界がぬるが作った仮想世界というより、ぬるの記憶をダイレクトに具現化した世界なのだと想像している。それは、ある意味、ぬるの内面世界とも言えるのかも知れない。そして、ペたロボも例外ではなく、ぬるの中のぺた姉の記憶から作り出されたものである。

ちなみに、バグはぬるが苦手とするものを好物としていたフシがあるが、それは、グレー人間や学校に対し、ぬるが目を背けることで盲点になっていて、バグが繁殖し易かったから、と想像している。しかし、バグは最終的には、ぬるが嫌いなモノも好きなモノも含めて、町全体を呑み込み、最終的にはぬるの記憶の全てがバグに浸食されて消去されてしまいそうな勢いだった。

つまりは、バグは意志を持った生命体ではなく、ぬるの心の弱さを示していたのではないか、と想像する。しかし、ゲームではクイーンバグを頂点に持つヒエラルキーある組織を構築しメカっぽいデザインで登場する事を考えると、バグ自身の進化もあり得ることになり、より難解になる。もしかしたら、単純にバグの見栄えを良くするため、という見も蓋もない理由かもれないが。

例外的な、かき氷屋のかきちゃんの存在

この考察の中で、例外的で説明が付かないのが、6話である。

  • なぜ、かき氷屋のかきはぬるの仮想空間に出現し得たのか?
  • なぜ、海水浴場の岩場がペたロボの目をモチーフにしていたのか?

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今後、かきが再登場し、なぜこの世界に来れたのか?の説明がありそうな気はするが、この辺りの考察は全くまとまらず、の状況である。

ぬるとぺた姉の命

ここまで、この世界がぬるの記憶を反映したサイバー空間である事を考慮した場合、ぬるの実体はどうなっているのか?という疑問がわく。

SNS上では、交通事故で昏睡状態にあるのはぬるの方で、全てはぬるの夢の中の進行中の出来事である、という考察を見かけるが、その可能性はあると思う。ただし、ぬるが自己否定するためには、ぺた姉の死が自分の責任にあると思っている必要がある。

物語の最期を予想すると、最後はぬるがこのサイバー空間から抜け出し、現実世界に戻って、自力で生きる、というのがハッピーエンドだと思う。その時に、ぺた姉が生きていれば、最高にハッピーエンドとなるであろう、と想像してしまう。ただ、ぬるがぺた姉を死なせてしまったと思い込んでいる事と、実際にぺた姉が生きている事の整合性をとるのは難しく、うまく考察がまとまらない。

おわりに

これまでの作風で、ぬるの感情と成長を短尺ながら細やかに描いてきたスタッフ達の仕事から、ラストに向けて再度、感動的な盛り上がりを見せる事と確信しています。

残り3話でどう結ぶのか?とても興味深く、残り3話も楽しんで観て行きたいと思います。