たいやき姫のひとり旅

アニメ感想など…

アサルトリリィBOUQUET

ネタバレ全開につき、閲覧ご注意ください。

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はじめに

2020年10月~12月に放送されていた「アサルトリリィBOUQUET」の感想・考察ブログです。

本作は、百合+美少女バトルアクションという、ありそうで無かった要素の組み合わせですが、文芸、演出、作画、音響など高次元にバランスよく、それでいて下世話な感じが無く、総じて上品にまとめられた作品だと思います。

なお、本作は、2021年1月から稼働しているソシャゲ「アサルトリリィ Last Bullet」の宣伝の役割もあり、ソシャゲアニメとしての位置付けもありましたし、さらに、放送前からキャストによる舞台も公演されていたり、さまざまなメディア展開がありました。

今回、本作の見所や、物語、テーマを整理しようとしたら、結構な長文になってしまいましたが、以下、いつもの感想・考察です。

  • 「アサルトリリィとシグルリの対比」を追加(2021.5.8追記)

感想・考察

基本は、百合×バトルアクション

本作の基本は、王道とも言える美少女バトルアクションである。

巨大な武器を手に未知の敵ヒュージと戦う、リリィと呼ばれる美少女たち。リリィはマギと言う未知のテクノロジーを使う事で、巨大な武器を手に、制服姿のまま、驚異的な身体能力で、無機質なヒュージを相手に戦闘する。マギという設定のおかげで細かな事を気にせずに、より直感的な迫力ある美少女バトルアクションの絵面を楽しむ事ができる、という作風である。

もう一つ、本作の重要な要素に百合モノという側面がある。

リリィたちはある意味隔離された全寮制の女子高で生活しているため、そこは秘密の花園的な展開である。強くて美しくて気品ある上級生に対し、下級生の人気が集まる。そんなテンプレ展開の人気の上級生に夢結、夢結に憧れて白百合女学院に入学してきた新米リリィの梨璃という、鉄板の構図でのスタートである。例えるなら、「エースをねらえ!」のお蝶夫人岡ひろみがダブルスペアを組む、といえば分かりやすいか。

白百合女学院にはシュッツエンゲルと呼ばれる、上級生と下級生がペアを組む際に婚約にも似た契約を交わすという、という百合感溢れる設定がある。

夢結は、シュッツエンゲルの契約を交わした上級生の美鈴を、ヒュージとの戦闘で失っている。そのトラウマがあるから、夢結は誰ともペアを組もうとしない。慕う梨璃、突き放す夢結という片想いの構図が物語の開始。その後、シュッツエンゲルの契約を交わし、共に戦う中で夢結の過去のトラウマを解放し、互いに強く支え合う関係を築き上げて行く、というのが物語の軸である。

他にも、 神琳×雨嘉やミリアム×百由など、百合要素には事書かない。この辺りは、ソシャゲ的なキャラの厚みを感じる。

後半にアニメオリジナルを感じるシリーズ構成

本作は、下記の四部構成に分けられると思う。

話数 梨璃 夢結
第1部 1話~3話 出会い 甲州撤退戦の真実
(ミステリードラマ仕立て)
第2部 4話~6話 一柳隊(レギオン)結成 因縁のダインスレイフ回収
第3部 7話~9話 結梨の誕生から死別
第4部 10話~12話 リリィたちの解放 美鈴の呪いとの対峙

本作の物語には、大きく2つの軸がある。1つは、梨璃の白百合女学院のリリィたちの解放の物語。もう1つは、美玲の残留思念に悩まされ続ける夢結のトラウマ克服のドラマである。この2つの軸がある事が、本作の流れを複雑に見せている。

また、ソシャゲが控えていたコンテンツであるために、前半でキャラや世界観や設定などの紹介を手堅く済ませ、後半でアニメオリジナルの文芸要素を入れてきたように感じた。

個人的には後半の結梨関連とラストのリリィたちの解放は、美少女バトルモノとしては、割と思い切ったテーマを扱っており、アニメで観れて良かったと思う。

夢結のドラマは、ルームメイトに見えていた美鈴が実は夢結にしか見えない幻影だったとか、夢結のショックが多すぎて記憶が混乱していたのかと思われていた事が、実は美玲自身に記憶改竄能力があったとか、視聴者の観点も揺るがす設定を使い、斬新なサスペンス仕立てのトリッキーなドラマ運びで凝っていたと思う。

それから、美玲の愛しすぎて呪いをかけるくだりとか、なかなか高尚な文学的雰囲気も漂わせていた点は私好みであった。

美麗な作画、切れのよい演出

本作は、総じてバランスよく出来が良いが、全編で作画が安定していたと思う。キャラは可愛く描かれ、アクションは迫力満点。

シャフト味がある、と簡単には表現したくないが、レイアウト的にも情緒を表現したり、迫力を表現したり、意図が明確でセンスがあったと思う。

演出も、美玲絡みのサスペンス調の緊張感や、一柳隊のほっこりする緩くてテンポの良いシーンや、海中のヒュージネストに降下して、帰還するシーンのファンタジー感など、どんな球種も自在に的確に投げ込んでみせてくれていた。

個人的に好きな話数は5話、8話、12話。

5話は、夢結が梨璃の誕生日プレゼントを買ってくる話であり、日常回なのだが、いわゆるシャフトっぽい心象風景的な、日常感の薄い背景美術で、不器用な夢結がシルトである梨璃のために能動的にアクションするという、ツンデレ初期の心の変化を独特の雰囲気で描いていた。百合百合しい日常回。個人的に、夢結が好きなので、特に印象に残っている。

8話は、戦闘競技会を通して、結梨がリリィとして急成長する回だが、終始コミカルに描かれる競技シーンが、各々のレアスキルなどの説明もこなしながら、かなりの高密度で、キャラを引き立てながら、楽しく描かれる。かと思えば、終盤の結梨のアクション作画の凄さに持っていかれた。かなりの手練れた演出だと感じた。また、8話の特殊EDは、一柳隊(含む結梨)の10人が私服で過ごしているという多幸感溢れるもので、特にお気に入りである。

12話は、Aパートの戦闘シーン全部良い。特に全員で繋ぐノインヴェルト戦術。ここもかなりの高密度で、テンポよく子気味良い。台詞もカットをまたいで別のキャラに繋ぐイメージでかなりの高圧縮をかけているが、状況を的確に盛り上げながら繋いでゆくカット割りに、観てるこちらも盛り上がる。

今回、盛り上がる部分だけをピックアップして書いているが、全体的に、ストレスのかかるシーンも、しんみりくるシーンも、ギャグのシーンも、的確に高レベルにこなしていた感じがあり、満足度はかなり高かった。

テーマ・物語

ギオン(=チーム)という強さ

リリィはレギオンというチームを組んで戦う事で強くなる。

その象徴的な必殺技として、ノインヴェルト戦術と呼ばれる、9人のリリィが魔法球(マギスフィア)をパスしながらマギの力を上重ねして敵に叩きこむ技がある。これは、ビジュアル的にも分かりやすくチームの熱い団結を演出する。

主人公の梨璃は、リーダーとなってレギオンの要員を集め、一柳隊を結成する。集まったリリィたちは梨璃に好意的で、その信頼感でリーダーに体を預けて戦う。

中には楓のように、普段から梨璃への片思いや、夢結へのライバル心を表に出す者もいるが、戦闘中はみな協力して力を合わせてヒュージと戦う。

メンバーがチームメイトに依存しているのではなく、個人個人が自立した存在である事がミソである。そういった、私情を超えたチームワークの信頼感が、本作の気持ち良さの一つだと思う。

リリィたちが抱える悲哀

8話で結梨が一柳隊のメンバーの匂いをかぎ、「みんなも悲しい匂いがする」というシーン。結梨の「リリィは何故戦うの?」の問いに「みんなを守るため」「誰だって怯えながら暮らしたくない」というのが梨璃と夢結の回答であるが、それはリリィたちの犠牲の上に平和が成立している事を意味する。

それだけでなく、リリィそれぞれに事情があり、死神として呪われた悲しみ、祖国を奪われた悲しみ、強化リリィとして人体実験を受け精神的なトラウマを抱えて生きる悲しみなど、さまざまな悲しみを背負っている。

そうした傷を抱えながらも、リリィたちは命懸けでヒュージと戦う。

さらに言えば、リリィは人間に恐れられ疎まれる側面もあり、ヒュージという敵がいなくなったら軍事利用されるのではないかと不安を抱くリリィもいる。

その意味で、リリィはどこまで行っても束縛され、その犠牲を受け入れざるを得ない、悲哀に満ちた存在として描かれる。

結梨のアイデンティティと差別

人間とヒュージは50年間も争い続けており、敵対関係は当然のものとなった。ヒュージの研究は続けられていたが、人間と対話が成立する兆しもなく、時間は経過した。

リリィはマギの力でヒュージ化した人間であり、人間とヒュージの中間に位置する。それゆえに、リリィは人類に唯一のヒュージからの防衛手段として頼られる一方で、一部の人間はその力を恐れ、疎ましく思っている。それゆえに、人間→リリィは分断のリスクを背負っている。

7話で登場した結梨は逆に、人造リリィと呼ばれるヒュージが人間化したものであり、こちらもヒュージとリリィの中間に位置する。ただし、その出生経緯からヒュージとみなされ、白百合女学院もリリィとして保護する事が出来なかった。最終的には、結梨=人間の証明が間に合い政府への引き渡しは阻止できたが、一つ間違えば敵とみなしていた危うさがあった。

敵対するグループ間にあって中性的な存在が、両者から疎まれる。それは、リリィも人造リリィも同じ。例えるなら、敵対国の間に生まれた二世や、敵国から戻った帰国子女のようなものであろう。同じ人間なのに敵とみなして拒絶する事の危うさ。

結梨自身は、人間にもヒュージにも属さないとしたら、自分は一体何者なのか? という不安を覚え、自分はリリィでありたいと強く願い、リリィとして認められたい一心でヒュージを倒すが、相打ちとなり戦死する。せっかく、戦闘直前に人間として認められるに至ったのに、リリィとして生き急いだ結梨の人生は無慈悲に幕を閉じた。

結梨の件は、こうした差別やアイデンティティがテーマがあったと思う。

結梨の死は、強引なお涙頂戴ドラマ展開とか、ソシャゲがあるのでアニメ独自キャラしか殺せなかったとか、そういった否定的な意見もSNSで散見した。まあ、そういう見方も間違いではないだろうが、12話の梨璃のリリィ解放の流れの中では、絶対必要なエピソードだったと思う。

美鈴→夢結←梨璃の三角関係のドラマ

美鈴の呪いのくだりは、脚本、演出的にかなりトリッキーなサスペンス仕立てとなっており、新情報が分かる度に、ドキドキ、ハラハラしながら観ていたが、一旦ここに整理してみたい。

話数 美鈴関連のメモ
3話 甲州撤退戦の真実は、
(1)結夢がルナトラ発動
(2)美鈴に致命傷
(3)美鈴がダインスレイフの契約と術式書き換え
(4)美鈴ダインスレイフ持ってヒュージに突進
(5)美鈴ヒュージに串刺し
6話 美鈴のリリィだけがマギに操られない発言(結夢回想)
ヒュージからダインスレイフ回収
10話 墓前の結夢の前に美鈴幻影再登場
11話 美鈴のカリスマ上位スキルのラプラス疑惑(百由仮説)
6話でダインスレイフを回収後、鎌倉のヒュージの行動が狂暴化した(百由分析)
美玲のソメイヨシノ=ヒュージ=リリィ論(結夢回想)
美玲の結夢の存在だけが生きる意味発言(結夢回想)
美玲の愛しすぎて傷付けてしまいそうになったら殺してくれ発言(結夢回想)
12話 ヒュージがルナティックトランサーに似た波形を放出
美鈴は結夢が好き過ぎて自分を呪った(梨璃が感じた美鈴の残留思念)
美鈴はヒュージを暴走させる意図は無かった(梨璃が感じた美鈴の残留思念)

夢結が幻影によりかなり錯乱していたという状況もあり、まずはその辺りをマイナスして美鈴視点のポイントを整理する。

12話で梨璃がダインスレイフから読み取った美鈴の残留思念が真実なら、美鈴は夢結を愛しすぎて自分自身を呪ったが、夢結を呪ってはいない。美玲がダインスレイフの契約と術式を変更した目的は夢結を守るためであり、後のヒュージの異常行動の意図は無かった。

しかしながら、本来マギの操り人形であるヒュージが、6話のヒュージはマギを操り、9話11話のヒュージは海底のヒュージネストからマギを吸い取って狂暴化していた。この件については、想像だが、ダインスレイフに宿りし美玲のマギが、海底のヒュージネストに伝搬し、蓄積され、ヒュージに影響を及ぼした可能性が有る。

ちなみに、この仮説は12話で梨璃と夢結の帰還を守った結梨の幻にも当てはまる。9話のヒュージと結梨は相打ちになったが、ヒュージを通してか、グングニルが回収されたのか、何らかの手段で、海底のヒュージネストに結梨のマギが蓄積され、最後に作られたヒュージを結梨の意志がコントロールして帰還を守り、ヒュージ自体は海岸に骨格だけ残った。

最終的に鎌倉のヒュージネストは殲滅されたので、これでマギを操るヒュージの狂暴化はリセットされたと思われる。

話を美鈴と夢結に戻し、本作のドラマの軸となる、錯乱した夢結の葛藤のポイントを整理する。

夢結は甲州撤退戦で美鈴殺しの疑惑をかけられていた。美鈴の幻影に苦しみ、その心は氷のように冷たく硬貨していた。

3話で戦闘中に梨璃と刃を突き合わせる事でルナティックトランサーが解除。甲州撤退戦でルナティックトランサー発動中の意識が無い時に夢結が美鈴をダインスレイフで指していた記憶が戻り、その夜自室で一人涙を流し、その事実に向き合った。それを同室の祀に目撃され、それ以降、美鈴の幻影は出ない。

6話で因縁のダインスレイフを咥え込んだヒュージとの戦いで、夢結が再びルナティックトランサー発動。自分の醜さ弱さを梨璃に吐き出し、何度でも守ると梨璃に言われて戦線復帰し、一柳隊初のノインヴェルト戦術でヒュージ撃退。

10話Cパートと11話で再び美玲の幻影登場。何故このタイミングなのかは不明だが、百由がダインスレイフを解析して徹夜で対ヒュージ用のウィルスを作っていた事が、美鈴のマギが結夢にアクセスしやすい状況を作ったのかもしれない。6話までは自分の過失を攻めていた夢結だが、今度は離れられない美鈴の呪いとの戦い。美鈴が記憶改竄能力をもちえたという情報もあり、疑念の渦に巻き込まれ自分を見失い、呪いを自分一人で解決するともがく。

12話で美鈴のダインスレイフを手にルナティックトランサー発動して梨璃を守る夢結。お互いに、パートナーを守るために自分勝手に暴走しないで!との痴話げんかを経て、最終的に再び二人が協力してヒュージを倒す。ここで夫婦の絆がより深まったという演出だったと思う。

こうしてみると、美鈴→夢結←梨璃の三角関係のドラマとも言えなくない。美鈴が死してなお夢結をガラスのケースに閉じ込めて縛り付けようとしていたか? 美鈴は梨璃に嫉妬していたか? がポイントになると思うが、この辺りの詳細は分からない。ただ、12話の戦闘を経て、自分一人だけでなくパートナーを信頼して行動できるようになった事で、夢結の過去は吹っ切れたとも言えるし、ネスト殲滅からの帰還の時に美鈴は幻影を見せなかった事で、美鈴は身を引いたとも考えられる。この辺りは、曖昧な余韻を楽しむところなのであろう。

本作が百合を特徴としている事、好き過ぎて自分が怖くなり自分自身を呪うという文学的な雰囲気、それをサスペンスタッチで描いてきた部分では野心的で凝っていたと思う。それゆえに、夢結の感情に寄り添うのに若干難易度の高さを感じないでもなかった。この作風は私好みだが、好き嫌いは別れそうに感じた。

梨璃による、リリィたちの救済と解放

娘同然だった結梨の喪失により、梨璃は失意のどん底に落ちる。それを救ったのが一柳隊や百合ヶ丘女学院のリリィたちだった。四葉のクローバーの髪飾りはリリィたちの梨璃を気遣う気持ちの象徴となり、梨璃はそれを受け取る。そして、梨璃はもう誰一人としてリリィを失いたくない気持ちを強くする。

11話で自分のCHARMだけ機能する状況下で、夢結と女学院のリリィたちを守るため、単身でヒュージに立ち向かう。本来、制御不能になるルナティックトランサー発動後の夢結が、自制心を持って梨璃の助太刀に来る展開が熱い。さらに、女学院のリリィ全員によるノインヴェルト戦術でヒュージを倒すシーンでさらに高まる。そして、その代償にリリィたちが持つCHARMが全て壊れるという展開は、リリィたちの戦闘からの解放を示唆する。

12話Bパートの海底のヒュージネスト破壊作戦は、夢結と梨璃の2人でヒュージと対峙する旅となった。鎌倉のヒュージを殲滅し、因縁のダインスレイフを深海に沈めた。帰路は亡くなった結梨の魂に見守られながら、由比ガ浜の海岸に帰還する。

こうして、梨璃とリリィたちによる、リリィの戦いからの解放を描いた。

梨璃のレアスキルは、カリスマの上位スキルのラプラス(?)。人間とヒュージや、人間と人間の理解し合えない断絶が悲劇を生むものだとしたら、梨璃の力は分かり合ってしまう能力だったのかも知れない。相手の気持ちを知り、梨璃の無欲で犠牲を出したくない気持ちが伝搬する事で起きた奇跡。

それは、ご都合主義とも言えなくも無いが、梨璃やリリィたちの悲哀を描いてきた物語の結末としては、こうありたいという祈りとシンクロし、気持ち良く見られた結末であったと思う。

余談(メタ考察)

美少女キャラの犠牲の上の平和と、美少女キャラの幸せ

メタ的は話をするが、アサルトリリィというコンテンツは、美少女バトルアクションというファン向けの要素を前面に押し出しており、フィギュアも小説もソシャゲもそれを中心にして売り出すというコンテンツである。

しかし、アニメーションというエンタメにおいて、令和の時代に、みんなのために自己犠牲で死と隣り合わせで戦う、という設定や物語自体が、受け入れられにくい時代になってきているという側面があるように思う。

特に、ソシャゲという事であれば、キャラを好きになってもらうのが一番の燃料なので、キャラクターの個性こそ尊重するが、キャラクターを虐げたり、物語の都合で戦死するような事は、マイナスという事もあるだろう。大好きになってもらったキャラクターたちをないがしろに出来ないし、いつまでも愛して欲しい。キャラを肯定して欲しい。

その意味で、リリィたちを戦争から解放し救済する、というストーリー自体は、個人的には非常に良かった。私もキャラ寄りに作品を観てしまう傾向があるので、物語の都合でキャラクターが悲惨な目に遭うのは心が痛む。一柳隊の9人は全員気に入ってしまっているので、なおさらである。

しかし、本能として、美少女バトルアクションという映像が好きな事も、本作を観て再認識した。

だから、本作は、前提としての美少女バトルアクションモノの文芸面を上手く処理して現代にマッチさせている、という点で見事だと思うし、評価したい。

しかしながら、美少女キャラを自己犠牲の戦争に参加させている時点でどうか? という潮流もあるだろう。

まどマギは、大義名分ではなく、個人の願いを叶える契約履行という、ある意味自己責任で命懸けで魔女と戦う。ガルパンはチームで敵と戦うが、生命の危険は無く、試合後は敵とも和気あいあいである。その意味で、ガンダムみたいに主人公が命懸けで敵と戦うアニメは、近年まれというか、直ぐには思いつかない。

(後で気付いたが、2021年10月に放送予定のマヴラブは、美少女オンリーではないが、死と隣り合わせの兵士を描いている作品かと思うが、ただしこの作品も原作の起源は古い)

この先、美少女バトルアクションは、どのように進化するのか? それとも、退化して消滅するのか? その辺りを興味深く思っている。

アサルトリリィとシグルリの対比 (2021.5.8追記)

ブログを一旦、公開した後、同時期に放送されていたシグルリ(戦翼のシグルドリーヴァ)が、がっつり戦う美少女の犠牲を描く作風であった事を思い出したので、本作についても触れておこうと思う。

戦う美少女の犠牲の上に勝ち取る平和、という観点でのシグルリのポイントを整理する。

  • 人類 vs 圧倒的な強さを持つ北欧神話の神オーディン の戦い
  • ルールは神であるオーディンが決める(=無理ゲー)
  • オーディンは、ピラーとよばれる無機質なメカを出現させ人類と戦わせる
  • 何故か、美少女(ワルキューレ)とレシプロ戦闘機(英霊機)だけが、ピラーに対抗できる唯一の戦力という設定
  • 美少女だけでなく、通常の軍隊も戦闘する(オッサンたちがジェット戦闘機で護衛する)
  • 人類は虫けらのように死んでゆく。美少女もたびたび戦死する

圧倒的不利という状況で、戦わなければ人類滅亡という状況下を設定し、美少女だけが敵に対抗できる手段という事では、美少女バトルモノのテンプレ通りである。

アサルトリリィとの違いをピックアップすると、下記となると思う。

項目 アサルトリリィ シグルリ
戦況 侵略を食い止めている(防衛)
人類の平和を守る
既に壊滅状態
人類の平和を勝ち取る
死の描写 死の描写は最小限 死は当然でありふれてる
人類→美少女 一部の人間から疎まれる 英雄として人気者
美少女の成り立ち 敵の技術で武装(&改造) 敵(神)が選抜
一般人 ほぼ描かれない 共に戦い死にゆく姿を描く

一般的に美少女アニメは、美少女以外の登場人物をあまり描かないというディレクションが主流であり、それは気持ち良いモノだけで満たされたい視聴者にとって美少女以外の登場人物がノイズになる、という発想からきていると思われる。そのため、美少女だけの閉じた社会だけか、その社会と限られた範囲での外部を描くことになる。アサルトリリィもその文脈で作られている。

しかし、シグルリはその鉄板の法則から大きく外して作られている。美少女以外の一般人(軍人、民間人)を描き、その中に生きる頼られるヒーローキャラとして描いている。

シグルリの世界では人類が絶滅の危機に瀕しているが、ワルキューレだけを戦わせたり、責任を負わせるものではない。ワルキューレが特殊な能力を持っているからといって特別な悲しみを持つわけではない。ワルキューレの悲哀=人類の悲哀である点が、アサルトリリィとは決定的に異なる。

無理ゲーとも言える神との戦いなので、人類の勝てる可能性は0%ではないかと思ってしまう。しかし、人類とワルキューレはその可能性を0.0001%くらいはある、という事を信じて絶対に諦めずに戦う。

戦うたびに、人類側には甚大な被害。ワルキューレも大切で大好きな先輩を失い、戦意を喪失してしまう後輩ワルキューレもいる。そうして、数を減らしながら生き残る人類の傷と絶望は、深く大きく広がってゆき、戦う事を諦めそうになる。自己犠牲の戦死が嫌だから戦わなくても良いというロジックは、戦わなくても世界が存続するケースが前提であり、ここでは戦わない事も死を選択する事と同義である。だから、この無理ゲーの中、戦えるものは無駄死に覚悟でも、未来を信じて戦いを挑む。

物語としては、弱点が無いと思われた神の側が、実は一度滅んでおり、神の家族を失くない為に茶番を組んで滅びの戦いを人類に代行させ、滅ぶ前である事を演じていたかったみたいな、過去に拘り摂理を捻じ曲げる的な、神様の拗れた個人的感情みたいな事が分かってくる。

これに対して、人類の強みは、小さな個人の小さな命が尽きても、残された者がその死を弔い思いを引き継ぎ積み重ねるという継承と、死にゆく命に対して生まれ来る命があり、その新陳代謝で未来に繋ぐ、という2点である事を描く。そして、必要なのはゴキブリの様にしぶとく、諦めない心であると。

神の側の事情を知れば、過去に拘るという心の弱さがあり、未来永劫続くものなどない、というルール違反をしている事から、人類側の勝機が見えてくる。最終的には、苦しい戦いの果てに、人類の存続を勝ち取る事ができる、という流れで結ぶ。

シグルリのロジックは、昭和時代の古い展開とも言えるが、この物語の流れは納得はできるし、アリはアリである。

こうしてみると、シグルリは美少女バトルアクションアニメの中で、カウンター的な要素を持っていたとも言える。それは、選ばれし美少女が戦わない=美少女も人類も滅亡するというハードな二択設定と、美少女たちだけに責任を負わせないこと、この2点で従来の美少女の犠牲の悲哀を軽減していた事である。

ただ、令和時代において、このロジックは例外的でもある。また、視聴者の中には、この無理ゲー感溢れるストレスフルな展開に疲れてしまい、途中で視聴を中止してしまうケースもあっただろう。

シグルリは美少女バトルアクションの一つの回答である。今後、数は少ないだろうが他の回答も出てくる事を期待しつつ、そうした作品を楽しみに観て行きたい。

おわりに

個人的に、2020年秋期のアニメは豊作で、作品も視聴カロリーを使う作品が多かったのだが、本作をいつもの感想・考察で書くには、物語の掴み切れていないところを、掴み直す必要もあり、ブログの更新タイミングがかなり遅れてしまいました。

実際に、物語・テーマだけ整理しようとしても、かなりの分量になりましたので、この大型連休の間に書けて良かったです。

改めて、観直したりしていましたが、百合の一本調子で終わらせるには勿体ないほど、カラフルな作品だと思います。観て楽しめる要素満載なので、「美少女バトルアクション」に抵抗なければ、是非観ていただきたい作品です。

のんのんびより のんすとっぷ

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ネタバレ全開につき閲覧ご注意ください。

はじめに

のんのんびより のんすとっぷ」の感想・考察です。

ちなみに、私は1期2期は未試聴で、劇場版の「ばけーしょん」から履修済みです。なお、原作漫画は未履修です。(1期4話のみ、3期10話との関連もあり視聴しています)

緩い日常アニメと思いきや、終盤の感動回で打ちのめされました。3期はシリーズの完結を描く事もあり、その意味でも感慨深いものがありました。かなりの良作ですので、オススメです。

感想・考察

作風

本作は、田舎を舞台にした子供たち視点のノスタルジー溢れるドラマである。ジャンルで言えば、日常コメディ+人情ドラマという感じ。とにかく、気負いなく楽しく観れる。

原作のあっと先生によるキャラが可愛いくて良いのだが、本作の最大の特徴は、ゆっくりと時間が流れる田舎の日常を描いている点にある。特に田舎の風景・自然は背景美術により丁寧に描かれ、演出のテンポもゆったりしている。その、緩い時間を共有できるのが、本作の最大の強みである。

各話

各話イベント一覧

話数 タイトル イベント
1話 カエルの歌を吹いた 5月、セロテープ人形、人見知りあかね登場、笛の練習、あかねとれんげの繋がり
2話 蛍が大人っぽかった? 6月、トマト苗植え、あかねと夏美小鞠蛍の繋がり、クッキー作り、甘えん坊蛍
3話 昔からこうだった 7月、ひかげ夏海盆栽割り、喧嘩、幼少期、コムソーマンごっこ、秘密基地、心配して夏海を迎えに来たひかげ、和解
4話 トマトを届けるサンタになった 8月、トマト収穫、配達、しおり登場、駄菓子屋と手錠、コスモス刑事ごっこ
5話 すごいものを作った 8月、自由研究、来訪日間違いあかね、れんげあかね遊ぶ、怪談小鞠ぐるみ
6話 みんなでキャンプに行った 8月、キャンプ、テント設営、黒蜜カブト虫、肝試し、ひかげ夏海の宿題ボイコット
7話 ハラハラする秋だった 9月?、授業参観、焦る夏海、燃え尽きる夏海、しおりに翻弄されるれんげ、蟹の水槽
8話 先輩はもうすぐ受験だった 10月?、大学受験このみ、縁日、このみ越谷家お泊り、ふすま破り、外であかね演奏会、あかね富士見家お泊り
9話 おししいごはんを作った 11月?、怖がり小鞠、イタチ、不器用編み物、夕食カレー
10話 寒くなったりあったかくなったりした 正月、お年玉騒動、寒中コント、ほのかれんげ再会、今度は言えたバイバイ
11話 酔っぱらって思い出した 2月?、中あて(ドッチボール)、赤ちゃんれんげの世話する楓、宮内家で酔いつぶれる楓、楓の布団を直すれんげ
12話 また桜が咲いた 3月、卒業式、みんなで土手滑り、かすみ生まれる、4月、かすみれんげ指切り、新生活

10話について

10話のほのかとれんげの絡みは、1期4話のアンサーである。

1期4話は、夏休みにたまたま帰省したほのかとれんげの交流を描く。れんげとほのかは同じ年で意気投合。翌日も遊ぶ約束をして丸一日二人で遊ぶ。その翌日も遊ぶ約束をしたが、ほのかの父親の都合で急に家に帰ってしまい、れんげは1週間不貞腐れて過ごす。そんなある日、ほのかから手紙と二人が写る写真が送られてきて、れんげも絵を描いて返事を返す、という話。

ちなみに、この話は、劇場版の夏海とあおいの関係にも符合する。沖縄旅行で出会った民宿の娘のあおい。同じ年で時間制限付きという点では全く同じ。夏海は最終日の朝、一人涙する姿をれんげに見られている。無言で送迎バスに乗り込もうとする夏海に対して、れんげが挨拶を即す。夏海からあおにに別れの挨拶。見送るあおい。そして、旅先から日常に戻った時にれんげが夏海にプレゼントしたのは、ほのかとれんげのツーショットの写真と同様の、夏海とあおいのツーショットの絵だった。

