たいやき姫のひとり旅

アニメ感想など…

アイカツオンパレード! 1話~3話

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はじめに

初めに書いておくと、私は今までアイカツ!を一度も観ていませんでした。

しかし、私はある日偶然に、アイカツオンパレード!の1話を観て、その作風に衝撃を受けました。主人公の姫石らきが、とにかく能天気で明るくて前向きで勢いだけで話が展開してゆき、そしてドラマが殆ど無い。

話としては、過去シリーズの歴代アイドルに巡り合ってゆくというもの。これは、ファン向け作品とも、バンダイがオールスター形式のゲームを作成するための過去キャラ紹介作品ともとれます。ある意味ビジネス直結の匂いを感じますが、逆に言えば、それだけ開発してきた魅力的なキャラの資産がある、という事でもあります。

一般的な作品のセオリーを超えて、しかも過密な情報量で押してくる本作に興味が沸くと同時に、この作品を受け止めるためには、過去作を知る必要があると感じました。

そこで、本記事ではオンパレードの感想を書くとともに、YouTubeに現時点で拝見できる過去作品の情報と、アイカツシリーズを変遷について整理しました。

にわかの私が、アイカツシリーズ過去7年の蓄積を短時間に完全に理解する事は不可能であり、ダイジェストな情報だけインプットしているため、古参のアイカツファンから見れば、説明不足が多々あるかと思いますが、その点はご了承ください。

本記事が、私同様、オンパレードでアイカツに興味を持った人の過去作品の知識を深める参考になれば幸いです。

考察・感想

1話~3話感想

私にとって、全てはこの動画から始まった。

本作がぶっ飛んでいるのは、能天気とも言える主人公の姫石らきが、いきなりアイカツを始めて新人アイドルとなり、姉の仕込んだアイカツシステムの謎仕様(バグ?)のせいで、本来繋がっていない前シリーズの世界に行き、歴代のアイカツ!キャラや学園を登場させて、夢の競演を行うというところにある。話の勢いと、らきのテンションの高さで話が転がってゆき、そこにドラマが殆ど無い、という思い切った構成がポイントである。

あいねとみおは、らきの先輩であり、らきを導く役でもある。OPの「君のEntrance」を歌うのは、らき、あいね、みおの3人であり、この3人が本シリーズの主役である。

らきはスターハーモニー学園に転入してくるが、学園まで辿り着く前に、Pure Palette に遭遇したりと強運に恵まれる。らきは、ドレスのデザインに強い関心を持ち、日頃からデザインノートを持ち歩き、何か気付きが有ればすぐに描き込んでいる。性格はとにかく能天気で、口癖は「きゃは」。基本的に慎重さは無く、目の前に扉があれば当然の様に開けてしまう。トップアイドルの先輩たちを、ちゃん付けで呼べるクソ度胸を持つ。

1話では、らき、あいね、みおの3人が、アイカツマシンの中で見知らぬ扉を開くと、四ツ星学園の正門の前に来ていた。そして、ゆめと小春に出会う。

2話では、真昼のステージを観て、ゆめの部屋に泊まる3人。夜中ベランダで風に当たっていたみおは、元の世界に戻れるか不安をゆめに告白する。ゆめは、夜空の星の様にアイドルも互いに輝きを与え、与えられて輝くものと返した。ゆめとみおはペアを組んで、サプライズで同じステージに立ち、二人で歌った。

3話では、ゆめと小春の喧嘩をしてやっと完成したドレスについてのエピソードが語られる。あいねは初めてフレンズドレスを作る時にみおに任せっきりにしてしまったが、実際には二人の色を混ぜ合わせてドレスを完成させられた事も語られる。一人だけの力じゃドレスが作れなかった。

あこからは、お芝居も歌も自然体で振舞う事が一番とアドバイスをもらう。らきがステージを終えてアイカツパスを取り上げると突然扉が現れ、スターハーモニー学園に戻ってこれた。そして、この世界では時間が殆ど経過していなかった。この謎減少は、1話でも3話でも、らきがアイカツシステムで歌い、アイカツパスを取り上げる時に発生している。おそらく、姉がそのようにアイカツシステムに謎仕様を入れ込んだのだろう。

