たいやき姫のひとり旅

アニメ感想など…

省スペースキーボード

はじめに

最近、Youtubeなどで省スペースキーボードを調べていたら止まらなくなったので、どのようなモノがあるか整理する。ただの覚書です。

基本的には日本語配列を好むので日本語配列モデルがあれば、そちらを優先して記載する。

一覧

# モデル サイズ 重量 配列 有線
接続
無線
接続
価格
1 HHKB Professional JP Type-S 294x110x40mm 530g 日本語 USB BT 35,200円
2 G913 TKL メカニカル 368x150x22mm 810g 日本語 USB BT 30,250円 27,500円
3 K385 TKL メカニカル 355x127x37mm 650g 日本語 USB - 7,150円
4 ProgresTouch RETRO TINY 325x110x35mm 720g 日本語 USB - 12,358円
5 Huntsman Mini JP 293x103x37mm 460g 日本語 USB - 16,980円
6 NIZ Atom 68 318x109x36mm 630g 英語 USB BT 149.00USD
7 Keychron K6 313x104x??mm 530g 英語 USB BT 69.00$
8 Keychron K3 306x116x22mm 396g 英語 USB BT 69.00$
9 Keychron K12 ???x???x??mm ??? 英語 USB BT ??.??$
10 ThinkPad トラックポイント キーボード II 306x164x14mm 516g 日本語 USB BT 15,900円

※:2021年1月24日調べ

省スペースキーボード

PFU

HHKB Professional JP Type-S

これを選んでおけば間違いはない。60%。静電容量式。電池式(バッテリーは経年劣化するため)のため後ろに出っ張りあり。独立矢印キー。キーカスタマイズ可。

Logicool

ロジクールG913 TKLテンキーレスLIGHTSPEEDワイヤレスRGBメカニカル ゲーミング キーボード

TKL。薄型メカニカルキー。独立メディアキー、ボリュームあり。RGB。キーカスタマイズ可。

ロジクールK835 TKLメカニカルキーボード

安価(中華チェリー)メカニカルキー。TKL。

ARCHSITE

ProgresTouch RETRO TINY(日本語配列

65%キー?チェリー黒軸赤軸茶軸/個別矢印キー+「INS」「DEL」。「ESC」+Fnキーで「半角/全角」(入替可)。USB-A。よくよく考えると悪くない。極一部のキーはDIPスイッチで入替可能。

Razer

Razer Huntsman Mini JP

60%。チェリー赤軸青軸。RGB。キーカスタマイズ可。

NIZ

NIZ Atom 68

静電容量式。65%?HHKB対抗と言われている。多少チープだがカスタマイズ幅が広い。独立矢印キー。英語のみ。Fnキーを左下に設定する事が出来る。

Atm66という60%キーボードもある。

Keychron

Keychron K6

65%。チェリー赤軸青軸茶軸。 英語のみ。キーカスタマイズ不可。右端に、Home,PageUp,PageDown(慣れが必要?)。

Keychron K3(2021年2月販売予定、予約受付中)

75%。薄型メカニカルキー。赤青茶白黒橙。 英語のみ。6段(Fnキー段あり)。キーカスタマイズ不可。右端に、Home,End,PageUp,PageDown(慣れが必要?)。

Keychron K12(販売予告のみ)

60%。チェリー赤軸青軸茶軸。英語のみ。Fn1,Fn2キーがある。キーカスタマイズ不可。

Lenovo

ThinkPad トラックポイント キーボード II - 日本語

おわりに

定期的に欲しくなる省スペースキーボード…。

ワンダーエッグ・プライオリティ

はじめに

ワンダーエッグ・プライオリティの覚書。

考察ブログを毎話書くほどの元気と時間がないので。

覚書

ゲームシステム

アイが興じているのは何らかのゲームの様にも思える。そのゲームシステムを整理する。

  • ゲーム名
  • アバター
    • プレイヤー
      • アイ(#1,#2,#3,#4,#6)
      • ねいる(#5)
      • リカ(#3,#4,#7)
      • 桃恵(#4)
    • エッグ(死者?)
      • 西城くるみ(#1)
      • 鈴原南(#2)
      • みことまこ(#3,#4)
      • 美和(#4)
      • 瑞希(#4)
      • 綾香(#5)
      • 葵(#5)
      • 吉田ヤエ(#6)
      • 志乃(#7)
      • 阿波野寿(#9)
      • 栗田薫(#10)
    • 彫像(自殺した友達?)
      • 長瀬小糸(#1,#2)
        • 場所は学校の校舎の屋上
      • ちえみ(#3,#4)
      • ハルカ(#4)
        • 場所はは駅のホーム
      • ねいるの妹?(#5)
        • 場所は大きな橋の上
      • ワンダーキラー(エッグのトラウマ)
        • 斧女子生徒(#1)(くるみのいじめ張本人?)
        • 体罰顧問(#2)(南に体罰パワハラで死なせた?)
        • 浜辺の怪物(#3)
        • マダムサチコ(#3)(ゆーゆのファンで警察沙汰に。ゆーゆの自殺の原因?)
        • 会社の専務(#4)(美和に痴漢)
        • ハチ女(#4)(瑞希女性専用車両?)
        • ヨダレ(#5)(家出少女の綾香を囲い身体を要求した?)
        • 巻き毛(#5)(ナルシストの葵の美しさを汚す?)
        • 怪物少女(#6)(幼女の悪霊、怨霊のたぐい)
        • ムカデ(#7) (新興宗教の教祖)
        • ドクター関(#9)(寿に医療センター長の座をとられた恨み妬みs)
        • 剣道部顧問(#10)(薫を合宿で押し倒し妊娠させた)
      • ザコ
        • ミテミヌフリ(#1-)(不特定多数のイジメ加担者?傍観者)
        • アンチ(#6-)(ヒーローに対する嫉妬、妬み。ミテミヌフリの進化系)
      • ハイフン(CV大谷育江)(#10)
        • セーラー服に細長くて黒い頭、と思いきや開くと蝶々の羽(#10)
        • 桃恵に圧倒的な恐怖を与える(#10)
      • フリル(#10)(ハイフンのボス?)
    • カウントダウン(CV山口愛)(#10)(ゲームクリアした彫像の幕を下ろす(#10)
  • ルール
    • プレイヤーは、
      • エッグをガチャポンで購入する
      • エッグを持って寝る(夢の中でゲーム開始)
      • エッグを割ってエッグ少女を出現させる
      • 敵を倒して、エッグ少女を敵から守る
        • 敵を倒した場合、
          • 彫像(自殺した友達)が温かくなる?
            • →最終的に、彫像(自殺した友達)が生き返る?
        • 時間切れの場合、
          • エッグ少女はエッグに戻り、またゲームをやり直す
          • エッグ少女は回復する
        • 敵に殺された場合、
          • プレーヤーが死ぬ?
            • →その先はエッグ?
        • 敵を倒し続け、プレイヤーの問題を克服すると、ゲームクリア(#10)
          • 彫像が一瞬生き返るが、その後、エッグ少女と同様に煙に消える(#10)
          • ハイフンが現れる(#10)
            • 桃恵ケース:圧倒的な死の恐怖を植え付ける(#10)
      • ダメージ
        • ゲーム内ではダメージを受けないが、ゲーム後リアルでダメージ受ける
        • ゲーム内でも目と心臓はダメージを受ける(死ぬ?)
        • リアルの体に相当な負荷を与える(=高地トレーニングのように身体が鍛えられる)
      • 武器
        • エッグ少女が持っていた道具が武器になる?
        • 取得した武器は次回以降のゲームでも使える
          • アイ
            • 4色ボールペン(くるみ)(#1,#2,#3,#4)
            • 新体操のリボン(南)(#2)
            • ペンライト(みことまこ)(#4)
            • 数珠(ヤエ)(#6)
          • リカ
            • カッターナイフ?(#3,#4)
          • 桃恵
            • 傘(#4)
          • ねいる
            • コンパス(#5)
      • ワンダーアニマル
        • 普段はポマンダーのペンダント
        • プレイヤーがこすって温めて羽化させ、刷り込みで親だと思わせる
        • 「ベニ」で卵からかえる。「レジ」で卵に戻る
        • プレイヤーを守る。(#7)
        • アンチが大好物
          • アイ
            • レオン(カメレオン)(#6-)
          • ねいる
            • ピンキー(蛇)(#6-)
          • リカ
            • マンネン(亀)(#6-)
              • 空を高速回転しながら飛行(#7)
          • 桃恵
            • パニック(ワニ)(#6-)
    • エッグ少女は、
      • チャイムが鳴るまで敵の攻撃から逃げ切る(#1)
      • トラウマを克服する(#2)
        • 成功
          • →煙となって蒸発
            • →彫像になる
        • 失敗
          • →再度エッグになる
      • ダメージ
        • 有効。流血する
    • 場所は、
      • 複数人のプレーヤーが近接して寝た場合、思いの強い場所に引っ張られる。
    • 彫像は、
      • 涙を流す(?)
      • プレイヤーがエッグ少女を守ると温まる。→生き返る?
      • プレイヤーは自殺現場のビジョンを知らなければ(寿の)彫像を探しに行けない。(#9)
      • 植物人間(=まだ身体的には生きているが、意識は無い)の寿がエッグ少女として登場した。(#9)
      • ゲームクリア後、一瞬生き返るが、エッグ少女と同様に煙に消える(#10)
    • 敵は、
      • エッグ少女を攻撃する
  • ゲームシステム運営側のヒントの台詞
    • アカ裏アカ「死の誘惑があったとしたら?」「誘惑に惑わされ後悔しているかもしれない。そういう子供達を生き返らせたいと願う子のためにこの場所(地下庭園)はあるんだ」(#4)
    • 美咲「死の誘惑の秘密。ねいる様が真相に近づいています」「あどけない悲しみ」(#9)
    • アカ「少女達の自殺。本当の理由を言ったら、彼女たちは誰も戦わない」裏アカ「ああ。元々の原因は俺たち二人にあると知ったらな」美咲「そうでしょうか?私は逆に立ち向かってくれると思うんです。少女だから、同じ少女の悲しみを理解して」(#9)
    • アカ裏アカは、ジャパン・プラティの創始者。肉体を捨てて脳だけをキープ(#10)
    • アカ裏アカ「僕たちの目論みは外れてしまうかもしれないねえ」「そうだな」「タナトスに立ち向かうには、対極にあるエロスの戦士たちが必要だ。桃恵はもう一度、行ってくれるかな?」「さあな。知っちまったからな。圧倒的な死の恐怖を」(#10)

