たいやき姫のひとり旅

アニメ感想など…

ヤマノススメ Next Summit

はじめに

ヤマノススメ Next Summit」のいつもの長文の感想・考察です。

ちなみに、ヤマノススメの1期~3期は未視聴です。

女子高生×オヤジ趣味モノは、個人的に好きなのですがなぜか今までヤマノススメは見ていませんでした。縁あって、2023年1月にNetflixで一気に見ました。富士山登頂のシーンの迫力というか、非日常感にかなり引き込まれたと同時に、最後の富士登山リベンジではかなり感動しました。

登山≒人生と感じさせるテーマも良いと思いました。普通の日常モノであれば、ここまでのめり込まなかったと思います。

ただ、私が感じたような感想を的確に書いているブログはあまりないと思い、今回ブログに書き残す事にしました。

各話イベントリスト

とりあえず、各話サブタイトルとイベントを下記に示す。本作は、1クールの中でイベントがかなり多く備忘録の意味もあって整理した。

話数 サブタイトル イベント ED絵
1話 ヤマノススメぷりくえる
1st season春
あおい中学3年→高校1年
ひなた転入、約束の山
天覧山、楓、高尾山、ここな
4人で飯能河原キャンプ
あおいひなた幼少期と今
ED曲歌詞に合わせた絵
一歩先のひなた
着いてくるあおい
2話 走れ!ヤマガール
2nd season夏 前編
運動会あおいの手をひくひなた
吉田ルートで富士山登山
あおい八合目高山病でダウン
ひなたここな山頂ご来光
あおい高山病しんどい不甲斐ない
楓ふうか
運動会、暴れる長髪
3話 都内で登山!?
2nd season夏 後編
愛宕山、祈願=目標探し
あおい天覧山、頂上でひなた
多峯主山、また山に登りたい
あおい母ひなた父霧ヶ峰
4人で谷川岳、ほのか、ご来光
-
4話 夢にまでみた?フジ◯◯
3rd season秋
富士急ハイランド
あおいほのか伊香保温泉
ひなたここな赤城山
4人で瑞牆山テント泊、金峰山
ひなた脱落あおい付き添い
あおいひなた仲直り
ほのか兄、ほのかここな
ここなを撮るほのか
ここなの心のフィルム
5話 登山部からの挑戦!?
武甲山で愛のムチ?
小春、天覧山
あおい母と武甲山
あおい母視点の家族
父撮影の写真
6話 ひかりのデート大作戦!
みんなでホワイトクリスマス!
あおいひかり、名栗湖デート
ひなた宅クリパ、あおいバイト
ひかりあおい
荒幡の富士スマホ写真
7話 初日の出、どこで見る?
クラスメイトと山登り!
あおい父と日和田山
かすみみおゆりと高尾山
あおいひなた
かすみみおゆり
かすみあおいの交差
8話 パワースポットでバレンタイン?
スノーシューにチャレンジ!
ここなほのかと日出山
小春ほのかと赤城山、小沼
あおいほのか
黒斑山山頂写真
9話 渓流釣りって、人生?
ひなた一家と、いざ鎌倉
あおい父ここなひなた名栗川
ひなた父母あおい鎌倉ハイキング
ひなたここな鋸山
10話 新しい季節 1年最後クラスメイトと天覧山
2年クラス別々あおい自己紹介
楓ゆうか小春
水着、久須美ホルダー
11話 また会えたね!富士山 富士山登頂計画
須走ルートから登山開始
あおいひなたここな楓小春
一人ずつ加わる
12話 行こう!新しい頂きへ 本七合目軽い高山病宿泊
早朝出発、合流、ご来光
最高峰の気象観測所
未来のあおい宛にはがき
御殿場ルート下山
-

本作を語るについて、初めに構成について触れておかねばならない。

本作はヤマノススメの4期にあたる。1期は約10年前の5分間のショート枠であったが徐々に尺を伸ばしている。本作の1話~4話は、1期~3期の総集編となっており、本格的に4期に突入するのは5話以降となる。とはいえ、1話~4話の冒頭に新作のショートエピソードを挿入しており、古参ファンも楽しませる構成になっている。