そして、スターハーモニー学園の正門には、スターライト学園の新庄ひなきと紅林珠璃が現れるのであった…。

アイカツ7年の歴史

アイカツ!は、2012年4月からOAされ、7年の歴史を持つ。オンパレードが過去シリーズのアイドルを登場させる以上、過去作品について触れておく必要がある。各シリーズの放送年月をまとめると下記となる。

  1. アイカツ!)
    • 1部(2012年10月~2013年9月) …星宮いちご(スターライト学園)
    • 2部(2013年10月~2014年9月)
    • 3部(2014年10月~2015年9月) …大空あかり(スターライト学園)
    • 4部(2015年10月~2016年3月)
  2. アイカツスターズ!
    • 1部(2016年4月~2017年3月) …虹野ゆめ(四ツ星学園)
    • 2部(2017年4月~2018年3月)
  3. アイカツフレンズ!
    • 1部(2018年4月~2019年3月) …友希あいね、湊みお(スターハーモニー学園)
    • 2部(2019年4月~2019年9月)
  4. アイカツオンパレード!
    • 1部(2019年10月~) …姫石らき(スターハーモニー学園)

アイカツシリーズは、無印、スターズ、フレンズ(=オンパレード)の3つの世界に別れている。今までそれぞれの物語は、リンクする事なく全く別の物語としてリセットされて描かれてきた。しかし、オンパレードでは、アイカツシステムを経由して、アイドルたちがこの3つの世界を行き来する現象が発生している。

歴代プレイバック

アイカツシリーズの3つの世界に登場するキャラは非常に多い。過去シリーズのダイジェスト動画を引用するが、キャラが多すぎて、初見では何がなんだか分からず、全く頭に入ってこなかった。紹介されたキャラは表に列挙したが、数えると48人もおり、頭かクラクラしてきた。しかしながら、3,4回観ていたらなんとなく把握できるようになってきた。

なお、プレイバック動画は、無印と、スターズはあるが、残念ながらフレンズは無く、代わりにダイジェストPV動画を引用する。なので、フレンズはシリーズ途中までのダイジェストになる。

また、wikiによれば、紹介されていないアイドルも居る様で、改めて7年の歴史の重さを感じる。一応、オンパレード3話時点までの登場話数も記載した。

  • 歴代シリーズプレイバック!『アイカツ!(2012年10月~) ver.』
名前 コメント オンパレード登場話数
星宮いちご 主人公
霧矢あおい いちごの親友
神崎美月 いちごとあおいの憧れのトップアイドル
紫吹蘭 美しき刃、クールビューティー
有栖川おとめ ちょっと天然、努力家
藤堂ユリカ 吸血鬼の末裔
北大路さくら 1学年後輩、歌舞伎の家元
一ノ瀬かえで 米国でも大人気、マジックお寿司何でもできる
音城セイラ ロックな大型新人アイドル
冴草きい プロデューサコースからアイドルデビュー
風沢そら 自ブランド持ち、デザイナーとしても活躍
姫里マリア 牧場育ちのお嬢様アイドル
大空あかり 全国オーディションキャラバン出身、とってもフレッシュ
夏樹みくる お花屋で働くガーデニスト
  • 歴代シリーズプレイバック!『アイカツ!(2014年10月~) ver.』
名前 コメント オンパレード登場話数
大空あかり 主人公
氷上スミレ 占いが得意、歌が上手、ステージに咲く氷の花
新条ひなき 子供の頃からTVに出てる、ファッションにも詳しい情報通 3話
紅林珠璃 女優、熱いアイドル 3話
北大路さくら スターライトクイーンカップ優勝者、先輩、実力者
黒沢凛 ダンスが得意、踊る稲妻
天羽まどか キュートな見た目、ハッキリと物言う
藤原みやび 交換留学生、京都出身、大和なでしこ
栗栖ここね 地元神戸で活躍しているアイドル
大地のの 北海道、なまら可愛い
白樺リサ 北海道、なまら可愛い
堂島ニーナ 大阪、お笑いアイドル
波照間みなみ 沖縄、ダンスが上手
名前 コメント オンパレード登場話数
虹野ゆめ 主人公 1,2,3話
七倉小春 幼馴染、いつでもほんわか自然体、とっても優しい 1,2,3話
桜庭ローラ ちょっと勝気、歌が得意、頼れる姉御肌
香澄真昼 完璧主義、成績優秀、夜空の妹 2,3話
早乙女あこ 好きになったら一直線、猫耳ヘアが可愛い 2,3話
白銀リリィ ゆず先輩の幼馴染、ツンドラの歌姫、休学から復帰
白鳥ひめ S4、ふんわりしているけど特訓方法はハード、天使の歌声
如月ツバサ S4、普段は厳しい、たまにご褒美をくれる、頼れる生徒会長
二階堂ゆず S4、おしゃれ、大人、美容にも詳しい、カリスマモデル
香澄夜空 S4唯一の二年生、神出鬼没、ダンスの天才
エルザフォルテ ヴィーナスアークのオーナー兼アイドル、アイドル海賊
花園きらら 天真爛漫、ふわふわ天然
騎咲レイ エルザをナイトの様に守る
双葉アリア 妖精みたいにキュート
名前 コメント
友希あいね 主人公、Pure Palette
湊みお 主人公、Pure Palette、歌もダンスも何でも出来る、ペンネ(ペンギン)が弱点
蝶乃舞花 Honey Cat、ダンスが好き、お祭り好き、熱い、大人っぽい、お化けが苦手
日向エマ Honey Cat、一つ年上、頼れるお姉さん、ラクロス日本代表候補、
神城カレン Love Me Tear、ダイヤモンドフレンズ
明日香ミライ Love Me Tear、ダイヤモンドフレンズ
白百合さくや Reflect Moon、双子姉、月出身、占いは必ず当たる、ふわふわしてる、すぐ寝る
白百合かぐや Reflect Moon、双子妹、月出身、占いは得意?