これを踏まえて3期10話では、ほのかが帰る日の朝、駄菓子と髪留めを交換し、キチンと別れの言葉を交わして別れる。1期4話と違い、タイムリミットが近づく切なさと、その切なさに向き合うれんげの姿が描かれる。

こうした、過去シリーズのネタも絡めての話は、過去シリーズを知る者には、2倍、3倍にパンチ力が増して効いてくる。

そして、この事は、3期が物語完結である事を考えると、考えすぎかもしれないが、作品と視聴者の別れにも重なると思う。過去エピソードを活用しつつ、3期完結を連想させるシリーズ構成の凄みを感じる。

11話について

11話は、3期の中で最大級の泣きポイントだったと思うし、実際、多くの視聴者もラストで涙腺崩壊した事と思う。

11話が例外的なのは、子供視点ではなく、大人視点でドラマを描いている点にある。これは、不意打ちで右ストレートをくらったくらいの威力があった。

楓はれんげに対して過保護である。れんげが赤ちゃんの頃から面倒を見続け、保護し続ける事が当たり前だった。

それは、年長者が年下の子の面倒を見るというコミュニティ内の暗黙のルールであったし、義務と言い換えてもいいかもしれない。

さらに、一穂の話では、楓はコミュニティ内で荒れていた時期があり、そんな時にれんげの面倒を見る事で、心に潤いを取り戻し、軌道を外れる事無く現在に至ったという経緯が語られる。楓がれんげの面倒を見る事は、実は楓のメンタルケアの上でも有効であり、コミュニティ内の良き循環となっていた。

しかし、れんげ本人は成長している。妹分のしおりの面倒をみたり、気遣ったり、姉貴分としての自覚を持ち始めている。そして、れんげが楓の布団をかけ直してポンポンと布団を叩いて出て行くラストシーン。

楓が酒に酔いつぶれていたから、泣きやすい状況にあったという事もあるだろう。

楓の気持ちは複雑で、れんげの初めての優しさに感動したとか、世話していたれんげから世話されて、れんげの成長を感慨深く思ったとか寂しさ感じたとか、いろいろと考えられはするけども、これだけでは無く、もっと色んな感情があったのかもしれない。

ただ言えるのは、子供の成長を目の当たりにして、巻き戻らない時の流れの重みを実感して涙するというのは、童心には分からない大人だから分かる感覚であり、繰り返しになるがその意味で11話は本シリーズでは例外なのである。

そして、その巻き戻らない時の重みというのは、そのまま12話に引き継がれるテーマである。11話のこのエピソードが12話の心の準備回になっているという点で、ここでもシリーズ構成の上手さに唸らされる。

それにしても、ある意味、鉄板のお約束である楓のれんげに対する過保護設定を、れんげ依存からの脱却を示唆して解放するというのが、本当に目から鱗で、凄く良かった。

12話について

12話というのは、本作にとって最大のケジメである。これまでループし続けていた、いわゆる「サザエさん時空」を解放させての堂々のシリーズ完結となった。

3期で重要な役割を果たしていたのが、新キャラのしおりとあかねである。

旭丘分校コミュニティの閉じた時空において、しおりは代替わりで新規に参入する者として時間の繋がりを示し、あかねは隣町からの外部から参入する者としての空間の繋がりを示す。3期では、丁寧に2人を旭丘分校コミュニティに干渉させて、サザエさん時空の解放を描き上げた。

Aパートの土手滑り。夏海、れんげと楓、しおりと蛍、小鞠とあかね、ひかげ、このみ。従来のコミュニティに、しおりとあかねも参加して前進する未来を示唆するシーンだと思う。

このみがこの1年を振り返り「なんか、長かったと言うか、短かったと言うか」という台詞。この1年は、3期1クールで描いた1年でもあり、1期放送開始からの7年でもあり、視聴者の心情にも重なる。

アバンの卓の卒業、Bパートのしおりの入学。年度が切り替わり、また新しい日常が始まる。いつもと同じ道じゃなくて、いつも少し違う道。

そして、れんげとかすみ(生まれたてのしおりの妹)が一緒に登校する6年越しの約束は、こうして未来永劫続く季節と年度の螺旋の時の流れ予感させる。

水は一つ所に留まると濁るが、流れる水はきれい。これで視聴者は本シリーズとはお別れになるのだが、新学期が始まり、年度が切り替わる事で物語の完結を示すということが、これほどまでに清々しく、これほどまでに美しく、心に響くとは思わなかった。

その他の諸々について

3話は、ひかげと夏海の喧嘩と和解を、過去回想を交えて描く。夏海の悪乗りに酷い目にあいながらも、幼少期の夏海の「ごめんなさい」があるから、今も続いている二人の関係。ひかげの良さを丁寧に描く回は、ここしかないので非常に良かった。

9話は、小鞠の可愛さ全開回だった。怖がりで不器用で、しっかりしたい気持ちとは裏腹に失敗ばかり。カレー作りで肉じゃがを使う発想に有頂天になるところとが最高に面白かったが、自分から母親に手伝ってと頼むくだりと、その後の母親のケアが微笑ましくて良かった。

2話と5話で蛍がいじられているが、大人っぽさを演じている蛍の子供っぽさや、小鞠フェチの可笑しさがネタになるという事で、3期ではお笑いに徹した感がある。

れんげは3期でも最重要キャラであったと思う。ラストの台詞を言うために3期の1年を積み上げるという大役をこなした。妹分のれんげの登場により、年長者としての責任を自覚する下りは、1クールの中で丁寧にしおりを織り込んで描いた事で、ごく自然な形で見えていた。

れんげ関連でちょっと笑ってしまったのは、9話のしおりとの哲学めいたやり取り。れんげのロジックは視聴者にも明快だが、しおりの言動は幼児のそれで非論理的な飛躍で展開されるため、れんげが翻弄されると言うくだりが馬鹿馬鹿しくてよかった。

「終わらない日常の終わり」

「終わらない日常の終わり」は、3期放送に直前に、原作漫画が2月末で連載終了する事をアナウンスした時のコピーである。おそらく、3期と原作漫画の連載終了は、かなり前から綿密に同期をとって物語の完結を練り上げてきたのだろう。このコピーを見たとき、私はこのカッコ良さに痺れた。

本シリーズが、大人のノスタルジーに触れてゆく作風である事を考えると、過去に囚われて後ろ向きな印象を受けなくもない。しかし、3期12話では、過去を受けて未来を生きるために、昨日と少し違う今日を全力で生きる、というメッセージを伝えてくる。日常=同じ毎日の繰り返しという考え方を否定し、日常=巻き戻らない変化する毎日の積み上げであり、だからこそ日常を大切にすべきなのだと主張する。

つまり、日常の終わり=変化を受け入れ前進するというニュアンスが近いのかと思う。これは、2期のループを否定する考え方と言っても良いだろう。

3期12話が年度上がりを描く事で物語の完結を描くという事の美しさは、3期単発では表現しえないテーマである。原作漫画が11年以上も連載されていた事、2期のサザエさん時空と、2期から3期のインターバル期間があった事を利用してのシリーズ構成であり、その意味で見事という言葉しか出てこない。シリーズ構成の吉田玲子さん、監督の 川面真也さんに最大限の拍手を送りたい。

おわりに

私は「はいふり」が好きなのですが、本作も、あっと先生原案のキャラクターで吉田玲子脚本のアニメであり、個人的にこの布陣に弱い事が判明しました。

1期から7年も経過していますが、その間のアニメーション技術の進化を取り込むという事よりも、当初と同じ質感を維持していてくれているのではないか、という映像の肌触りの感触を変えていないところに好感を持ちました。(劇場版は、流石の映像クオリティという面はありましたが)

どうせ、大人のノスタルジーに訴えかける癒し系のアレでしょ、という先入観を捨てて、緩い笑いと極上のドラマを楽しんで観て欲しい作品です。

2021年冬期アニメ感想総括

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はじめに

2021年冬期アニメ総括です。今回、最終回まで見た作品は下記。

コロナの反動でアニメの本数も増えた今期ですが、今期も色んなテイストの作品をばらけて見る事ができました。

今期は「ワンダーエッグ・プライオリティ」にドハマりしていましたが、その他の作品も味濃いめで、楽しめました。

感想・考察

ワンダーエッグ・プライオリティ

  • rating ★★★★★
  • pros
    • 14歳の少女の痛み危うさを繊細、かつ濃密に描く脚本、演出、作画、芝居
    • 考察向きの含みを持たせた独特の世界観と設定
    • バトルアクションの爽快感ある作画
    • 趣があり、クセになる劇伴
  • cons
    • 制作上の問題で1話取りこぼし、続きを6月の特別版にて完結という状況

本作は、制作遅延により8話で総集編を挟み、放送枠から押し出された最終話を特別編として6月末に放送されることがアナウンスされている。その意味では、4月時点では未完の作品である事を明記しておきたい。

本来なら、未完の作品の評価は保留にするところであるが、個人的にこのクールで一番ハマった作品で有る事、12話で主人公のアイについて、一応の決着を付けている事から、本ブログに記載する事とした。

本作の見所は、やはり野島伸司のシリーズ構成と脚本。14歳の少女を繊細かつドラマチック描く。これまでの実写ドラマの過去作と比べても、期待を裏切らない出来栄えだったと思う。むしろ、1話時点では実写ドラマ寄りと感じた作風も、回が進むにつれてアニメならではの爽快感や見易さも出てきて、いい感じに実写ドラマとアニメの風味を融合していた。

例えば、ねいるが社長なのも実写ドラマなら大ブーイングの超設定だが、アニメなのでそこに引っかかり過ぎずに観れてしまう。逆に、アイの部屋やポマンダーの設定の緻密さが、実写ドラマ顔負けのリアリティを感じさせる。こうしたさじ加減が上手い作風だと感じた。

とにかく、作画と声の芝居が丁寧で、演出のキレの良さも感じた。重めのテーマゆえにストレスフルなシーンも多いが、逆に、4人の雑談やアクション作画の軽快さとも両立しており、こうした緩急の使い方が上手い。

各話のアクションシーンはとても丁寧で躍動感がある。アイたちも派手に吹っ飛ばされたりしながら、嫌悪感だらけのワンダーキラーを叩き切るシーンは、かなりの爽快感を味わえる。

私のお気に入りは、5話でリカが、アイに「悪役やってやってんだ!友だちなら出来たじゃんか!」と言うシーン。この時の目の見開き方や、口元の力の入り方が、従来の静止画の記号だけで伝える演技とは違って、完全に実写ドラマ的な芝居だったし、とても新鮮に感じた。

劇伴も印象的だった。時に女子の会話の賑やかさを軽快に、時にシリアスな展開のストレスフルな心情を重厚に、幅広く聴かせてくれた。最近の作品で近い感覚を持ったのは「安達としまむら」や「リズと青い鳥」。ちょっとクセになりそうな心地良さがあった。

作品のテーマは、子供でも大人でもない、思春期の14歳の少女の自殺を題材にしている。自殺の原因となるトラウマは、イジメ、体罰、痴漢、援助交際、ナルシスト、霊感、新興宗教、レイプなど。

物語的には、こうした自殺した少女のトラウマを退治しながら、自身が自殺に関与してしまった少女を生き返らせるため、自身の罪を償いやコンプレックス克服のために戦い続ける、というのが基本。

しかし、終盤は、自分自身の戦いから、フリルという絶対悪のラスボスとの対決の構図が見えてくる。

果たして、12話ではアイがかつての弱かったアイ自身を救うった事で、フリルと戦う決意を固める。しかし、その直後に救われたはずのもう一人のアイの左目を奪われる(多分、死を意味する)。エッグの戦いから戻ったアイは、もう一人のアイに感謝と謝罪をし、ここで12話は終わる。

12話時点でフリルの問題やねいるの妹など謎だらけだとしても、アイのドラマに一応の決着を付け、物語を一旦閉じた点については誠意を感じた。

個人的にお気に入りは9話と11話。

9話はねいると寿の回。ねいるはエッグの運営側との繋がりもあり、戦う理由が他の3人と明確に違うが、その真意は謎。ねいるは他の3人と違って曖昧な少女性を持たず、論理的な思考でブレが無い。そんな無敵のねいるだが、唯一心を許せる同士であり、親友でもある植物人間の寿への依存が弱点として描かれる。ある意味、会社人間で将来の夢も持たないねいるが、寿と決別し、自分の人生を歩み始める。10話の髪型の変化と、リカへのラーメンOK即答は、その変化の表れ。この変化が特別編でどう効いてくるのか、楽しみ。

11話は完全に1本のホラー映画だった。裏アカの独白で進められるフリルのあずさ殺害とひまりの自殺。エッグの世界の経緯と、継続する恐怖の余韻。ここでも、裏アカたちの尻拭いをアイが押し付けられるという、身勝手な大人と犠牲となる少女の構図が効いている。永遠の14歳の少女フリルの、愛する人の移り気を憎み、浮気相手を殺し、精神的ダメージを与える残虐さ。物語的には、怪物となったフリルの暴走を止める必要があると思う。

特別編を待つ間に、気にしているポイントを整理しておこう。

フリルが普通の人間と違うのは、心の痛みを感じた時に、それはそれと割り切ったり、その痛みを乗り越えたり、次に前に進む事が出来ない点にある。ねいるは寿との別れで前に進み、アイは沢木先生や小糸の死の疑念を捨て、目の前の大切な人間を信じる事で前に進んだ。フリルが持っていないモノをねいるもアイも持っている。そこが二人の強みであろう。フリルという絶対悪のラスボスをどう倒すのか?ハッピーエンドなのか、ビターエンドなのか?楽しみは3か月後という事で…。

ゲキドル

  • rating ★★★★★
  • pros
    • 粗削りながら、毎度の超展開で細かな欠点を許せてしまう豪快な作風
  • cons
    • 色んな要素詰め込み過ぎゆえの、消化不良気味の雑多感
    • キャラの心情の変化などが大味で、きめ細かさに欠ける演出

本作は、欠点を指摘しようと思えばいくらでも指摘できるが、その豪快な超展開で全て許せてしまうという、不思議な魅力を持つ作品だった。いくつかある欠点も、作風や設定により、まあ楽しめれば細かい事はいいか、となってしまう豪快さが本作の強みである。

本作は、要素を詰め込み過ぎているせいか、物語の流れを不自然に感じる事が多々あった。イベントが突然発生し、それがその後の流れにあまり有効に生かされない。脈略が無く感突に過ぎ去る印象を受けた。

演劇、(地下)アイドル、百合、サイコパス、ドールとシアステの洗脳システム、ド根性の弱小劇団と大手劇団の対決、竹崎の世界征服、かをるの謎の過去、時空犯罪、5年前の世界同時都市消滅の真相、歴史改変、と目まぐるしいまでの超展開を詰め込み過ぎて、消化不良な感じが否めない。上手いシリーズ構成ならこれらの要素の中でどれか一つを軸にして1クール通貫のテーマとし、周辺の要素をシームレスに絡めてくるのだろうが、本作にはそうした一気通貫の軸が見えにくい。

例えば、あいりがせりあを好きでキスまでしてしまうのに、百合が炸裂するわけでもなく、普通の友達の距離に収まったまま、せりあの成長を思う良き仲間的なポジションで進行する。また、Jrアイドル時代のヌード写真撮影会の黒歴史を嫌悪して落ち込んだり、それが吹っ切れたりのドラマはある。しかし、それが物語に収斂する感じも無く、散漫なエモさアピールで終わってしまう。こうしたチグハクした感じは、せりあにもいずみにもあり、結果的にエピソードが積み重なっていかないし、キャラの行動が感突で何のために? という違和感を感じるシーンが多く、正直、見易くはなかった。

しかし、最後まで観終えると、逆に、この分かりにくさが超展開を楽しむための高度な演出ではないのか? とさえ思えてくる。

また、本作はキャラの心情の変化が感突で、滑らかさに欠ける様に感じていた。例えば、いずみがAITに復帰する際に、繭璃と和春が猛反対する。理由は憧れていたいずみのAIT裏切りの気持ちが強く残っていたからだが、その気持ちも突然だし、無口な和春がまくし立てて喋り本音で話す事でわだかまりが解けるのも、展開としては分かるが強引とも感じた。ドラマとしては成立するのだが、その変化にスムーズさが無く、大味に感じるのは演出の弱さだと思う。

しかし、こうした粗削りの演出や芝居も、テーマが演劇と思えば、ある種の大袈裟でデフォルメされた分かりやすい芝居というディレクションなのかも、と許せてしまう。

さらに、本作は当初からキャラが暗さを抱えた作風。ここも令和の現代において率直に違和感を感じた。あいりのJrアイドル時代の黒歴史、せりあの身代わりにありすを殺してしまった罪悪感、過去の恋と任務のどちらも選べなかった優柔不断な自分を責めるかをる、AITを去った事に関するいずみの申し訳なさ、そして機械ゆえに自分を持たない人形であるドールの空虚さ、竹崎の歪んだ正義などなど。あいりやせりあは前半でその気持ちを吹っ切ってゆく物語があるが、それにしたって、全員ここまで負の暗さというのは、令和にしては重苦しい。

しかし、これらの抑圧されて鬱屈した人格というのは、5年前の同時都市消失事件の影響で捻じれ曲がった世界が、キャラに落とした影だったのかも知れないな、と考えるとメタ的な演出だったととれなくもない。

こんな具合で、当初ノリ切れなかった違和感は、継続して見てゆくうちに作品の持ち味として馴染み、最終的にはディレクションなんじゃないかとさえ思えてきた。

さて、ポジ意見までの前置きが長くなったが、本作の肝は、こうした負の暗さの中でも少女達の生きる力、活力が未来を造るというシンプルで力強いメッセージにあると思う。しかも、せいあ、あいり、いずみは演劇と言う舞台で、分からず屋を相手に、本音の自分を全力でぶつけあってるだけであり、世界を救う気なんてさらさらない。これを、当事者だったかをるではなく、かをるの教え子であるせりあ達がやる事に意味がある。

かをるの中途半端な自分を責める気持ちも、ドールの何かを演じ続ける悲哀も、争いの無い世界を目指したかった竹崎も、全てエンリ(梓)に利用され、かをるの後悔が最後のピタゴラスイッチのボタンを押す仕掛けは痺れた。しかしながら、そんな黒幕の計算を嘲笑うかのように、その野望を少女達の痴話喧嘩が阻止した上に、鬱屈した過去も改変してやり直してしまう痛快さ。この12話の気持ち良さがあるから、正直今までの事を許せてしまう。

それにしたって、5年前のミキ、響子、梓の分岐点の事件を、AITが特異点となってせりな、あいり、いずみが再現するという理屈も、よく考えてみれば無茶設定。せりな達が自己解釈で役に近づこうとしていた時点で不確定要素である。エンリにしてみれば、それまでの綿密な計画と比べて、いくらなんでもリスクあり過ぎだろう、という突っ込みを入れるところである。しかしながら、好きになってしまえば、この超展開も楽しくなり、「あばたもえくぼ」と許せてしまう。

繰り返しになるが、本作はそうした憎めなさのある、不思議な作品だと思う。

ちなみに、本作は1話から8話までの演劇ベースのプロットがあって、その後に9話~12話を追加したとの事。途中までの暗さを引き継いで最後にひっくり返すシリーズ構成の豪快な荒業ぶりは、拍手を贈りたい。

Pui Pui モルカー

  • rating ★★★★☆
  • pros
    • 見ているだけで楽しくなるモルカーの可愛さ
  • cons
    • 特になし

今期の覇権は本作だったのかもしれない。見ているだけでハッピーになれる楽しい作風だった。

モルカーは、人間を乗せて移動できる自動車でもあり、個性的な生き物でもある。人間と共生していて人間の移動に用いられるが、モルカー自身にも意思があり、自由がある。

本作は1話3分弱の短編ストップモーションアニメである。アニメーターはモルカーの人形に動きと表情を付ける。今までの人形アニメーションでも動物をモチーフにした作品は数多くあるが、モルカーはモルモットのフォルムで、可動部分が、目、口元、足(タイヤ?)くらいに限られている点が興味深い。

例えば、ひつじのショーンなどは、人間的な芝居をするために手足が長く、マグカップで飲み物を飲むという動作があるとする。しかし、モルカーはそうした人間の仕草はなく、目もと口元の表情の芝居と4足歩行?での動作に限定されている。食事は口元をむしゃむしゃさせると目の前のニンジンが小さくなってゆく、と言う感じ。

自由度が少ない分だけ、芝居の幅も狭まるわけだが、逆にその事により、モルカーと言う存在をモルカーとして受け入れてしまえるデザインの妙がある。

つまり、視聴者はモルカーをモルカーそのものとして認知して見ている。そこが、この作品の凄いところだと思う。その意味で、モルカーは発明なのだと思う。

本作のスタートは、自動車が人間をイライラさせたり、傷付けたりするストレスフルな存在としたときに、自動車が小動物みたいに可愛かったら楽しいだろう、というような発想だったのだろう。

全12話中の序盤は、人間が原因でモルカーが過大なストレスを受けつつも、その可愛さゆえの超展開で爽快感を味わう、という風刺の効いた作風かと思っていた。

しかし、中盤からモルカー自身がスパイアクションをしたり、宝探しの冒険をしたりと映画オマージュの自由な行動にシフトする。原始時代にタイムスリップして楽しい歴史改変を行う。痛車ペイントでイメージが違うと悲しむも、魔法少女的な力でヒーローになる。深夜にモルカーどうしが集まってパーティーをする。

つまり、モルカーは人間にこき使われる道具ではなく、自由な存在として描かれる。それは、社会や学校で窮屈で抑圧された生き方をしてい者からすれば、楽しく生きる事を尊重する憧れの存在(=ヒーロー)であるとも言える。

そして、12話では、モルカーは仕事に疲れた人間をベッドに寝かしつけるというケアもしている。この世界の住宅は、ビルトインガレージとなっていて、人間とモルカーは同じ部屋で生活している。道路沿いの公衆トイレには人間のトイレの横にモルカー用のトイレがある。人間とモルカーは共生しているのである。このフレンドリーな共生の設定も凝っていて楽しい。

令和の現代であれば、こうした映像は3DCGだけでも作れそうだが、実体のある人形の手作り感の溢れるアナクロな映像である事が肝だったのだと思う。ふと考えると超絶苦労の上に成り立つ映像だと思うが、視聴中はそんな事を意識せずに楽しく観れてしまう。

本作の見里朝希監督の次回作として、WIT STUDIOでのストップモーションアニメ「Candy Caries」の製作が発表されている。アクリル板に描いた絵をコマ撮りするようなポップで不思議な映像が印象的。だいぶ先になるかもしれないが、こちらも楽しみである。

ホリミヤ

  • rating ★★★☆☆
  • pros
    • 全体的にライトに見せかけて、しっかりと青春の痛み切なさを「切り取る」脚本と演出
    • 繊細で巧みなキャラデザのライン
  • cons
    • 芯はあるのに、全体的に薄味なため、しっかり見るには疲れる作風

本作を一言で表現するのは難しい。堀と宮村のカップルの恋愛を主軸に描く、青春ラブストーリー群像劇とでも言おうか。でも、本作の本当のアイデンティティは、中学時代にイジメられて人との関りを避け、自分だけの小さな空間に収まっていた宮村が、堀達の陽キャラに触れて、心を開いて行く未来というところにあったと思う。だから、惚れた腫れたの浮いた話だけではない重さ、シャープさが本作の魅力だったと思う。

本作はラブコメに分類されるだろうが、一般的なラブコメとは少し違った印象を受けた。

堀と宮村のメインカップルのラブストーリーは迷いが無い直球である。高校2年の夏頃から互いを意識し合い、妙な浸透圧で互いに引き合う。寝ている堀に対しての宮村の「好き」の告白に対し、嬉し過ぎて一瞬受け止めきれずに翌日学校をずる休みするとか、雨の降る鬱屈した日に初キスをするとか、付き合い始めたら始めたで、宮村に近づく男を敵視する堀だとか、宮村に滅茶苦茶にして欲しいとM気を出す堀とか、卒業の先が見えずに不安になる堀とか、すぐさま結婚しようと返す宮村とか、最終的にはずっと一緒に居ようと宣言する初詣とか。二人が恋人になり、これから先も一緒に歩んでゆくという恋愛の成長の過程を1クール使って丁寧に描いてきた。これだけで王道と言えなくもない。

しかも、周囲のキャラの恋愛や友愛の感情も青春群像劇として描いてゆく。そこには、片想いや、三角関係や、兄妹愛や、男同士の友情などなど。

特に、表裏の無い爽やか男子の石川と、地味女の河野、強く主張できない吉川の、微妙過ぎる三角関係が切なさ爆発であった。そもそも石川は堀に未練があり、彼女を募集していない状態で、河野や吉川が石川を好きになる。吉川は石川と近しい付き合いなのに、好きという言葉を切り出せないズルさ。遠巻きに見ているだけでなく、クッキーで好きをアピールするのに石川に振り向いてもらえない河野。最終的に石川は、吉川と友だちから始めるという選択をする。好きと言う気持ちがあっても、直通しない切なさ。白黒ハッキリさせてしまう事に対する怖さ。

さらにこれに、河野を応援する綾崎、吉川に告白してフラれる柳、そういう人間関係の連鎖が広がりを持って描かれて行く。

本作は、こうした感情をスナップショットのように切り取る事に長けている。細くて繊細なキャラのライン。印象的な色使い。心情吐露はキャラのアップで、心情に合わせた影をキャラに付け、心情を語らせるという演出が効いていた(余談ながら、作画カロリーの省力化を熟考した演出だったと思う)。

そして、シリアスで重くなりそうな空気を軽めのギャグで換気してゆく。最初は、このライトなギャグが中心かと思っていたが、ギャグはシリアスに対する箸休めだったのだと思う。そのギャグもシリアスなネタがあるから効いてくる。

本作が「切り取る」事に長けている反面、個々のエピソードが散漫で、物語としてのパンチが弱いとも感じた。この「切り取り」は群像劇が同時並行的に進行しており、しかもネタが1話挟んで続いたりするので、どんなキャラだっけ? みたいになる事もあった。本作はエピソードの積み重ね(特に堀と宮村)なのに、そのエピソードが視聴者の中で積み重なりにくいというデメリットである。

その意味で、本作は毎話毎話、そのギャグの軽さに流されているだけではダメで、見る人の本気度が試される作風だったと思う。

本作は12話で、未来もずっと一緒という所で、一旦綺麗に終わる。そして、13話で、周囲に壁を作り小さな箱の中に入ったままのパラレルワールドの宮村との対峙を持って終わる。高校生活で堀と出会えて堀と恋人になれた事、それに付随して色んな人間との関りが持てた事、その幸せに対する感謝の気持ち。宮村は閉じこもっていた過去の自分を見ないようにしていた(=過去の否定)という事になるが、そうではなくて、そうした閉じこもった自分も肯定して前に進む。本作が最後に詰め込んできたのは、自分を好きになる事、だったと思う。

以上のように、本作は気を抜いてみると、ストレスなく流してみる事が出来てしまう。しかし、芯の部分は、意外としっかりした恋愛ドラマであり、自己肯定の物語である。ただ、繰り返しになるが、そこにフォーカスして見るには多少気合が必要な作風で、率直な感想を言えば、ちょっと疲れる作品であった。

のんのんびより のんすとっぷ

  • rating ★★★★☆
  • pros
    • 変わらず絶好調な、ゆったした童心のドラマ
    • 世代をクロスした交流と、その代替わりを感じさせる幕引きの脚本の美しさ
  • cons
    • 特になし

はじめに断っておくと、私は1期2期未視聴、映画の「ばけーしょん」は履修済み、3期は、1話、9話~12話の視聴である。

私は「ばけーしょん」を観たときに、本作は、過疎地の分校を中心に、子供が感じた心をそのまま映像にする作風であり、永遠のこども心を描く作品なのかと思っていた。

描かれる事は、大人からすれば、しょーもない事とも言える事かもしれないが、ゆっくりと時間が流れる田舎生活のなかで、田舎の風景、自然を感じながら、大人も子供も密接して暮す事に意味があり、その一つ一つが贅沢な体験である。

本作は、オジサンがそのノスタルジーを強く感じながら見る作品だと理解していた。

9話では、小鞠と夏美の姉妹の関係。そのどんくささを妹の夏海にいじられている姉の小鞠が、出来る自分になりたくて夕食を造り始めるが、上手くいかなくなったときの不安やテンパっている様子が可笑しい。大人からすれば、様々な経験から料理をステップアップさせて行ったり、出来なければ諦めてしまうところ、無計画に挑戦してしまう所が子供である。しかも、妹の夏海の手前、意地を張る。しかし、失敗しそうな絶望感の中、母親が手助けをする。今度は小鞠から母親に手伝ってとお願いする。その、一瞬の戸惑いと、完成した時の喜び。子供に成功体験を与えて伸ばす。そうした、子供と大人の繋がりと思いやりが描かれた。