登場人物

  • プレイヤー
    • 大戸アイ(CV相川奏多)
      • オッドアイが原因でいじめに合う(#1)
      • 転校生の長瀬小糸が親友になる(#1)
      • 小糸を裏切る(#1)
      • 小糸飛び降り自殺する(#1)
      • 不登校になる(#1)
      • エッグ(くるみ)を入手しゲームに参加(#1)
      • 「赤信号はみんなで渡っても怖い」(#1)
      • エッグを守ると彫像の小糸が生き返ると聞きハイテンション(#1)
      • エッグ(南)を購入(#2)
      • 帰り道でねいるに声をかけるが相手にされない(#2)
      • エッグを買う理由を「自分が嫌いで、変わるためでは?」とねいるに言われる(#2)
      • エッグ(南)のゲームに参加
      • 「悪いけど、ただのパワハラですから」(#2)
      • ねいるを見て命懸けのゲームである事を理解し始めた(#2)
      • エッグ(???)を購入(#2)
      • ねいると友達になる(#2)
      • ねいるとSMSを頻繁にやりとり(#3)
      • ねいるを見舞いに行きエッグを届ける(#3)
      • リカの彫像ちえみに対する酷い言い方に怒りを覚える(#3)
      • 教室で沢木先生に泣きすがる小糸を目撃し、その場を逃げる(#3)
      • 「誰でもすぐに許しちゃう」とネイルに指摘される(#4)
      • リカの事は言葉と行動が違うが悪い子じゃないと認識(#4)
      • 初対面の桃恵を唯一女子と気付いた(#4)
      • 可愛いフェチ(#4)
        • 母親が以前ファッション雑誌の編集長をしていた影響(#4)
        • ねいるの服装が可愛い(#1)
        • 南のスタイルが良い(#2)
        • 桃恵の首筋と喉ぼとけが好き(#4)
      • ねいる、リカ、桃恵を自宅に呼ぶ(#5)
      • 沢木先生の絵のモデルになる(#5)
      • 小糸に沢木先生の絵のモデルを辞退する様に言われる(#5)
      • ママは仕事も家事も完璧にこなす、それが両親の離婚の原因と考えている(#5)
      • 母親と沢木先生の交際してもよいか?聞かれる(#6)
      • その事で、気持ちのやり場に困り、不貞腐れる(#6)
      • ねいるに「アイは沢木先生が好き」と言われ否定し動揺する(#6)
      • ヤエとの関りの中で、見えない疑念に振り回されずに、「見て」敵を倒す(#6)
      • ヤエの数珠を握りしめ、学校まで走って、沢木先生に登校する事を宣言する(#6)
    • 青沼ねいる(CV楠木ともり
      • エッグを12個(以上)購入(#1)
      • エッグはキャリーケースに入れて運ぶ(#2)
      • アイと目を合わさずアイとの関りを避けてた(#2)
      • アイに対して「自分が嫌いで変わるためでは?」(#2)
      • 「私は自分が大好き」(#2)
      • 妹を死なせた(#2)
      • 公園からバスに乗って帰宅?(#2)
      • ブルー株式会社 副社長 青山ねいるの名刺(#2)
      • 病院に運び込まれ手術。その後ICUへ(#2)
      • ICUに来た女性は田辺美咲(EDテロップ)(#2)
      • リハビリ中にアイと友達になる(#3)
      • ペットボトルのジュースの匂いをいい匂いと言う(#2)
      • アイにエッグを買ってきてもらう(#3)
      • お調子者のリカを警戒する(#3)
      • 急速に体調回復し退院(#4)
      • 会社の社長(#4) →名刺の副社長と異なる?
      • 退院後、リムジンに乗って出社し、第一秘書の田辺美咲と面会(#4)
      • リカとは口喧嘩友達?(#4)
      • エッグ少女たちに共感した事は無い(#5)
      • 妹はねいるの背中を切りつけて橋から飛び降り自殺(#5)
      • 背中の傷が疼いて寝られないときがある。(#5)
      • 戦う事で背中の傷の疼きをおさまる。妹のためではなく自分のために戦う(#5)
      • 他の3人のかしましい会話からはちょっと距離を置いている(#6)
      • オッカムの剃刀」発言にみる、本質的な鋭い指摘(#6)
      • はじめから両親は居ない。面倒がなくていいっぽい発言(#7)
      • 合理的で思った事をすぐ口にする。私は女性社会に向いていないのかも発言(#7)
      • 生還したリカに「死なないで」リカから「お前もな」(#7)
      • 高IQ集団、ジャパン・ピラティに所属。優秀な遺伝子配合で産まれた試験管ベイビー(#9)
      • 阿波野寿は信頼できる、そして楽しさを共有できる親友だった(#9)
      • (社長業のためか、)論理的思考に長けておりそれに基づき行動する(#9)
      • しかし、時に矛盾する内面の感傷の説明がつかず悩んむ(#9)
      • 沢木先生の個展「潜熱」で沢木先生に対峙する(#10)
        • 髪を縛り両目を出しおめかししていた(#10)
        • オッドアイの女性」の絵。手前に椿の木と赤白の花。大戸アイが大人になったときの絵。(#10)
        • 沢木先生が多恵を愛している、と聞き涙ぐむ。(失恋)(#10)
        • 意を決して、沢木先生に小糸の死の真相について尋ねる(#10)
    • 川合リカ(CV斉藤朱夏
      • 解散したジュニアアイドル「渾身全力キッス」のピンクだった(#3)
      • 渾身全力キッスは、ピンク、緑、黄色、ブルーの4人組(#3)
      • 両親は離婚。母親と暮すが母親嫌い。帰宅したがらない(#3)
      • 父親は、美人は財布不要とリカに言った(#3)
      • リカの右の二の腕に剃刀で切った傷跡(リスカ?)多数(#3)
      • お財布を持たず周囲に奢らせる(#3)
      • アイを尾行し、ねいるの見舞いも同伴、アイの家でケーキ、風呂、寝た。(#3)
      • ねいるを冗談でアイドルユニットに誘った(冗談)。アイはバックダンサー(#3)
      • 大人との会話でいい加減な感じで調子を合わせる(#3)
      • ねいるのキウイを横取り(#3)
      • 「もう切らない(リスカしない)」と誰かと約束をしている(#3)
      • リカの彫像はリカの大ファンだったちえみ(#3)
      • ちえみの事は、ブスでデブで手汗がキモイ、財布だった、と酷く言う(#3)
      • 万引きしたちえみを拒絶した(#3)
      • 死んだちえみ(ミイラみたい)の葬儀に出席した(#3)
      • (デブだった頃の)あのちえみに会うために戦う(#3)
      • ねいるとは口喧嘩友達?(#4)
      • 親より女を優先する自分の母親を嫌う。アイの母親を羨ましがる(#5)
      • エッグを買うのを止めないか?と言い出す。結局、エッグを買う(#5)
      • アイママと沢木先生の再婚で、アイが不幸になる事を心配する(#6)
      • 母親の千秋はバー経営。店舗の2階が住居。帰宅時にバーカウンター後ろを通る構造(#7)
      • 母親の事をだらしなくて駄目な女だと毛嫌いする。(#7)
      • 幼少の頃の父親の「美人は財布持たなくてもいい」発言は覚えているが、顔は覚えていない(#7)
      • 中学生になったら父親との面会の約束を母親としたが会わせてもらえず(#7)
      • その時に父親のファイブカードを渡される(#7)
      • 14才の誕生日の日、3人に母親の事、父親のファイブカードの事を愚痴る(#7)
      • 会えないからこそ、強く父親に憧れる(#7)
      • 帰宅後、寝る前にアムカしようとするがマンネンを見て思いとどまる(#7)