30分枠と言っても、5話から9話は15分2話の2階建てであり、もともとコンパクトな話運びに違和感はない。終盤は富士登山リベンジに向けて、十分な尺をとりクライマックスを作り上げていた。余談ながら、11話12話は40分の劇場版とする構想も有った模様である。

タイトル 時間枠/話数 放送期間
1期 ヤマノススメ 5分枠/12話 2013年1月~3月
2期 ヤマノススメ セカンドシーズン 15分枠/24話 2014年7月~12月
OVA ヤマノススメ おもいでぷれぜんと 28分 2017年10月
3期 ヤマノススメ サードシーズン 15分枠/13話 2018年7月~12月
4期 ヤマノススメ Next Summit 30分枠/12話 2022年10月~12月

感想・考察

背景美術

女子高生×登山を描く作品ゆえに、背景美術はため息の出るような美しさである。本作の主役のひとつと言っても過言ではないだろう。

各山々の山頂の絶景だけでなく、木漏れ日の山道や、小川のせせらぎや、神社までの階段など道中の風景も柔らかく描く。当然ながら、登山によって晴天だけでなく、曇天や雨天などの天候の変化もある。ものすごいスピードで周囲を流れてゆく雲の中に立つシーンもあったり、絵葉書の様に静かな紅葉の湖畔のシーンもある。登山に限らず、日本の自然の様々な美しさを描いており、それだけでも福眼である。

作画

本作はキャラの動きが良く、見ていて気持ちがいい。キャラデザインの可愛さもあるが、動かすときに適度にデフォルメ化されたり、絵や動きが良いと思う。

各話によって作画のイメージが少々変わったりするが、これもアニメーターが生き生きと動かす事を優先してよいというディレクションだったかも知れない。そう考えると、これはこれで味があって良いと思えてしまう。もしかしたら、昔の古い絵柄と今風の絵柄を混合させるためにも、敢えてキャラの作画の幅を許容したのかもしれない。

本作の動きの良さは派手な身振り手振りだけでなく、実は疲れた体にムチ打って足を引きずるように登山道を登るシーンでも生かされている。時には金剛杖やトレッキングポールを使った面倒そうな動きもあるし、普通にランニングで走るシーンもある。本作は、ある意味、運動アニメーションの宝庫とも言えるだろう。

だからこそ、本作において作画力の高さはキャラの動きの芝居にリアリティを持たせるためには必要不可欠なのである。そして、それを見事に描いていると思う。

個人的には、OPや5話Aパート(登山部体験入部)の新しいイメージの作画が好みである。ちょっと暴走気味にクセをだしていたのは、7話Aパート(高尾山初詣)の団子シーン。これは、ちょっとコミカルに降り過ぎていた感があった。

キャスト

1期が10年前からというのもあるが、主要キャストはベテランぞろいであり、声の芝居は貫禄すら感じる。

本作では主人公のあおい(CV井口裕香)のモノローグや呟きが結構多い。あおいの日常でのふとした味わいや、登山中のしんどい気持ちを、声の芝居で積み重ねてゆく作風のため、非常に重要になる。また、あおいとひなた(CV阿澄佳奈)の子供っぽい言い争いのシーンなどもイイ味を出しており、演者による声の芝居は冴えている。

ただ、他のキャラ含めてキャラの声質のアニメ声っぽさが強く、少し古いと感じてしまうところがも正直に言えばあった。この辺りは、10年前から続くシリーズゆえに、一長一短というところか。

テーマ

本作がおもしろいのは、序盤の女子の友達関係から、終盤の富士登山を達成したあおいの人生感にテーマがシフトしてゆくところにあると思う。以下、そのことについて記す。

あおいとひなたのキャラの関係性

1話~4話(1期~3期総集編)

本作の楽しいポイントとして、あおいとひなたの気心の知れた親友だからこその「じゃれ合い」のようなやり取りがあると思う。女子がキャッキャウフフするアニメなので当然と言えばそうなのだが、あおいとひなたの距離感は本当に子供っぽいところが多い。だから、大人の私の視点からだと二匹の仔犬がじゃれ合っているように見える。そのかしましさが微笑ましい。