10話では、正月のあるひ日、表で夏海とれんげとひかげの吹雪の中のコント。そもそも大人なら馬鹿馬鹿しくてそんなことはしないが、ハイテンションな子供の無茶さ加減が可笑しい。冬休みに実家に帰省してきた幼馴染のほのかとれんげの再会。2日間限定というタイムリミットがあるから楽しく遊んでいても別れが気になる。別れ際に、駄菓子とバイバイの言葉を言って別れる。今度は言えた、というのは引っ越しの時には別れに行かなかったのだろう。成長と言うには大袈裟ではある。しかし、別れが切なくても、その切なさに向かうというのが、ある意味、勇気なのだろう。大人であれば、ちょっとした出会いと別れが、こんなに切なくなることはなくなってくる。旧知の友とあって、酒でも酌み交わしながら語らい、そして自分の生活に戻る。離れたくない、とまでは思わない。

11話の、楓が夜に宮内家に来て飲んだくれてしまう話はグッときた。赤ちゃんのれんげの面倒を見てきたつもりが、れんげ自体は年下の子に対して、年上の自覚を持ちはじめている。ゆったりした時間の中で誰もが成長している。楓がコタツで飲み潰れてしまう体たらくを自覚しつつ、れんげの前ではしっかり者でいたい。しかし、横になっている楓の布団をかけなしてくれたれんげの優しさに、思わずすすり泣いてしまう楓。いつまでも子供と思っていたのに、ふいに感じてしまう成長。この回は、過疎地であるがゆえに、広く世代をクロスした繋がりのある社会で、ゆったりとした時間の中でも、確実に人々が成長してゆく事を描いた。恐らく、11話は多くの視聴者を泣かせたと思う。この5,6年の時間の重さは、無論、れんげ自身には無い。大人だからこそ感じる、子供の成長の時間の経過の重さであり、のんのんびよりという作品の中で特別なエピソードであった。

12話では、いよいよ春となり、卓は卒業し、しおりが入学した。しおりにも妹が産まれ、れんげは一緒に学校に行く7年越しの未来の約束をする。季節と年の螺旋の時間は、ゆっくりだが確実に進む。これは11話の成長の流れを受けている。「終わらない日常の終わり」というのが放送直前の原作完結を発表した時のキャッチコピーだが、本作は終わるのではなく、世代変わりして繋がる物語として描かれる。夏海にとってはいつも同じ毎日だが、れんげにとっては初めての後輩と一緒の通学であり、昨日とは違う今日なのである。ちょうど、映画と3期の違いとも言える。きっと、1期からのファンは感無量だったであろう。

もしかして12話が4月で終わるなら、1話も4月はじまり? と想像して観てみたら、1話は5月始まりであった。9話で登場した、あかねが人見知りを直したいために、このみに呼ばれて田舎に来る話であった。高校1年生のあかねと小学1年生の世代を超えた交流。他人にノーガードな、れんげの素直過ぎる態度が、あかねの壁を崩す。1話から、すでに、こうした世代を超えた関りを明示的に描いていた事もあり、3期のテーマだったのかも、と感じた。

本作は、こうした、ゆっくりした時間の中で、こうしたちょっとしたイイ感じのエピソードを散りばめて、それでいて1話の中で無駄なく物語が描かれる所が気持ち良い作風。良質なドラマに、ほっこりする演出。4期は無いだろうが、これもケジメであろう。事実上の完結に安心できる作品だったと思う。

おわりに

今期は、良いと分かっていながら、ゆるキャン△2期と、SHOW BY ROCK!! STARS!! は、最後まで視聴出来なかったのは、ひとえにワンエグにハマり過ぎていたからです。

それでも、11話は絶対にオススメと聞いて、のんのんびよりを観れたのはかなり良かった。

2021年春期も、気になるアニメタイトルは多いけど、今期くらいに控え目になりそう。

とにかく、久々に、1クール分の総括ブログが更新できて良かった。

省スペースキーボード

はじめに

最近、Youtubeなどで省スペースキーボードを調べていたら止まらなくなったので、どのようなモノがあるか整理する。ただの覚書です。

基本的には日本語配列を好むので日本語配列モデルがあれば、そちらを優先して記載する。

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1 HHKB Professional JP Type-S 294x110x40mm 530g 日本語 USB BT 35,200円
2 G913 TKL メカニカル 368x150x22mm 810g 日本語 USB BT 30,250円 27,500円
3 K385 TKL メカニカル 355x127x37mm 650g 日本語 USB - 7,150円
4 ProgresTouch RETRO TINY 325x110x35mm 720g 日本語 USB - 12,358円
5 Huntsman Mini JP 293x103x37mm 460g 日本語 USB - 16,980円
6 NIZ Atom 68 318x109x36mm 630g 英語 USB BT 149.00USD
7 Keychron K6 313x104x??mm 530g 英語 USB BT 69.00$
8 Keychron K3 306x116x22mm 396g 英語 USB BT 69.00$
9 Keychron K12 ???x???x??mm ??? 英語 USB BT ??.??$
10 ThinkPad トラックポイント キーボード II 306x164x14mm 516g 日本語 USB BT 15,900円

※:2021年1月24日調べ

省スペースキーボード

PFU

HHKB Professional JP Type-S

これを選んでおけば間違いはない。60%。静電容量式。電池式(バッテリーは経年劣化するため)のため後ろに出っ張りあり。独立矢印キー。キーカスタマイズ可。

Logicool

ロジクールG913 TKLテンキーレスLIGHTSPEEDワイヤレスRGBメカニカル ゲーミング キーボード

TKL。薄型メカニカルキー。独立メディアキー、ボリュームあり。RGB。キーカスタマイズ可。

ロジクールK835 TKLメカニカルキーボード

安価(中華チェリー)メカニカルキー。TKL。

ARCHSITE

ProgresTouch RETRO TINY(日本語配列

65%キー?チェリー黒軸赤軸茶軸/個別矢印キー+「INS」「DEL」。「ESC」+Fnキーで「半角/全角」(入替可)。USB-A。よくよく考えると悪くない。極一部のキーはDIPスイッチで入替可能。

Razer

Razer Huntsman Mini JP

60%。チェリー赤軸青軸。RGB。キーカスタマイズ可。

NIZ

NIZ Atom 68

静電容量式。65%?HHKB対抗と言われている。多少チープだがカスタマイズ幅が広い。独立矢印キー。英語のみ。Fnキーを左下に設定する事が出来る。

Atm66という60%キーボードもある。

Keychron

Keychron K6

65%。チェリー赤軸青軸茶軸。 英語のみ。キーカスタマイズ不可。右端に、Home,PageUp,PageDown(慣れが必要?)。

Keychron K3(2021年2月販売予定、予約受付中)

75%。薄型メカニカルキー。赤青茶白黒橙。 英語のみ。6段(Fnキー段あり)。キーカスタマイズ不可。右端に、Home,End,PageUp,PageDown(慣れが必要?)。

Keychron K12(販売予告のみ)

60%。チェリー赤軸青軸茶軸。英語のみ。Fn1,Fn2キーがある。キーカスタマイズ不可。

Lenovo

ThinkPad トラックポイント キーボード II - 日本語

おわりに

定期的に欲しくなる省スペースキーボード…。

ワンダーエッグ・プライオリティ

はじめに

ワンダーエッグ・プライオリティの覚書。

考察ブログを毎話書くほどの元気と時間がないので。

覚書

ゲームシステム

アイが興じているのは何らかのゲームの様にも思える。そのゲームシステムを整理する。

  • ゲーム名
  • アバター
    • プレイヤー
      • アイ(#1,#2,#3,#4,#6)
      • ねいる(#5)
      • リカ(#3,#4,#7)
      • 桃恵(#4)
    • エッグ(死者?)
      • 西城くるみ(#1)
      • 鈴原南(#2)
      • みことまこ(#3,#4)
      • 美和(#4)
      • 瑞希(#4)
      • 綾香(#5)
      • 葵(#5)
      • 吉田ヤエ(#6)
      • 志乃(#7)
      • 阿波野寿(#9)
      • 栗田薫(#10)
    • 彫像(自殺した友達?)
      • 長瀬小糸(#1,#2)
        • 場所は学校の校舎の屋上
      • ちえみ(#3,#4)
      • ハルカ(#4)
        • 場所はは駅のホーム
      • ねいるの妹?(#5)
        • 場所は大きな橋の上
      • ワンダーキラー(エッグのトラウマ)
        • 斧女子生徒(#1)(くるみのいじめ張本人?)
        • 体罰顧問(#2)(南に体罰パワハラで死なせた?)
        • 浜辺の怪物(#3)
        • マダムサチコ(#3)(ゆーゆのファンで警察沙汰に。ゆーゆの自殺の原因?)
        • 会社の専務(#4)(美和に痴漢)
        • ハチ女(#4)(瑞希女性専用車両?)
        • ヨダレ(#5)(家出少女の綾香を囲い身体を要求した?)
        • 巻き毛(#5)(ナルシストの葵の美しさを汚す?)
        • 怪物少女(#6)(幼女の悪霊、怨霊のたぐい)
        • ムカデ(#7) (新興宗教の教祖)
        • ドクター関(#9)(寿に医療センター長の座をとられた恨み妬みs)
        • 剣道部顧問(#10)(薫を合宿で押し倒し妊娠させた)
      • ザコ
        • ミテミヌフリ(#1-)(不特定多数のイジメ加担者?傍観者)
        • アンチ(#6-)(ヒーローに対する嫉妬、妬み。ミテミヌフリの進化系)
      • ハイフン(CV大谷育江)(#10)
        • セーラー服に細長くて黒い頭、と思いきや開くと蝶々の羽(#10)
        • 桃恵に圧倒的な恐怖を与える(#10)
      • フリル(#10)(ハイフンのボス?)
    • カウントダウン(CV山口愛)(#10)(ゲームクリアした彫像の幕を下ろす(#10)
  • ルール
    • プレイヤーは、
      • エッグをガチャポンで購入する
      • エッグを持って寝る(夢の中でゲーム開始)
      • エッグを割ってエッグ少女を出現させる
      • 敵を倒して、エッグ少女を敵から守る
        • 敵を倒した場合、
          • 彫像(自殺した友達)が温かくなる?
            • →最終的に、彫像(自殺した友達)が生き返る?
        • 時間切れの場合、
          • エッグ少女はエッグに戻り、またゲームをやり直す
          • エッグ少女は回復する
        • 敵に殺された場合、
          • プレーヤーが死ぬ?
            • →その先はエッグ?
        • 敵を倒し続け、プレイヤーの問題を克服すると、ゲームクリア(#10)
          • 彫像が一瞬生き返るが、その後、エッグ少女と同様に煙に消える(#10)
          • ハイフンが現れる(#10)
            • 桃恵ケース:圧倒的な死の恐怖を植え付ける(#10)
      • ダメージ
        • ゲーム内ではダメージを受けないが、ゲーム後リアルでダメージ受ける
        • ゲーム内でも目と心臓はダメージを受ける(死ぬ?)
        • リアルの体に相当な負荷を与える(=高地トレーニングのように身体が鍛えられる)
      • 武器
        • エッグ少女が持っていた道具が武器になる?
        • 取得した武器は次回以降のゲームでも使える
          • アイ
            • 4色ボールペン(くるみ)(#1,#2,#3,#4)
            • 新体操のリボン(南)(#2)
            • ペンライト(みことまこ)(#4)
            • 数珠(ヤエ)(#6)
          • リカ
            • カッターナイフ?(#3,#4)
          • 桃恵
            • 傘(#4)
          • ねいる
            • コンパス(#5)
      • ワンダーアニマル
        • 普段はポマンダーのペンダント
        • プレイヤーがこすって温めて羽化させ、刷り込みで親だと思わせる
        • 「ベニ」で卵からかえる。「レジ」で卵に戻る
        • プレイヤーを守る。(#7)
        • アンチが大好物
          • アイ
            • レオン(カメレオン)(#6-)
          • ねいる
            • ピンキー(蛇)(#6-)
          • リカ
            • マンネン(亀)(#6-)
              • 空を高速回転しながら飛行(#7)
          • 桃恵
            • パニック(ワニ)(#6-)
    • エッグ少女は、
      • チャイムが鳴るまで敵の攻撃から逃げ切る(#1)
      • トラウマを克服する(#2)
        • 成功
          • →煙となって蒸発
            • →彫像になる
        • 失敗
          • →再度エッグになる
      • ダメージ
        • 有効。流血する
    • 場所は、
      • 複数人のプレーヤーが近接して寝た場合、思いの強い場所に引っ張られる。
    • 彫像は、
      • 涙を流す(?)
      • プレイヤーがエッグ少女を守ると温まる。→生き返る?
      • プレイヤーは自殺現場のビジョンを知らなければ(寿の)彫像を探しに行けない。(#9)
      • 植物人間(=まだ身体的には生きているが、意識は無い)の寿がエッグ少女として登場した。(#9)
      • ゲームクリア後、一瞬生き返るが、エッグ少女と同様に煙に消える(#10)
    • 敵は、
      • エッグ少女を攻撃する
  • ゲームシステム運営側のヒントの台詞
    • アカ裏アカ「死の誘惑があったとしたら?」「誘惑に惑わされ後悔しているかもしれない。そういう子供達を生き返らせたいと願う子のためにこの場所(地下庭園)はあるんだ」(#4)
    • 美咲「死の誘惑の秘密。ねいる様が真相に近づいています」「あどけない悲しみ」(#9)
    • アカ「少女達の自殺。本当の理由を言ったら、彼女たちは誰も戦わない」裏アカ「ああ。元々の原因は俺たち二人にあると知ったらな」美咲「そうでしょうか?私は逆に立ち向かってくれると思うんです。少女だから、同じ少女の悲しみを理解して」(#9)
    • アカ裏アカは、ジャパン・プラティの創始者。肉体を捨てて脳だけをキープ(#10)
    • アカ裏アカ「僕たちの目論みは外れてしまうかもしれないねえ」「そうだな」「タナトスに立ち向かうには、対極にあるエロスの戦士たちが必要だ。桃恵はもう一度、行ってくれるかな?」「さあな。知っちまったからな。圧倒的な死の恐怖を」(#10)

登場人物

  • プレイヤー
    • 大戸アイ(CV相川奏多)
      • オッドアイが原因でいじめに合う(#1)
      • 転校生の長瀬小糸が親友になる(#1)
      • 小糸を裏切る(#1)
      • 小糸飛び降り自殺する(#1)
      • 不登校になる(#1)
      • エッグ(くるみ)を入手しゲームに参加(#1)
      • 「赤信号はみんなで渡っても怖い」(#1)
      • エッグを守ると彫像の小糸が生き返ると聞きハイテンション(#1)
      • エッグ(南)を購入(#2)
      • 帰り道でねいるに声をかけるが相手にされない(#2)
      • エッグを買う理由を「自分が嫌いで、変わるためでは?」とねいるに言われる(#2)
      • エッグ(南)のゲームに参加
      • 「悪いけど、ただのパワハラですから」(#2)
      • ねいるを見て命懸けのゲームである事を理解し始めた(#2)
      • エッグ(???)を購入(#2)
      • ねいると友達になる(#2)
      • ねいるとSMSを頻繁にやりとり(#3)
      • ねいるを見舞いに行きエッグを届ける(#3)
      • リカの彫像ちえみに対する酷い言い方に怒りを覚える(#3)
      • 教室で沢木先生に泣きすがる小糸を目撃し、その場を逃げる(#3)
      • 「誰でもすぐに許しちゃう」とネイルに指摘される(#4)
      • リカの事は言葉と行動が違うが悪い子じゃないと認識(#4)
      • 初対面の桃恵を唯一女子と気付いた(#4)
      • 可愛いフェチ(#4)
        • 母親が以前ファッション雑誌の編集長をしていた影響(#4)
        • ねいるの服装が可愛い(#1)
        • 南のスタイルが良い(#2)
        • 桃恵の首筋と喉ぼとけが好き(#4)
      • ねいる、リカ、桃恵を自宅に呼ぶ(#5)
      • 沢木先生の絵のモデルになる(#5)
      • 小糸に沢木先生の絵のモデルを辞退する様に言われる(#5)
      • ママは仕事も家事も完璧にこなす、それが両親の離婚の原因と考えている(#5)
      • 母親と沢木先生の交際してもよいか?聞かれる(#6)
      • その事で、気持ちのやり場に困り、不貞腐れる(#6)
      • ねいるに「アイは沢木先生が好き」と言われ否定し動揺する(#6)
      • ヤエとの関りの中で、見えない疑念に振り回されずに、「見て」敵を倒す(#6)
      • ヤエの数珠を握りしめ、学校まで走って、沢木先生に登校する事を宣言する(#6)
    • 青沼ねいる(CV楠木ともり
      • エッグを12個(以上)購入(#1)
      • エッグはキャリーケースに入れて運ぶ(#2)
      • アイと目を合わさずアイとの関りを避けてた(#2)
      • アイに対して「自分が嫌いで変わるためでは?」(#2)
      • 「私は自分が大好き」(#2)
      • 妹を死なせた(#2)
      • 公園からバスに乗って帰宅?(#2)
      • ブルー株式会社 副社長 青山ねいるの名刺(#2)
      • 病院に運び込まれ手術。その後ICUへ(#2)
      • ICUに来た女性は田辺美咲(EDテロップ)(#2)
      • リハビリ中にアイと友達になる(#3)
      • ペットボトルのジュースの匂いをいい匂いと言う(#2)
      • アイにエッグを買ってきてもらう(#3)
      • お調子者のリカを警戒する(#3)
      • 急速に体調回復し退院(#4)
      • 会社の社長(#4) →名刺の副社長と異なる?
      • 退院後、リムジンに乗って出社し、第一秘書の田辺美咲と面会(#4)
      • リカとは口喧嘩友達?(#4)
      • エッグ少女たちに共感した事は無い(#5)
      • 妹はねいるの背中を切りつけて橋から飛び降り自殺(#5)
      • 背中の傷が疼いて寝られないときがある。(#5)
      • 戦う事で背中の傷の疼きをおさまる。妹のためではなく自分のために戦う(#5)
      • 他の3人のかしましい会話からはちょっと距離を置いている(#6)
      • オッカムの剃刀」発言にみる、本質的な鋭い指摘(#6)
      • はじめから両親は居ない。面倒がなくていいっぽい発言(#7)
      • 合理的で思った事をすぐ口にする。私は女性社会に向いていないのかも発言(#7)
      • 生還したリカに「死なないで」リカから「お前もな」(#7)
      • 高IQ集団、ジャパン・ピラティに所属。優秀な遺伝子配合で産まれた試験管ベイビー(#9)
      • 阿波野寿は信頼できる、そして楽しさを共有できる親友だった(#9)
      • (社長業のためか、)論理的思考に長けておりそれに基づき行動する(#9)
      • しかし、時に矛盾する内面の感傷の説明がつかず悩んむ(#9)
      • 沢木先生の個展「潜熱」で沢木先生に対峙する(#10)
        • 髪を縛り両目を出しおめかししていた(#10)
        • オッドアイの女性」の絵。手前に椿の木と赤白の花。大戸アイが大人になったときの絵。(#10)
        • 沢木先生が多恵を愛している、と聞き涙ぐむ。(失恋)(#10)
        • 意を決して、沢木先生に小糸の死の真相について尋ねる(#10)
    • 川合リカ(CV斉藤朱夏
      • 解散したジュニアアイドル「渾身全力キッス」のピンクだった(#3)
      • 渾身全力キッスは、ピンク、緑、黄色、ブルーの4人組(#3)
      • 両親は離婚。母親と暮すが母親嫌い。帰宅したがらない(#3)
      • 父親は、美人は財布不要とリカに言った(#3)
      • リカの右の二の腕に剃刀で切った傷跡(リスカ?)多数(#3)
      • お財布を持たず周囲に奢らせる(#3)
      • アイを尾行し、ねいるの見舞いも同伴、アイの家でケーキ、風呂、寝た。(#3)
      • ねいるを冗談でアイドルユニットに誘った(冗談)。アイはバックダンサー(#3)
      • 大人との会話でいい加減な感じで調子を合わせる(#3)
      • ねいるのキウイを横取り(#3)
      • 「もう切らない(リスカしない)」と誰かと約束をしている(#3)
      • リカの彫像はリカの大ファンだったちえみ(#3)
      • ちえみの事は、ブスでデブで手汗がキモイ、財布だった、と酷く言う(#3)
      • 万引きしたちえみを拒絶した(#3)
      • 死んだちえみ(ミイラみたい)の葬儀に出席した(#3)
      • (デブだった頃の)あのちえみに会うために戦う(#3)
      • ねいるとは口喧嘩友達?(#4)
      • 親より女を優先する自分の母親を嫌う。アイの母親を羨ましがる(#5)
      • エッグを買うのを止めないか?と言い出す。結局、エッグを買う(#5)
      • アイママと沢木先生の再婚で、アイが不幸になる事を心配する(#6)
      • 母親の千秋はバー経営。店舗の2階が住居。帰宅時にバーカウンター後ろを通る構造(#7)
      • 母親の事をだらしなくて駄目な女だと毛嫌いする。(#7)
      • 幼少の頃の父親の「美人は財布持たなくてもいい」発言は覚えているが、顔は覚えていない(#7)
      • 中学生になったら父親との面会の約束を母親としたが会わせてもらえず(#7)
      • その時に父親のファイブカードを渡される(#7)
      • 14才の誕生日の日、3人に母親の事、父親のファイブカードの事を愚痴る(#7)
      • 会えないからこそ、強く父親に憧れる(#7)
      • 帰宅後、寝る前にアムカしようとするがマンネンを見て思いとどまる(#7)
      • ムカデの毒にやられて、嫌な事全部放棄し、思考停止し、ムカデに洗脳されそうになる(#7)
      • マンネン→リカをリカ→千秋に置き換え、唯一の母娘関係な事、嘘ばかり現実逃避の母親への反発心思い出す(#7)
      • 自分の弱さを認め、受け入れる。アムカ跡が逃避しようとしている自分を客観視させてくれる(#7)
      • 戦い後、バーで冷蔵庫の誕生日ケーキを食べ母親と対峙し、一部母親を受け入れる(#7)
      • ねいるの部屋での化粧大会を企画する。(#9)
    • 沢木桃恵(矢野妃菜喜
      • 十中八九、初対面で男子に間違えられる、この事にコンプレックスを持つ(#4)
      • 一人称は僕、服装や身なりは男子(#4)
      • 可愛いモノが好きなのに、可愛いモノを見に付けない(#4)
      • 彫像はn夏の保健室で告白を受けたハルカ(#4)
      • 沢木先生の姪(#5)
      • 沢木先生は、保護猫をたくさん引き取っているような優しい人物と主張(#5)
      • 6人の女子から告白された。女子にもてること自体はまんざらでもない(#5)
      • 桃恵を女子として見てくれたハルカが、レズとして体を迫ってきて驚き拒絶した(#5)
      • 他3人が沢木先生を悪人扱いする事に腹を立てている(#6)
      • ねいるの部屋でのたこ焼きパーティーを企画する(#9)
      • 男子にホモとして告白され、女子の恰好でデートして破談(#10)
      • ゲーム内で栗田薫(心は男子)に女子として認められ告白され照れる(#10)
  • 彫像
    • 長瀬小糸(CV田所あずさ
      • 転入先で大戸アイの親友になる(#1)
      • 飛び降り自殺する(#1)
      • アイのゲーム内に彫像で登場(#1)
      • アイから小糸にイジメの標的が変更に(#2)
      • イジメの原因は沢木先生の贔屓されている思われているからと発言(#2)
      • イジメで体操服と靴を汚され捨てられる(#2)
      • イジメで服を脱がされ悪戯される(#2)
      • アイにイジメの証拠動画の撮影を依頼したが上手く取れず。アイを許す(#2)
      • 沢木先生に伏見がちに追従するイメージ(#2)
      • 教室で沢木先生に泣きすがっていたのをアイに目撃される(#3)
      • アイに沢木先生の絵のモデルを辞退するように言う。その後、沢木先生の絵のモデルをする(#5)
      • アイとこっくりさんをして、小糸はその人と両想いか?訊ね、イエスと答えられる(#9)
    • ちえみ
      • 渾身全力キッスのピンク担当、川合リカの大ファンだった(#3)
      • 小遣いもお年玉も全部リカに貢いでいた(#3)
      • 万引きを換金してたのがバレてリカに拒否られた(#3)
      • 死んだ時にはやせ細っていた(#3)
    • ハルカ(本渡楓
      • 夏の保健室で桃恵に胸を触らせる(#4)
      • 桃恵を女子として好きになり、桃恵にレズとして迫るも桃恵に拒絶される(#5)
  • エッグ少女
    • 西城くるみ(CV安西知佳)
      • いじめに合い自殺?(#1)
      • アイのゲームでクリア(#1)
      • 過去に友達が欲しくてエッグを購入したことがある(#1)
      • (ゲーム後)誰かの夢で彫像になっている(裏アカ)(#1)
    • 鈴原南(CV佐藤聡美) 
      • 新体操部顧問のパワハラ体罰を受ける(#2)
      • 自己肯定感が無く、恐怖で顧問の言いなりに(#2)
      • 死因は不明確だが、行き過ぎた体罰で死亡?(#2)
      • アイのゲームで勇気を振り絞って顧問に反抗し、アイを助ける(#2)
    • みことまこ(CV井上麻里奈、CV田辺留依
      • ゆーゆの大ファンだった(#3)
      • ゆーゆの自殺を追っかけて自殺した(#3)
      • 現金欲しさにパパ活していた(#3)
      • 逃げ惑うアイにペンライトを授け、スマホでゆーゆの「カラフル」を再生してマダムサチコをひるませた(#4)
      • リカとアイのファンになって消えた(#4)
    • 美和(CV花守ゆみり
      • 何日も同じ男に痴漢にあっていた(#4)
      • ある日勇気を出して痴漢を訴えた事で痴漢は現行犯逮捕された(#4)
      • その痴漢が父親の会社の専務で、父親は解雇(#4)
      • その事で母親に、痴漢ぐらい我慢しろと責められた(#4)
      • 可愛くありたい、でも、可愛い=痴漢の犠牲者の構図に納得がいかない(#4)
      • 桃恵を守るため、ワンダーキラーに身体を触らせる素振りのフェイントを見せる(#4)
      • 痴漢は死んでも嫌(#4)
      • 桃恵を男子として恋をして消える(#4)
    • 瑞希(CV古賀葵
      • 性別は関係ないと、桃恵が女子であっても愛してしまう(#4)
      • いつまでも桃恵と居たいと願いながらキスを迫るが、触れる直前に消える(#4)
    • 綾香(CV千本木彩香)
      • 家出少女。 制服の上に、ジャンパー。マフラー。帽子(#5)
      • 家庭内で愛されず、愛に飢えていた(#5)
      • ビビッて、隣の駅までしか行けなかった小心者(#5)
      • 家出で拾われた中年男性に身体を求められた?(#5)
      • 度肝を抜くの意味知らず、頭は弱い(#5)
    • 葵(CVLynn)
      • グラサン。黒髪ロング。白いワンピース。グラサン(#5)
      • ナルシスト。大人は醜く、少女の今が最高に美しく、ここで生を止めるのが美学(#5)
      • しかし、死んだ事で(もしくはこの美学が)誰からも見向きされない寂しさ、虚無感を抱えた(#5)
    • 吉田ヤエ(CV宮下早紀
      • 霊感が強く、悪霊、怨霊が見える(#6)
      • 霊感の事を友だちも親も信じてもらえず、病院に入れられる(#6)
      • 病院内は、幽霊のたぐいに加えて、さらに生霊が酷く悩まされる(#6)
      • 誰にも理解されない孤独の中で、怨霊が見える恐怖に疲れて自殺?(#6)
    • 志乃(CV島袋美由利
      • 母親体弱く、父親仕事上手くいかず、新興宗教にハマる(#7)
      • 全てを新興宗教に捧げて丸裸になったあげく、一家無理心中(#7)
    • 阿波野寿(CV宮本侑芽)
      • ねいると同じ、優秀な遺伝子配合で産まれた試験管ベイビー(#9)
      • IQ高く、頭脳明晰、ジャパン・プラティのメンバ(#9)
      • 生まれつき色素が少ないアルビノ(#9)
      • 前向きで明るい。「人生を楽しみましょう」(#9)
      • 雑誌「フォーチュン」の表紙を飾った事がある(#9)
      • ねいるの会社のビルの地下にある医療センター長だった(#9)
      • 精神医学の博士で生命の神秘を科学的に研究していた(#9)
      • 自身で臨死実験を繰り返し、臨死体験中の快楽に溺れ、こちらの世界に戻って来れなかった(#9)
      • 「死の誘惑」「あどけない悲しみさらわれる感覚」というワードをねいるに残す(#9)
      • パラレルワールド物が好き(#9)
      • 死後もパラレルワールドで離れて生きている、とねいるに言った。(#9)
      • 政府による回収、大人たちに身体を解剖される事を嫌がり、ねいるに生命維持装置の停止を頼む(#9)
      • ねいるの心から信頼できる、そして楽しみを共有できる友だちだった(#9)
    • 栗田薫(CV三澤紗千香)
      • 性同一性障害(身体は女子、心は男子)(#10)
      • 合宿で剣道部顧問にレイプされ妊娠、その後中絶(#10)
      • ゲーム内で男子の心で桃恵を好きになり、桃恵に告白しキスをして、煙に消える(#10)