アイカツフレンズ!(1話、51話)

1話では、まだ素人だったあいねが、既にアイドルだったみおと出会う所から始まる。あいねの目標は、目指せ!友だち100万人。あいねの笑顔にビビッときて、急遽、あいねとペアを組む事を決めたみお。二人はアイカツの短期特訓を経て同じステージに立ち、ファンの声援を浴びる。そして、みおから、今後とも二人で一緒にアイカツしないかと誘われ、あいねが了承し、握手する二人。

興味深いのは、あいねとみおの二人の主人公は、ライバルや先輩と競い合う事を一番の目標にしていない。特に、あいねは友達100万人作るという目標に対する手段としてアイカツする事を決心している。これは、無印やスターズに対するアンチテーゼとも言える。

私は、オンパレード1話から入ったので、フレンズ1話は、単品のドラマとして非常に見易かった。あいねとみおの出会いや、二人の距離感、大切にしているモノが明確で、個性の違う二人が仲良くなって、協力してゆくドラマ、その延長線上でダイアモンドフレンズを目指し、アイドルのトップに君臨する、という物語。通常の作品として、ごく真っ当に作られている。これは、オンパレード1話がドラマも物語も希薄なまま勢いだけで見せてきたのと真逆で、一般的な作りで非常に好感が持てた。

時折、Twitterで見かけていた「トマトバジルチーズのスペシャルサンドイッチ」というワードが、あいねの家のペンギンカフェの看板メニューである事をここで知った。

ダイアモンドフレンズとなり Pure Palette としてトップアイドルになった友希あいねと湊みおも中等部から高等部に変わり制服も変化。そうこうしていると、スペースアイカツをしていた天翔ひびきが宇宙から二人の元に助けを求めてやってくる。ひびきは大人の女性だが、クールで熱くてカッコいい。ステージも自分でプロデュースする総合的なアーティスト。そのステージに魅了されるあいねとみおの二人。直後に乱入してくる明日香ミライ。ひびきとミライの二人は5年前からの因縁のライバル。ひびきは5年前、アリシア・シャーロットとペアを組んでアイカツしていたが、事情があって離れ離れに。Pure Palette の「ともだ力」が、ペアを再結成したい、ひびきの助けになると考えて、ミライが3人を引き合わせたのだった。