基本的には、快活なひなたが内弁慶なあおいをおちょくる→あおいがムキになるという構図が多い。この辺りの芝居は、CVの井口裕香さんと阿澄佳奈さんの芝居の良さが光る。

登山の友達には他に楓、ここな、ほのか、小春も登場するが、彼女たちとの距離感はここまで近くない(=砕けた感じにはならない)。

1話では、臆病で内向的でマイナス思考なあおいに対し、手を引っ張って外の世界に連れ出したり躊躇する背中を押すのがひなたというところからスタートしている。平たく言えば、ガールミーツガールであろう。

2話の高山病によるあおいの富士登山リタイアは二人の関係にも重苦しさを残した。あおいは、辛さや不甲斐なさのネガティブな思考で埋め尽くされて動けなくなったし、ひなたの事を考える余裕もなくなっていた。どん底と言ってもいいだろう。ひなたはここなと二人で登頂しご来光を拝むことができたが、あおいが一緒でなかったことにわだかまりが残った。もちろん、ひなたに非があるわけではないが、戻ってきてもあおいに声をかけらない。そんな日々がしばらく続く。

3話で、天覧山でメンタルも回復してきたあおいとひなたが偶然再会し、なんとはなしに仲直りし、また登山したいとあおいが告げる。この辺りの二人の子供っぽさのあるドラマが良い。

ひなたが良いなと思うのは、あおいの手を引いたり、背中を押したりはするが、決して無理強いしないところだと思う。もっと言えば、二人は互いを尊重し合う関係であり、変に拗れた共依存になっていないところが良い。

例外的には、4話でひなたのエピソードだろうか。ひなたは、あおいとすれ違いが多く、あおいが遠のいてしまうのではないかという不安を抱くが、あおいがそれを一蹴して一番の親友と返す。Next Summit全体で観れば、若干浮き気味にも思えるが、ここは12話に繋がるエピソードでもあるので、ここを残したディレクションは分からなくもない。

何はともあれ、まるで神社の狛犬のように、ここまでのあおいは常にひなたと一緒に行動していた。

5話~10話

ところが、新エピソードとなる5話の登山部の体験入部はあおい一人(付き添いは楓)で行ってきて、自分の登山をひとりで見つめ直す。このとき、ひなたは一人校門であおいの下校を待っていた。

6話では、年上のバイト仲間のひかりと名栗湖の失恋小旅行に付き合った。恋愛も知らないあおいだが、傷心のひかりの気持ちに寄り添って、気持ちを軽くしてあげる事ができた。ひかりが傷心だったことはひなたにも内緒である。

7話のかすみたちとの高尾山初詣では、ひなたがあおいにハッパをかけて登山をリードさせ、あおいがかすみにアドバイスしながら登るという成長を見せた。10話の1年生最後の日にクラスのみんなで天覧山に登る際にも、リーダーのあおいを見守り、背中を押したひなた。

2年のクラス替えでひなたと離れ離れになる事を心配していたあおいだが、見事に的中。しかし、かすみの助け舟もあり新しいクラスに悲観することなく滑りだすことができた。内弁慶のあおいも意外と世界は優しいと認識した。ここでは、心配性のあおいが、心配するよりやればなんとかなる、を体験したことに意味がある。と同時に、あおいのひなた依存からの脱却というニュアンスもあるだろう。そして、ひなたは最初から、あおいを信じていたから、あおいの事は心配してなかったと言う。

ここまでで、ひなたという人物が、いかにあおいの主体性を大切にして育ててきたかということがわかる。Next Summitは、あおいの富士登山リベンジと人生観に集約してゆく話なので、あおい自身が壁を乗り越える必要がある。そのためにひなたができることは、一緒にいてあおいが壁を乗り越えるのを応援して見守る。そして、万が一、何かあったら手助けする。

11話~12話

富士登山リベンジは、あおいが幹事となりみんなを誘い、あおいがリーダーとなって進む。なにせ、今回の富士登山リベンジはあおいが主人公なのである。とは言え、あおいは今回も高山病に対する恐怖があり、みんなの足を引っ張るのではないかと不安がる。いつものように、そんなあおいをひなたが元気づける。