覚書 第12話「」

覚書 第11話「」

覚書 第10話「告白」

  • アバン
    • 桃恵のデート
      • おめかしして電車に乗る桃恵。待ち合わせで相手が待っていた。男性の後ろを歩く桃恵。公園。手弁当。談笑。映画館。男性の手が桃恵の手に重なる。BGMがスマホの映画のスタッフロールと重なる。夢と分かる。起きてクローゼットを開ける。ワンピースで喜び溢れる顔になる桃恵。
  • OP
    • 地下庭園でアカ裏アカに詰め寄るアイ、リカ
      • アイ「二人ともジャパン・プラティに関係しているの?」アカ「何の事だい?」リカ「とぼけんな! 私は美咲さんがあんたらと話しているのを見たんだ」アカ「君たちは会社で寿を見舞ってたんじゃ、なかったのかい?」裏アカ「まあ、誤魔化せないな」ねいる「創始者よ。二人が、ジャパン・プラティの」ねいるの髪型に驚くアイとリカ。ねいる「何?」リカ「ねいる、キャラチェンか?」ねいる「変なら戻すけど」リカ「戻すな、戻すな。やっぱ、いいモンもってんじゃん」アイ「うーん。お姫様みたい。いや、王女様かな」ねいる「これ」リカ「え、誰?」ねいる「右がアカ。左が裏アカ」リカ「まーじ。アカ、めっちゃイケメンじゃん」裏アカ「俺は?」アイ「グレテそう」裏アカ「あのなー」アイ「で、二人は人間だったの?」アカ「今も人間さ。肉体を捨てて脳だけキープしている」アイリカ「えーっ、グロ過ぎ」裏アカ「昔は若き天才科学者。今は只の木偶人形」アカ「ん、うん。ま、聞きたい事は山ほどあるだろうけど」アイ「あ、桃ちゃんだ(SMS)」…「男子!」「ていうか、上いかない」ねいる「わかった」アイリカ「恋バナ、恋バナ」アカ「ぼくらに聞きたい事があったんじゃ?」裏アカ「恋バナには勝てんな」
    • テーマパーク
      • アイ「あ。桃ちゃーん」桃恵「髪型変えたんだ」ねいる「ええ。桃恵もいつもと違うね」アイ「うんうん」桃恵「そう?」リカ「わー。いいからさっきの続きを聞かせろよ」桃恵「あー。うん。今日デートした」リカ「どこで知り合ったんだよー。女子高だろ」桃恵「フォロワーさん。それで、始めて会った時に言われて」アイ「何を?」桃恵「告られて」アイ「いいなー」桃恵「でもー。次とか無いから」アイリカ「えー」アイ「なんで?」ねいる「デートしたら違った?」桃恵「うんん」桃恵「私、男子に告られたの初めてで、私なりに目いっぱい女の子っぽいカッコして、足なんか出しちゃって、待ち合わせ場所に行ったら、思いっきりドン引いた顔で見られちゃって」アイ「引くって、どうして?」桃恵「彼は私を男子だと思ってたんだ。うふふ。てゆー笑い話があった、って事」リカ「笑えないだろ。それ」桃恵「笑ってよ。じゃないと惨めになる。あー、これお弁当。得意料理だから食べてよ…」
    • アイの部屋
      • 机に向かって行き詰まっているアイ。
    • (回想)学校、沢木先生に声をかけるアイ。ラベンダー色のコスモス?
      • アイ「失礼します」沢木先生「どうしたの?大戸さん」「先生。学校辞めるって本当ですか?」「うん。なんとか絵描きとして食べて行ける目途が付いたからね」「逃げるわけじゃなくて」「逃げる?」「いえ」「大戸さん。小さいけど個展を開くんだ。よかったら見に来て」個展のチケット「潜熱」
    • アイの部屋。個展のチケットをコルクボードに貼る。
      • アイ「どうする? レオン君」レオン「あ~~~」
    • 桃恵の部屋。ワンピースをカーテンレールに引っ掛けてる。桃恵は寝てる。ワニのパニックが桃恵の耳たぶを引っ張る。
      • 今日のデートを思い出している桃恵「パニック。君は男子? それとも女子? いいよね。見た目で判断とかじゃなくて」桃恵を元気づけるパニック「がーが」桃恵「あー。好きな人と一緒になりたいなー」
    • (桃恵のゲーム)
      • 百貨店?アンチに取り囲まれている。
        • 桃恵「ベニ」パニックがアンチを駆除してる。薫「ボク、栗田薫」薫を見る桃恵。薫「あーいや、私って言うのがなんか恥かしくて」桃恵「大丈夫だよ。あなたは私って感じだから。それともギャップ萌え狙い?」「君の名前は?」「沢木、桃太郎。まあ、何とでも」「桃。桃子? 桃恵? 桃子ちゃん」「桃恵」「ボク、君みたいな背の高いクール美形がどストライク」「あー、そう。わかった。君はそれでもいい、って方ね。ハルカと一緒だ」「ハルカ?」「女子だけど、ボクを愛してるって」「L(レズ)って事? 違う、違う」「違うの?」「ボク、心は男子なんだよ」「え」全てのアンチを食べ尽くしたパニック「わー」薫「すげーな、あのワニ」桃恵「ありがとう。パニック。おいで」薫「パニックっていうんだ」桃恵「お腹いっぱい?」煙が二人を覆う。薫「何だ、これ!」桃恵「薫君、大丈夫?」薫を見失い、走り出す桃恵。
      • 剣道部顧問「会いたかったぞー。薫」薫「嫌だ! 離して」「こんな可愛くて色白。抱きしめると折れそうだ。心だけが男子なんて信じられるか!たわけ!」桃恵「薫君!」薫「桃恵!」剣道部顧問の頭に閉じ込められている薫。剣道部顧問「お前も、薫を狙っているのか?」桃恵「なんだ、こいつ」薫「剣道部の顧問だよ。相談に乗ってもらってたんだ。いい先生だと思ってたんだ。でも、合宿所で押し倒されて、ボク、妊娠したんだ。赤ちゃんには申し訳なかったけど、ボク、ボク…」桃恵「それ以上、言わなくていい」怒りを隠せず走りだす桃恵。剣道部顧問「俺は強いぞ」攻撃を弾きながら走り続ける桃恵「私も強い」剣道部顧問「ちあーっ!」桃恵「信頼させてから搾取する。この世で一番卑怯で嫌いなヤツだ」剣道部顧問「お前も薫を狙っているんだろう」桃恵「その、キショイ嫉妬ごと、ぶっ刺してやる!」鼻が切り落とされる剣道部顧問。桃恵「今開ける」剣道部顧問「私の上に、勝手に乗るんじゃない」投げ飛ばされ壁に当たる桃恵。剣道部顧問「私の薫に言い寄る男はみんな殺す。近づく足を切り、話しかける口を裂く」
    • (アイのゲーム)
      • アイ「桃ちゃんはどう? 大丈夫かな」裏アカ「お前はいつも他人の心配ばかりしてるけど、自分の戦いに集中しないと、足元をすくわれるぞ」アイ「分かってる。分かってるけど」アカ「それとも自分の心配を誤魔化すためにそうしてるのかい?」(回想)「潜熱」のチケットを見るアイ。沢木先生「描いた絵が賞をもらえたおかげだよ」「小糸ちゃんの?」「一番奥に飾ってある。君は是非、見て欲しいんだ」
    • (桃恵乃ゲーム)
      • 剣道部顧問「薫。自信を持ちなさい。お前ほどキュートな女を見た事がない」薫「ボクは…。ボクは男。男子なんだ」剣道部顧問の押さえつけを跳ね返し始める桃恵「そして、私は女子だー!」剣道部顧問を投げ飛ばす桃恵。シャツの胸を引きちぎりブラを見せる桃恵「勝負だ」剣道部顧問「なんと」剣と剣がぶつかる。桃恵「おととい、おいで」桃恵の剣が伸びて、顧問の頭部を割る。桃恵「跳んで!」ジャンプする薫。剣道部顧問「素晴らしい。改めて君を指導したい」爆発する剣道部顧問。
    • 別れの駅のホーム。回送電車がまいります。
      • ベンチに座る薫と桃恵。薫「次に生まれ変わったら、今度はボクが君を守ってあげる」桃恵「勘違いしないで。女子の誰もが守られたいって、思ってるわけじゃないよ」「そっか、ごめん。君はどうなの?」「私に選択肢なんてない」「そんなことない。君は素敵な女の子だよ」「あなたは、勇敢な男の子」「サンキュー。年下は平気?」「何歳下かにもよるけどね」「予約させてよ。それまで彼氏を作らないって」「予約? 薫く…」桃恵にキスをする薫。煙に消える薫。驚いた表情のままの桃恵。その後に真っ赤な顔で照れ、パニックに「しーっ!」 
    • 彫像の場所。彫像の周りに白と紫の布の囲い。
      • 桃恵「何、これ」カウントダウン「5、4、3、2、1、0」布が落ちて彫像の方を見る桃恵。ひざまずくハルカ。こっちをみてにっこり微笑むハルカ「桃恵」ふらふらと歩み寄ってくるハルカ。抱きしめ合いそうになるが、すり抜けてハルカは消える。桃恵「え。でも、彫像が無い。終わったんだ。本当に終わったんだ」天井から水が落ちてくる。見上げる桃恵。
    • 外、夕方。高圧電線。
      • アカ「桃恵はもう、来ないよ」アイリカ「え」ねいる「ゲームクリアしたのね」アカ「ご名答。君たちも彼女の後に続けるよう、精進してくれたまえ」リカ「桃恵のヤツ、一抜けたってか。連絡くらいしろってゆーの」ねいる「そうね」アイ「ゴメン、やっぱり私、用事思い出した。先帰るね」リカ「何だよ、やっぱりって」ねいる「じゃあ、また」リカ「ラーメンでも食ってく?」ねいる「ええ」
    • アイの家。母が夕食の準備中。
      • アイ「ただいま」風呂に入るアイ。髪を後ろに縛り、両眼を出す。ヒールの靴を履く。母親「アイちゃん、どうしたの? こんな時間から」アイ「ちょっと、みんなと」「みんな?」「みんな」「そう。きちんと30分おきに連絡入れてね」「うん。行ってきます」電車の中でやや下を見ているアイ。ギャラリー。オッドアイの女性の絵。驚きながら見るアイ「私。ううん、でも違う?」沢木先生「君だよ。でも、大人になった君だ」「大人になった、私ですか」「誰かに似ているとは思わないかい?」「ママ」「そう。いつか君はお母さんのように素敵な大人の女性になる。やさしく強く美しく」「ママの事、愛しているんですね」「うん。心から」涙を流すアイ。沢木先生「その、ママの娘だから。君は自信を持っていいんだ」「先生」「ん」「私、聞きたい事があるんです。小糸ちゃんはなぜ死んだんですか?」
    • 地下庭園。
      • めくっていた本を閉じるアカ「僕たちの目論みは外れてしまうかもしれないねえ」裏アカ「そうだな」「タナトスに立ち向かうには、対極にあるエロスの戦士たちが必要だ。桃恵はもう一度、行ってくれるかな?」裏アカ「さあな。知っちまったからな。圧倒的な死の恐怖を」
    • 桃恵の家の晩餐。母親と桃恵。唐揚げ。
      • 怯えた表情の桃恵。
    • (桃恵のゲーム)
      • 彫像が消えたシーンの続き。水滴が天井から落ちてくるホーム。
        • ハイフン「いっけないんだー。先生にいってやろ。おめでとう。ミッションコンプリートだよ。あの子は生き返った」桃恵「ベニ」「見逃してあげたい。自分の身の危険も顧みずって、友だち思いに免じて。でもなー、バレると私がフリルに怒られてしまう」「フリル?」「面倒くさいから単刀直入に聞く。お前ここで死にたいか?」ハイフンの細長い顔が開いて蝶々の羽になる。ビビる桃恵。とびかかるパニック。ハイフン「まあ、そうだよなー」鎌で口を切られるパニック。恐怖の表情、涙を流し、膝をつく桃恵「パニック…」ハイフン「なら、こいつで目をつむってやるか」何度もパニックを槍で突きさすハイフン「ワニは鶏肉に味が近いと言う」羽を閉じた顔。パニックの生肉を食べるハイフン「お前も食え」
    • 再び桃恵の家の晩餐
      • 流しでゲロを吐く桃恵。母親「大丈夫。桃ちゃん」桃恵の部屋。ベットでシーツをかぶり怯える桃恵「眠れない。眠れない。眠れない…」涙を流す桃恵。
  • ED

覚書 第9話「誰も知らない物語」

  • アバン
    • テーマパークに4人で集まり、ねいるを囲う
      • アイ「平熱だ」桃恵「脈も正常」リカ「それじゃまさか、会社が倒産したのか?」ねいる「してない」桃恵「もしかして、人を…」ねいる「殺してない」リカ「じゃあ、なんであんな事を」ねいる「家に遊びに来ないか、って話?」リカ「何か、理由があんだな」ねいる「なんとなく?」リカ「嘘つけー!お前はなんとなくで動く女じゃないだろー!」桃恵「じゃあ、ホントに遊びたいだけなんだ」ねいる「そう、ホントに」アイ「良かった。行く」ねいる「うん。アイはいつがいい?」アイ「じゃあ、日曜とかどうかな」リカ「よう、そうと決まれば作戦タイムだ」桃恵「楽しくなってきた」アイ「あ、私、なんかお菓子持って行こうかな。何が食べたい?」リカ「はい、とにかく高いヤツがいいです」アイ「ネイルに聞いてるの」桃恵「じゃあ、私、タコ焼き器持って行こうかな」リカ「そんなのよりさあ」桃恵「そんなの?」リカ「いいから聞けって」リカ「あ、日曜大丈夫だった?」ねいる「うん」アイ「ちょっとー、二人はー?」桃恵「もちろん、大丈夫だよ」リカ「いいに決まってる」
  • OP
  • 日曜日
    • ねいるの会社。4人に説明する秘書の田辺美咲
      • 美咲「これは、社長の夢を録画したものです。ここで研究している技術を使えば、脳波を分析して被験者が見ている夢を映像化する事が可能です」リカ「夢じゃないけどな」桃恵「でも、現実とも言えないしね」リカ「凄いんだ。脳科学って」リカ「アイ、録画してもらえよ。妄想のエッチいヤツが貰えるぞー」アイ「リカと一緒にしないで」
    • エレベータで地下に向かう4人と美咲
      • リカ「まーさか、会社に住んでるなんて。社会科見学の気分だよ」桃恵「ねいるっていった何者?」ねいる「実像主義的な問いかけね」美咲「プラティという団体は御存じですか?」桃恵「はい。確か凄いIQ高い人達しか入れないって」美咲「ねいる様は、ジャパン・プラティのメンバーです」桃恵「へえ、やっぱり凄い頭いいんだ」ねいる「論理的な思考に長けているだけ」美咲「社長。御謙遜を」ねいる「私はメンバーの人口受精で産まれた」桃恵「ああ、それで最初から親が居ないって」リカ「まじか。親が誰か教えてくれねーの」ねいる「意味は無い。ただのカップリングの二人だから」リカ「自分の悩みがちっぽけに思えるわ」
    • 地下9階
      • 美咲「地下9階、着きました。ここからは医療フロアです」アイ「ねいるはお医者さんでもあるの?」ねいる「うーうん。個々の責任者は私じゃない。今は代理を務めているだけ」リカ「なー、未だ着かないのー?」ガラス越しにベットに置かれる赤蝶ネクタイの熊のぬいぐるみを見るアイ。リカ「うほほー」
    • ねいるの部屋に到着
      • 美咲「では、私はここで」ねいる「うん、ありがとう」リカ桃恵アイ「ありがとうございました」リカ「うふぇー。ここがねいるの部屋?」リカ「うは、本やば」モルモットを指さして桃恵「ねえ、ねいる。この子名前は?」ねいる「アダム」桃恵「触ってもいい?」ねいる「うん」リカ「片付けろよ、この紙」桃恵「おいで、おいで」アイ「どこで、たこパしようか?」ねいる「あ、ちょっと待ってて」
    • たこ焼きパーティー
      • 桃恵「来週テストなんだよねー。全然勉強してないよー」リカ「私も。ねいるはいいよなー。こんなでっかい会社の社長だなんて。なんつーか。住む世界が違うってゆーかさー」ねいる「私は」桃恵「それより、リカ。そろそろじゃない?」リカ「おうーし、そんじゃやるか」化粧箱を広げるリカ。桃恵「なんか、色々楽しめるモノって、昨日リカと盛り上がって」化粧瓶を持ってアイ「綺麗な色」マニキュアのリカ「どうよ。大人っぽくない?」桃恵「みんなで、ネイルとかしてみよっかって」桃恵「やったことある?」目を輝かせるアイ「うーうん」桃恵「爪綺麗だね」アイ「え、そうかな」リカ「ねいるは私が」ねいる「やだ」リカ「大丈夫だよー。失敗しないから」
    • リカがねいるの、桃恵がアイのネイルを塗る
      • アイ「桃ちゃん、上手いね」桃恵「どうだろう。でも一応私、栄養士になりたくて。そっち系の学校に以降かなって」アイ「へー。凄いね。ちゃんと考えてるんだ」リカ「私ー、外国とか行ってみたい。英語で仕事すんのカッコ良くね?そんで、イケメンと国際結婚」ねいる「結局それ」アイ「私はどこに行きたいかな」リカ「あー、いやいや。旅行の話じゃねえぞ」アイ「あ、でも。一人暮らしはしてみたいかも」桃恵「あ、分かる。確かにそれも夢だね」桃恵「はい。出来た」アイの右手、水色のネイル、人差指だけ紫色のアイ「ここだけ違う色」リカと一緒に手を見せる桃恵「おそろい」アイ「ねいるは?ねいるの夢は何?」リカ「あー。まだ聞いてなかったか」桃恵「いつの間にか、全員言う流れに」ねいる「私は多分、ずっとこのままだと思う」アイ「え?」リカ「いや、さっきのはほらー。別に一生社長じゃなくても。あ、本が好きなら小説家とかは?」
    • カーテンの前まで歩夢ねいる。
      • ねいる「友だちを紹介するわ。みんなにも会って欲しい」桃恵「友だち?」カーテンを開けると寝室?ベットが二つ。部屋の角がカーテンで囲まれてる。それを開けるねいる。アイ「あ」カプセルの中で眠る少女。アイ「人が入ってる」ねいる「私と同じ、ジャパン・プラティで産まれた阿波野寿」アイ「寿、ちゃん」覗き込むアイリカ桃恵。アダムは彼女のペット。リカ「髪の色が…」ねいる「アルビノなの」桃恵「凄く綺麗」ねいる「アルビノは、周りに幸福をもたらすと言われている。実際、寿はいつも明るくて前向きだった。大いに楽しみましょう、って」アイ「だった」リカ「寝てるだけじゃ、ねえの」ねいる「植物状態なの」アイ「え」ねいる「寿は精神医学の博士で、生命の神秘を科学的に分析していた。特に死についてね。臨死実験を繰り返して、あげく、帰って来なくなった」桃恵「臨死実験…」ねいる「難問を解こうとするのは、科学者の性ね」アイ「友だち、だったんだよね」ねいる「うん。夢で寿に会ったの」アイ「夢?」ねいる「エッグの夢」
    • (ねいるのゲーム、寿の夢)
      • 巨大化した蛇(ピンキー)を触る寿。
        • 寿「この子、凄いね」ねいる「ピンキーよ」寿「コーンスネイクの一種?」ねいる「さあ?」寿「久しぶりだね。ねいる」ねいる「寿!」寿「アダムは元気?」ねいる「ええ。あなたも元気そうね」寿「まあね。退屈はしていない。でも、良かった。あなたにサヨナラを言う機会をもらえて。神様に感謝しなくちゃ」ねいる「神の子じゃないでしょ。私達は」寿「神を信じられない科学者は無能よ」ねいる「私は根っからの科学者じゃない。知ってるくせに」寿「もちろん。ただの意地悪さ」ワンダーキラーの影が横切ったのに気付くねいる。寿「私を守るんでしょ。それとも、私に守って欲しい? あら、いいわね。素敵な武器。大いに楽しみましょう」
        • ドクター関「見いつけたー」攻撃をしかける。ピンキーに助けられるねいる「ピンキー!」遠巻きに戦いを見る寿「何それ。面白い」ピンキーに二人乗りアンチから逃げるねいると寿。寿「飛ばせ、飛ばせー。急がないと追いつかれちゃう」ねいる「寿、何故死んだの? 何故戻って来れなくなったの」寿「脳内アドレナリンが出ると死の恐怖を超えるためにお花畑をみるという。私は一輪つんで、あなたに持ち帰りたかった。うふ」ねいる「ふざけないで!」後方のアンチに銃を撃つねいる「今度ふざけたら許さない」寿「あなたのいる世界の私は確かに死んだ。でも、だからこそ実感できたの。やはり、ねいる。パラレルワールドは存在するわ」ねいる「あり得たかもしれない世界の可能性。あなたの好きだった物語のジャンルね」寿「そう。パラレルに私達は生きている」ねいる「それは良かった。だけど私はもう、あなたに会えない」寿「会える事で満足するのは下世話だよ。遠距離で別れるバカップルじゃあるまいし」ねいる「そんな達観、まだ私には無い」寿「あの、タナト第四段階には、甘い蜜のような香りが漂っていた。食虫植物に捕食される虫になったような気分よ」ねいる「死の誘惑」寿「誘惑と言うより何だろう、身も心もさらわれる感覚ね」ねいる「さらわれる?何に」寿「あどけない悲しみに」ドクター関「ぺちゃくちゃとうるさいモルモットが」銃を発射するが、ドクター関の攻撃がピンキーにヒット。ピンキーから落下する二人。
        • 寿「ピンキーは?」ねいる「大丈夫。すぐ再生する」「そう」「私は諦めない。どんな手を使っても、あなたを死に至った場所に行って、彫像になったあなたを生き返らせる」寿「死に至るビジョンをあなたは見ていない。抽象的な場所に行く事は不可能よ」ねいる「なら、私も臨死実験をして」「バカ言わないで。あの領域に行ったらあなたも死ぬ。そしたら、現実の私はどうなるの?」目を潰されて目くらうちのドクター関。寿「分かるでしょ、私の体はいずれ政府が回収に来る」ねいる「そんな事、私がさせない」「ただの入れ物よ。だけど私なりに愛着はあった。大人たちに触られたくない」「分かってる」「なら、私のして欲しい事も、分かっているはず」「いえ」「ダメよ。あなたはそんなに鈍くないでしょ」ドクター関の攻撃が近くに当たる。
        • ねいる「何で。何でいつも勝手な事ばかりするの。あげくの果てに全部私に押し付けた」寿「独創的な研究方法だって、褒めてくれないの?」「人の気持ちなんか全然考えてない」「慣れてるでしょ」「だからって、普通死んだりしない」「普通じゃない方が楽しいじゃない」「私は全然楽しくない」「なんて顔してるの。大丈夫。新しいお友達ができたんでしょ」「なんで?」「前より、少し柔らかくなったから」「でも私達とは違う」「あなたは、人と縁を持てた。それはとても素敵な事。大事にしなきゃ」「あなたがそこに居ない」「別の世界線で、その子とも友だちになるよ」
        • ドクター関に捕まる寿。ドクター関「やっと捕まえたぞ。調子に乗ってるガキめ。寿。お前だけは奇麗な体のまま、開胸しなくちゃ気が済まない」寿「あんた誰?」「私はなー、寿。お前に夢を医療センター長の座を奪われたドクター関だー! お前の体を事細かに分析して、もう一度あの栄光の日々に返り咲くのだー」「あー。私の身体に興味深々だった奴かー。これが私のトラウマか。確かにこいつにだけは解剖されたくなかった」ねいるの攻撃を食らい、寿を落とすドクター関「何?」落下する寿をキャッチするねいる。
        • ドクター関「バカ者ー。私は世界の関。いくつもの博士号を持ち、フューチャーに論文が掲載された事もある」寿「私はフューチャーの表紙なった事がある」ねいる「私も」ドクター関。「へっ、認めんぞー。それならこの問題を解け。超難問だ。何と正解率ゼロ%。点ABCDを通る円の半径を求めよ。ぐはははは。天才にしか解けんよ」ねいる「私が抜いてあげる」寿「私も抜いてあげる」ドクター関「小便臭いガキには無理!」ねいる「あなたの度肝を抜いてあげる」ドクター関「なーら、堪えて見ろ!」ねいる寿「答えは、そんな円は存在しない」ドクター関「げ、バカな。こんな小娘たちが私も解けなかった難問を秒で」止めを刺そうとするねいる。寿「必要ない」注射器を自分に打って自殺するドクター関。ねいる「ドクターなんとか。プライドだけは高いのね」寿「プライドチキン」ウケるねいる。寿「そんなに面白かった?」ねいる「友だちが言いそうな事だったから」寿「ふふ」
        • ねいるの夢の映像を見て拍手する美咲「ブラボー」銀幕で映像は続いている。寿「現実の私をよろしくね」ねいる「分かった」「何をすべきか、ちゃんと言葉にして」「なぜ」「あなたは言った事は必ずやる人だから」「あなたの生命維持装置を外す」「うん。いろいろゴメンね」「ホントよ」「ありがと」
    • ねいるの部屋
      • アイ「エッグに寿ちゃんは」ねいる「そう。もはや奇跡すら起きない。寿は死んでいる」リカ「だからって。身内でも無いのにそんな事勝手に」ねいる「分かってる。だけど、もたもたしていると政府が回収に来る。アルビノの天才は貴重なサンプルになる」アイ「サンプル」リカ「でも、それは理屈じゃん。そんな、まるで生きてるみたいに普通に眠ってるみたいなあの子を殺せるのかよ」ねいる「もう死んでる。ただの入れ物だ」桃恵「悪いけど私は見ていられない。あっちで、ミテミヌフリやアンチを切り裂くのとは意味が違う。そうでしょ」リカ「そうだよ、リアルじゃんか。そんなのいくら頼まれたからって、あんまりだよ。普通にやろうとするお前の神経疑うわ」ねいる「それなら、帰ればいい。別に見学してくれと頼んだわけじゃない」桃恵「そういう言い方は無いと思う。私達だって心配して」ねいる「何の心配?」桃恵「そりゃ、友だちだから。もし、そんな事をして、あなたがトラウマってゆーか、引きずるってゆーか」ねいる「そんな事なら問題ない。死んでる人間の呼吸機を止める事に、何のセンチメンタルも私には無い」生命維持装置の停止ボタンを表示させるねいる。リカ「あ、そーですか。頭がイイって怖いな」ねいる「私には人の情念のような暑苦しさの方が怖い」リカ「それ、私の事言ってんのかー、えー、おい」アイ「止めてよみんな。寿ちゃんに聞こえるよ」リカ「ま、それが普通の人間の感傷だよな。聞こえてるかもしれないって」ねいる「くだらない」アイ「ともかく、ねいるも、せめて一晩考えてからにして」
    • ねいるの会社から帰る3人。
      • アイ「やっぱり私戻る」リカ「おい!アイ」桃恵「アイは寄り添えるから。ねいるの気持ちも一人でいる方が返られるかも」リカ「まあ、そうか。何かねいるも意地張ってやがるからな。アイなら溶かすか」
    • ねいるの部屋。電気を消して、プラネタリウムを付けている。部屋の前に立つアイに気付くねいる。
    • 地下庭園。アカ裏アカがモニターの美咲と会話している。
      • 美咲「死の誘惑の秘密。ねいる様が真相に近づいています」裏アカ「寿がヒントを与えたしね」美咲「あどけない悲しみ」裏アカ「お前は適当な事言って誤魔化していたけどな。へへ」アカ「少女達の自殺。本当の理由を言ったら、彼女たちは誰も戦わない」裏アカ「ああ。元々の原因は俺たち二人にあると知ったらな」美咲「そうでしょうか?私は逆に立ち向かってくれると思うんです。少女だから、同じ少女の悲しみを理解して」茂みに隠れてこれを見ている桃恵とリカ。リカ「何。どういう事?」「あの人も、アカ、裏アカと何か関係があるって事?」
    • ねいるの部屋
      • ねいる「止めに戻ったの?」アイ「寿ちゃんの事を聞きたくて」「そう」「寿ちゃんは他になんて」「他に?」「ねいるに相談してもらいたい理由」「大人たちに触れられたくない」「ほらね。そういう事まで話したら、二人はもっと理解してくれたよ」「そう?」「うん」ねいるは素直じゃないね」すすり泣くねいる「ちゃんと、押そうとしたけど、指が震えた」「うん。前にね、小糸 ちゃんとコックリさんした事があるの。小糸ちゃんはその人と両想いかどうかって。多分沢木先生の事だったんだろうけど。コインはイエスの方に、私は力を入れてなかったから小糸ちゃんが、って思ったけど。凄く嬉しそうだったの。あんな嬉しそうな顔、自分で力いれて動かしたのになるのかなって。もしかして、小糸ちゃんを喜ばせようと、知らず知らずに私が、って。でも、ホント分からない。それって、ファンタジー」「うん」アイ「二人なら、」アイねいる「ファンタジー
    • 地下庭園。碁を打つアカ裏アカ。
      • アカ「寿の検体は明日の朝、回収予定だった」裏アカ「ああ」「その前になんとかしてやれって。ねいるのワンダーエッグを寿にしたのは君だろ」「ただの偶然だ」
    • ねいるの部屋
      • ねいる「ありがと」生命維持装置の光が消える。
    • ねいるの部屋。いくつかの本をキャリーケースに入れて、アダムの籠を持って部屋を出て行くねいる。
      • ねいる「今は酔うべき時です。時に虐げられる奴隷になりたくないなら、絶え間なく酔いなさい。酒でも歌でも道徳でも。なんでもお好きなモノで」寿「大いに楽しみましょう。一度きりの人生を」
  • ED