      • ムカデの毒にやられて、嫌な事全部放棄し、思考停止し、ムカデに洗脳されそうになる(#7)
      • マンネン→リカをリカ→千秋に置き換え、唯一の母娘関係な事、嘘ばかり現実逃避の母親への反発心思い出す(#7)
      • 自分の弱さを認め、受け入れる。アムカ跡が逃避しようとしている自分を客観視させてくれる(#7)
      • 戦い後、バーで冷蔵庫の誕生日ケーキを食べ母親と対峙し、一部母親を受け入れる(#7)
      • ねいるの部屋での化粧大会を企画する。(#9)
    • 沢木桃恵(矢野妃菜喜
      • 十中八九、初対面で男子に間違えられる、この事にコンプレックスを持つ(#4)
      • 一人称は僕、服装や身なりは男子(#4)
      • 可愛いモノが好きなのに、可愛いモノを見に付けない(#4)
      • 彫像はn夏の保健室で告白を受けたハルカ(#4)
      • 沢木先生の姪(#5)
      • 沢木先生は、保護猫をたくさん引き取っているような優しい人物と主張(#5)
      • 6人の女子から告白された。女子にもてること自体はまんざらでもない(#5)
      • 桃恵を女子として見てくれたハルカが、レズとして体を迫ってきて驚き拒絶した(#5)
      • 他3人が沢木先生を悪人扱いする事に腹を立てている(#6)
      • ねいるの部屋でのたこ焼きパーティーを企画する(#9)
      • 男子にホモとして告白され、女子の恰好でデートして破談(#10)
      • ゲーム内で栗田薫(心は男子)に女子として認められ告白され照れる(#10)
  • 彫像
    • 長瀬小糸(CV田所あずさ
      • 転入先で大戸アイの親友になる(#1)
      • 飛び降り自殺する(#1)
      • アイのゲーム内に彫像で登場(#1)
      • アイから小糸にイジメの標的が変更に(#2)
      • イジメの原因は沢木先生の贔屓されている思われているからと発言(#2)
      • イジメで体操服と靴を汚され捨てられる(#2)
      • イジメで服を脱がされ悪戯される(#2)
      • アイにイジメの証拠動画の撮影を依頼したが上手く取れず。アイを許す(#2)
      • 沢木先生に伏見がちに追従するイメージ(#2)
      • 教室で沢木先生に泣きすがっていたのをアイに目撃される(#3)
      • アイに沢木先生の絵のモデルを辞退するように言う。その後、沢木先生の絵のモデルをする(#5)
      • アイとこっくりさんをして、小糸はその人と両想いか?訊ね、イエスと答えられる(#9)
    • ちえみ
      • 渾身全力キッスのピンク担当、川合リカの大ファンだった(#3)
      • 小遣いもお年玉も全部リカに貢いでいた(#3)
      • 万引きを換金してたのがバレてリカに拒否られた(#3)
      • 死んだ時にはやせ細っていた(#3)
    • ハルカ(本渡楓
      • 夏の保健室で桃恵に胸を触らせる(#4)
      • 桃恵を女子として好きになり、桃恵にレズとして迫るも桃恵に拒絶される(#5)
  • エッグ少女
    • 西城くるみ(CV安西知佳)
      • いじめに合い自殺?(#1)
      • アイのゲームでクリア(#1)
      • 過去に友達が欲しくてエッグを購入したことがある(#1)
      • (ゲーム後)誰かの夢で彫像になっている(裏アカ)(#1)
    • 鈴原南(CV佐藤聡美) 
      • 新体操部顧問のパワハラ体罰を受ける(#2)
      • 自己肯定感が無く、恐怖で顧問の言いなりに(#2)
      • 死因は不明確だが、行き過ぎた体罰で死亡?(#2)
      • アイのゲームで勇気を振り絞って顧問に反抗し、アイを助ける(#2)
    • みことまこ(CV井上麻里奈、CV田辺留依
      • ゆーゆの大ファンだった(#3)
      • ゆーゆの自殺を追っかけて自殺した(#3)
      • 現金欲しさにパパ活していた(#3)
      • 逃げ惑うアイにペンライトを授け、スマホでゆーゆの「カラフル」を再生してマダムサチコをひるませた(#4)
      • リカとアイのファンになって消えた(#4)
    • 美和(CV花守ゆみり
      • 何日も同じ男に痴漢にあっていた(#4)
      • ある日勇気を出して痴漢を訴えた事で痴漢は現行犯逮捕された(#4)
      • その痴漢が父親の会社の専務で、父親は解雇(#4)
      • その事で母親に、痴漢ぐらい我慢しろと責められた(#4)
      • 可愛くありたい、でも、可愛い=痴漢の犠牲者の構図に納得がいかない(#4)
      • 桃恵を守るため、ワンダーキラーに身体を触らせる素振りのフェイントを見せる(#4)
      • 痴漢は死んでも嫌(#4)
      • 桃恵を男子として恋をして消える(#4)
    • 瑞希(CV古賀葵
      • 性別は関係ないと、桃恵が女子であっても愛してしまう(#4)
      • いつまでも桃恵と居たいと願いながらキスを迫るが、触れる直前に消える(#4)
    • 綾香(CV千本木彩香)
      • 家出少女。 制服の上に、ジャンパー。マフラー。帽子(#5)
      • 家庭内で愛されず、愛に飢えていた(#5)
      • ビビッて、隣の駅までしか行けなかった小心者(#5)
      • 家出で拾われた中年男性に身体を求められた?(#5)
      • 度肝を抜くの意味知らず、頭は弱い(#5)
    • 葵(CVLynn)
      • グラサン。黒髪ロング。白いワンピース。グラサン(#5)
      • ナルシスト。大人は醜く、少女の今が最高に美しく、ここで生を止めるのが美学(#5)
      • しかし、死んだ事で(もしくはこの美学が)誰からも見向きされない寂しさ、虚無感を抱えた(#5)
    • 吉田ヤエ(CV宮下早紀
      • 霊感が強く、悪霊、怨霊が見える(#6)
      • 霊感の事を友だちも親も信じてもらえず、病院に入れられる(#6)
      • 病院内は、幽霊のたぐいに加えて、さらに生霊が酷く悩まされる(#6)
      • 誰にも理解されない孤独の中で、怨霊が見える恐怖に疲れて自殺?(#6)
    • 志乃(CV島袋美由利
      • 母親体弱く、父親仕事上手くいかず、新興宗教にハマる(#7)
      • 全てを新興宗教に捧げて丸裸になったあげく、一家無理心中(#7)
    • 阿波野寿(CV宮本侑芽)
      • ねいると同じ、優秀な遺伝子配合で産まれた試験管ベイビー(#9)
      • IQ高く、頭脳明晰、ジャパン・プラティのメンバ(#9)
      • 生まれつき色素が少ないアルビノ(#9)
      • 前向きで明るい。「人生を楽しみましょう」(#9)
      • 雑誌「フォーチュン」の表紙を飾った事がある(#9)
      • ねいるの会社のビルの地下にある医療センター長だった(#9)
      • 精神医学の博士で生命の神秘を科学的に研究していた(#9)
      • 自身で臨死実験を繰り返し、臨死体験中の快楽に溺れ、こちらの世界に戻って来れなかった(#9)
      • 「死の誘惑」「あどけない悲しみさらわれる感覚」というワードをねいるに残す(#9)
      • パラレルワールド物が好き(#9)
      • 死後もパラレルワールドで離れて生きている、とねいるに言った。(#9)
      • 政府による回収、大人たちに身体を解剖される事を嫌がり、ねいるに生命維持装置の停止を頼む(#9)
      • ねいるの心から信頼できる、そして楽しみを共有できる友だちだった(#9)
    • 栗田薫(CV三澤紗千香)
      • 性同一性障害(身体は女子、心は男子)(#10)
      • 合宿で剣道部顧問にレイプされ妊娠、その後中絶(#10)
      • ゲーム内で男子の心で桃恵を好きになり、桃恵に告白しキスをして、煙に消える(#10)