あおいが本七合目で軽い高山病になっている事がわかり、ここに一泊して様子見するとなった。この時の付き添いを、間髪入れずにひなたが立候補する。今回、ひなたにとってはあおいと一緒にご来光を見る事に意味があるし、4話でリタイアしたひなたに付き添ってくれたあおいへのお返しでもある。

翌朝、覚悟を決めて山頂に向けて出発するあおいと寄り添うひなた。しんどそうなあおいの様子を見ながら適度に声をかける。あとはもう、あおい次第である。あおいのために荷物から削ったようかんが、あおいから差し出された皮肉を笑うひなたが良い。極限状態にありながら、ふと出てきた日常会話になごむ。

果たして、あおいとひなたは楓たちと合流し、今度こそみんなで一緒に ご来光を拝むことができた。

Next Summitでは終始、心配性のあおいと、それを見守るひなたという構図だった。私は、あおいとひなたではひなたの方が大人だな、と感じていて、それはアンバランスではないかと感じていた。

だが、あおいが日本最高峰の剣が峰から未来の自分宛に出すハガキには、ひなたとケンカばっかしてないでたまには素直になってひなたのいう事を聞きなさい、と書かれていた。これを、ひなた本人に言えないところが、あおいの子供っぽさではある。しかし、この手紙でひなたへの感謝の気持ちを表明したことで、ひなたとあおいの思いのバランスが取れたと思えたし、素直に上手い纏め方だなと感心した。

登山≒人生という深いテーマ

完敗の富士登山

臆病で内向的で、マイナス思考で友達も居ないあおいは、高校で再会した幼馴染のひなたに手を引っ張られる形で登山を始める。緩い登山から始まり、登山仲間の楓やここなも増えた。

しかし、高校1年の夏、富士登山に挑戦するも、八合目で高山病のためダウン。ひなたと一緒に山頂のご来光を見ることは叶わず下山した。この時、あおいは自分のふがいなさ、付き添ってくれた楓への申し訳なさ、なんでこうなってしまたのかという後悔、色んなモノに打ちひしがれてメンタルは完全に弱っていた。完全に他者の事を考える余裕を無くしてしまっていた。完全な敗北であった。

天覧山の標高は197m、高尾山の標高は599m、そして富士山の標高は3776mである。富士山はいつも遠くに見えていて、あおいにとっては憧れになっていた。しかし、登山をはじめて4か月の女子高生が挑戦するにはハードルが高すぎたという面もあるのだろう。早すぎた目標に対し、登山の厳しさがあおいの心に刻印された。

富士登山リベンジ

帰宅してしばらくの間は抜け殻みたいになっていたあおいも、しだいに復活してきて富士登山再挑戦をひなたと誓う。

話の流れとしては、11話であおいが富士登山リベンジを計画し登山口まで移動、12話で再挑戦という流れである。4期の新エピソードとなる5話以降で、10話までは、富士登山リベンジのためのトレーニングや地固めのイベントとなる。

おもしろいのは、登山の経験を積み、体力、忍耐力の向上という直接的なトレーニングのエピソードだけでなく、日常回も富士登山リベンジに繋がっているところだろう。この辺りは、シリーズ構成も兼ねる山本裕介監督の丁寧な仕事ぶりが伺える。

1つは、あおいやひなたの家族との関り。登山の中に出る人柄や、親から見るわが子への視点がおもしろい。渓流釣りでは、あおい父から渓流=人生との話も飛び出す。自然と対話する事が大事で、釣れない事も楽しめば良いのだと。

もう1つは、あおいのクラスメイトとの交流。人前に出たり仕切るのが苦手なあおいだが、リーダーとしてチームを任されミッションを遂行するという事も経験する。これは、苦手克服ということもあるが、富士登山リベンジの幹事となる経験にも生きてくる。