スターズの2部が、世界一のアイカツを目指していたので、それに対してフレンズの2部は宇宙一という分かりやすいスケールアップ感を狙ったのだと思われる。2部は物語性が強く、アクションシーンも多い。アイカツは、たくさんのアイドルが歌うだけになってしまうため、マンネリ化の防止が必要になると思う。フレンズは特にライバルとの競争をメインにしていないので、観客を飽きさせないために、このような物語やアクションを組み込んできたのではないか?と想像している。ひびきとアリシアの分断した友情が、あいねとみおの助けにより、再び繋がる。

個人的には、物語性や、メッセージのある作品の方が好みではあるが、アイドル以外の要素が増えているような気もして、この事が主ターゲットである女児にストレートにウケるのか?というと、素朴な疑問もあり、その辺りの今後のアイカツの方向性の難しさを、なんとなく感じるディレクションのようにも感じた。

アイカツスターズ!(1話、51話)

四ツ星学園のトップアイドル、S4に憧れて、四ツ星学園に中等部に入学する虹野ゆめと幼馴染の七倉小春。S4のステージを見て感激するゆめ。突然の研修生のライブにアイドルが好きな気持ち、一番星を目指すゆめを乗せて歌うも、歌唱後に倒れてステージ上の記憶を無くすゆめ。少しの謎と物語の始まりを感じさせる展開。

ゆめ、夜空、真昼、あこが、四ツ星学園の頂点であるS4になっているところから始まる。突然やってきたヴィーナスアーク号はそれ自体が学園であり、オーナーのエルザフォルテは世界一のアイドルと称される。白鳥ひめのスカウトに失敗し、ゆめをスカウトするという不審な動き。日本レベルから世界レベルのスケールアップにともない、最強のパーフェクトアイドル エルザと世界一のアイドルの座をかけて対決してゆく四ツ星学園とゆめ。

スターズは、アイドルに対する強い憧れと、その夢に向かって進む力、そして自然と頂点を目指してゆく事で、憧れの先輩に対して、それを乗り越えてゆこうする試練がテーマになってくる。先輩は倒すべき相手ではなく、優しく、気高く、凛々しく、人間としての強さを体現していて、そして、年度が替わりS4になったとしても、その先輩の背中は、超える事が出来ない。そうした、ロールモデルの存在と、自己向上の物語を強く感じる。おそらく、この骨格自体は、無印からそうなのだと思う。

ただ、1話でアイカツのステージ上での記憶を失ったゆめのエピソードや、2部でラスボスとして用意したエルザの存在が、アイドルとしての競争劇としての側面を強く現していると思う。

それと、特徴的なのは、幼なじみで、途中でイタリアに渡って離れ離れになり、後に再会する小春の存在。親友のとの別れが、より物語を盛り上げる。また、小春自身が服飾に長けている事も特徴に思う。エルザがドレスやブランドがアイカツを制するとしていたこともあり、カードに対する比重が高まった作劇であるが、それに対してゆめと小春の協力でドレスを作り、エルザに対抗してゆくというところも熱い。

絵柄についてだが、無印は個人的に少女マンガ的なテイストを持った独特のキャラデザインだと感じているのだけど、それに比べると、スターズはよりデフォルメが効いたアニメの的なキャラデザインや外連味のある2D作画の動きになっていると感じる。ただ、S4の衣装は宝塚?のようにゴウジャスなのだが線が多く描きにくそうとは思ってしまった。無印のシンプルながら動きの冴える作画と、アニメ絵的な作画のテイストの違いがあったように思う。

改めて、シリーズを通してのアイカツオンパレード!について

上記のダイジェスト情報や、シーズン初めのエピソードを観て、いくつか思う事があったので整理したい。

まず、アイカツ!(無印)について。

無印は、スポ根モノとアイドルを掛け合わせた作品である事は間違いない。そして、カードを使用したアーケードゲームとのタイアップ企画でもある。

対戦だったり、ファン数として得点を競うゲームである事の性質上、競争は外せない重要な要素だったのだと思う。その競争に、スポ根が上手くハマった形なのかと思う。

もう一つ重要なのは、主人公たちは皆、素人がトップアイドルに憧れてアイドルを目指してゆき、その高い目標は、なかなか超えられない存在として描かれる。それは、始めたてのゲームプレイヤーの視点と同じである。しかし、主人公は時にライバルと競い、時にライバルと協力し、徐々に力を付けて、憧れの先輩を乗り越える。誰でもトップに立てる、という希望の物語を提供する。