覚書 第12話「」

覚書 第11話「」

覚書 第10話「告白」

  • アバン
    • 桃恵のデート
      • おめかしして電車に乗る桃恵。待ち合わせで相手が待っていた。男性の後ろを歩く桃恵。公園。手弁当。談笑。映画館。男性の手が桃恵の手に重なる。BGMがスマホの映画のスタッフロールと重なる。夢と分かる。起きてクローゼットを開ける。ワンピースで喜び溢れる顔になる桃恵。
  • OP
    • 地下庭園でアカ裏アカに詰め寄るアイ、リカ
      • アイ「二人ともジャパン・プラティに関係しているの?」アカ「何の事だい?」リカ「とぼけんな! 私は美咲さんがあんたらと話しているのを見たんだ」アカ「君たちは会社で寿を見舞ってたんじゃ、なかったのかい?」裏アカ「まあ、誤魔化せないな」ねいる「創始者よ。二人が、ジャパン・プラティの」ねいるの髪型に驚くアイとリカ。ねいる「何?」リカ「ねいる、キャラチェンか?」ねいる「変なら戻すけど」リカ「戻すな、戻すな。やっぱ、いいモンもってんじゃん」アイ「うーん。お姫様みたい。いや、王女様かな」ねいる「これ」リカ「え、誰?」ねいる「右がアカ。左が裏アカ」リカ「まーじ。アカ、めっちゃイケメンじゃん」裏アカ「俺は?」アイ「グレテそう」裏アカ「あのなー」アイ「で、二人は人間だったの?」アカ「今も人間さ。肉体を捨てて脳だけキープしている」アイリカ「えーっ、グロ過ぎ」裏アカ「昔は若き天才科学者。今は只の木偶人形」アカ「ん、うん。ま、聞きたい事は山ほどあるだろうけど」アイ「あ、桃ちゃんだ(SMS)」…「男子!」「ていうか、上いかない」ねいる「わかった」アイリカ「恋バナ、恋バナ」アカ「ぼくらに聞きたい事があったんじゃ?」裏アカ「恋バナには勝てんな」
    • テーマパーク
      • アイ「あ。桃ちゃーん」桃恵「髪型変えたんだ」ねいる「ええ。桃恵もいつもと違うね」アイ「うんうん」桃恵「そう?」リカ「わー。いいからさっきの続きを聞かせろよ」桃恵「あー。うん。今日デートした」リカ「どこで知り合ったんだよー。女子高だろ」桃恵「フォロワーさん。それで、始めて会った時に言われて」アイ「何を?」桃恵「告られて」アイ「いいなー」桃恵「でもー。次とか無いから」アイリカ「えー」アイ「なんで?」ねいる「デートしたら違った?」桃恵「うんん」桃恵「私、男子に告られたの初めてで、私なりに目いっぱい女の子っぽいカッコして、足なんか出しちゃって、待ち合わせ場所に行ったら、思いっきりドン引いた顔で見られちゃって」アイ「引くって、どうして?」桃恵「彼は私を男子だと思ってたんだ。うふふ。てゆー笑い話があった、って事」リカ「笑えないだろ。それ」桃恵「笑ってよ。じゃないと惨めになる。あー、これお弁当。得意料理だから食べてよ…」
    • アイの部屋
      • 机に向かって行き詰まっているアイ。
    • (回想)学校、沢木先生に声をかけるアイ。ラベンダー色のコスモス?
      • アイ「失礼します」沢木先生「どうしたの?大戸さん」「先生。学校辞めるって本当ですか?」「うん。なんとか絵描きとして食べて行ける目途が付いたからね」「逃げるわけじゃなくて」「逃げる?」「いえ」「大戸さん。小さいけど個展を開くんだ。よかったら見に来て」個展のチケット「潜熱」
    • アイの部屋。個展のチケットをコルクボードに貼る。
      • アイ「どうする? レオン君」レオン「あ~~~」
    • 桃恵の部屋。ワンピースをカーテンレールに引っ掛けてる。桃恵は寝てる。ワニのパニックが桃恵の耳たぶを引っ張る。
      • 今日のデートを思い出している桃恵「パニック。君は男子? それとも女子? いいよね。見た目で判断とかじゃなくて」桃恵を元気づけるパニック「がーが」桃恵「あー。好きな人と一緒になりたいなー」
    • (桃恵のゲーム)
      • 百貨店?アンチに取り囲まれている。
        • 桃恵「ベニ」パニックがアンチを駆除してる。薫「ボク、栗田薫」薫を見る桃恵。薫「あーいや、私って言うのがなんか恥かしくて」桃恵「大丈夫だよ。あなたは私って感じだから。それともギャップ萌え狙い?」「君の名前は?」「沢木、桃太郎。まあ、何とでも」「桃。桃子? 桃恵? 桃子ちゃん」「桃恵」「ボク、君みたいな背の高いクール美形がどストライク」「あー、そう。わかった。君はそれでもいい、って方ね。ハルカと一緒だ」「ハルカ?」「女子だけど、ボクを愛してるって」「L(レズ)って事? 違う、違う」「違うの?」「ボク、心は男子なんだよ」「え」全てのアンチを食べ尽くしたパニック「わー」薫「すげーな、あのワニ」桃恵「ありがとう。パニック。おいで」薫「パニックっていうんだ」桃恵「お腹いっぱい?」煙が二人を覆う。薫「何だ、これ!」桃恵「薫君、大丈夫?」薫を見失い、走り出す桃恵。
      • 剣道部顧問「会いたかったぞー。薫」薫「嫌だ! 離して」「こんな可愛くて色白。抱きしめると折れそうだ。心だけが男子なんて信じられるか!たわけ!」桃恵「薫君!」薫「桃恵!」剣道部顧問の頭に閉じ込められている薫。剣道部顧問「お前も、薫を狙っているのか?」桃恵「なんだ、こいつ」薫「剣道部の顧問だよ。相談に乗ってもらってたんだ。いい先生だと思ってたんだ。でも、合宿所で押し倒されて、ボク、妊娠したんだ。赤ちゃんには申し訳なかったけど、ボク、ボク…」桃恵「それ以上、言わなくていい」怒りを隠せず走りだす桃恵。剣道部顧問「俺は強いぞ」攻撃を弾きながら走り続ける桃恵「私も強い」剣道部顧問「ちあーっ!」桃恵「信頼させてから搾取する。この世で一番卑怯で嫌いなヤツだ」剣道部顧問「お前も薫を狙っているんだろう」桃恵「その、キショイ嫉妬ごと、ぶっ刺してやる!」鼻が切り落とされる剣道部顧問。桃恵「今開ける」剣道部顧問「私の上に、勝手に乗るんじゃない」投げ飛ばされ壁に当たる桃恵。剣道部顧問「私の薫に言い寄る男はみんな殺す。近づく足を切り、話しかける口を裂く」
    • (アイのゲーム)
      • アイ「桃ちゃんはどう? 大丈夫かな」裏アカ「お前はいつも他人の心配ばかりしてるけど、自分の戦いに集中しないと、足元をすくわれるぞ」アイ「分かってる。分かってるけど」アカ「それとも自分の心配を誤魔化すためにそうしてるのかい?」(回想)「潜熱」のチケットを見るアイ。沢木先生「描いた絵が賞をもらえたおかげだよ」「小糸ちゃんの?」「一番奥に飾ってある。君は是非、見て欲しいんだ」
    • (桃恵乃ゲーム)
      • 剣道部顧問「薫。自信を持ちなさい。お前ほどキュートな女を見た事がない」薫「ボクは…。ボクは男。男子なんだ」剣道部顧問の押さえつけを跳ね返し始める桃恵「そして、私は女子だー!」剣道部顧問を投げ飛ばす桃恵。シャツの胸を引きちぎりブラを見せる桃恵「勝負だ」剣道部顧問「なんと」剣と剣がぶつかる。桃恵「おととい、おいで」桃恵の剣が伸びて、顧問の頭部を割る。桃恵「跳んで!」ジャンプする薫。剣道部顧問「素晴らしい。改めて君を指導したい」爆発する剣道部顧問。
    • 別れの駅のホーム。回送電車がまいります。
      • ベンチに座る薫と桃恵。薫「次に生まれ変わったら、今度はボクが君を守ってあげる」桃恵「勘違いしないで。女子の誰もが守られたいって、思ってるわけじゃないよ」「そっか、ごめん。君はどうなの?」「私に選択肢なんてない」「そんなことない。君は素敵な女の子だよ」「あなたは、勇敢な男の子」「サンキュー。年下は平気?」「何歳下かにもよるけどね」「予約させてよ。それまで彼氏を作らないって」「予約? 薫く…」桃恵にキスをする薫。煙に消える薫。驚いた表情のままの桃恵。その後に真っ赤な顔で照れ、パニックに「しーっ!」 
    • 彫像の場所。彫像の周りに白と紫の布の囲い。
      • 桃恵「何、これ」カウントダウン「5、4、3、2、1、0」布が落ちて彫像の方を見る桃恵。ひざまずくハルカ。こっちをみてにっこり微笑むハルカ「桃恵」ふらふらと歩み寄ってくるハルカ。抱きしめ合いそうになるが、すり抜けてハルカは消える。桃恵「え。でも、彫像が無い。終わったんだ。本当に終わったんだ」天井から水が落ちてくる。見上げる桃恵。
    • 外、夕方。高圧電線。
      • アカ「桃恵はもう、来ないよ」アイリカ「え」ねいる「ゲームクリアしたのね」アカ「ご名答。君たちも彼女の後に続けるよう、精進してくれたまえ」リカ「桃恵のヤツ、一抜けたってか。連絡くらいしろってゆーの」ねいる「そうね」アイ「ゴメン、やっぱり私、用事思い出した。先帰るね」リカ「何だよ、やっぱりって」ねいる「じゃあ、また」リカ「ラーメンでも食ってく?」ねいる「ええ」
    • アイの家。母が夕食の準備中。
      • アイ「ただいま」風呂に入るアイ。髪を後ろに縛り、両眼を出す。ヒールの靴を履く。母親「アイちゃん、どうしたの? こんな時間から」アイ「ちょっと、みんなと」「みんな?」「みんな」「そう。きちんと30分おきに連絡入れてね」「うん。行ってきます」電車の中でやや下を見ているアイ。ギャラリー。オッドアイの女性の絵。驚きながら見るアイ「私。ううん、でも違う?」沢木先生「君だよ。でも、大人になった君だ」「大人になった、私ですか」「誰かに似ているとは思わないかい?」「ママ」「そう。いつか君はお母さんのように素敵な大人の女性になる。やさしく強く美しく」「ママの事、愛しているんですね」「うん。心から」涙を流すアイ。沢木先生「その、ママの娘だから。君は自信を持っていいんだ」「先生」「ん」「私、聞きたい事があるんです。小糸ちゃんはなぜ死んだんですか?」
    • 地下庭園。
      • めくっていた本を閉じるアカ「僕たちの目論みは外れてしまうかもしれないねえ」裏アカ「そうだな」「タナトスに立ち向かうには、対極にあるエロスの戦士たちが必要だ。桃恵はもう一度、行ってくれるかな?」裏アカ「さあな。知っちまったからな。圧倒的な死の恐怖を」
    • 桃恵の家の晩餐。母親と桃恵。唐揚げ。
      • 怯えた表情の桃恵。
    • (桃恵のゲーム)
      • 彫像が消えたシーンの続き。水滴が天井から落ちてくるホーム。
        • ハイフン「いっけないんだー。先生にいってやろ。おめでとう。ミッションコンプリートだよ。あの子は生き返った」桃恵「ベニ」「見逃してあげたい。自分の身の危険も顧みずって、友だち思いに免じて。でもなー、バレると私がフリルに怒られてしまう」「フリル?」「面倒くさいから単刀直入に聞く。お前ここで死にたいか?」ハイフンの細長い顔が開いて蝶々の羽になる。ビビる桃恵。とびかかるパニック。ハイフン「まあ、そうだよなー」鎌で口を切られるパニック。恐怖の表情、涙を流し、膝をつく桃恵「パニック…」ハイフン「なら、こいつで目をつむってやるか」何度もパニックを槍で突きさすハイフン「ワニは鶏肉に味が近いと言う」羽を閉じた顔。パニックの生肉を食べるハイフン「お前も食え」
    • 再び桃恵の家の晩餐
      • 流しでゲロを吐く桃恵。母親「大丈夫。桃ちゃん」桃恵の部屋。ベットでシーツをかぶり怯える桃恵「眠れない。眠れない。眠れない…」涙を流す桃恵。
  • ED