覚書 第8話「明るい友だち計画」

総集編のため割愛

覚書 第7話「14才の放課後」

  • 平日朝(リカ誕生日)
    • 各自の朝。リカ桃恵アイは登校準備、ねいるは寝起き。LINEで会話。
      • 誕生日を告げるリカのスマホ。思いついたように口紅を塗るが失敗。ネクタイを締めるアイの写真。
      • アイ「どうかね」ねいる「いいかんじ」アイ「今日ってみんなひま?」コテで髪型整える桃恵「おはよう」「アイの校章ピンバッジ?」アイ「何時ごろならLINEしていい?」「ピンバッチ」「すぐなくす」ねいる「13時から会議アリ」「午前中ならOK」アイ「ケイタイ持ってく!連絡する!」ねいえう「(マッチョ)たえろ!」「うちの学校携帯可」「(ALWAYSマッチョ)」ねいる「ぱくるな」「まっちょ」リカ「これかわいい」「アイきゅんスカート短いぞ」
    • 千秋(リカ母親)のバー。カウンターで突っ伏して寝る千秋。登校するために上から降りて来たリカ。
      • 灰皿のタバコに水を差しコップを乱暴に置くリカ。音で起きる千秋「リカ。待って」「今日誕生日でしょう。好きなもんでも買いな」5千円をリカに手渡す。そのまま差し戻しリカ「これで、パパの事教えてよ」「あんたまさか、まだアレもってるの?」「ふーっ。あたしたちを捨てたパパにそんなに合いたい?」「ママを捨てたんでしょ」「なんでそういう言い方するの。あのね、リカにはまだ分からないだろうけど」「酒くさいっ」千秋を突っぱねるリカ。
  • OP
  • 放課後
    • 地下庭園前テーマパーク。すでに、アイねいる桃恵がテーブルで会話中。遅れてリカが合流。
      • アイ「レオン君、小さい時も何でも食べちゃうの」桃恵「肉食な感じなのにね」ねいる「へえ、この子も雑食で」勢いを付けてリカ「よーーっ!」アイ「リカ!誕生日おめでとう」リカ「サンクス」桃恵「お祝いしなくちゃね」リカ「ヒッキー解除祝いも兼ねてねー。いきなりなんだもん。なんのお告げ?」アイ「うふん。なんか家で悶々と考えてても埒空かないかなって」リカ「うふん。悶々てー、やらしいなあ」アイ「そういう意味じゃない」ねいるの背中をタッチしてリカ「どうだかなっ」ねいる「大丈夫だったの。イジメとかあったんでしょ」アイ「それが不思議なんだけど、大丈夫だったの。休んでたせいかな。腫れ物扱いって感じ」桃恵「それって大丈夫なの?」アイ「うん。みんなのおかげ。孤立したって外には3人も友達が居るんだって」リカ「それな」アイ桃恵「な」桃恵「なんかあったら何時でも言ってよ」ねいる「いざとなったら、レオンに捕食させたら?アンチみたいもんだし」アイ「ありがと」ねいる「お礼はいらない」リカ「アイ。やっぱり友だちって素敵だな」アイ「リカちゃんも何かあったら何時でも言って」リカ「わかった。今日、みんなには私の愚痴に付き合ってーもらう」アイ「愚痴?」
      • たけのこの里、フライドポテト、チョコサンドビスケットを食べるワンダーアニマル4匹。
      • 机に写真を並べるリカ。「パパのファイブカード」桃恵「まさか、パパ活?」リカ「するか!」リカ「この中に私の本当のパパが居る。さあ、本物はだーれだ」アイ「リカちゃん?」リカ「この人なんか、ちょっと眉毛とか似てね、私に」桃恵「えぇっ」リカ「と言ってもー、正解は私も知らない。つかー、この中に居るのかどうかも怪しいけどねー」桃恵「どういうこと?」写真の母親を指さしてリカ「この女と約束したんだ。中学上がったらパパと会わせるって。約束、したんだけどさあ」
      • (リカ回想)
        • 千秋(それがさあ、ママにも分からないのよ。たぶん、その中の誰かだとは思うんだけどー。あっははっ。そんな顔しないの。リカは、正真正銘ママがお腹を痛めた娘なんだから。それは間違いなーい」
      • リカ「それが一番たまんないつーの」神妙な顔をしてアイ「ひどい」リカ「だーろー。嫌なのさ、あの女は。私がパパと会って仲良くなるのが」桃恵「なぜ?」リカ「私が幸せになんのが許せないんだよ。自分が被害妄想の悲劇のヒロイン女だから」桃恵「ストップ。お母さんをあんまり悪く言わない方がいいよ」リカ「なんだよ。私の味方じゃねえの」桃恵「味方だから言ってるの」リカ「私だって自分の母親悪く言いたくないわ。だけど、あんたらのママとは全然違うんだ。自分の思い通りにならないとヒスは起こすわ、思い付きの嘘ばっかりつきやがるわ、ごめんなさいなんて言われた事もなーい。くそプライドだけはある勘違い女さ。もっと幸せになれたハズだって、自業自得のクセに。それで私の事だって憎んでるんだ。まるで私を生んだから幸せになれなかって、言わんばかりにね」桃恵「きっと、お母さんにも事情があるんだよ」ねいる「あなたの方も親を憎んでる。そういうの共依存って言うんでしょ。どこかで断ち切らないと何も変わらないんじゃ…」激昂するリカ「おりこうさんがわかった口きくんじゃねえよ。もういいよ」アイ「リカ!」桃恵「リカ!」立ち去るリカ
    • 一人でソファに横たわるリカ
      • ソファーに手をこすり汚れた手を見るリカ「きったね」ため息をつくリカ「はーっ」歩み寄ってくるアイ。リカ「アイは、追いかけてくると思った」アイ「リカは、追いかけて欲しいと思った。付き合うよ」リカ「何に」アイ「親の悪口」リカ「無理すんなよ」アイ「私だって色々あるよ。それに、私達、母子家庭ズだし」リカ「ネーミングセンス」
    • 歩きながら
      • リカ「アイ。今のリカちゃんは真面目バージョンだよ。だから」アイ「じゃあ。さっきはどうしたの?」「嫌な事、急に全部思い出しちゃってさあ。辛くなっちゃったんだ」「私もママの事、今は嫌い」「最近、自分もいつか、ああなっちゃうのかなあ、って思うんだ」「私達は大丈夫だよ」「だよな」
    • バッティングセンター
      • リカ「大人って時々、別の生き物に見える。好きで結婚したり、エッチするんじゃねえのかよって。私達が子供だからかっ。マジでわっかんねー」
      • 声を聴いて見上げる桃恵「今の、リカだよね。意外と元気そう」ねいる「そうかしら」桃恵「大丈夫。きっとあしたになれば、またいつものリカに戻ってるよ」ねいる「私は女子社会に向いてないのかもしれない」桃恵「どうして?」ねいる「思った事を口に出してしまう。合理的に正しいと思う事を」桃恵「ねいるはいいよ、それで。みんながわかる、そーだねー、じゃ気持ち悪いから」ねいる「私には親との関係で悩む気持ちが分からない」桃恵「ママやパパとは仲いいんだね」ねいる「どちらもいない、はじめから」桃恵「えっ」ねいる「面倒がなくって、イイって事みたいね」
    • 日が暮れて街の明かりを見るリカとアイ
      • リカ「あの灯りの中の、一番小さい光が多分、ウチの店」アイ「へーっ」リカ「うん。アイはさあ、パパとはどれくらいあってるの?」アイ「うーん。月に一度くらい」リカ「良かったな。パパを取り上げるようなママじゃなくって。別れたって子供にとってはパパなのにさあ」アイ「うん」リカ「妄想しちゃうんだよ。会えないから、逆にいっぱい。美人はお財布持つ必要ないって、その優しい声しか覚えてない。顔が思い出せない」アイ「いつか、会えるよ」リカ「いつか。今会いたいんだ。今」涙が頬をつたうリカ。走り出して立ち去ろうとするリカ「しっとり終わり!先、帰るわ。ありがとうアイ」アイ「うん、バイバイ」
    • (リカのゲーム)
      • リカ「マンネン、アンチはまかせた」ワンダーキラーのムカデを見つけて志乃「先生!」リカ「こいつが今日のお題か」志乃「良かったね。これであなたも救われます」リカ「はあ?」ムカデ「むふふっ!」衝撃波で地面が凹む。
      • (リカ回想)
        • 帰宅時にバーを通過するリカ)
          • 客「池田医院のさあ、銀ちゃんが…」「ママさん、お新香ある?「お、リカちゃんお誕生日おめでとう!」「えっ、今日誕生日なの?」「リカちゃんいくつになったの?」
          • 千秋「あはあ。あ、おかえりー。リーカー。ケーキだけ先に食べる」無言で2階に上がるリカ。千秋「ふーっ」客笑い。
        • リカの部屋でマンネン(亀)の甲羅をさするリカ
          • カッターで手荷物リカ「きしょ。死ね」右の二の腕を切ろうとするリカ「うー。ダメ。ダメ」切れないリカ。リカの太腿の上のマンネンを見るリカ「かーめのマンネン。レディ」マンネン「?」「レディ。戻れだよ」
      • (リカ回想終わり)
      • クレーターの中で吹き飛んだリカ。志乃「悩み事は無くなるのよ。全部、ぜーんぶ」リカ「こいつは、なんなんだ」「先生よ!私達をコスモの心理に繋げてくださるの」ムカデ「全てを私に委ねなさい。さすれば救われる」リカ「何言ってんだ。このオヤジ」攻撃を仕掛けてくるムカデ。走って避けるリカに針が一本刺さる。
      • リカ「おーりゃー!」ムカデ「うわーっ」志乃悲鳴。リカ「よわ。とんだ見かけ倒し」志乃「なんてことするの、先生に向かって」リカ「先生?」「愛と宇宙とスピリチュアルよ!」「はあ?」「ママは身体が弱くて、パパは仕事が上手くいかなかった。呪われてるの前世のカルマで。だから執着を止める。物や事への。お家もお金も全部捨てて、やっと家族みんなで宇宙に繋がれたの」「アホか。騙された挙句の一家心中じゃんか」リカの右腕を触る志乃「あなただって辛いんでしょ」リカ「はあ?」ムカデ「一皮むけば同じなのに。皆つまらん美醜、優劣に捕らわれる。持つ者は奢り、持たざる者は妬む」リカ「自己啓発セミナーかよ」リカの右腕を握る志乃「アムカしてるくせに。消すのよ、自分を。そうすれば楽になれる」自分の右腕のリストカット後を見せる志乃。リカ「楽になれる」「ええ」
      • アイ「アカ、リカちゃんの様子はどう?」アカ「自分の戦いに集中すしろ」「泣いてたから気になるの」裏アカ「やべーかもな」アカ「裏アカ」アイ「お願い。どうなってるか教えて」裏アカ「リカは、戦うのをやめちまったよ」
      • ムカデ「私の腕に抱かれる者は、宇宙の神秘と繋がれるのだ」志乃「まだ、力んでる。大丈夫」リカの右腕を注射針で切るムカデ「ほら、痛くないだろ」リカ「うん」ムカデ「何も恐れることはない。ちっぽけなお前が広大なエネルギーの一部になれるのだ」リカ「ちっぽけな私」志乃「先生と一つになるのよ」ムカデ「誰かを羨んだり憎んだりする事もない。自らの業を消し繋がるのだ」リカ「それもいい。ううん。それがいいね」ムカデに覆い隠されるリカ。その会話をポマンダーを通して聴くアイねいる桃恵。
      • アイ「リカちゃん。騙されちゃダメだよ!」リカ「アイ?」「うん。私だけじゃない。みんないるよ」桃恵「リカ、あなたらしくないよ。こんなとこで終わってもいいの?」リカ「あたしらしいって何だよ」ねいる「リカ、しっかりして」みんな「リカ…」リカ「もう、疲れちゃった」ムカデ「力を抜き、身をゆだねなさい。うっへっへっへっ」志乃「そうよリカさん。私もそれで救われたんだから」リカ「私も、救われたい」涙を浮かべるリカ。
      • アカ「一人、失うか…」裏アカ「のようだな」
      • ムカデ「さあ、命のハグだー」リカ「パパ」
      • マンネンがムカデからリカを守る。リカ「ん、マンネン」志乃「なんなのこの亀。邪魔しないで」リカ「マンネン。お前はアンチ対応だろ。そうか、刷り込みをしたから、私をママだと。ママを守らないとって」ポマンダーを通して、アイね桃恵「リカちゃん」「リカお願い」「リカ戻って来て」「リカここにいるよ」
      • リカ「マンネン! あっぶね。もう少しで自己中マジクソ母親になるところだった。ママが一つだけ正しい事を教えてくれた。女に金を要求する男は全部偽物だって!」ポマンダーを握り締めるリカ。ムカデの攻撃を跳ね返す。
      • 志乃「本物よ! 先生は本物。宇宙とチャネリング」リカ「勝手に信じてろ。どっちでもいい。チャネリングでもイカリングでも」ムカデを攻撃しひるませる。回転しながら空を飛ぶマンネンに飛び乗るリカ「あははっ。マンネン行くよ! あなたのハートにズッキューン、バッキューン」リカのナイフとマンネンの死ぬムカデ。
      • リカにかぶさり乗るマンネン。リカ「重い。重いって。よしよし」志乃「あなただって、弱いくせに。アムカしてるくせに」リカ「弱いよ。だから大事なモノ捨てなくていいように、これでバランスとってたんだよ。私は弱い。だけど、それがまんま私なんだ。自分を傷付けてでも私は生きてやる」
  • 翌日、地下庭園
    • 地下庭園。アイねいる桃恵。リカを見つけて駆け寄るアイ「うわーん、リカー!」リカ「こっちが命のハグだろ」リカのグータッチ後にハグする桃恵「リカ」歩み寄るねいる「リカ。死なないで。うふ」リカ「あんたもね。さあ、今日は何して遊ぼうか?」アイ「何する、何する」
  • (時間戻って、)深夜?
    • 閉店して一人千秋が飲むバーに2階から降りて来たリカ。
    • 千秋「あんた、まだ起きてたの」リカ「お腹空いた」「冷蔵庫にケーキあるよ。クリーム、カチカチだろうけど」バーカウンターの厨房側に座りケーキを食べるリカ。千秋「ホント、あっという間。気付いたらお婆ちゃんね」リカ「まだ40じゃん」「38よ」酒をあおる千秋。リカ「ホントだ。カッチカチ」千秋「どうせ、リカも私を捨てるんでしょ」リカ「うん。でも今じゃない」少し間を置いて千秋「そ」
  • ED

覚書 第6話「パンチドランク・デー」

  • 1日目夜
    • (アイのゲーム)
      • 学校の廊下を逃げるアイとヤエ
        • ミテミヌフリが赤い仮面を外し緑の顔になって襲ってくる
        • アイ「こいつら、ミテミヌフリじゃない」アカ「アンチだ。君たちはこの世界で目立ちすぎたという事だよ」アイ「アンチって?」裏アカ「ミテミヌフリの中から嫉妬や羨望で君たちへのアンチが産まれた。顔をさらす勇気は無いが狂気は十分。徒党を組むと強い。下手すりゃボス並みに」アカ「逃げて。あるいは隠れて。狙いは君たち、脚光を浴びるヒーローだ」アイ「私達がヒーロー」
      • 体育倉庫に隠れるアイとヤエ
        • アイ「傷、大丈夫」ヤエに包帯を縛る。アイ「よし。名前は?」ヤエ「吉田ヤエ」「ヤエちゃんね。チャイムが鳴るまでここに隠れていよう」アカ「戦わなければミッションはクリアできない」裏アカ「まあ、今日の所は現状維持だな。対策は考えてある」アイ「でも、ヤエちゃん怪我してる。私のせいで」アカ「問題ない。エッグに戻れば最速で十分再生される」
        • アイ「クソ。見つかったか」アカ「決められた時間まで、エッグの子を守る。それが、最優先だ」
        • 裏アカ「社会の基本は、ホウ・レン・ソウ。声に出して共有しろ」ねいる「私達の最大の目的は、」リカ「ワンダー」桃恵「エッグ」アイ「プライオリティ」
  • OP
    • 大戸家。天気は曇り
    • アイの寝室にアイを起こしに来る母親
      • 母親「アイちゃん。ほら、朝ごはん食べるよー」アイ「昨日は大変だった」「ほら、起きて手伝って」「分かった」「アイちゃーん」「アイ」「分かった!」
      • すまほで、ねいる達とSMSしながら朝食
      • 母親「これも食べる?」アイ「うん」「今日のお昼、アイちゃんの好きなオムライス作っておいたからね」「ホント。やった」「あと、夜はすき焼きするからね」「なんで?」「なんでって。アイちゃんすき焼き好きでしょ」「いつもは特別な日だけじゃん」「そうだっけ。そっかぁ」「アイちゃん。今日は先生とちゃんとお話ししてみない? 先生すごくアイちゃんの事気にかけてくれてる。これからの事、ちょっとづつでも考えて見ない? どうかな?」怒った表情のアイ「考えとく」「アイちゃん」「考えておく!」「はい、はい」
      • SMSで地下庭園は明日にするとメッセージするアイ。ベランダでため息。
  • 2日目昼
    • 無人テーマパークで、アイと待ち合わせの3人
      • 桃恵「それで、そのまま学校いったの?」リカ「そう。口紅テッカテカの目はパンダ」「パンダ?」ねいる「来た」リカ「来た?」ねいる「けど。スキップしてる」リカ桃恵「え?」
      • コーンを蹴り飛ばすアイ。桃恵「どうしたんだろう」ねいる「分からない。何かあったのかも」桃恵「こういう悪夢を見た事がある。酷い結末だったよ」リカ「しばらく、様子みよう」
      • コーンを持って看板を殴り飛ばすアイ。ガラスが割れる音。
    • 地下庭園で、エッグ購入後の4人。アイだけ少し離れてしょげている。
      • アカ「おめでとう。なんとか逃げ出せたようだね」リカ「それにしても、アンチだってさ。勝手にヒーロー扱いだって、私らだって好きでやってるわけじゃないのに」アカ「残念だが理屈は通用しない。どの時代、どの世界でも出る杭は打たれる」リカ「ふん」ねいる「対策は考えてある、だったわよね」アカ「ああ。ほら、ちょうど来た」3人「ん」
      • 箱を持って歩いてくる裏アカ「まいどー」アカ「あの中に、君たちをサポートしてくれるモノが入っている」裏アカ「ま、よーするに、お助けアイテムってヤツだな」桃恵「なんだろ」リカ「さー。まー、普段使いは期待して無いよ。そんないいモノあるなら、最初っから出せよ」アカ「これはとても貴重なモノなんだ。簡単に無くされたら困るからね」裏アカ「甘えるんじゃない、ボケ。って事だ」
      • 箱の中を覗き込むリカ桃恵。4つのアクセサリー。リカ桃恵「クッソ可愛い」アカ「サービスしよう。勿論、一人一個だよ」アイ「ペンダント?」桃恵「これは、ポマンダーだね」リカ「へー」ねいる「で、どうやって使うの?」アカ「まずは、こちらの世界で羽化させる。そんなに難しくは無い。体温に反応するから両手で包んで優しくこすってやればいい。ああ、ここでやってはダメだ。うちに帰って一人の時に開けないと」桃恵「どうして」アカ「刷り込みが必要なんだ。最初に視線を交わしたものを親だと認知する。ベニと唱えれば卵からかえる。戻す時はレジ」ねいる「ラテン語ね」リカ「イケメンのママになりたいなぁ」
      • リカ「ねえ、ねえ。どんなタイプが入ってんだろ。刷り込み前なら交換っこもありだよ。ねいる、私のと替えてみるか?」ねいる「イヤ」リカ「ふんっ。一番ブスなお助け行きやがれ」桃恵「あははは」
      • 心ここにあらずのアイ。桃恵「アイ」ねいる「何か、あったの? 様子が変だから」アイ「長くなりますけど…」
    • 屋上でラブレターを持つ桃恵。泣きながら走り去る女子生徒。冬制服。同じ曇天。
    • 社長室で一人になったねいる。
    • 公園の遊具の中のリカ。
    • アイの自室の二段ベッドの下の段の中のアイ。
      • ポマンダーを羽化させる4人「ベニ」
      • 桃恵はワニ、ねいるは蛇、リカは亀。アイはカメレオン。手のひらサイズの爬虫類が登場する。
      • カメラ目線のねいる「蛇」、右腕の上を歩く亀にリカ「もしもーし」手のひらで跳ねるワニにおっかなびっくりの桃恵、頭の上にカメレオンを乗せて変な顔のアイ「リアクション困る」
    • (アイのゲーム)
      • エッグの割れる音。吉田ヤエ登場。
        • ヤエ「また」アイ「大丈夫、今回はお助けキャラがいる。ベニ」カメレオンがアンチを食べる。アイ「食べちゃった!」裏アカ「彼らはアンチが大好物なんだ」アカ「嫉妬や底意地の悪さが彼らの飯の種さ」迫りくるアンチの群れ。アイ「じゃ、お願いね」カメレオン「フエー」
      • 女子トイレ
        • アイ「アンチはどうにかなりそうだね。どしたの?」「ヤエちゃんはどうして自殺なんか?」ヤエ「見えるの」「見える?」数珠をいじりながらヤエ「死んだ人とか。強い怨念が」アイ「シックスセンスってヤツ?」「ほらぁ、そうやってみんな信じてくれない。とてつもなく怖いモノが、私にだけは見えるの」アイ「ごめん。私には分からない」ヤエ「友だちも気味悪がっていなくなった。親も先生も信じてくれない。それどころか、頭がおかしいって病院に入れられて。でも、ホントに怖かったのはそれからだった。その病院には、それこそ沢山の人の怨念が溢れてて、幽霊が見えるのなんかより、ずっとその人達の声や、恐ろしい顔が頭に一日中流れ込んできて、わーーん」
        • アイ「いい、落ち着いて。私はドックからくるボスから備えるから」ヤエ「もう、居る!」アイ「え」吹き飛ぶアイ。
      • (アイの回想)
        • 1日前の夜。風呂上がりのバスタオルを頭にのせたアイ。沢木先生「大戸さん。こんばんわ」目を背けながら「こ、こんばんわ」母親「ご飯だから、早く髪乾かしてきなさい」沢木先生「あ、手伝いますよ」母親「いえいえ、大丈夫ですから。先生は座っててください」アイ「え、一緒に…」
        • すき焼き鍋を囲む3人。母親「どうぞ」沢木先生「ありがとうございます」一口も付けずに、アイ「ごちそうさま」母親「アイちゃん。ちょっと待って。アイちゃん。ママたち、お話があるの」アイ「学校なら、まだもう少し…」母親「そうじゃないの。とにかく座って」アイ「うん」
        • 母親「落ち着いて聞いてね。ママたち、お付き合いしようかと思うんだけど」驚くアイ。母親「勿論、あなたの賛成がなければ、そうするつもりは無いから」沢木先生「うん」
        • 昼間のエッグ購入後のテーマパーク。浮かれる桃恵「叔父様とアイのママが。てことは私達、親戚って事になるんだねー」リカ「なーにはしゃいでんの」桃恵「いや、だって。ね、アイ」リカ「これが喜んでる顔かよ」桃恵「反対なの?」アイ「好きにすればいい。私には関係無いって」ねいる「ま、精一杯の抵抗ね」アイ「あと、将来絶対面倒みない。一緒にも住まない。どっかに預けてたまにしか会いに行かない、って」リカ「いいねえ、ガツンときた」
        • 桃恵「どうして。ホントのパパが可愛そうって」アイ「ううん。離婚は住んでるし、パパの方にも新しい人が居るかもしれない」桃恵「だったら、別に問題は」リカ「問題はある。はーっ。桃恵。人の話聞いてないのか?」桃恵「小糸ちゃんて子の自殺に、叔父様が関わっているかもしれないって話でしょ。だから、あり得ないって」リカ「あり得たらどうする?先生はママより年下だろ。年下の内縁の夫って事になるんだ」桃恵「だから?」リカ「だからって。内縁の夫の虐待なんて後を立たないだろ。連れ子の息子なら暴力、娘なら性的な」リカ「悪いけど、あなたのママが付き合ってきた男と叔父様を一緒にしないでほしい」リカ「なんだと!」ねいる「つまり先生は、私達の様な若い子が好きで、ママはダミー。狙いはアイの可能性もあるってこと?」桃恵「ないない。叔父様はアイが私の友達だって知ってるのよ」
        • アイ「そんな風には思わないよ。ただ私は小糸ちゃんの事がうやむやになるのが」リカ「マジ再婚ともなれば、ママのためにも先生を庇わざるおえない」桃恵「信じられない。呆れた」アイ「ごめん、桃ちゃん。そういうつもりじゃ」アカ「一体なんの話をしてるんだか」裏アカ「知らん。少なくとも、あのネックレスにどんな服が似合うのか?って話じゃないぞ」アカ「生死を賭けた戦いより、家庭問題が重要だったりもする」
        • リカ「あーあ。結局真相は小糸ちゃんを生き返らせないと分からないって事だよなー」ねいる「オッカムの剃刀。話を複雑にさせている要素がありそうね」リカ「なーになに? まーだなんかあるの」ねいる「アイも先生が好き」アイ「えっ」リカ「ぬふっ。あーっ、いえーっ」ねいる「単純な理論が最良である」アイ「何言ってるのねいる。違う、そんなこと」リカ「あははー。エモい。それは複雑でエモい」アイ「違うから。それこそあり得ないから」
    • (アイのゲームに戻る)
      • 女子トイレ
      • 腰砕けに後ずさりするヤエ「止めて!来ないで。私だって好きで見えるんじゃない。私はあなたの友達でも何でもない!」とびかかり武器を構えるアイ。何も見えないが、襲われ吹き飛ばされるアイ。ヤエ「もう止めて!」アイ「来てる? でも、私には」ヤエ「お願い。その子は殺さないで!」数珠を投げつけるヤエ。
        • アイ「数珠」数珠に触れると数珠が光だす。アイのフラッシュバック。桃恵「小糸ちゃんて子の自殺に叔父様が関わっているかも知れないって話でしょ」母親「ママたち、お付き合いしようかと思うんだけど」アイにも怪物少女が見える。ねいる「話を複雑にしてる要素がありそうね」沢木先生「コンプレックスを持つ必要はないよ。とても魅力的な瞳だからね」ねいる「アイも先生が好き」泣きながら、アイ「違う。違うから」
        • 怪物少女の攻撃を受けとめて血しぶきをとばすアイ「違うから」怪物少女「まさか」アイ「違うって言ってるのに!」怪物少女の攻撃をかわしボールペンを拾うアイ「とさかに来たー!」怪物少女に攻撃が当たる。怪物少女「お姉ちゃん。私が見えるの?」アイ「でも、友だちにはなれない」アイに抱きつくヤエ。抱きしめるアイ「辛かったね。こんな化け物たち、たった一人で」涙を浮かべながらヤエ「信じてくれるの」アイ「もちろん」ファンファーレ。煙に消えるヤエ。
    • アイのベッド
      • ポマンダーをお腹に乗せているアイ「名前はレオン君。まんまだけど。ベニ。レジ。ベニ」母親「先生、お帰りになられるわよ」沢木先生「いいです、いいです。大戸さん、また来週」不貞腐れて毛布をかぶるアイ。
  • 3日目昼
    • 食卓。オムライス。書置き
  • 夕方
    • お風呂。湯船につかり上を見上げるアイ
      • 母親の声「ただいまー。アイちゃんお風呂?」アイ「おかえり」母親「もう。脱いで脱ぎっぱなし。ママいつも言ってるでしょ、お洗濯に出す時はポケットを裏返してって。ポケットに入ってたモノ、ここ置いておくからね」いきなり風呂から飛び出してくるアイ。驚く母親。服を着ていきなり外出しようとするアイ。母親「ちょっと。アイちゃん。風邪ひく」アイ「大丈夫」母親「そんな恰好で、どこ行くの?」アイ「学校」母親「えっ」
    • 雨の中走るアイ。全力疾走。途中でコケそうになる
    • 学校の正門。雨があがり、青空が垣間見える
      • 女子生徒「沢木ー、ばいばーい」沢木先生「さようなら」
      • アイ「先生」気付かない沢木先生。走り寄るアイ。腕を掴まれる沢木先生「大戸さん?」驚きから笑顔に。沢木先生「どうしたの?」呼吸が粗いアイ。沢木先生「大戸さん。空、明るくて綺麗だよ。通り雨だったんだね」アイ「私。私…。学校行きます!」左目をさらす笑顔のアイ。
  • ED