また、自部自身の成長とともに、後輩を配置して、自身も先輩になるという関係作りも堅実に表現している。それは、競争社会において、上を目指し、下から追い上げられるという社会を描いている。

そうした競争社会であっても、誰かが誰かを妨害したりする事は無く、全員が自身の向上のためにポジティブに活動し、相互に高みを目指す。

放送開始が2012年10月というのも興味深い。企画途中に3.11東関東大震災後の影響を受けている作品だと思われる。努力が結ばれるという展開は、当時の国民への空気感だったのだと思う。

そして、無印は、登場人物を増やし、主人公を変えながら4年間放送された。

これが、アイカツ!が始まった当時の雰囲気だったのだと想像する。

次に、アイカツスターズ!について。

スターズは、基本的に無印の競争社会という本質を変えずに、アニメ的な華やかさをパワーアップした作品なのではないかと想像している。

それは、四ツ星学園が宝塚のような4つ組を持ち、それぞれの頂点でS4と呼ばれる学園トップのアイドル四天王的な要素を入れたり、小春という親友とのシーズンを超えた別れと再会だったり。2部では、世界一アイドルという事でエルザという強敵を用意した事で、よりバトルのイメージが強くなった印象を受けた。

その次に、アイカツフレンズ!について。

本作は、スターズでバトル要素が強まった事に対する反動ではないかと想像しているが、あいねは友達を最重要視し、困った友達が居れば必ず助ける。もっと言えば、フレンズでは一番星を目指すのではなく、皆が向上する事を目指す。

アイカツが本来、アーケードゲームのバトル、競争を扱う性質上、その社会の中で競い合う部分と表裏一体の、勝者が居れば敗者も居るという、敗者の存在を意識せざるおえない部分があった。しかし、フレンズ!が頑張る目的は、友だちとしての助け合う気持ちを根本においていて、誰かを負かす雰囲気を出さない。勿論、互いに切磋琢磨して、全体的に底上げする事は惜しまない。そうした、ある種の競争の否定が、本作の最大の特徴だと思う。

こうなった背景は、時代の空気としか言いようがないが、おそらく、敗者を描く事を嫌う空気があるのだろう。ちなみに、こうしたディレクション自体は、個人的に嫌いではない。

そして、最後に、アイカツオンパレード!について。

本作は、フレンズ!の思想をより進化させていると想像していて、過去の並行世界のアイドル達と会い、アイドルの数だけアイカツがあると言われたその個性の良い点を、らきが吸収してゆくというストーリー展開になっている。そして、らきの最終的な目標は、自分がデザインしたプレミアムレアドレスを着てステージに立つ事。もはや、大会に優勝する事も、ナンバーワンになる事も目指さない。

その代わりに、過去のアイドルたちを紹介して、インタビューして、ありがたい言葉を頂き、らきのドレスデザイン力やアイカツスキルアップに使う。過去シリーズからのファンへのサービスでもある。

ただ、もし、この通りのストーリー構成だとすると、ドラマは非常に薄くなる。その事が、私が本作にもった、一番の違和感というか、引っ掛かりだったのだと思う。その意味では、より物語性を膨らませてきた、スターズ、フレンズの流れとも逆行する。

私は、なんとなく、オンパレードが、アイカツ7年の歴史のクロージングになるのではないか?もしくは、アイカツの名前を使ったより革命的な変化をもたらす作品を作るか?そのどちらかではないかという予感がしている。

おわりに

にわかの私が言うのもなんですが、なんだかんだ言って、アイカツ7年の歴史の重さ、ファンの思いの蓄積というのは、大切な資産なのだという事をヒシヒシと感じる作品です。7年間あれば、小学5年生女児も、女子大生に成長しています。

それと同時に、オンパレードのドラマ性の薄さをカバーする気があるのか?ないのか?についても興味があり、この例外的なストーリー構成の結末を楽しみにしている。