覚書 第9話「誰も知らない物語」

  • アバン
    • テーマパークに4人で集まり、ねいるを囲う
      • アイ「平熱だ」桃恵「脈も正常」リカ「それじゃまさか、会社が倒産したのか?」ねいる「してない」桃恵「もしかして、人を…」ねいる「殺してない」リカ「じゃあ、なんであんな事を」ねいる「家に遊びに来ないか、って話?」リカ「何か、理由があんだな」ねいる「なんとなく?」リカ「嘘つけー!お前はなんとなくで動く女じゃないだろー!」桃恵「じゃあ、ホントに遊びたいだけなんだ」ねいる「そう、ホントに」アイ「良かった。行く」ねいる「うん。アイはいつがいい?」アイ「じゃあ、日曜とかどうかな」リカ「よう、そうと決まれば作戦タイムだ」桃恵「楽しくなってきた」アイ「あ、私、なんかお菓子持って行こうかな。何が食べたい?」リカ「はい、とにかく高いヤツがいいです」アイ「ネイルに聞いてるの」桃恵「じゃあ、私、タコ焼き器持って行こうかな」リカ「そんなのよりさあ」桃恵「そんなの?」リカ「いいから聞けって」リカ「あ、日曜大丈夫だった?」ねいる「うん」アイ「ちょっとー、二人はー?」桃恵「もちろん、大丈夫だよ」リカ「いいに決まってる」
  • OP
  • 日曜日
    • ねいるの会社。4人に説明する秘書の田辺美咲
      • 美咲「これは、社長の夢を録画したものです。ここで研究している技術を使えば、脳波を分析して被験者が見ている夢を映像化する事が可能です」リカ「夢じゃないけどな」桃恵「でも、現実とも言えないしね」リカ「凄いんだ。脳科学って」リカ「アイ、録画してもらえよ。妄想のエッチいヤツが貰えるぞー」アイ「リカと一緒にしないで」
    • エレベータで地下に向かう4人と美咲
      • リカ「まーさか、会社に住んでるなんて。社会科見学の気分だよ」桃恵「ねいるっていった何者?」ねいる「実像主義的な問いかけね」美咲「プラティという団体は御存じですか?」桃恵「はい。確か凄いIQ高い人達しか入れないって」美咲「ねいる様は、ジャパン・プラティのメンバーです」桃恵「へえ、やっぱり凄い頭いいんだ」ねいる「論理的な思考に長けているだけ」美咲「社長。御謙遜を」ねいる「私はメンバーの人口受精で産まれた」桃恵「ああ、それで最初から親が居ないって」リカ「まじか。親が誰か教えてくれねーの」ねいる「意味は無い。ただのカップリングの二人だから」リカ「自分の悩みがちっぽけに思えるわ」
    • 地下9階
      • 美咲「地下9階、着きました。ここからは医療フロアです」アイ「ねいるはお医者さんでもあるの?」ねいる「うーうん。個々の責任者は私じゃない。今は代理を務めているだけ」リカ「なー、未だ着かないのー?」ガラス越しにベットに置かれる赤蝶ネクタイの熊のぬいぐるみを見るアイ。リカ「うほほー」
    • ねいるの部屋に到着
      • 美咲「では、私はここで」ねいる「うん、ありがとう」リカ桃恵アイ「ありがとうございました」リカ「うふぇー。ここがねいるの部屋?」リカ「うは、本やば」モルモットを指さして桃恵「ねえ、ねいる。この子名前は?」ねいる「アダム」桃恵「触ってもいい?」ねいる「うん」リカ「片付けろよ、この紙」桃恵「おいで、おいで」アイ「どこで、たこパしようか?」ねいる「あ、ちょっと待ってて」
    • たこ焼きパーティー
      • 桃恵「来週テストなんだよねー。全然勉強してないよー」リカ「私も。ねいるはいいよなー。こんなでっかい会社の社長だなんて。なんつーか。住む世界が違うってゆーかさー」ねいる「私は」桃恵「それより、リカ。そろそろじゃない?」リカ「おうーし、そんじゃやるか」化粧箱を広げるリカ。桃恵「なんか、色々楽しめるモノって、昨日リカと盛り上がって」化粧瓶を持ってアイ「綺麗な色」マニキュアのリカ「どうよ。大人っぽくない?」桃恵「みんなで、ネイルとかしてみよっかって」桃恵「やったことある?」目を輝かせるアイ「うーうん」桃恵「爪綺麗だね」アイ「え、そうかな」リカ「ねいるは私が」ねいる「やだ」リカ「大丈夫だよー。失敗しないから」
    • リカがねいるの、桃恵がアイのネイルを塗る
      • アイ「桃ちゃん、上手いね」桃恵「どうだろう。でも一応私、栄養士になりたくて。そっち系の学校に以降かなって」アイ「へー。凄いね。ちゃんと考えてるんだ」リカ「私ー、外国とか行ってみたい。英語で仕事すんのカッコ良くね?そんで、イケメンと国際結婚」ねいる「結局それ」アイ「私はどこに行きたいかな」リカ「あー、いやいや。旅行の話じゃねえぞ」アイ「あ、でも。一人暮らしはしてみたいかも」桃恵「あ、分かる。確かにそれも夢だね」桃恵「はい。出来た」アイの右手、水色のネイル、人差指だけ紫色のアイ「ここだけ違う色」リカと一緒に手を見せる桃恵「おそろい」アイ「ねいるは?ねいるの夢は何?」リカ「あー。まだ聞いてなかったか」桃恵「いつの間にか、全員言う流れに」ねいる「私は多分、ずっとこのままだと思う」アイ「え?」リカ「いや、さっきのはほらー。別に一生社長じゃなくても。あ、本が好きなら小説家とかは?」
    • カーテンの前まで歩夢ねいる。
      • ねいる「友だちを紹介するわ。みんなにも会って欲しい」桃恵「友だち?」カーテンを開けると寝室?ベットが二つ。部屋の角がカーテンで囲まれてる。それを開けるねいる。アイ「あ」カプセルの中で眠る少女。アイ「人が入ってる」ねいる「私と同じ、ジャパン・プラティで産まれた阿波野寿」アイ「寿、ちゃん」覗き込むアイリカ桃恵。アダムは彼女のペット。リカ「髪の色が…」ねいる「アルビノなの」桃恵「凄く綺麗」ねいる「アルビノは、周りに幸福をもたらすと言われている。実際、寿はいつも明るくて前向きだった。大いに楽しみましょう、って」アイ「だった」リカ「寝てるだけじゃ、ねえの」ねいる「植物状態なの」アイ「え」ねいる「寿は精神医学の博士で、生命の神秘を科学的に分析していた。特に死についてね。臨死実験を繰り返して、あげく、帰って来なくなった」桃恵「臨死実験…」ねいる「難問を解こうとするのは、科学者の性ね」アイ「友だち、だったんだよね」ねいる「うん。夢で寿に会ったの」アイ「夢?」ねいる「エッグの夢」
    • (ねいるのゲーム、寿の夢)
      • 巨大化した蛇(ピンキー)を触る寿。
        • 寿「この子、凄いね」ねいる「ピンキーよ」寿「コーンスネイクの一種?」ねいる「さあ?」寿「久しぶりだね。ねいる」ねいる「寿!」寿「アダムは元気?」ねいる「ええ。あなたも元気そうね」寿「まあね。退屈はしていない。でも、良かった。あなたにサヨナラを言う機会をもらえて。神様に感謝しなくちゃ」ねいる「神の子じゃないでしょ。私達は」寿「神を信じられない科学者は無能よ」ねいる「私は根っからの科学者じゃない。知ってるくせに」寿「もちろん。ただの意地悪さ」ワンダーキラーの影が横切ったのに気付くねいる。寿「私を守るんでしょ。それとも、私に守って欲しい? あら、いいわね。素敵な武器。大いに楽しみましょう」
        • ドクター関「見いつけたー」攻撃をしかける。ピンキーに助けられるねいる「ピンキー!」遠巻きに戦いを見る寿「何それ。面白い」ピンキーに二人乗りアンチから逃げるねいると寿。寿「飛ばせ、飛ばせー。急がないと追いつかれちゃう」ねいる「寿、何故死んだの? 何故戻って来れなくなったの」寿「脳内アドレナリンが出ると死の恐怖を超えるためにお花畑をみるという。私は一輪つんで、あなたに持ち帰りたかった。うふ」ねいる「ふざけないで!」後方のアンチに銃を撃つねいる「今度ふざけたら許さない」寿「あなたのいる世界の私は確かに死んだ。でも、だからこそ実感できたの。やはり、ねいる。パラレルワールドは存在するわ」ねいる「あり得たかもしれない世界の可能性。あなたの好きだった物語のジャンルね」寿「そう。パラレルに私達は生きている」ねいる「それは良かった。だけど私はもう、あなたに会えない」寿「会える事で満足するのは下世話だよ。遠距離で別れるバカップルじゃあるまいし」ねいる「そんな達観、まだ私には無い」寿「あの、タナト第四段階には、甘い蜜のような香りが漂っていた。食虫植物に捕食される虫になったような気分よ」ねいる「死の誘惑」寿「誘惑と言うより何だろう、身も心もさらわれる感覚ね」ねいる「さらわれる?何に」寿「あどけない悲しみに」ドクター関「ぺちゃくちゃとうるさいモルモットが」銃を発射するが、ドクター関の攻撃がピンキーにヒット。ピンキーから落下する二人。