    覚書 第5話「笛を吹く少女」

  • アバン

    • (ねいるのゲーム)
      • 夜のベイブリッジの上。銃撃戦。
        • 銃弾を避けてヨダレに走って接近するねいる。
        • ヨダレ「怖がることはない。俺は神様なんだから」ねいる「なんなのアイツは。それにこの匂い」
        • ヨダレに何かを投げつける綾香「何が神様よ。何もしないっていたじゃない!」
        • ヨダレ「クソ家出少女。世間知らずな馬鹿ども。資本主義の大原則はギブ&テイクだ。ギブ&ギブなんて存在しない」ガトリング砲乱射。「俺は神様で、愛は俺なんだ。愛が欲しくて来たのに俺を拒むのか」
        • ねいる「勝手なことしないで」綾香「ごめん。アイツの匂いも見た目も生理的に無理だったみたい」「あなたたちの考えはいつも理解しがたい。でも、そこだけは同意よ」
        • ヨダレ「おいでー。遠くには行ってないんだろ。あの時も家から一駅しか離れられなかったもんな。結局ビビって逃げ帰っても、家に居場所なんてなかったもんなあ。親に愛されないお前なんか、俺しか愛してやれないてぇのに。家出して一瞬でも救われただろう。あれはガス抜きだよ。そういう関係を築いていければ良かったんだよ。わかるだろ。互いのガスを抜き合おう」
        • ねいる「私が抜いてあげる」発砲。吹き飛ぶヨダレ。下半身が消失。走り寄って武器を突きさす。ねいる「私があなたの度肝を抜いてあげる」とどめを刺されて血しぶきをあげるヨダレ。
        • 走り寄ってくる綾香。「凄い、凄い。でも、度肝って何?」ねいる「ふぅ。でも、しばらくご飯が不味くなりそう」
        • 花火。綾香「ありがとう」ねいる「別にあなたのためじゃない。ギブ&ギブなんて気持ち悪いから」「そうだよね。でも、嬉しかった。誰かに守られるのって。えへへ」コンパスを見つめるねいる「そういうもの」
  • OP
    • アイの家の玄関。
      • チャイムを押すねいる。桃恵「ちょっと、遅れちゃったね」リカ「ここ分かりにくいんだよ」ねいる「静かにして」扉を開けるアイ「迷った」緊張のねいる「うんうん。あ、これお土産」アイ「ありがとう。あ、入って。狭いけど」「おじゃましまーす」
      • 手土産を母親に渡すねいる「青沼ねいるです」母親「まあ、ご丁寧に」リカ「ママさんこんにちわー」母親「あら」桃恵「こんにちわ」母親「あらあら。あなたが沢木先生の」桃恵「あっ。沢木桃恵です。姪です」母親「綺麗なお嬢さんねぇ」リカ「ママさん、あのケーキある?ねいるのお菓子も出して」母親「はいはい。こんなにお友達がたくさん。良かったわねぇ、アイちゃん」アイ「もうっ!」
    • アイの部屋
      • リカ「お願い、お願い、お願い」ねいる「ホント、図々しい奴ね自分のまだ残ってるじゃない」リカ「ケチぃ」桃恵「まあまあ。でもホント、アイが叔父様の生徒だったなんてね」リカ「学校じゃ、女子の人気ぶっちぎりらしいよ。そりゃそうだ。アンタも男だったらお付き合いしたいくらい。チュ」桃恵「よしてよ」アイ「小糸ちゃんも先生を好きだったみたい」桃恵「小糸ちゃんって?」ねいる「アイが助けようとしている子」桃恵「へぇ、そうなんだ」
      • リカ「あー。凄い事気付いちゃったかも」ねいる「何、どうしたの?」「じゃ、言うけど、アイの親友の小糸ちゃんは実は先生と付き合ってたんだよ。で、何かトンデモない事があったんじゃ」
    • 玄関。ピンポーン。来客。
      • 沢木先生「あれ。来客中ですか」「そうなんです、アイにお友達が」
    • アイの部屋
      • 桃恵「ちょっと待ってよ。叔父様はそんな人じゃないよ。家に保護猫をたくさん引き取ってるくらい、優しいひとなんだから」リカ「猫が好きなだけなんじゃなあい」ねいる「表と裏の顔は違うかも」リカ「それな。教師が生徒に手を出してヤバくなってポイって。あっち向いてポイって」桃恵「ありえないって」リカ「妊娠してたりして!」アイ「妊娠!?」ねいる「妊娠」リカ「そ。妊娠」激怒する桃恵「いい加減にして」
      • アイ「ゴメン」リカ「冗談だって。悪かったよ」アイ「小糸ちゃん、なんで死んだりしたのかホントに分からないから、つい」リカ「ふぅ。ママさんに相談してみたら? 先生から何か聞いてないかー、とか。ほら、毎週アイを訊ねてくるのも、もしかして証拠でも握ってんじゃーって」桃恵「ん、んっ」リカ「って事かもしれないじゃん」アイ「聞けないよ。ママ、 先生を凄く信頼しているし、私は心配ばっかりかけてるし。ケガの事だって、私が貝になってるからママも触れてこないのに」リカ「貝ねえ」
      • 笑うねいる。一同「ん」リカ「何。何かのアレルギー」ねいる「いや、貝になってるの想像できるから」「だってぇ」「でも、寝てる間に戦いに出てるって聞いたら、余計心配するだろうね」リカ「下手すりゃ、お薬かもなあ」桃恵「それこそ、信じるわけ無いよ」ねいる「そう。だから他の誰にも話せない」リカ「私達だけの、誰も知らない物語だね」アイ「誰も知らない…、物語」
    • リビング
      • 沢木先生「桃恵が」母親「ええ。先生に似てたからすぐ」「校区が違うのにどこで知り合ったんだろう」
    • (回送)
      • 美術室
        • 沢木先生「コンプレックスを持つ必要はないよ。とても魅力的な瞳だからね」アイ「はい」「僕の目からどうみえるのか? 完成したらそれを自信にして欲しい」「自信なんか」
      • 夕方
        • 小糸「先生は次の展覧会にかけてるみたいなの。賞を取ってプロの絵描きで食べて行きたいって」アイ「私の絵を?」「自信ある? 無かったら辞退した方がよくない? 先生の人生がかかってるんだから」「私」
      • 渡り廊下から美術室を望む。ひぐらしの鳴き声。
        • 小糸がモデルに沢木先生が絵を描く。それを不安げな顔で見るアイ。
    • アイの部屋。ジェンガ
      • リカ「私もアイのママさんみたいな人が良かった」アイ「なんで? リカのままは?」「ウチの毒親は酷いから、多分私産まれた時に母親の顔を見て、『やべ、こいつ親でいるより一生女でいたいタイプだ。どうしようー」って、ぜってー思った」桃恵「うふふ。はい次、リカの番」アイ「確かに、ママは、仕事も家のことも、完璧にこなせる人。でも、それで多分パパは出て行っちゃったんだと思う」リカ「プライド高い男あるあるだなあ。出来る女は逆に男をダメにする」
      • ねいる「なんで私を見るの」リカ「あんたの番だから」ねいる「時代錯誤な馬鹿女」リカ「誰が馬鹿やねん」ねいる「やめろバカ」桃恵「割と仲良しなんだね」アイ「だね」ねいる「違う」リカ「こっちはどーかなー」こらえきれずに笑い出すねいる「あははははっ」
    • (ねいるのゲーム)
      • 橋の上の無数のミテミヌフリ
        • 葵「ねぇ、あなたトリートメントしてる? ちょっと髪が痛んでいるようだけど」ねいる「勝手に触れないで」「束縛は嫌、私の自由にさせて。まあ、いいわ。ねえ、私の髪綺麗でしょ。枝毛一本だってない。今が一番綺麗なの。若さって、何者にも変えられない」「興味ない」
        • 葵「聞いてくれないの? 何故私が死んだかって」ねいる「私は目的を果たすだけ」
        • 一本隣の端にワンダーキラーの影を見てねいる「下がって」発砲。
        • 葵「少女から大人になる。さなぎが羽化する奇跡の美しさ。束の間よ。その儚さから力強さに移る驚異の美の瞬間は」
        • 巻き毛「鏡よ、鏡。世界で一番美しいのは誰? ケケケケ」高速で飛び回る巻き毛。走って逃げるねいる。
        • 葵「やがては劣化する。ウチのママなんてブタよ。いくら脂肪吸引しても、ヒアルロン酸で誤魔化しても劣化なんて止まらない。というより、止めようとする行為自体が醜いったらありゃしない。あなたも綺麗じゃない。何故死なないの?何故一番美しいその時に死なずに意味のない生に執着するの?」
        • 苦戦するねいる「やっかいね。どうやって倒せば」巻き毛「鏡よ、鏡。世界で一番美しいのは誰…」葵「ねえ、どうして死なないの? ねえ、どうして?…」
    • (ねいるのゲーム続く)
    • マンション工事現場
      • 道路を横断しはじめるリカ「来てない、来てない」ねいる「すぐそこが横断歩道なのに」「待ったらイヤじゃん」ついてゆくアイねいる桃恵
      • アイ「桃ちゃんて結構あるよね」桃恵「うん、実は結構ある」
      • 高架下を歩く4人。リカ「わーっ」ねいる「リカ、うるさい」アイ「いえぇーい」ねいる「アイ!」桃恵「響いてる、響いてる」
      • 田んぼの中を歩く4人。アイ「ここって、何育ててたんだろうね」リカ「てーか、腹減った」
      • ボーリング場のある閉鎖された建物入口。
        • 桃恵「うーん、6回くらいかな」ねいる「6回って、多いの少ないの」桃恵「さあ」アイ「それってー」桃恵「全員女の子。みんな真剣に告ってくるから大変なんだ」アイ「憧れかなあ」リカ「宝塚みたいな」アイ「うん」アイ「でも、桃ちゃん。そんなは嫌だよね」桃恵「うん」リカ「神様って残酷ねえ」
        • 施設内スピーカーから。アカ「君たち、持ち込みは禁止だよ。というより早くエッグを買って帰るんだ」リカ「ワンゲームやらしてよー。これ一種のグループセラピーみたいなもんだからさー」アイ「そうそう、一人じゃないんだって思うための」桃恵「じゃないと、私達自殺しちゃうかもー」ボーリング場に電気が入る。アカ「ワンゲームだけだよ」リカ「やったー」
        • ボーリングに興じる4人。アイ「前はピンまで届かなかったのに、マッチョになってる」スマホでアイを撮るリカ「エッグ様様だねえ。今度は桃恵ねー」桃恵「うん」リカ「お、ヤバ。完全にデート写真じゃん」桃恵「女子と写るといつもそうなっちゃうんだ。ほら」リカ「ふーん、あ、ホントだー。あ、この写真合可愛いじゃん」桃恵「これ、ハルカが撮ってくれたんだよね。ハルカは女の子として私を見てくれたんだ」アイ「自殺した友達?」桃恵「うん。だけど保健室でいきなり服を脱いで」リカ「言い寄られたんだ」桃恵「私は怖くて突き放してしまった」リカ「分かる、分かる。女子で友達だと予想外に怖くなる」桃恵「悪寒が走っちゃうんだ。ぞわっ、ぞわーって。どうすれば良かったんだろ」4人沈黙。
        • リカ「まあ、暗い話はよそう。他にもゲームはたくさんある。パーッと遊ぼうぜ」アイ「うん、そうしよ」アカ「何言ってるんだ、ワンゲームだけって約束だったじゃないか」4人「えーっ」アカ「エッグを買え、ここは…」電気が消える。直後に施設内全体の電気が付く。アカ「裏アカ!」裏アカ「ま、いいじゃねえか。よく遊び、よく戦う、さ」
        • ゲーセンを歩く4人。アイ「うわー」リカ「それ何。アイー」
        • レーシングゲームをする桃恵とねいる「まんざら、もてることが嫌いじゃないでしょ。女子相手でも」桃恵「それは、インスタとかでも女子のフォロワーは大事ってゆーか」「中途半端ね」「その気は無かったけど、楽しくなってきちゃったって事、あるじゃん」「そう? そうかも」
        • 地下庭園途中のエッグのプラントを歩く4人
        • リカ「結局、一度も勝てなかった」桃恵「あーゆーの、割と得意なんだよ」
        • ねいる「(プリクラを)始めて取った」アイ「私も」
        • 地下庭園でシートの上に座り込む4人。アカ「もう十分だろ。早くエッグを買って、帰ってから眠るんだ」リカ「ねえ、行きたくないなあ。今最高に楽しいのにー」桃恵「うん。こんなの久しぶり」アカ「全く。君が甘やかすから」裏アカ「戦士の休息って奴だろ。甘やかしの内には入らないよ」アカ「休息のし過ぎで君みたいにゆるゆるになられても困る」裏アカ「固いよ、お前」 
        • 桃恵「そういえば、ねいるの連絡先って聞いてもいい?」ねいる「ええ、あなたのも教えて」桃恵「ああ、うん。私のはこれ」
        • 寝そべって空を見つめるリカ「もう、止めねえ。エッグ買うの」桃恵「えっ」リカ「考えてみれば、ちえみの奴は勝手に死んだんだ。そりゃ確かに原因は私かもしれない。でも、死ぬのなんて反則だし、そこまで責任感じる必要ある?」ねいる「本気?」リカ「だって、そうじゃない?」ねいる「やっぱりアイが見たのは、小芝居ね」リカ「違う!女だから、その時その時で感情は爆発するだろう」桃恵「ちょっと、リカ」リカ「桃恵はどうなんだよ。責任あるか? そりゃあ、罪悪感はあるよ、私だって。でも、自分の命の危険顧みずってまで、責任感じる必要性なくないか?」桃恵「それは…」アイ「リカ。もう止めようよ」リカ「アイなんて、もっとだろ。勝手に死んだんだぞ。相談もなく。アイのせいじゃない。それなのになんで行く必要があるんだよ」アイ「私は、小糸ちゃんがどうして死んだのか、ホントの事知りたいから」リカ「興味本位で死ぬかもしれないんだぞ。ウチの親はともかく、あんないいママさんがいるのに、悲しませていいのかよ。第一、小糸が生き返りたいと思っているかどうかも分かんないじゃん!」アイ「そんなこと…」リカ「へーっ、小糸の彫像が生き返りたいって、話したわけ?」アイ「なんで、そんな事いうの!」桃恵「リカ、止めてよ」リカ「悪役やってやってんだ! 友だちなら出来たじゃんか!」
        • ねいる「ごめん、私は行く。わるいけど、行かなくちゃならない」リカ「なんでだよ。なんで自殺するような。そんな自己中のために…」アイ「リカ。ねいるは妹さんを助けに…」ねいる「違う」リカ「何が違うんだよ」ねいる「妹は私を刺した。そして逃げて橋から飛び降りた」アイ「そんな」ねいる「ICUから目覚めてその話を聞いた」リカ「だったら、なおさらそんな妹なんて」ねいる「今でも傷が疼いて眠れない。でも、あっちに行くようになってから、だいぶ薄れたの。忘れようとすると、呪いの様に傷跡が疼く。だから行く。他に理由は無い。自分のため」
        • 裏アカ「行きたくなきゃ、行かなくてもいい。罪悪感やなぞなぞなんて、それこそそのうち薄れて忘れちまう。いいんだよ。お前らは行かなくても。よかったね。なーに、思春期ってそんなものさ」
    • (ねいるのゲーム続き)
      • 再び橋の上。
        • 葵「美しさはメタモルフォーゼする一瞬の季節。生から死もそれよ。美しい肉体を自ら殺す事もメタモルフォーゼ。醜く老いてゆくのも、老いに抵抗するアンチエイジングも、まるでコメディ。あははははっ」
        • ねいる「どこかに本体がいるはず。一体誰が。誰…? 誰」葵に銃を向けると巻き毛が葵を庇う。
        • ねいる「私があなたの度肝を抜く」発砲。葵の髪の毛が一部吹き飛ぶ。爆発する巻き毛。
        • 葵「どうして」ねいる「別に。ただ、あなたにムカついたの。本当は後悔しているんでしょ。だって、もう誰も綺麗だって言ってくれないから」眼鏡の下から一滴の涙、煙に消える葵。コンパスを持つねいる。花火。ねいる「なぜ、死なないのか? 私を死に誘惑したのね」 
    • (ねいるのゲーム終わり)
    • 地下庭園
      • エッグを買うねいる。
      • アカ「お見事」裏アカ「反抗期さ。行くなと言えば行きたがる。それが自分のアイデンティティを作り上げると知っているから」アカ「ぷっ。あははははっ」
      • ガチャの前のアイ、桃恵、リカ「アイ、金貸して」アイ「持ってない」リカ「まったまたー」
  • ED

覚書 第4話「カラフル・ガールズ」

  • 2話の続き?
    • (桃恵のゲーム)
      • 寝台車で向かい合って会話する桃恵と美和
      • 美和「私、美和です」桃恵「美和ちゃんね。僕は桃…」「桃?」「まあ、何とでも」「あ、じゃあ、桃太郎さん?」「うふふ、じゃあ、それで」 
      • 美和「私、痴漢にあったんです。毎日同じ人だったんですけど、あの日は勇気を出してその人の腕を掴んだんです。この人痴漢です、って」
      • 桃恵「大丈夫だった?」「はい、すぐに周りの人が取り押さえてくれました」「良かった」「でも、何で私って。私そんなに女の子らしい方じゃないのに。よくわかりません」「そうだな」
      • 美和「ない、ですよね」「そんなことないんじゃない」「ホント?」「でも、そのオジさん、パパの会社の専務だったんです」「え」
      • 美和「パパはクビにされました。ママは何でそれくらい我慢できなかったの?触られたって事は可愛いからって事じゃない、って。うっ、う」泣きだす美和
      • 美和「私が可愛いから選ばれたんだって…」
      • 桃恵「落ち着いて。君は全然悪くない。悪くないよ。ね」桃恵の胸で泣く美和「桃太郎さん」
      • 桃恵「大丈夫。僕が守るから」「ありがとう」「肩幅、広いですね」「普通じゃない」
  • OP
    • (アイとリカのゲーム)
      • 霧の森を走るみことまことアイ
      • みこ「逃げてばっかじゃダメだよ」アイ「そんな事言ったって」まこ「そうだよ、戦わないと」アイ「この霧じゃ無理だよ」
      • 花畑で石化したリカ
      • アイ「それに私ひとりじゃ」みこ「アイちゃん」見えない所からのマダムサチコの触手に押され気味なアイ
      • まこ「アイちゃん。これ何かに使えないかな」みこ「私のも」2本のペンライトを受け取るアイ「ペンライト?ありがとう」
      • ペンライトが武器化。六本の触手に立ち向かうアイ「こりゃいいや」「よっしゃ。かかってこい」
    • (桃恵のゲーム)
      • 桃恵と会社の専務の戦い。桃恵の武器は雨傘。フェンシングスタイル?
      • 押され気味の桃恵
      • 会社の専務「触って欲しいんだろ。大人には分かるんだよ。いくら欲しいのか言って見ろ!」
      • 美和「奥さん触ればいいでしょ!好きで愛し合って結婚したんだから」
    • (アイとリカのゲーム)
      • アイ「いい加減、出てこい!」マダムサチコ「やだねー」
      • 矢の束が飛んでくる。みこ「アイちゃん」矢をかわす。「アイ大丈夫?」
      • マダムサチコ「油断大敵」触手が伸びてアイに巻きつき投げ飛ばされる。
      • 高笑いのマダムサチコ「どっちがいい?串刺しか、石にされるか」「どっちもイヤ」「なら、串刺しだ!」
    • (桃恵のゲーム)
      • 「メスにはそういう時期があるんだ」会社の専務の攻撃を受け止める桃恵。寝台車のガラスが割れる。美和「桃太郎さん」
      • 桃恵「出てきちゃダメだ」「触られて喜んでるエロガキのクセに。ちゃーんと気持ち良くしてやるからさあ」「クソ野郎」
      • 美和「わかった。触らせてあげる」
    • (アイとリカのゲーム)
      • アイ「みこちゃん、まこちゃん」まこがスマホでゆーゆの曲を再生し、触手が直前でストップしている。
      • アイ「この音楽は?」まこ「ゆーゆのファンなら、ゆーゆが見ている前で、ファンを串刺しに何て出来ない」
      • まこ「アイさん、ペンライトを上に」「振って」「照れずに」 
      • みこ「あ。まこちゃんえらい」アイ「ホントだ、早く追いかけなきゃ」
    • (桃恵のゲーム)
      • 制服のリボンを解きながら前の会社の専務に向かって歩き出す美和
      • 美和「ホントはドキドキしてたの。スリルとサスペンスってゆうか。可愛いからでしょ、私が」
      • 会社の専務「そりゃそうだ。ようやく分かり合えた」
    • (アイとリカのゲーム)
      • 森の奥にマダムサチコ本体の影を発見するアイたち
      • みこ「アイちゃん」「うん」
    • (桃恵のゲーム)
      • 美和「ええ。やさしくしてね」会社の専務(幼児言葉)「もちろんだよ。ほら、バンザーイ」シャツを脱がして掲げる会社の専務
      • こらえていた攻撃を必死で跳ね返す桃恵「うああぁぁ」会社の専務に走って接近する桃恵
    • (アイとリカのゲーム)
      • マダムサチコに走って接近するアイ「うああぁぁ」「もう、トサカにきたぞぉ!」
    • (桃恵のゲーム)
      • 桃恵「うあぁ」攻撃を左手で受け流す。右手で傘をさす桃恵「おとといおいで!」
    • (アイとリカのゲーム)
      • マダムサチコをぶった切ったアイ
    • (桃恵のゲーム)
      • 会社の専務の頭に突き刺さった桃恵の傘
      • 会社の専務「うーむ、騙したな」美和「あったりまえでしょ。あんたとなんか、死んでもイヤ」血しぶきが桃恵の頭にかぶる。
      • 会社の専務「女はすぐ騙す」
    • (アイとリカのゲーム)
      • マダムサチコ「なんちゃって」復活し触手でアイを取り押さえるマダムサチコ「バーカ、バーカ。馬鹿ガキは、みんな大人の餌食さ。うはー、うーぁははは」逃げようともがくアイ。迫りくるマダムサチコ
      • リカの武器が地面に刺さる。リカ「あなたの急所にズッキュン、バッキュン」マダムサチコをぶった切る
      • アイ「リカ!」リカ「私らはこの世界で不死身。時間で修復されるってわけ」「あっ。そっか」「さっさと片付けよ」「だね」「ユニット再結成」「うん」
      • マダムサチコ「カラフルに行きたいねえ!」
      • 武器を構えるリカ「うふっ。そーりゃーあ」マダムサチコの迫りくる触手を受け止めて切り刻む。
      • ジャンプしてマダムサチコにとびかかるアイ「せーーーっの」アイの武器でぶっ叩かれて飛び散るマダムサチコ。リカ「やり過ぎ」「ふん」リカとアイのハイタッチ。
    • (桃恵のゲーム)
      • ホームの電光表示「回送、列車がまいります」美和を後ろから抱きしめながら回送列車を見る桃恵
      • 目をつむりながら喋る美和「たった一日だけどあなたに恋をしました」「ありがとう」「あなたに出会えて本当に良かった。このまま消えてもいいですか?」「うん」
      • ホームのベンチに横に倒れ込む桃恵「はーっ。疲れたぁ」
    • ★桃恵のゲーム終了★
    • (アイとリカのゲーム)
      • 彫像に触れるリカ「やった。体温が戻ってる」まこ「私達、あなたたちのファンになっちゃった」みこ「ホント、ホント。デビューしたら駆けつけたい」アイ「いやいや。デビューしないから」まこ「ファン一号だよねえ」みことまこ「ねえー。バイバーイ」煙と消えるみことまこ
    • ★アイとリカのゲーム終了★
  • 翌日?昼
    • ねいるの病院
      • 前屈をするねいる。医者「いくらなんでも、まだ退院は早すぎる。筋肉はコツコツ取り戻してゆくしかないんだよ」
      • いきなり走り出しジャンプひねりながら着地、まるで体操選手のように。
      • 医者と看護師に挨拶するねいるとアイ「お世話になりました」アイ「予定より早く出れたね」
      • エレベータ。ねいる「アイとエッグのおかげ。あっちでの戦いは私達の体に凄い負荷をかけるみたい」「高地トレーニングみたいな」「そう」「そう言えば、私、うっすら腹筋割れてきたような」「運動部にでも入って試してみたら」「あっ、アイは学校行ってなかったね」
      • バス乗り場を歩くアイとねいる。ねいる「別に学校だけが社会じゃない」「でも、親の目もあるし」「私も学校に行ってない」「何か言われない」「別に」「そっか」
      • ねいる「この後は?」「エッグ買いに行こうかなって」「私も行っていい?」「もちろん!」
      • 歩みをとめるねいる。アイ「ねいる?」「乗って」「えぇっ」「ひとつ寄らなきゃだけど」リムジンの前に立つねいる。アイ「はい」
      • リムジンの後部座席
      • アイ「あ、そうだリカちゃんなんだけど、悪い子じゃなかったよ」「そ」「天邪鬼っていうか、態度とホントの気持ちは違うっていうか」「お財布取り戻すためじゃないの」「ううん。それは口だけだよ多分」「だといいけど」
      • どこかのでかい建物のホールを歩くねいるとアイ。アイ「おっきい。パパの会社?」
      • エレベータのボタンを押すねいる「アイは、人を信じやすい。 すぐ許しちゃう」「さっきの話」「うん」「だよね。ダメダメなとこだ」首を横に振るねいる「素敵なとこ。ダメだけど、素敵なとこ。そういう子が時々いてくれないと、私たちが救われない」
      • 46階に到着するエレベータ
      • 秘書「お待ちしておりました」「うん。友だちの大戸アイ。こっちは第一秘書の田辺美咲」「こんにちは、大戸さん」「あっ、こんにちわ」「社長、退院おめでとうございます」「うん」アイ驚いて「はーっ、社長ー!?」
  • 夕方
    • 桃恵の帰路?
      • (声のみ)アカ「他にもエッグに挑戦している子がいるんだ」
    • (回想)地下庭園(昼?)
      • 桃恵「どんな子?」裏アカ「ひまわり。かな」桃恵「なにそれ」裏アカ「見れば分かる」アカ「クセがある子たちだけどね。でも、みんないい子だよ。仲良くね」
    • (回想終わり)桃恵の帰路
      • 桃恵「ひまわりね?」すれちがいざまのアイ「ナックのポテト食べた事ないの?」ねいる「ええ」「カリカリでね。温かいとすっごく美味しいんだよ。冷めたらちょっと微妙なんだけど」「そうなんだ」「あっ、でもでも。オーブンで暖め直すという裏技があって…」
  • 翌々日?
    • ★桃恵のゲーム開始★
      • ハチ女に押さえつけられ電車に叩きつけられる桃恵
      • ハチ女「ココは女性専用車両よ。クソ男、乗りたきゃ出しな。ちょんぎってやる!」「クッ。私はこの車両に乗る権利はあるんだ」「何が言いたいんだあんたは」「つまり、僕も女子だって話」触手を切り落とす桃恵
      • ハチ女「ひえーっ。まさかっ」桃恵「おとといおいで」
      • ホームの電光表示「回送、列車がまいります」
      • 瑞希の前に立つ桃恵。瑞希「桃太郎さん」「僕のホントの名前は桃恵。沢木桃恵」「ホントに女の子なんですね」「騙すつもりはなかったんだけど。私っていうよりは、僕って感じじゃない?」
      • 瑞希「関係ないです」「お」「あなたが女の子でも、私好きになっちゃいました。愛してる。消えたくない。ずっと一緒に居たい」キスをしようと唇を知被ける瑞希。触れる直前に煙に消える瑞希
      • ホームの端に立つ彫像(ハルカ)を見つめる桃恵
      • 彫像のうなじに手の甲を振れる桃恵「うん。暖かい。意外と多いもんだね、ハルカ。君と同じ愛してるなんて」
    • (回想)真夏の保健室。コオロギの声?
      • 向き合う桃恵とハルカ。桃恵の手を取り自分の胸に当てるハルカ。セーラー服。ハルカの右手にシュシュ。
      • ハルカ「触って」桃恵を抱きしめるハルカ。呆然気味の桃恵。
    • 彫像の横
      • うずくまる桃恵
    • ★桃恵のゲーム終了★
  • 翌々日夜?
    • 地下庭園入口の公園
      • 一人歩く桃恵
  • 別の日?
    • 地下庭園
      • 藤棚の下をくぐって出て来たリカ。ベンチに座るねいる気が付く。読書していたねいると目が合う。横に座るリカ
      • リカ「私、お財布忘れちゃったのー。よかったらぁ」「よくない。あなたワザと持ち歩かないんでしょ」「だってぇ、パパが美人は財布持っちゃいけないって。それにぃ、私のお財布ちゃんが遅刻してるんだもーん」
      • ねいる「アイはお財布じゃないでしょ」「冗談じゃん」「なら、面白くないからやめて」「はんっ」
      • 通りかかる桃恵が二人に気付く。桃恵「あ、あの。私…」リカ「すっごいイケメン。ホストみたい」「ホストって…」「でも、男の子も居るんだぁ。て、当たり前かぁ。男も自殺するもんねぇ」
      • ねいる「アカ。どういう事。男子は居ないハズよ」アカ「うん。男子と女子の自殺は意味合いが違うからね。男は目的脳、女は感情脳」裏アカ「女は衝動的で他人の恋に影響されやすいからなぁ」リカ「人間関係とか?」裏アカ「それも、ある」
      • アカ「死の誘惑があったとしたら?」ねいる「死の誘惑?」リカ「こっわー。でも、なんか分かるかも」
      • アカ「誘惑に惑わされ後悔しているかもしれない。そういう子供達を生き返らせたいと願う子のためにこの場所はあるんだ」裏アカ「だぁかぁら、性別であーだこーだ言うなよ」リカ「そーだよ、差別は良くねーよ」「はあ?」
    • 地下庭園に向かう建物の前(観覧車が見える)
      • 窓ガラスに映る自分の全身を見て泣きだす桃恵。偶然通りかかるアイ「あの。大丈夫?」
      • 慌てて涙をふく桃恵「僕、あ、いや。私、今どう見える?」「えっ、泣いてる女の子」「ホントに?」「泣いてる、モデルみたいな、女の子」
      • 桃恵「ひまわり」「あ、これ。お気に入りだから、こればっかり着ちゃう」「でも、凄く可愛い」「ありがとう」
      • そこに通りかかるねいるとリカ
      • アイ「モデルさんはみんな、首筋から鎖骨のライン、凄いって感じなの」「詳しいの?」「ちょっと。小さい頃によく見てて」「へえー」「うちのママ、昔ファッション雑誌の編集長やってた事があって」
      • 歩いて近づいてくるねいる。アイ「あ、ねいる。見て見て、首。すっごい綺麗じゃない?モデルさんみたーい」「ホントだ。すらっとしていて長い。それに咽ぼとけが無い」「喉ぼとけも好きなんだよねー」「私も。喉ぼとけ好き。セクシーで好き」「だよね」「こりこりしてそう」「わかるー」
      • リカ「わっかんね。ほんじゃぁ、私の首は?親しみやすくていい首だろ」アイ「仔犬みたい」「犬?、犬?! クンクンクンクンクン。お金貸して」ねいるとアイ「バカ」桃恵「うっふふ」リカ「笑うなっての」「だって、ゴメン」笑い出す四人。
      • リカ「笑い過ぎだってーの。早くエッグ買いに行こうぜ」アイ「うん」リカ「そういや、名前は?」「私、沢木桃恵」アイ「ん?沢木」
  • ED