こうした色んな経験が富士登山リベンジの肥しになってゆく。

12話で軽い高山病になりながらも、今度こそは富士山頂でのご来光をみんなと一緒に拝むことができた。

登山≒人生という重ね合わせ

山頂でご来光を拝み、朝ご飯を食べた後に日本最高峰の剣が峰気象観測所に向かう。クライマックスのご来光の先にもまだ道があるというのが深い。

あおいは、登山中に「なぜ登山しているのか?」と何度も自分に問いかける。11話冒頭では、山頂からの絶景がご褒美となるからと答えている。これも間違いではないだろう。しかし、剣が峰の12話の気象観測所までの道のりで、極限状態のあおいは別の回答を出した。「いや、ただ足を前に出すだけ、一歩ずつ、一歩ずつ。」

つまり、自分で選んだ登山なら、登山中の辛さの考えることに意味はなく、進むか休むか戻るかの三択しかないこと。だから、気力があるなら、ただ一歩ずつ前進するだけであると。

もう、この時点で登山=人生になっている。ご褒美のために人生があるんじゃない。人生はただそこに存在し歩み続けるだけなのだと。

あおいは今回の富士登山でも、自分の弱さや、他人に迷惑をかけたら、という不安との戦いであった。しかし、この1年間にトレーニングを重ねフィジカル的にも人生経験でも十分な準備をしていた。あとは富士山という大舞台でその成果を出し切るだけ。最後のピースとは、成功体験=自信だったのだろう。

また、未来の自分宛に出したハガキは、臆病な未来の自分を鼓舞しつつ今よりは強くなってるハズだよね、という激励が書かれていた。あおいは下山途中に、過去から未来に進む自分自身の姿を垣間見る。これは、山頂という極限状態だからこそ感じられる感覚なのだろう。

下山したあおいは、苦しかった富士登山も終わってしまえばあっという間だったと言うが、これも真理だろう。苦しさから解放された平地では、人間はあぐらをかいてしまいがちである。だからこそ、山頂の自分宛てのハガキが、あおいにとってのトロフィー(=自信)になるのだろう。

本作は登山のストレスを努力や根性で乗り越えない。日頃の地道なトレーニングの積み重ねで、いつかそのうち壁を乗り越えてしまう。なぜ、乗り越えられたというロジックは、さして重要ではない。不安や恐怖は必要以上に怖がっても仕方ない。一歩一歩進む事が大切である。そんなメッセージに思えたし、不思議な勇気を貰えた気がした。

数多ある女子高生×オヤジ趣味モノの中でも、きちんと登山が物語やドラマに直結していた本作の作風はとても真摯に感じられた。キャッキャウフフの賑やかしだけでない、確かな深みを感じさせるものがあったと思う。

正直、あおいの富士登山リベンジが成功したところまでで、Next Summitはヤマノススメの物語としてやっと綺麗に完結したと思う。ここまで、あおいたちを連れてきたアニメスタッフの愛を感じさせる良作だったと思う。

OP/ED

OP曲「思いのち晴れ」は、かなり軽快なイメージの作風で、OPとしては正統派である。登山を扱うアニメとは思えない、軽快な動きが堪能できる、観ていて楽しい映像である。

ED曲「扉を開けてベルを鳴らそう」は、マーチ(行進曲)になっていて、一歩一歩前進する本作のイメージそのものである。

EDの原画は、吉成鋼さんが担当しているが、イメージボードがそのままアニメーションになったような味わいの作風が印象的である。そして、各話で絵が変わっており、原作漫画からのエピソードを90秒で見せていたりするので、それだけでかなり内容の濃い映像になっている。話数によっては、曲のテンポに合わせて静止画を切り替えたりしてすべてを動かしているわけではないが、それがまた味わいになっている。

参考

おわりに

ブログを書くにあたり何度か見直していますが、個人的にかなり好きな作品になりました。

賑やかしだけでない、ずっしりとしたテーマがあり、文芸的な良さをしみじみと感じました。それを、脚本家でなく山本監督自身がシリーズ構成をしたところに感心しました。

綺麗に完結しているとは思いますが、5期やれるなら作りたいという事を対談動画でも話されていましたし、ラストも「またいつか…ヤッホー!」でしたので、ゆるく5期を待とうかな、と思いました。