        • 寿「ピンキーは?」ねいる「大丈夫。すぐ再生する」「そう」「私は諦めない。どんな手を使っても、あなたを死に至った場所に行って、彫像になったあなたを生き返らせる」寿「死に至るビジョンをあなたは見ていない。抽象的な場所に行く事は不可能よ」ねいる「なら、私も臨死実験をして」「バカ言わないで。あの領域に行ったらあなたも死ぬ。そしたら、現実の私はどうなるの?」目を潰されて目くらうちのドクター関。寿「分かるでしょ、私の体はいずれ政府が回収に来る」ねいる「そんな事、私がさせない」「ただの入れ物よ。だけど私なりに愛着はあった。大人たちに触られたくない」「分かってる」「なら、私のして欲しい事も、分かっているはず」「いえ」「ダメよ。あなたはそんなに鈍くないでしょ」ドクター関の攻撃が近くに当たる。
        • ねいる「何で。何でいつも勝手な事ばかりするの。あげくの果てに全部私に押し付けた」寿「独創的な研究方法だって、褒めてくれないの?」「人の気持ちなんか全然考えてない」「慣れてるでしょ」「だからって、普通死んだりしない」「普通じゃない方が楽しいじゃない」「私は全然楽しくない」「なんて顔してるの。大丈夫。新しいお友達ができたんでしょ」「なんで?」「前より、少し柔らかくなったから」「でも私達とは違う」「あなたは、人と縁を持てた。それはとても素敵な事。大事にしなきゃ」「あなたがそこに居ない」「別の世界線で、その子とも友だちになるよ」
        • ドクター関に捕まる寿。ドクター関「やっと捕まえたぞ。調子に乗ってるガキめ。寿。お前だけは奇麗な体のまま、開胸しなくちゃ気が済まない」寿「あんた誰?」「私はなー、寿。お前に夢を医療センター長の座を奪われたドクター関だー! お前の体を事細かに分析して、もう一度あの栄光の日々に返り咲くのだー」「あー。私の身体に興味深々だった奴かー。これが私のトラウマか。確かにこいつにだけは解剖されたくなかった」ねいるの攻撃を食らい、寿を落とすドクター関「何?」落下する寿をキャッチするねいる。
        • ドクター関「バカ者ー。私は世界の関。いくつもの博士号を持ち、フューチャーに論文が掲載された事もある」寿「私はフューチャーの表紙なった事がある」ねいる「私も」ドクター関。「へっ、認めんぞー。それならこの問題を解け。超難問だ。何と正解率ゼロ%。点ABCDを通る円の半径を求めよ。ぐはははは。天才にしか解けんよ」ねいる「私が抜いてあげる」寿「私も抜いてあげる」ドクター関「小便臭いガキには無理!」ねいる「あなたの度肝を抜いてあげる」ドクター関「なーら、堪えて見ろ!」ねいる寿「答えは、そんな円は存在しない」ドクター関「げ、バカな。こんな小娘たちが私も解けなかった難問を秒で」止めを刺そうとするねいる。寿「必要ない」注射器を自分に打って自殺するドクター関。ねいる「ドクターなんとか。プライドだけは高いのね」寿「プライドチキン」ウケるねいる。寿「そんなに面白かった?」ねいる「友だちが言いそうな事だったから」寿「ふふ」
        • ねいるの夢の映像を見て拍手する美咲「ブラボー」銀幕で映像は続いている。寿「現実の私をよろしくね」ねいる「分かった」「何をすべきか、ちゃんと言葉にして」「なぜ」「あなたは言った事は必ずやる人だから」「あなたの生命維持装置を外す」「うん。いろいろゴメンね」「ホントよ」「ありがと」
    • ねいるの部屋
      • アイ「エッグに寿ちゃんは」ねいる「そう。もはや奇跡すら起きない。寿は死んでいる」リカ「だからって。身内でも無いのにそんな事勝手に」ねいる「分かってる。だけど、もたもたしていると政府が回収に来る。アルビノの天才は貴重なサンプルになる」アイ「サンプル」リカ「でも、それは理屈じゃん。そんな、まるで生きてるみたいに普通に眠ってるみたいなあの子を殺せるのかよ」ねいる「もう死んでる。ただの入れ物だ」桃恵「悪いけど私は見ていられない。あっちで、ミテミヌフリやアンチを切り裂くのとは意味が違う。そうでしょ」リカ「そうだよ、リアルじゃんか。そんなのいくら頼まれたからって、あんまりだよ。普通にやろうとするお前の神経疑うわ」ねいる「それなら、帰ればいい。別に見学してくれと頼んだわけじゃない」桃恵「そういう言い方は無いと思う。私達だって心配して」ねいる「何の心配?」桃恵「そりゃ、友だちだから。もし、そんな事をして、あなたがトラウマってゆーか、引きずるってゆーか」ねいる「そんな事なら問題ない。死んでる人間の呼吸機を止める事に、何のセンチメンタルも私には無い」生命維持装置の停止ボタンを表示させるねいる。リカ「あ、そーですか。頭がイイって怖いな」ねいる「私には人の情念のような暑苦しさの方が怖い」リカ「それ、私の事言ってんのかー、えー、おい」アイ「止めてよみんな。寿ちゃんに聞こえるよ」リカ「ま、それが普通の人間の感傷だよな。聞こえてるかもしれないって」ねいる「くだらない」アイ「ともかく、ねいるも、せめて一晩考えてからにして」
    • ねいるの会社から帰る3人。
      • アイ「やっぱり私戻る」リカ「おい!アイ」桃恵「アイは寄り添えるから。ねいるの気持ちも一人でいる方が返られるかも」リカ「まあ、そうか。何かねいるも意地張ってやがるからな。アイなら溶かすか」
    • ねいるの部屋。電気を消して、プラネタリウムを付けている。部屋の前に立つアイに気付くねいる。
    • 地下庭園。アカ裏アカがモニターの美咲と会話している。
      • 美咲「死の誘惑の秘密。ねいる様が真相に近づいています」裏アカ「寿がヒントを与えたしね」美咲「あどけない悲しみ」裏アカ「お前は適当な事言って誤魔化していたけどな。へへ」アカ「少女達の自殺。本当の理由を言ったら、彼女たちは誰も戦わない」裏アカ「ああ。元々の原因は俺たち二人にあると知ったらな」美咲「そうでしょうか?私は逆に立ち向かってくれると思うんです。少女だから、同じ少女の悲しみを理解して」茂みに隠れてこれを見ている桃恵とリカ。リカ「何。どういう事?」「あの人も、アカ、裏アカと何か関係があるって事?」
    • ねいるの部屋
      • ねいる「止めに戻ったの?」アイ「寿ちゃんの事を聞きたくて」「そう」「寿ちゃんは他になんて」「他に?」「ねいるに相談してもらいたい理由」「大人たちに触れられたくない」「ほらね。そういう事まで話したら、二人はもっと理解してくれたよ」「そう?」「うん」ねいるは素直じゃないね」すすり泣くねいる「ちゃんと、押そうとしたけど、指が震えた」「うん。前にね、小糸 ちゃんとコックリさんした事があるの。小糸ちゃんはその人と両想いかどうかって。多分沢木先生の事だったんだろうけど。コインはイエスの方に、私は力を入れてなかったから小糸ちゃんが、って思ったけど。凄く嬉しそうだったの。あんな嬉しそうな顔、自分で力いれて動かしたのになるのかなって。もしかして、小糸ちゃんを喜ばせようと、知らず知らずに私が、って。でも、ホント分からない。それって、ファンタジー」「うん」アイ「二人なら、」アイねいる「ファンタジー
    • 地下庭園。碁を打つアカ裏アカ。
      • アカ「寿の検体は明日の朝、回収予定だった」裏アカ「ああ」「その前になんとかしてやれって。ねいるのワンダーエッグを寿にしたのは君だろ」「ただの偶然だ」
    • ねいるの部屋
      • ねいる「ありがと」生命維持装置の光が消える。
    • ねいるの部屋。いくつかの本をキャリーケースに入れて、アダムの籠を持って部屋を出て行くねいる。
      • ねいる「今は酔うべき時です。時に虐げられる奴隷になりたくないなら、絶え間なく酔いなさい。酒でも歌でも道徳でも。なんでもお好きなモノで」寿「大いに楽しみましょう。一度きりの人生を」
  • ED