覚書 第3話「裸のナイフ」

  • (リカのゲーム)
    • 灯台、海岸、遠くにビル、花畑(花が枯れている)
      • ワンダーキラー「若い女は好物だ。食わせろ」
      • リカ「なら、風俗行けばいいいの」
      • エッグ少女「ありがとう、守ってくれて」「どういたしまして」エッグ少女蒸発
      • 彫像の手を触れてリカ「手汗かいて。汚ったな」
      • リカ「それにしても、こんなお花畑に囲まれて。私ならともかく、デブのあなたに似合わない」
  • OP
  • 1日目昼
    • 地下庭園
      • エッグを2個買うアイ(1個はねいるの分)
      • 登場するなり、腹痛で倒れるリカ
      • アイ「大丈夫。どこが痛むの」リカ「ア、アバラが痛い。折れちゃってるかも」
      • アイ「病院は?」リカ「あーっ、こっちの体にダメージなんて聞いてないし」
      • アカ「とても残念だけど、僕たちの預かり知る所ではないよ」裏アカ「自己責任だってよう」「慣れろよう」
      • 痛みの芝居をやめるリカ「こんなとこにも、悪い大人」「へ」「あ、もう平気平気」
      • リカ「私、川合リカ。可愛いリカ。覚えやすいっしょ」「あなたも友だちを助けに?」
      • リカ「その目、カラコン?」「へ」「別の色はめるの面白ーい。バズるかも」「あ、いや。これは」
      • リカ「気にしてたー。ゴメンネー」「それよりさー、私、お財布忘れちゃったの。悪いけど、貸してもらえないかな」「え」「2回目からお金取るなんて、聞いてなかったしさー」
      • 裏アカ「言ったよ、間違いなく」
      • リカ「まーた、お財布取りに帰るのめんどいし。お願い、絶対返すから」「え、うん、いいよ、分かった」
      • 裏アカ「絶対ねぇ」
      • リカ「ありがと」握手会の握手「また、リカに会いに来てね」「なんちゃって」
  • 1日目夜
    • ねいるの病室
      • アイは自宅のソファ、ねいるは病室のベッドでSMS。リカの事を少し会話。
  • 2日目朝
    • 大戸家
      • 冷蔵庫のカットフルーツのタッパを取り出すアイ。
      • 玄関の外、リカが座り込んで待っている。
      • 驚くアイ「うわっ、リカちゃん。何で私の家へ」
      • リカ「あいきゅん、あいやん、あーちゃん、あいぴー、あいじょりーな。なんて呼ばれてた」
      • アイ「大戸さん、あんまりあだ名とかは」
      • リカ「あー、そんな感じ。昨日こっそり付けたの。」「そうか、お金の」「ごめーん。また忘れちゃったぁ」
    • 病院廊下
      • リカ「誰か入院してるの?」「うん、ねいるって子」「ねいるが、寝ている。あはっはーん」
    • 病院病室
      • 先生「無理なリハビリは良くない」「平気です」「うーん、ちゃんと身体を休ませないと、治るものも治らない」
      • 入口のアイに気付くねいる。リカが扉をガラっと空ける
      • リカ「大丈夫ですよ、私達、まだ若いから」先生「若さを過信しちゃ、いけないよ」「ですよねー、気を付けまーす」
      • 怪訝な表情のねいる。カットフルーツを食べるみんな。
      • リカ「頂きまーす」「いただきます」「いただきます」
      • アイ「あ、そうだ、これ。無理はしないでね」エッグをねいるに差し出す。
      • ねいる「うん。わかった。ありがとう」
      • アイ「この子は川合リカちゃん。エッグを買っている時に」「そう」
      • リカ「超絶可愛いリカちゃんで、覚えてねー」ねいる「嫌だ」「ツンデレ系ね、あなた私とユニット組まない?私ジュニアアイドルだったの、知らない?渾身全力キッスって」「知らない」「解散したのよー。私以外がブス過ぎて。ねぇ、あなたとなら人気出るかも」「興味ない」
      • ねいるがつまもうとするキウイを先に取るリカ「ざーんねん」「キウイうま」
      • アイ「あ、私は」「うん、カモシカのような足ね。バックダンサー、どう?」「バック…」
    • 大戸家玄関
      • 音を立てずに玄関を入るアイ
      • 母「アイちゃん。あら、いらっしゃい。お友達?」
      • いつの間にか居たリカ。「川合リカです。可愛いリカで覚えやすい」「ちょっと」
      • 沢木先生「おかえりなさい。お友達かい。今日の所はこれで。お友達も一緒みたいですから」「あー、はい。そうですね。すみません先生」「いえいえ、僕なら大丈夫です」「今日はありがとうございます」
      • リカ「すっごいイケメンのパパだね」「パパじゃない」
      • 母「ほらほら、あがって。ロールケーキ後で持っていくわね」
    • 大戸家アイの部屋
      • リカ「顧問の先生? あっ。つか、あなたヒッキーだったの?」アイ「うん、新学期から行ってない」
      • リカ「あっ。あなた、かまちょね。顧問のイケメン先生に心配させようとしてでしょ」「違うよ。小糸ちゃんが死んじゃったから」「小糸ちゃん?」
      • アイ「うん。たった一人の友達だったんだ」「うはぁー、止めてそんな暗い話。ケーキが不味くなっちゃう」
      • アイ「リカちゃんだって、友だちを助けに」「友だちじゃない。私のファンの子。なんでも奢ってくれた私のお財布ちゃん」「お財布ちゃん…」
      • リカ「パパがねぇ、美人は財布持つ必要ない。誰かが勝手に出してくれるから。ま、離婚しちゃったけど。はっ、エッグのお金は返すよ、絶対」アイ「絶対ね」
      • ロールケーキを食べる二人
      • リカ「ちえみが死んでから私、金欠。だから、助けてお財布を取り戻す、って感じよ。ちえみってさぁ、ブスですっごいデブなんだよ。手汗もキモいくらいかくし。友だちって言うには恥ずかしくない?」アイは怒ってる。 
      • アイ「見た目で、友だちを選ぶの?」「うん。それ食べないの?ねぇねぇ」「あげない」
      • リカ「その小糸ちゃんて子は可愛かった」「うん、可愛いっていうより、綺麗」「ねいるちゃんはクール系だけど、小糸ちゃんは優しい感じ。おしとやかで清純って言うか」「あはっ、やっぱ顔じゃん」「違う!あ」
      • コップの麦茶をこぼすアイ。リカの足にかかる。雑巾を探しに部屋を出るリカ
      • リカ「アイーっ。パジャマ貸してぇー」「ん」
  • 2日目夜
    • 大戸家アイの部屋
      • ねいるとアイのSMS。リカに気を付けろ、とねいる。枕営業分からないアイ。
    • 大戸家風呂場
      • 湯船につかるリカ。右の二の腕に多数の切り傷の後。(自殺未遂?)
      • 湯船のへりにリカのポーチと折り畳み剃刀(武器?)
      • 着替えを脱衣場に置くアイ「親に連絡したの?」「あんな女、どーでもいい」「一皮むけば、ヌメヌメよ、みーんな」「長風呂するとカサカサになるよ」
      • お湯で顔につけるリカ「もう切らないよ。約束だから」
    • (回想)学校の教室
      • 扉を開けるアイ。「小糸ちゃん。部活終わった…」
      • 沢木先生と小糸抱き合ってる。泣きじゃくる小糸「アイ」沢木先生「大戸さん」 
      • 勢いよく扉を閉めるアイ「ごめんなさい」廊下を走り抜け下駄箱へ。息切れするアイ。蝉(ひぐらし)の鳴き声
    • 布団の中
      • 夢から覚めるアイ。隣に寝ていびきをかくリカ。二人ともエッグを手にしてる。
      • アイ「小糸ちゃん。どうして。原因は沢木先生なの?」
      • 扉を開くと海岸。
    • ★ゲーム開始★
      • お花畑、断崖絶壁、海、遠くにビルの峰。
      • リカ「ほら。あそこにいるのが私のお財布ちゃんのちえみ。こっからだと、ちょっと痩せて見える」
      • アイ「なんで」花びらが喋る。アカ「同期したんだよ」「同期?」裏アカ「同じ時間にとても近くで眠ったんだね。それで」
      • アイ「同期した。でも、どうして私の夢じゃないの?」裏アカ「思いが強い方に引っ張られっるんだよ」「そんなはずない!この子は友だちの事をお財布ってゆうような、そんな」
      • 欠伸をするリカ「ねー、せーので割ろ」「ん-ん」「せーの」
      • エッグ少女「みこちゃーん」「まこちゃーん」「会えた会えた。また会えた―」リカ「知り合い?」「私達、ゆーゆの大ファンで」「ね」「そう、オフ会とかライブとかねー」
      • アイ「ゆーゆ?」リカ「歌手よ。自殺した」
      • みこ「私達大ファンだから」まこ「大至急、ゆーゆを追っかけて死んだの」
      • アイ「そんな、軽い」リカ「簡単でも軽くも無い。熱狂的なファンて要するにそういう事」「とりあえずこの子たちを」「日が沈むまで守れOKね」「ミテミヌフリは居ないみたいだね」「傍観者のこと?いるよ。下が海水浴場だから」
      • 崖をよじ登ってくるミテミヌフリ。 
      • まこみこ「きゃー。何あれ可愛い」
      • アイの武器を見てリカ「いいなー。これと取り換えて欲しいっ」言い終わる前にダッシュで走り出すリカ「あっ」走り出すアイ
      • ミテミヌフリを倒してゆくアイとリカ。少し息が合っていない。
      • リカは左肩をミテミヌフリにやられる。
      • アイ「こう開けていると、やりずらいかも」「あっ」灯台に走ってゆく4人。
      • リカの右腕の傷をみてアイ「あ、傷が治ってない」「あー、これは大丈夫。これは自前だから。若気のなんちゃら」 「はーい、おしまい」
      • アイ「ちえみちゃんの事、ちゃんと教えて」「アイには関係ないでしょ」「そんなことない」
      • リカ「売れないアイドルの握手会なんてシュールなのよ。少ない人数がグルグルなんども回る」
      • リカ「ちえみはねぇ、バカ。それこそ何周も何百周も、私のためにおこずかいもお年玉も全部つぎ込んで、当然みたいにニコニコして、私に。お金持ちの金づるだって信用していたのにさ」
      • リカ「ある日、町で万引きしてるの見つけちゃってさ。あっははっ。それを換金してたのよ。」アイ「うん」神妙な顔になるリカ
      • まこ「分かる。その気持ち。分かります」みこ「私達もパパ活したもんね」
      • リカ「私は嫌だった。だからファンと友達になんかならないって。第一、デブは一緒に居たら恥ずかしいから無理って。もう来ないでって。その後、他のファンの子が教えてくれた。ちえみが死んだって。骨と皮のミイラみたいって。忘れたくても忘れない。こんなのちえみじゃない」
      • ガラスを破ってミテミヌフリ。アイ「逃げて」 撃退するリカ
      • リカ「あのちえみにもう一度合えるなら、私は何人だってぶっ殺す」「リカちゃん」
      • 灯台の螺旋階段を逃げるみこまこ。ミテミヌフリを追いかけて続くリカ。後れを取るアイ。つまづくアイ。
      • アイ「分かった。私も心のどこかで恨んでいたんだ。友だちなのにどうして相談してくれなかったんだって」「あの子達の様に一緒に死んでくれって頼まれたら。私は」 
      • アイ「どうしてっ」「私はーっ」急に力強くなるアイ。殺気。ミテミヌフリを次々倒すアイ。
      • アイ「リカちゃん。私も一緒にぶっ殺す」「はぁっ?」
      • 灯台のてっぺんで外に出るアイとリカ
      • マダムサチコ(ワンダーキラー)「私も一緒に死にたかった。ゆーゆと」みこまこを触手で巻きつける。
      • アイ「巻きつけ系?」リカ「SMですか」
      • まこ「この人、ゆーゆのストーカーで逮捕された阿佐ヶ谷マダムのサチコ」
      • アイ「サチコ」リカ「どこにでもいるのよ。一線超えちゃう妄想ちゃんが」
      • マダムサチコ「お前らが騒がしいから、ゆーゆに会えないだろ。ゆーゆはガキなんか好きじゃない。熟女好きなの」
      • アイとリカ飛びかかる。
      • みこ「助けてー!」
      • 触手を切りみこまこを取り戻すアイとリカ
      • マダムサチコ「何なんだ。お前たちは」
      • アイ「この子達を守る」リカ「化け物からね」みこまこ「あーあん」リカ「バックダンサーから昇格」
      • マダムサチコ「小娘が。お前らがチヤホヤされるのは今の内だよ」アイ「いや、おばさんみたいには」リカ「ならない、ならない」みこまこ「うんうん」
      • マダムサチコ「お黙りっ!」口から泥を吐く。
      • 泥をかぶるリコ。足から固まってゆく。
      • アイ「リカ。大丈夫」リカ「身体が動かない。ちょっとヤバいかも。アイ。頑張れ」力ない声でサムアップのリカ
      • アイ「そんな。リカ。リカ」
      • 触手を広げるマダムサチコ
  • ED

覚書 第2話「友だちの条件」

  • 1日目午前
    • 雑木林そば
      • キャリーバッグを引きながら歩くねいる、質問攻めのアイ
      • 公園、ひまわり壁画、池をまたぐ歩道、水面を見る
      • ねいる「あなたは誰のために戦っているの?」
      • アイ「もちろん小糸ちゃんのため」「友だちなんだ」
      • ねいる「本当は自分のためじゃない?」「今の自分が嫌い。だから行く。怖いけどまた行く。嫌いな自分を変えたいから」
      • アイ「あなたも?」ねいる「一緒にしないで、私は私が大好き」
      • ねいる「妹だから」「私が死なせた」アイの方を始めてみるねいる
  • OP
    • 大戸家
      • アイ帰宅。母出迎え、担任の先生も
      • 下を向き何があったか話さないアイ。先生「そんなに嫌われているのかな」アイ「別に嫌ってはいないです」
  • 1日目夜
    • 大戸家
    • (回想)午前の公園のバス停
      • アイに名刺渡すねいる、「私は奇数日、あなたは偶数日にエッグを買う。お互い二度と会わなくて済む」
      • バスに乗るねいる。「GudLuck、連絡先悪用しないでね」
    • ★ゲーム開始★
      • 理科実験室
        • エッグを割らなければ静かな学校
        • カーテンにくるまって遊んでいてこけてエッグ(鈴原南)が割れる
        • 一度、理科室の外に出て気合を入れるアイ。
        • 校内放送で行進曲。
        • 理科室の窓からのぞく南。南の手を取って廊下を逃げるアイ
        • 南はレオタード姿、新体操のリボン、白い眼鏡、紫ピンクのアイライン
      • 廊下
        • 赤小人が廊下の向こうから迫ってくる
        • 4色ボールペンで戦うアイ、さっそくダメージくらう、逃げ出す���
        • 仏花の扉に逃げ込むアイと南
      • 屋上
        • 自己紹介。アイ「安心して、小糸ちゃんを守るためにあなたを守る」
        • 南「友だちなんですね」「羨ましいな、私も友達いたら…」
        • 南「新体操部なんです」「体系を変えるな…て先生に叱られてばかりでした」
        • 南「凄い、私にも気合と根性があれば」
        • 南「私一度、朝練をサボってやろうと決心した事があったんです」「布団から出ないぞって」
        • 南「朝の通勤ラッシュ、味わって見たかったんです」
        • 南「でも、意気込んでたせいか、朝までずっと眠れなくて」
        • 南「結局、徹夜で朝練に参加したんです」
        • 南「徹夜で朦朧としていたんで、先生に一杯気合入れられちゃいました」
        • 南「私も大戸さんみたいに強かったら」
        • アイ「大丈夫。私が守るから一緒に生き残ろう」「はい」
        • 空調室外機。アカ「それだけじゃ、友だちは生き返らない」
        • 裏アカ「捕らわれの乙女を解き放つには、ワンダーキラーを倒さなきゃね」「何それ、どういう事」
        • アカ「名前があった方が分かりやすいかと思ってね」
        • アイ「生き残ればいいだけじゃないの?!」
        • 裏アカ「逃げてるだけで、物事が解決するわけないじゃないか、戦えよ若者」
        • アイ「戦えって言ったって」
        • アカ「ワンダーキラーはエッグが持つトラウマの形、二者は必ず引き付ける」
        • 裏アカ「ワンダーキラーを倒して……」
        • 扉を壊して新体操部顧問登場。
        • 顧問「不良娘に感化されたの。ちょっと目を離すとこれだ」
        • 顧問「サボってんな練習しろ鈴原」「返事!」
        • 南「すみません、先生」直角謝り。
        • アイ「南に近づくな。もう、とさかに…」
        • 南「違うの、私がダメな子だから」「すみません、もっと頑張ります」
        • アイ「何言ってんの、それが辛くて絶えられなかったんでしょ」
        • 南「私、根性無くて。だから先生は私のためにって」
        • アイが武器出現させるが、南が顧問に謝る。
        • 顧問が化け物に変化。
        • アイ「南、そいつから離れて。私が…」
        • 吹き飛ばされるアイ、意識遠のく。
      • (回想)学校ゴミ捨て場
        • 小糸の体操服と靴が汚され捨てられていた
        • 小糸「古典的な嫌がらせね」「小糸ちゃんがどうしてこんな、私と友達だから」
        • 小糸「違うよ、沢木先生に私が贔屓されているって、ヤキモチ焼かれてるみたいなの」
        • 小糸「転校生だから仕方ないのにね」「女の嫉妬で怖いね」
        • アイ「笑ってる場合じゃないよ」
      • (回想)教室のロッカーの中
        • ロッカーの外で小糸がいじめにあっているのを聞きつつ、目を伏せるアイ
        • 女生徒2名「(笑い声)ちょ、ヤバいヤバい」「こっち向きなって」「ほら」
        • 小糸「お願い、やめて」
        • 人がいなくなってから、ロッカーから出てくるアイ「大丈夫」
        • ブラウスのボタンをかける小糸「撮れた?動画」
      • 屋上
        • 顧問に吹き飛ばされ傷だらけであおむけになり目を開くアイ、階段を下るアイ
        • アイ「ごめん。私怖くて。仲間はずれが怖くて」
      • (回想)教室
        • 撮れたスマホ動画は、証拠にならない映像
        • 小糸「怖かったんだよね、ごめんね」アイ「ごめんなさい」
        • 小糸「大丈夫。頑張ってくれたって、分かるから」「ごめんなさい、ごめんなさい、ごめんなさい…」
      • 体育館扉
        • 洗濯機。裏アカ「南は哀れだよ。お前のどこが強いんだろうな」
        • アイ「うるさい。私は変わるんだ」4色ボールペンを持って武者震い
        • アイ、扉から体育館に入る。顧問に首を掴んで持ち上げられ平手打ちされる南。
        • 顧問「生理で体系変わるなんて、新体操舐めてんのか、オラ」
        • 南「ごめんなさい、許してください」
        • 舞台袖から舞台に回るアイ。
        • 顧問「これは体罰なんかじゃない、愛のムチだよ。お前を愛しているからこそなんだ」
        • 顧問「お前がいい子になった後で、苦しまない様に終わらせてやるからね」
        • 南「ありがとうございます」
        • 南が舞台のアイに気付く。行き絶え絶えで「大戸さん」
        • アイ「体外にしろよババア!」武器を持って攻撃に近づく、吹き飛ばされる
        • 南「やめて、いけないのは私なの。もうほっておいて」
        • 南「私が愛が足りなくて、根性が無くて、ブスでおどおどしていて、何もかも、だから」
        • アイ「このかまってちゃん。それって、誰かに見つけて欲しい、愛して欲しいって事だよ」
        • アイ「だからほっとかない。ほっとけないよ」
        • また、一方的に吹き飛ばされるアイ
        • 南「先生やめてください!」顧問の手をひっぱりお願いする。「私言うこと聞きますから、何でもやりますから」
        • 南を振り飛ばす顧問
        • 南のリボンを拾うアイ「よっしゃ。これなら戦える」
        • 乳首から紫のペンキ?をアイの顔にかける。目潰し
        • 南「飛んで!」アイリボンで体育館のハリを掴んでジャンプ
        • 南「右に避けて、後ろから来る」ドッグランに落ちるアイ
        • 顧問「お前さっきから何してる。私に逆らうのか?私を裏切るのか?私の愛のムチを」
        • 顧問「黙ってちゃ分からないだろ!どうなんだ逆らうのか?」
        • 直角謝りの南で、歯を食いしばる南
        • 顧問「返事しろ!鈴原」
        • 南「(小声で)ここよ。私は、ここに居るわ」
        • アイが顧問にリボンで攻撃。怪物にリボンで振り回されるアイ
        • 顧問「馬鹿な子供達。私は協会に顔が効くの。選手の選考も相談されるの」
        • アイ「だから、どうだってんだよ、この野郎!」
        • アイに殴りかかる顧問「愛のムチなのよ」南「避けて」
        • アイの顔にかすり血が出る。4色ボールペン武器化。
        • アイ「悪いけど、ただのパワハラですから」化け物消滅。
        • ホッとした笑顔の南。ひっくり返るアイ「南、大丈夫」
        • 座って手を繋ぐアイと南、アイはペンキで目が見えないまま。
        • 南「ありがとう、アイちゃん」「南とリボンのおかげだよ」
        • 南「すっごい勇気振り絞った。私もっと早くアイちゃんに会いあかったな」「うん」
        • 南「そしたら、ナックで、ゲームしたり。普通の女の子みたいに」「うん」
        • 南「私の事、ときどき思い出してくれる」「南」 
        • 煙になる南。アイ「ちきしょう」
      • ★ゲーム終了★
  • n日目夜
    • 病院の廊下
      • 廊下のベンチに座るアイと母親。アイの首はギプス
      • 手術室に運ばれてゆくねいる。動揺するアイ
    • ガーデン
      • 新しいエッグ購入するアイ
      • アカ「一つでいいのかい」「ねいると違って懸命だね、急がば回れだ」
      • 裏アカ「あいつは、死んだのか?」「分からない」「助けに行っててめえが死んだら世話ないわ」
      • アイ「お前らに何が分かる。ねいるは妹を助けにいってるんだ。一刻も早く救いたいって」
      • アカ「それはどうかな」裏アカ「あいつも本当は死にたいのかもしれない」「え」
      • アカ「だから、恐怖を感じない」
      • 水中に何か落下する映像。
      • 廊下でまっすぐこっちを見ている小糸、後ろを先生が通り過ぎて、伏見がちにそれを追う小糸
      • 湯船のお湯から顔をあげる小糸
  • m日目
    • 病院、ICU
      • 目を覚ますねいる、アイ、人差し指で「しーっ」
      • カバンからエッグを取り出し見せる
      • スマホのSMS入力「欲張るからだよ」「次、戻ったら」「友達になろう」をねいるに見せる
      • アフロ眼鏡女性(母親?)「あなた、何をしているの?」
      • アイ「あ、すみません」
      • 走り去るアイ、ベッドで目を開けているねいる
  • o日目昼
    • 病院、屋上
      • 端まで歩くねいる。ビニール袋を持ってついて行くアイ
      • アイ「リハビリは順調?」「まあね」「よかった」
      • ねいる「友だちになったら何をするの?」「一緒にナック行ったり」「行って何するの?」
      • アイ「私もあなたも食べるの。ポテトとかハンバーガーを、それを同じテーブルで同時にする?」
      • ねいる「それって楽しいの?」「どうだろ」
      • ペットボトルのジュースをねいるに渡すアイ「はい」「ありがとう」
      • 蓋を開けて匂いを嗅ぐアイ「これ、めっちゃいい匂いする」突き出すアイ
      • ねいるも嗅ぐ「ホントだ」「ね」遠くの景色を見る二人
      • 鼻でジュースの匂いを吸い込むねいる「たまにはいいかもね」
      • SMSでサムアップの画像を返信するねいる。驚くアイ
      • 目を合わさず遠景を見ているねいる。視線はそのままで口元が緩む。アイの口元も。
  • ED

覚書 第1話「子供の領分

  • 1日目早朝
    • 住宅街の交差点
      • カナブン(尻尾発光)の死骸を拾い墓を作り埋める
      • カナブンは生きておりアイに話しかける(ここから夢、現実?)
      • 「夢?」裏アカ「夢じゃダメか?」アカ「現実の方が良かった?」
      • 裏アカ「初回はサービスだ、次からは財布を持ってきな」「いくら」
      • アカ「大丈夫、絶対気に入るよ、なにせ特別なガチャだからね」
      • アカ「君の欲しいモノが入っている」
      • 裏アカ「嘘つくな、あるだろ」アカ「友だちさ」
    • 大戸家
      • 自室ベッドで目覚めると背中にエッグ(西城くるみ)
      • 寝起きで水、リビングでウォーキングマシン、風呂で湯船に水出し、昼食は一人TKG、夕方ベランダでアイス、夜学校の先生来訪、で1日終わる
  • 2日目早朝
    • 大戸家
      • 昨日の場所に向かうため、玄関扉を開く
      • カバンの中身は、スマホキャラメルコーン(あとでくるみが食べる)、エッグ
      • ★ゲーム開始★
        • どこかの学校の廊下
          • ロッカーに「死ね」のいじめの女子生徒2名
            • 顔モザイクに口紅
          • 嘲笑の校内放送「見て見ぬふり」
        • トイレに逃げ込むアイ
          • トイレットペーパーが喋る。アカ、裏アカ「エッグを早く割れ」
          • ぶつけて割ったエッグから女子生徒(西城くるみ)登場
          • 身だしなみ整えるくるみ
        • 廊下で待つアイ
          • 校内放送で行進曲
          • 茶色髪、ロール髪を右側シュシュで止める、左側髪の毛ピン止め、左耳に大きなイヤリング
          • 両手に斧の顔モザイク女子生徒
          • 不気味な赤小人
          • 斧が飛んできて、くるみの左腕に直撃、流血
          • 斧女子生徒から逃げる二人
          • 「何あれ」「知ってるでしょ。見て見ぬふりよ」「何それ」「知らない」
          • 赤小人に挟み撃ちにされ逃げ場を失う二人
          • アイの脇腹、流血
          • 「非常口」マークのロッカー発見。逃げ込む二人
        • 食堂の様に広い教室
          • 打ち解ける二人
          • アイの傷は消える(=夢)が、くるみの傷は消えない(=現実)
          • 多色ボールペン
          • チャイムが鳴るまで逃げ続ける死のゲーム
          • くるみ「あなたは目と心臓さえやられなければこの世界では不死身」
          • キャラメルコーンを食べるくるみ
          • くるみもエッグを買って友達を欲した過去がある。
          • くるみも友達居なかった(上っ面の同調の友達は居た)
          • 「親友は大事」「彼氏って別れちゃうけど、親友は永遠でしょ」
          • 「彼氏いたの?」同時に返事で二人とも黙る。
          • 赤小人の気配。アイの手を取るくるみだが、アイは一緒には行かない。
          • 「ごめん」「何で謝るの。悪いのはあいつらじゃん」「ごめんね」
          • 「私は襲われない」頭を抱えるアイ
        • 廊下を歩くアイ
          • 多色ボールペンを持つアイ
          • 白い花(すずらん、菊?…)が床に散らばる(葬儀を連想)
          • 大きな白い扉
        • 屋上
        • アイの学校
          • 教室のベランダから見下ろす
          • 女子生徒の飛び降り自殺死体、「小糸ちゃん」イワシ
          • フェンスを握り泣き崩れるアイ
        • 小糸との出会いの回想
          • 転入生「長瀬小糸」
          • アイの隣の席
          • 雨、校舎の外階段で一人スマホゲームのアイ
          • アイを見つける小糸。「一緒に帰ろう」
          • 「え」「何その反応。傷付くなぁ」「ここ静かでいいね」
          • 隣に座る小糸。目を合わせないアイ。
          • 「私なんかと一緒に居るとまずいと思う」「どうして」「ブスだから」
          • 顔を掴んで向き合わせる小糸。オッドアイに気付く。
          • 小糸を拒否して、傘もカバンもおいて逃げ出し、雨の中をとぼとぼ帰るアイ
          • 帰宅して母親に八つ当たりするアイ
          • 大戸家を訪問する小糸(部屋に入ると裸足)
          • 二段ベッドの上段シェルターに上がり込む小糸。
          • オッドアイっていうのよね」「神秘的。隠す事ないと思う」
          • 図々しく横になる小糸
          • アイからいじめ告白
          • アイの足を触り「綺麗よ」「私と友達になって」「親友になろうよ」アイを抱きしめる小糸
          • 「だめ、じゃないけど」「けど」「なれたら嬉しい」「私も」
        • 再び屋上
          • 銅像(小糸)に寄り添い涙を流すアイ
          • 「私のせいだ」「私が裏切ったから」「初めて出来た友達だったのに」
          • 銅像も涙を流す。「小糸ちゃん」その涙を顔で受け、飲みこむアイ。
          • 眼下の離れた屋上で、大きく拍手、ダブルピースのくるみ
          • くるみに迫ってくる赤小人と斧女子生徒
          • 「もう少しでチャイムなのに」逃げるくるみ
          • 多色ボールペンを持って、屋上を並走して走るが行き止まりアイ
          • 「横断歩道はみんなで渡っても怖いんだ」「もう見て見ぬふりはしない」
          • 助走ジャンプ。多色ボールペンが武器に。
          • 斧女子生徒をぶったたくアイ「もう、とさかに来たぜ」
          • 破裂して飛び散る血しぶき。
          • 赤小人たち撤収。
          • 啞然顔のくるみ。唖然顔でダブルピースのアイ
          • 握手。名前交換。
          • 「アイちゃん。お別れだね」「私の事、忘れないでね」
          • 爆発とともに煙となって消えるくるみ
          • 裏アカ「残念。助かるのはお前だけ。」アカ「でも元気出さなきゃダメだよ。親友を取り戻したいなら」「へ?」
        • 再び屋上の銅像
          • 銅像の手を握るアイ
          • 「少し暖かい」「ねぇ、もっともっと守ったら小糸ちゃんは生き返るの」「そうなんだね」涙目のアイ
      • ★ゲーム終了★
  • 2日目朝
    • アイの部屋
      • 母「アイちゃーん、ご飯(朝ごはん)」
      • スマホいじってアイの顔を観ない母
      • 目玉焼き、ハム、キャベツ千切り、プチトマト、味噌汁、ご飯
      • 鼻血と脇腹の出血。(リアル世界で傷を受けるシステム?)
  • 2日目夜
    • 病院、アイの病室
      • すすり泣く母。学校の先生。
      • 「いったい何が」「分からないんです、もしかして夜抜け出してどこかで事件に」「しっかりしてください」
      • 「小糸ちゃん…」
    • 午前中の住宅街
      • 例の場所に向かって走るアイ
      • カナブンとの会話「お財布は?」「持ってきた」
      • カナブンとの会話。アカ「やは、ケガの具合はどう?」「なんとか」「お財布は?」「持ってきた」
    • 例の場所
      • 「何人守れば小糸ちゃんは生き返る?」「同時に何人か守ったらその分早く?」
      • 裏アカ「欲張りなアホだなあ、守れなきゃお前も助からない」
      • アカ「それにね、敵があんなに楽とは限らない」裏アカ「所詮見て見ぬふり、烏合の衆さ」
      • 「くるみちゃんはどうなったの?」裏アカ「お前の友達と一緒だ、どっかの世界で彫像になっている」「彼女の友だちがあの世界に行かなければ永遠にそのまま」
      • 培養される大量のエッグ
      • 「くるみちゃんも自殺したの」アカ「ノーコメント」裏アカ「ノーコメント」
      • 洞窟を抜け、藤棚を抜け、洋館前のガーデン
      • アカはブレザー姿、ヒビ割れ眼鏡、文庫本。裏アカはチーマーっぽい。碁を打っている。
      • 先客は青山ねいる、大量にエッグを購入(少なくとも12個)
      • 一瞬アイと目が合うが、その後遠くの空を見る。
  • 続く