覚書 第8話「明るい友だち計画」

総集編のため割愛

覚書 第7話「14才の放課後」

  • 平日朝(リカ誕生日)
    • 各自の朝。リカ桃恵アイは登校準備、ねいるは寝起き。LINEで会話。
      • 誕生日を告げるリカのスマホ。思いついたように口紅を塗るが失敗。ネクタイを締めるアイの写真。
      • アイ「どうかね」ねいる「いいかんじ」アイ「今日ってみんなひま?」コテで髪型整える桃恵「おはよう」「アイの校章ピンバッジ?」アイ「何時ごろならLINEしていい?」「ピンバッチ」「すぐなくす」ねいる「13時から会議アリ」「午前中ならOK」アイ「ケイタイ持ってく!連絡する!」ねいえう「(マッチョ)たえろ!」「うちの学校携帯可」「(ALWAYSマッチョ)」ねいる「ぱくるな」「まっちょ」リカ「これかわいい」「アイきゅんスカート短いぞ」
    • 千秋(リカ母親)のバー。カウンターで突っ伏して寝る千秋。登校するために上から降りて来たリカ。
      • 灰皿のタバコに水を差しコップを乱暴に置くリカ。音で起きる千秋「リカ。待って」「今日誕生日でしょう。好きなもんでも買いな」5千円をリカに手渡す。そのまま差し戻しリカ「これで、パパの事教えてよ」「あんたまさか、まだアレもってるの?」「ふーっ。あたしたちを捨てたパパにそんなに合いたい?」「ママを捨てたんでしょ」「なんでそういう言い方するの。あのね、リカにはまだ分からないだろうけど」「酒くさいっ」千秋を突っぱねるリカ。
  • OP
  • 放課後
    • 地下庭園前テーマパーク。すでに、アイねいる桃恵がテーブルで会話中。遅れてリカが合流。
      • アイ「レオン君、小さい時も何でも食べちゃうの」桃恵「肉食な感じなのにね」ねいる「へえ、この子も雑食で」勢いを付けてリカ「よーーっ!」アイ「リカ!誕生日おめでとう」リカ「サンクス」桃恵「お祝いしなくちゃね」リカ「ヒッキー解除祝いも兼ねてねー。いきなりなんだもん。なんのお告げ?」アイ「うふん。なんか家で悶々と考えてても埒空かないかなって」リカ「うふん。悶々てー、やらしいなあ」アイ「そういう意味じゃない」ねいるの背中をタッチしてリカ「どうだかなっ」ねいる「大丈夫だったの。イジメとかあったんでしょ」アイ「それが不思議なんだけど、大丈夫だったの。休んでたせいかな。腫れ物扱いって感じ」桃恵「それって大丈夫なの?」アイ「うん。みんなのおかげ。孤立したって外には3人も友達が居るんだって」リカ「それな」アイ桃恵「な」桃恵「なんかあったら何時でも言ってよ」ねいる「いざとなったら、レオンに捕食させたら?アンチみたいもんだし」アイ「ありがと」ねいる「お礼はいらない」リカ「アイ。やっぱり友だちって素敵だな」アイ「リカちゃんも何かあったら何時でも言って」リカ「わかった。今日、みんなには私の愚痴に付き合ってーもらう」アイ「愚痴?」
      • たけのこの里、フライドポテト、チョコサンドビスケットを食べるワンダーアニマル4匹。
      • 机に写真を並べるリカ。「パパのファイブカード」桃恵「まさか、パパ活?」リカ「するか!」リカ「この中に私の本当のパパが居る。さあ、本物はだーれだ」アイ「リカちゃん?」リカ「この人なんか、ちょっと眉毛とか似てね、私に」桃恵「えぇっ」リカ「と言ってもー、正解は私も知らない。つかー、この中に居るのかどうかも怪しいけどねー」桃恵「どういうこと?」写真の母親を指さしてリカ「この女と約束したんだ。中学上がったらパパと会わせるって。約束、したんだけどさあ」
      • (リカ回想)
        • 千秋(それがさあ、ママにも分からないのよ。たぶん、その中の誰かだとは思うんだけどー。あっははっ。そんな顔しないの。リカは、正真正銘ママがお腹を痛めた娘なんだから。それは間違いなーい」
      • リカ「それが一番たまんないつーの」神妙な顔をしてアイ「ひどい」リカ「だーろー。嫌なのさ、あの女は。私がパパと会って仲良くなるのが」桃恵「なぜ?」リカ「私が幸せになんのが許せないんだよ。自分が被害妄想の悲劇のヒロイン女だから」桃恵「ストップ。お母さんをあんまり悪く言わない方がいいよ」リカ「なんだよ。私の味方じゃねえの」桃恵「味方だから言ってるの」リカ「私だって自分の母親悪く言いたくないわ。だけど、あんたらのママとは全然違うんだ。自分の思い通りにならないとヒスは起こすわ、思い付きの嘘ばっかりつきやがるわ、ごめんなさいなんて言われた事もなーい。くそプライドだけはある勘違い女さ。もっと幸せになれたハズだって、自業自得のクセに。それで私の事だって憎んでるんだ。まるで私を生んだから幸せになれなかって、言わんばかりにね」桃恵「きっと、お母さんにも事情があるんだよ」ねいる「あなたの方も親を憎んでる。そういうの共依存って言うんでしょ。どこかで断ち切らないと何も変わらないんじゃ…」激昂するリカ「おりこうさんがわかった口きくんじゃねえよ。もういいよ」アイ「リカ!」桃恵「リカ!」立ち去るリカ
    • 一人でソファに横たわるリカ
      • ソファーに手をこすり汚れた手を見るリカ「きったね」ため息をつくリカ「はーっ」歩み寄ってくるアイ。リカ「アイは、追いかけてくると思った」アイ「リカは、追いかけて欲しいと思った。付き合うよ」リカ「何に」アイ「親の悪口」リカ「無理すんなよ」アイ「私だって色々あるよ。それに、私達、母子家庭ズだし」リカ「ネーミングセンス」
    • 歩きながら
      • リカ「アイ。今のリカちゃんは真面目バージョンだよ。だから」アイ「じゃあ。さっきはどうしたの?」「嫌な事、急に全部思い出しちゃってさあ。辛くなっちゃったんだ」「私もママの事、今は嫌い」「最近、自分もいつか、ああなっちゃうのかなあ、って思うんだ」「私達は大丈夫だよ」「だよな」
    • バッティングセンター
      • リカ「大人って時々、別の生き物に見える。好きで結婚したり、エッチするんじゃねえのかよって。私達が子供だからかっ。マジでわっかんねー」
      • 声を聴いて見上げる桃恵「今の、リカだよね。意外と元気そう」ねいる「そうかしら」桃恵「大丈夫。きっとあしたになれば、またいつものリカに戻ってるよ」ねいる「私は女子社会に向いてないのかもしれない」桃恵「どうして?」ねいる「思った事を口に出してしまう。合理的に正しいと思う事を」桃恵「ねいるはいいよ、それで。みんながわかる、そーだねー、じゃ気持ち悪いから」ねいる「私には親との関係で悩む気持ちが分からない」桃恵「ママやパパとは仲いいんだね」ねいる「どちらもいない、はじめから」桃恵「えっ」ねいる「面倒がなくって、イイって事みたいね」
    • 日が暮れて街の明かりを見るリカとアイ
      • リカ「あの灯りの中の、一番小さい光が多分、ウチの店」アイ「へーっ」リカ「うん。アイはさあ、パパとはどれくらいあってるの?」アイ「うーん。月に一度くらい」リカ「良かったな。パパを取り上げるようなママじゃなくって。別れたって子供にとってはパパなのにさあ」アイ「うん」リカ「妄想しちゃうんだよ。会えないから、逆にいっぱい。美人はお財布持つ必要ないって、その優しい声しか覚えてない。顔が思い出せない」アイ「いつか、会えるよ」リカ「いつか。今会いたいんだ。今」涙が頬をつたうリカ。走り出して立ち去ろうとするリカ「しっとり終わり!先、帰るわ。ありがとうアイ」アイ「うん、バイバイ」
    • (リカのゲーム)
      • リカ「マンネン、アンチはまかせた」ワンダーキラーのムカデを見つけて志乃「先生!」リカ「こいつが今日のお題か」志乃「良かったね。これであなたも救われます」リカ「はあ?」ムカデ「むふふっ!」衝撃波で地面が凹む。