ウルフウォーカー

ネタバレ全開につき閲覧ご注意ください。

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はじめに

なかなかの大作映画。ちまたの評判もすこぶる良いという「ウルフウォーカー」の感想・考察ブログです。

私はもともと、カートゥーンサルーンのアニメーションは好みであり、前作の「ソング オブ ザ シー」を観て好印象を持っていました。今回、同社作品の視聴は2作目となりますが、期待を裏切らない、そしてダイナミックさでは前作を超えた力強さを持った作風に感じました。

視聴直後は、心に違和感なく染みてくる感じで、ブログに書く事はあまりないかな、と思っていたのですが、いざ書き始めて、アイルランドの歴史などに少し触れると、色々と書き留めたくなり、想像以上に書くのに時間がかかりました。

以下、いつも通りの感想考察です。

YouTubeの解説・考察動画について

考察ブログで藪から棒に、こう書くのも何なのだが、本作の考察・解説動画(約62分)があるので、是非、一度見て欲しい。

本作は、アイルランドの歴史や背景の上に作られた作品であるため、それらの知識を有していた方が、より深く理解出来ると思う。

動画は、パンフレットにも解説を書かれている、ケルト文化に詳しい鶴岡真弓教授によるものであり、下手な素人のブログを読むよりも、よっぽど正確に背景を知る事が出来ると思う。

幾何学的な記号の意味、色彩の意味、狼主観の映像の意味など、色んな所で考察されているであろうから、私のブログではそれらの詳細は割愛する。

感想・考察

デザイン面(カートゥーンサルーンアイデンティティの貫禄)

キャラクターデザインは、一目見てカートゥーンサルーンと分かる独自性を持ったデザインだと思う。図形としてはシンプル。わりと横顔のカットも多い。だけど、動いた時に全くたどたどしさが無く、生き生きと動く。非常にリッチで安心感がある。

余談ながら、キャラクターデザインのデフォルメ具合だけで言えば、パワーパフガールズのデザインが似ていると常々思っている。

今回、キャラクターと背景美術のダブル監督の体制をとっている。それだけ、背景美術が本作に占める領域が大きく、キャラクターと背景美術が共に主張し、互いに相手を潰さずに魅力を引き出してゆくという制作意図だと想像する。本作では背景は役者と同じで、デザインやカラーに意味がある、時に雄弁に物語を語る。

例えば、後半でイングランド軍が持つ炎は白と赤で表現される。それは、イングランドの国旗の色を示す。そして、狼を駆除すべく森林深く進軍するイングランド兵で、観客はイングランドアイルランド侵略を連想する、といった具合である。

デフォルメして抽象化して描くからこそ、そこにノイズの無いメッセージが込められる。無から作るからこそ一つ一つのデザインに意味がある。その、考え抜かれた映像が、カートゥーンサルーンの真骨頂だと思う。

背景その1(ケルト文化とアングロ・サクソン文化の対比)

日本人の感覚だと、自然対文明とか、「もののけ姫」だとか言われがちだが、上記の動画では、ケルト文化とアングロ・サクソン文化の対比として書かれている。私が映画で感じた違いは下記。

  • ケルト文化(メーヴ、モル、狼たち)
    • 自然と人が共存(それぞれの領域を守る)
    • 自由
    • 無益な争いはしない
  • アングロ・サクソン文化(ロビン、ビル、護国卿)
    • 人間中心主義
    • 組織による統制・束縛(=不自由)
    • 不都合な相手を力でねじ伏せる

メーヴ達の活動は自由。森を守るために人間に警告はするが、無意味な争いはしない。今回の件も母親が見つかりさえすれば、さっさと別の土地に移動するつもりだった。

これに対し、護国卿が率いるイングランド軍は統制の取れた組織であり、トップダウンの命令で機能する。劇中では護国卿は、規則を持って民を統制し、規則に従わない者には罰則を与えていた。ロビンの「今だって牢獄だわ!」と父親の「怖いんだよ!」(うろ覚え)の台詞が強烈に記憶に残っている。では、トップである護国卿は何に従い動くのか? それは、キリスト教の「主」の意志に従う。護国卿もまた、ある意味不自由な存在として描かれる。

なお、このような組織統制は、何もキリスト教や宗教に限った事ではなく、現代社会である程度以上の規模を持つ組織であれば、多かれ少なかれ、こうした不自由は伴うものであろう。

背景その2(クロムウェルアイルランド侵略)

本作の護国卿のモデルは、クロムウェルだと言われている。そして、アイルランドといえば、カトリックプロテスタントの根深い衝突を連想する。

本作の舞台、アイルランドのキルケニーは、当時カトリック同盟の首都であった。そこに、プロテスタントクロムウェルが侵略に来たという構図である。本作について、プロテスタント教徒、カトリック教徒、森の狼の3つのグルーピングで整理してみる。

項目 プロテスタント教徒 カトリック教徒 森の狼(ケルト文化)
所属国 イングランド アイルランド
登場人物 護国卿(クロムウェル
グッドフェロー(父親)
ロビン
木こり
いたずらっ子
モル(母親)
メーヴ
居住場所 城壁内 城壁外周辺 森林
侵略以前の関係 狼と共生
(狼の領域に近づかない)
人間と共生
(人間の領域に近づかない)
侵略以後の関係 カトリック教徒を支配
狼狩り、森林伐採
プロテスタント教徒による
侵略・支配
(一部に伝承信仰残る)
プロテスタント教徒による
狼狩り、森林伐採

ただ、本作ではカトリック教徒のアイルランド人の描写が少ない。プロテスタントvsカトリックは現代でも揉めている事案なので、そこを生で描くにはガチで差し障りがあるため、イングランドvs森の狼の構図を取っているのだと想像する。

本作は一応、勧善懲悪の構図を取る。メーヴが善、護国卿が悪である。

徹底したトップダウンの恐怖政治としての護国卿率いるイングランド占領軍は、トップからの命令に従い、従わぬ者には罰則。そして、その命令は護国卿というトップに集約されるが、その護国卿もまた「主」に従い主体性を持たない。

ある作戦行動について、その責任の所在を明確にしようとしても、どこまでも上位層にあがってゆき、結局、現場では誰も罪の意識を持たず、誰の意志も介入せずに大罪を犯すという、ユダヤ人迫害を行ったナチス・ドイツを題材にした映画、「ハンナ・アーレント」)を連想させる。

とは言え、私自身は本作は正義と悪の対決がメインの物語とは捉えていない。本作は、束縛による不自由からの解放の物語である、と考えている。

テーマ(二つの文化の中で板挟みになる葛藤のドラマ)

ロビンはウルフウォーカーになった事で、相容れないイングランドと森の狼の両方のグループに属する事になった。これにより生ずる、あっちを立てればこっちが立たないという板挟みの悲劇が本作のドラマの中心にあったと思う。

ロビンは、植民地アイルランドに入植したイングランド人として、行動に制約を受けてきた。具体的には父親の言いつけによる外出禁止。そもそも、侵略後の植民地の治安が平和とも思えないし、一歩城壁の外に出れば、イングランド人を憎むアイルランド人が大勢いて、身の安全を考えれば当然とも言える親心である。

しかし、この束縛が子供にとって良い事とは思えない。できるなら、外の世界をのびのびと駆け回り、自由に遊んで欲しい。

このロビンの自由に走りたい気持ちを共有するのがメーヴである。ハンターとして狼を敵とみなしていたロビン。人間を威嚇して森林を守ろうとしていたメーヴ。全く住む世界の違う対立する2人は、子供の純粋さで親友になり、意図せずウルフオォーカーの契約を交わす。ここでロビンは二つの社会に属する事になり、父親とメーヴの二者に板挟みの存在となる。

狼たちを殺さないで、というロビンの願いは合理的で至極真っ当。母親さえ見つかれば、狼たちは別の土地に去ってゆくという話なので、誰の血も流さずにWin-Winの関係である。しかし、父親が行き過ぎたロビンの行動を叱咤し、その提案が父親に届く事は無かった。

途中でウルフオォーカーの狼主観を体験するロビン。城壁を越え、森林をメーヴと駆け回る楽しさを満喫する。今までの閉じ込められた世界とは真逆な自由な時間。深まる友情。

そして、城内の高所の一室に閉じ込められるメーヴの母親との会話。私を逃がすよりも、メーヴに逃げてと伝言して、と約束する。

物語は、イングランドと狼たちの衝突に向かってゆく緊張感の中で、父親に狼を殺さないでと言っても伝わらず、メーヴに逃げてと言っても城壁内で暴れてしまい、それでも一発触発の争いを防ぎたい気持ちで最善と思われる行動をする。

この時のロビンにかかるストレスはとても大きい。ここまでのドラマの見せ方とストレスの積み上げが非常に巧く、ドラマの山場の一つになっている。

結果的に、ロビンは父親を裏切り、メーヴの母親と共に森林の中に逃げる選択をする(成り行きでもあったが)。今度は、離れ離れになった父親との対峙である。

父親も、狼を殺す職務にことごとく失敗し続けたことで護国卿からの風当たりも強くなり、同時にロビンからも狼を殺さないでとの無茶なお願いに頭を抱え、メンタルをすり減らし続けてきた。父親がメーヴの母親に致命傷を負わせたのもロビンの身を案じての事だったが、逆にロビンの反発に合う。手元には意識の無いロビンの身体が残っているが、一方的に言い付けるだけで、娘との対峙を避けて来た自分にそろそろ気付き始める。

ここで、父親はロビンと護国卿との板挟みで葛藤する。父親にとってロビンはたった一人の家族であり、ロビンを失う事は生きる意味を失う事に等しい。この父親のストレスの積み上げも、ロビン同様に丁寧に描かれており、ドラマは強く演出される。

終盤で父親もウルフオォーカーとなり、今までロビンのためにと忠義を尽くしてきたイングランドを裏切り、狼の姿で護国卿からロビンを守る。そして、ロビンも人間の姿で父親を守る。護国卿は谷底に落ち、親子の信頼関係は取り戻される。

本作を観終えた時の私の率直な感想は、ロビンと父親の板挟みの葛藤の強烈なドラマ、であった。このダイナミックさは本作の大きな魅力になっていると思う。

本作のストーリー展開は大雑把に言えば、クライムアクションなのであるが、人間ドラマの軸が明確な事、その積み上げと見せ方が巧い事、そして、それを支える演出が丁寧である事で、混乱なくロビンや父親のストレスを体験し、その後の解放感を味わうことが出来る。芸術的なビジュアル面の高評価はよく拝見するが、こうした文芸面、作劇面の実力も高いと感じた。

メッセージ(束縛からの解放と子供の友情と親子の愛)

最終的にロビンと父親は、束縛のイングランドを捨て、森林の狼たちに属して自由を手に入れ、親子の愛情を取り戻す。

二人は儀式を経てウルフオォーカーに属しているので、その状態では今まで以上にイングランドに属して暮らすには適さない体になってしまっているという面もある。

いつの時代も、社会による束縛の息苦しさは多かれ少なかれあるのだと思う。束縛は、法律や条例の社会的ルールであったり、時として雰囲気で縛る同調圧力であったり、本作のような恐怖政治だったり様々である。そして、束縛には正義の大義名分や、集団の中の最大公約数的な妥協であったり、なんらかの理性が働いている場合が多い。人間はその理性と本能の間で葛藤しながら生きている。

分かりやすい例だと、サラリーマンが家族との暮らしを大切にしたくて住宅を購入した直後に、会社から単身赴任の依頼がくるという、会社あるある話。会社に尽くすか? 家族との時間を優先するか? こうしたストレスに人間は日々さらされているからこそ、本作の束縛からの解放の物語に救われるのだろう。

ちなみに、一昔前なら会社のために単身赴任するのが当たり前の空気の方が強かった様に思うが、昨今では働き方改革や家族有っての仕事という考え方も浸透してきて、単身赴任を断るケースも多いだろう。ただ、上長はそこで単身赴任できない理由を求める。さらに上の上長にも説明、説得する必要があるためで、そこを用意して断るのが大人という事になっている。本作では敵の護国卿が恐怖政治であった事もあり、言い訳は通用しない。

そうした、束縛の壁を打ち破る原動力になったのは、ロビンの場合は友情であり、父親の場合は親子愛である。これらは、国や思想を超えて、全ての人間(=動物)に備わるモノであり、境界線を越えて通じあえる概念である。人間である以上、そこは大切にしてゆきたい、というメッセージに感じた。

ラストの余韻(新天地を求めて移動した狼たちについて)

ケルト文化を象徴する狼たちとウルフオォーカーは、一つの土地に固執する事無く、新天地を求めて移動した。

これについて、イングランドに駆逐されたという意味では戦争に負けたのではないか? という意見があるのもごもっともである。しかし、狼たちは侵略者ではなく、殺りくを好まず、ただ境界線を引いて、共生をしたいという主張であったと思う。これに対し、イングランドは不都合な事は相手を殴り倒して、時には殺りくして服従させてきたという集団なので、両者の主張は相容れる事は無い。

本作がここで話合いの解決をする、などの建設的和解を提示しなかった事は、ある意味リアルで、ドライで、そして非常に誠実である、と感じた。

ここは分かり合えるハズ、と楽観的に考える人もいるかもしれないが、侵略者とのパワーバランスを取る事は簡単ではない。

そもそも、狼たちはこの事件を、勝った負けたで捉えていない。イングランドの侵略を大地震や巨大隕石落下の天変地異みたいに感じているのではないかと想像する。

共生とは、イングランド侵略前のアイルランド人と狼たちのように、境界線を設けて互いに領域を犯さない事でしか解決しないのだと思う。

狼たちが本当に苦労するときがくるとすれば、世界の果てまでイングランドが侵攻してきて、もう森林が残っていない、という状況であろう。おそらく、その時は狼が絶滅する事になるが、それもまた哀しき運命なのかもしれない。

その時、我々は心の中で、本作のイングランド人のような振舞いをしていないか?と問いかける事になると思うが、それは、絶滅する前に回避しなければならない事なのだろう。

おわりに

本作の凄い所は、子供でもそのテーマに触れられる間口の広さと、アイルランドの歴史を知り、ラストを考えると、更に味わいが増すと言う、一粒で二度美味しい深みを持った作品である事だと思います。

もう、その意味で万人にオススメできる作品です。公開劇場は細く長く、という状況ですが、トレーラーを見て気になった人は、機会あれば是非見て欲しい、と思える作品です。

神様になった日

ネタバレ全開につき、閲覧ご注意ください。

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はじめに

TVアニメ「神様になった日」の感想・考察ブログです。

本作は、賛否両論、好みが別れる作品だと思います。SNS観測した範囲でも、感動したという肯定派だけでなく、ザル設定だの、このエピソード必要?だの、このキャラ必要?などネガ発言も否定派も多数観測しました。

私は、回収されない伏線(フック)も、枝葉で余る設定やエピソードがあっても、そこは許容できます。実際、11話までは振り回されながらも、許容して見てきました。しかし、12話で強い違和感を覚えました。それは、陽太が「愛」を持って無理ゲーをクリアしてハッピーエンドを迎えるという流れの中で、陽太の行動が「独りよがり」で本当に幸福な選択なのか?という不安を感じたからです。

本作が、マルチエンディングのゲームシナリオの感触を強く意識した作風というのは理解します。それを前提としたときに、一部の違和感は些末なノイズと思えるようになりました。その辺りも順を追って考察・解説します。

最後に、それを加味しても残る私の違和感について書きます。

感想・考察

各話の流れ(サブタイトル一覧)

サブタイトルと要点を降順に表形式にまとめる。

サブタイトル キーワード
第12話 きみが選ぶ日 ひな連れ帰り成功。映画完成、思い出、メイキング、歩み続ける陽太ひな
第11話 遊戯の日 ひな面会は1時間/日、ゲーム機、ひなを連れ帰る無理ゲー、粘り強い陽太
第10話 過ぎ去る日 転入生央人、ひなの事を無意識に避けてた陽太、ひなに会う選択、サナトリウム、期限2週間
第9話 神殺しの日 央人ハッキング、ひな頭部の量子コンピュータ(≒全知の神)、黒服に連れ去られるひな、撮影中断
第8話 海を見にいく日 撮影順調、佐藤家訪問、ロゴス症候群、母自殺、7歳で見捨てた父、その後祖父興梠博士が世話
第7話 映画撮影の日 映画撮影、陽太、ひな、伊座波、阿修羅、空、神宮司、天願、付き人、両親、借金取りの10名
第6話 祭の日 みんなで夏祭り、ひなヤキモチ、冷凍車、阿修羅陽太バイク追跡、花火大会
第5話 大魔法の日 伊座波父引きこもり、伊座波父外出に成功、ビデオレター、父娘で最後まで見る、墓参り
第4話 闘牌の日 麻雀リベルタス杯、滅茶苦茶好き勝手、陽太優勝、天願との一夜は辞退
第3話 天使が堕ちる日 妹空の先輩神宮司、ラーメン屋再生、借金取り追い返し成功
第2話 調べの日 ひな成神家来訪、シスコン、伊座波に告白失敗(映画、ピアノ)
第1話 降臨の日 ひな陽太出会い、全知の神オーディン、予知能力、世界の破滅

ゲームシナリオとしての「神様になった日」

ゲーム的要素

本作のシリーズ構成は小説ではなく、マルチエンディングのゲームシナリオの1ルートではないか?と思わせる点がいくつかある。それを感じさせる記号、文法を列挙する。

  • ヒロインが多い
    • 伊座波(幼馴染)、空(妹)、神宮司(おっとり)、天願(姉御)、ひな(ロリ)
  • 親友がいる
    • 阿修羅
  • いくつかのイベントを消化する
    • 野球、伊座波告白、ラーメン屋再生、インチキ麻雀大会、伊座波父外出、夏祭り
  • 伏線(フック)が多い
    • ひなルート以外の伏線は放置?
  • 主人公(プレイヤー)は、
    • 前半は、楽しさで導入
      • 無双(ひな助力)
      • 夫婦漫才
    • 後半は、ストレス与えて没入、共感、最後に解放
      • 凡人
      • 本人の選択である事を強調
      • 粘り強く諦めない強さ
  • ラスボスがいる
    • 司波(児童介護のプロ)

ゲーム的シナリオ構成

ストーリー構成は下記の3部構成と思われる。

話数 概要
第一部 第1話~第6話 各ヒロイン紹介、主人公無双、各イベント消化
第二部 第7話~第9話 ひな不幸な身の上話、突然の別れ、互いに好き
第三部 第10話~第12話 ひな奪還ルート選択、ひな記憶なくし幼児化、ひな連れ帰り成功、ずっと二人

まず、第一部(第1話~第6話)。

親友と幼馴染がいる状態から始まり、ひなが登場し、妹、妹の先輩、姉御とタイプの違うヒロインが次々と登場してくる。しかも、ひなのおかげで陽太は無双であり、凡人でありながら難題を順次クリアする。

前半で特徴的なのは、ひなと陽太の掛け合い漫才。プレスコで録っているとの事で息ぴったし。この楽しさは本作の前半の牽引力になっているが、これはシナリオゲームとしての醍醐味とも言えるかもしれない。

色んなイベントをこなし、それぞれの別ルートへの分岐があったかもしれないが、主人公はあくまで各ヒロインへのルートへ進むことなく(進めずに?)流されるように夏休みを過ごす。

別ルートへの導入であったイベントやひな以外のヒロイン達の存在は、伏線として回収される事無く放置される。もともとマルチルートのための分岐点であり、伏線ではないからである。

5話で伊座波と父親が母親の死と向き合い母親の死を乗り越えて前に進むドラマを挟む。これも中間に山場を入れておいたのかな、とも思う。

次に、第二部(第7話~第9話)。

ここは登場人物が全員集結して映画を撮影してゆくという話のアウトラインである。ここでひなルートに入ると考えていいだろう。

8話で、ひなについて何も知らない事に気付き、ひなの生い立ちについて両親に聞く。母親は自殺、父親はひなを捨てて再婚し新しい家庭を気付き、ひなの面倒は祖父がみていた。祖父になにかあったら両親が面倒みる約束があった。陽太はひなの父親に面会に行くが、ひなを引き取る気はないと言われ、ひなの父親に憤りを感じる。

9話で、ひなが黒服に連行され居なくなる。別れの直前、陽太はひなを好きだから守ると言い、ひなも陽太が好きだったと言う。映画撮影は中断。好き合っていた事が陽太の記憶に残る。

この第二部では、陽太は大人(社会)に憤りを覚えつつ、何も覆す事ができずに抑え込まれる構図である。

最後に、第三部(第10話~第11話)。

10話で、2学期から3学期模試までの間、陽太の中でフェードアウトしてゆくひなの記憶。大学進学ルートが濃厚になる陽太。央人により、ひなルートの選択肢がもたらされ、陽太の意志でひなルートが選択される。ミッションは期限2週間でひなを自宅に連れ帰る。山奥サナトリウムのひなは陽太の事を覚えておらず、陽太に怯えている。協力者は居ない。不安しかない無理ゲー。

11話で、凡人である陽太がたった一人で挑戦する無理ゲー。友人たちが電話越しにエールが心折れそうな陽太の背中を押す。徹夜してまでゲーム機の可能性に賭けて一人戦う陽太。少しづつ心を開くひな。

12話で、陽太の身分擬装がバレてタイムオーバー。最後の最後で陽太と一緒にいたいと言うひな。ひなを連れ帰りクリア。撮影再開し映画完成。メイキング映像の中で「良い思い出となった」と語る神だった頃のひな。ロゴス症候群治療の可能性にかけて浪人して医学部を目指す陽太。いつまでもひなと一緒という陽太。完。

この第三部では、陽太自身の決断でひなルートを選択し、たった一人で無理ゲーをクリアする。そして、いつまでもひなと一緒に暮らす未来という、ひなルートのエンディングが示される。

自主製作映画「Karma」(劇中劇)について

自主製作映画についてのメモを下記に示す。

  • 世界の破滅の危機
  • 破滅を回避するために少女アン(ひな)を生贄にする国王
  • 儀式を邪魔してアンを救う青年(陽太)
  • 世界は破滅し青年とアンが生き残る
  • Karmaの意味は、業、宿命、因縁

劇中劇は、演者と役の関係性で、役柄が演者の暗喩になっていたり、またその逆で皮肉になっていたり、という演出が一般的に考えられる。

劇中劇の物語を要約すると、青年はヒロインと世界の2択でヒロインを選択し世界は滅ぶ、という典型的な世界系の物語となっている。

実際には、陽太に選択権はなく、神殺しによってヒロインは失われ世界は救われる。

アニメとしての「神様になった日」が描いたモノ

言うまでもなく、原作脚本の麻枝准さんはゲームのシナリオライターとしての経歴があり、「原点回帰」という意味が込められているのかもしれないが、それにしてもここまでゲームっぽさを強調する意図は不明。

通常のアニメ作品としての違和感を列挙すると、

  • 回収されない伏線
    • →マルチシナリオゲームの分岐イベントと考えられる。ひなルート以外は描かれない。ある意味、残骸。
  • ザル設定・ご都合主義
    • →ゲームであれば設定・考証はコスト高になる事、シナリオの自由度を優先したい事から、敢えてザル設定・ご都合主義を多用しているのでは? ある意味、ゲームオマージュ。

というところだが、ゲームっぽさ目指したという意図であれば、敢えて作品の欠点とは言わないでおく。本筋に対する枝葉のノイズ程度の事であろう。

改めて、本作のテーマ・メッセージ的なモノを考えて見ると、

  • 選択するのは本人(他人は何も決定しない)
  • プレイするのは本人(他人は応援しかしない)
  • 凡人でも心が強ければ無理ゲーをクリアできる

といったところか。これも、まあ、納得はできる。

アニメとしての「神様になった日」の強い違和感

12話で感じた違和感をもう一度提示する。

  • ひなルートは、陽太の「独りよがり」の可能性を強く意識させている
    • ひなを介護するコストは?
    • 父親の様に介護疲れになるリスクは?
    • ロゴス症候群治療確立の夢はあるが、根拠がなく、希望的すぎないか?
    • 友達たちの「いい思い出になった」発言のよそよそしさ
      • 思い出=過去形
      • 誰も祝福していない感
    • そもそも、ひなと一緒に暮らす事が、本当にひなの幸せなのか?
      • ひなと一緒に暮らす正義は、ひなが陽太に懐いているという一点のみ
      • より充実した介護施設で暮らす方が幸せでは?

要するに、ゲームの選択が何かを得て何かを失うとするなら、陽太の選択で損失するモノを強く匂わせている。ゲームのエンドなら、他のルートを渇望させるためにあり得る演出かもしれない。しかし、小説のエンドで選択した代償をここまで強く印象付け、不安を煽る必然性は全くない。未来に向けての希望の示唆が全く無く、不安が安心を上回る。

また、劇中の陽太や登場人物はこの不安を全く抱いていない(少なくとも不安と思っている描写は無い)。あくまで、不安を感じているのは視聴者のみである。

もちろん、単純に「感動した」などのSNSコメントも見かけるので、不安を全く感じていない視聴者も居る。

マルチルートを描かないアニメである以上、これらの不安は払拭する描写か、不安を見せないようにするのが一般的なディレクションだと思う。ディレクションは、一脚本家で決定出来る事では無く、プロデューサー、監督の総合的な判断で行われるハズで、鶴の一声で決まるとは思えない。

あるいは、世間で言うところの「愛」なんて、所詮は「独りよがり」と言いたいのか? 安直な「感動」に対してもっと冷めた目で見ているという皮肉なのか?

どうしても、この不安の放置の意図だけは、図りかねる。これが、本作に対する不満点である。

おわりに

私以外にも、多くの視聴者が12話に違和感を持っていたと思いますが、その違和感の正体を自分なりに見つめ直したのが本記事です。

残念ながら、違和感について自分の中で納得いく解釈は見つけられませんでした。ある意味、作品に負けた気がします。

本作は考察し甲斐のある作品だと思いますし、他の人の考察も楽しみにしていて、これから順次見て行こうと思います。