      • (リカ回想)
        • 帰宅時にバーを通過するリカ)
          • 客「池田医院のさあ、銀ちゃんが…」「ママさん、お新香ある?「お、リカちゃんお誕生日おめでとう!」「えっ、今日誕生日なの?」「リカちゃんいくつになったの?」
          • 千秋「あはあ。あ、おかえりー。リーカー。ケーキだけ先に食べる」無言で2階に上がるリカ。千秋「ふーっ」客笑い。
        • リカの部屋でマンネン(亀)の甲羅をさするリカ
          • カッターで手荷物リカ「きしょ。死ね」右の二の腕を切ろうとするリカ「うー。ダメ。ダメ」切れないリカ。リカの太腿の上のマンネンを見るリカ「かーめのマンネン。レディ」マンネン「?」「レディ。戻れだよ」
      • (リカ回想終わり)
      • クレーターの中で吹き飛んだリカ。志乃「悩み事は無くなるのよ。全部、ぜーんぶ」リカ「こいつは、なんなんだ」「先生よ!私達をコスモの心理に繋げてくださるの」ムカデ「全てを私に委ねなさい。さすれば救われる」リカ「何言ってんだ。このオヤジ」攻撃を仕掛けてくるムカデ。走って避けるリカに針が一本刺さる。
      • リカ「おーりゃー!」ムカデ「うわーっ」志乃悲鳴。リカ「よわ。とんだ見かけ倒し」志乃「なんてことするの、先生に向かって」リカ「先生?」「愛と宇宙とスピリチュアルよ!」「はあ?」「ママは身体が弱くて、パパは仕事が上手くいかなかった。呪われてるの前世のカルマで。だから執着を止める。物や事への。お家もお金も全部捨てて、やっと家族みんなで宇宙に繋がれたの」「アホか。騙された挙句の一家心中じゃんか」リカの右腕を触る志乃「あなただって辛いんでしょ」リカ「はあ?」ムカデ「一皮むけば同じなのに。皆つまらん美醜、優劣に捕らわれる。持つ者は奢り、持たざる者は妬む」リカ「自己啓発セミナーかよ」リカの右腕を握る志乃「アムカしてるくせに。消すのよ、自分を。そうすれば楽になれる」自分の右腕のリストカット後を見せる志乃。リカ「楽になれる」「ええ」
      • アイ「アカ、リカちゃんの様子はどう?」アカ「自分の戦いに集中すしろ」「泣いてたから気になるの」裏アカ「やべーかもな」アカ「裏アカ」アイ「お願い。どうなってるか教えて」裏アカ「リカは、戦うのをやめちまったよ」
      • ムカデ「私の腕に抱かれる者は、宇宙の神秘と繋がれるのだ」志乃「まだ、力んでる。大丈夫」リカの右腕を注射針で切るムカデ「ほら、痛くないだろ」リカ「うん」ムカデ「何も恐れることはない。ちっぽけなお前が広大なエネルギーの一部になれるのだ」リカ「ちっぽけな私」志乃「先生と一つになるのよ」ムカデ「誰かを羨んだり憎んだりする事もない。自らの業を消し繋がるのだ」リカ「それもいい。ううん。それがいいね」ムカデに覆い隠されるリカ。その会話をポマンダーを通して聴くアイねいる桃恵。
      • アイ「リカちゃん。騙されちゃダメだよ!」リカ「アイ?」「うん。私だけじゃない。みんないるよ」桃恵「リカ、あなたらしくないよ。こんなとこで終わってもいいの?」リカ「あたしらしいって何だよ」ねいる「リカ、しっかりして」みんな「リカ…」リカ「もう、疲れちゃった」ムカデ「力を抜き、身をゆだねなさい。うっへっへっへっ」志乃「そうよリカさん。私もそれで救われたんだから」リカ「私も、救われたい」涙を浮かべるリカ。
      • アカ「一人、失うか…」裏アカ「のようだな」
      • ムカデ「さあ、命のハグだー」リカ「パパ」
      • マンネンがムカデからリカを守る。リカ「ん、マンネン」志乃「なんなのこの亀。邪魔しないで」リカ「マンネン。お前はアンチ対応だろ。そうか、刷り込みをしたから、私をママだと。ママを守らないとって」ポマンダーを通して、アイね桃恵「リカちゃん」「リカお願い」「リカ戻って来て」「リカここにいるよ」
      • リカ「マンネン! あっぶね。もう少しで自己中マジクソ母親になるところだった。ママが一つだけ正しい事を教えてくれた。女に金を要求する男は全部偽物だって!」ポマンダーを握り締めるリカ。ムカデの攻撃を跳ね返す。
      • 志乃「本物よ! 先生は本物。宇宙とチャネリング」リカ「勝手に信じてろ。どっちでもいい。チャネリングでもイカリングでも」ムカデを攻撃しひるませる。回転しながら空を飛ぶマンネンに飛び乗るリカ「あははっ。マンネン行くよ! あなたのハートにズッキューン、バッキューン」リカのナイフとマンネンの死ぬムカデ。
      • リカにかぶさり乗るマンネン。リカ「重い。重いって。よしよし」志乃「あなただって、弱いくせに。アムカしてるくせに」リカ「弱いよ。だから大事なモノ捨てなくていいように、これでバランスとってたんだよ。私は弱い。だけど、それがまんま私なんだ。自分を傷付けてでも私は生きてやる」
  • 翌日、地下庭園
    • 地下庭園。アイねいる桃恵。リカを見つけて駆け寄るアイ「うわーん、リカー!」リカ「こっちが命のハグだろ」リカのグータッチ後にハグする桃恵「リカ」歩み寄るねいる「リカ。死なないで。うふ」リカ「あんたもね。さあ、今日は何して遊ぼうか?」アイ「何する、何する」
  • (時間戻って、)深夜?
    • 閉店して一人千秋が飲むバーに2階から降りて来たリカ。
    • 千秋「あんた、まだ起きてたの」リカ「お腹空いた」「冷蔵庫にケーキあるよ。クリーム、カチカチだろうけど」バーカウンターの厨房側に座りケーキを食べるリカ。千秋「ホント、あっという間。気付いたらお婆ちゃんね」リカ「まだ40じゃん」「38よ」酒をあおる千秋。リカ「ホントだ。カッチカチ」千秋「どうせ、リカも私を捨てるんでしょ」リカ「うん。でも今じゃない」少し間を置いて千秋「そ」
  • ED

覚書 第6話「パンチドランク・デー」

  • 1日目夜
    • (アイのゲーム)
      • 学校の廊下を逃げるアイとヤエ
        • ミテミヌフリが赤い仮面を外し緑の顔になって襲ってくる
        • アイ「こいつら、ミテミヌフリじゃない」アカ「アンチだ。君たちはこの世界で目立ちすぎたという事だよ」アイ「アンチって?」裏アカ「ミテミヌフリの中から嫉妬や羨望で君たちへのアンチが産まれた。顔をさらす勇気は無いが狂気は十分。徒党を組むと強い。下手すりゃボス並みに」アカ「逃げて。あるいは隠れて。狙いは君たち、脚光を浴びるヒーローだ」アイ「私達がヒーロー」
      • 体育倉庫に隠れるアイとヤエ
        • アイ「傷、大丈夫」ヤエに包帯を縛る。アイ「よし。名前は?」ヤエ「吉田ヤエ」「ヤエちゃんね。チャイムが鳴るまでここに隠れていよう」アカ「戦わなければミッションはクリアできない」裏アカ「まあ、今日の所は現状維持だな。対策は考えてある」アイ「でも、ヤエちゃん怪我してる。私のせいで」アカ「問題ない。エッグに戻れば最速で十分再生される」
        • アイ「クソ。見つかったか」アカ「決められた時間まで、エッグの子を守る。それが、最優先だ」
        • 裏アカ「社会の基本は、ホウ・レン・ソウ。声に出して共有しろ」ねいる「私達の最大の目的は、」リカ「ワンダー」桃恵「エッグ」アイ「プライオリティ」
  • OP
    • 大戸家。天気は曇り
    • アイの寝室にアイを起こしに来る母親
      • 母親「アイちゃん。ほら、朝ごはん食べるよー」アイ「昨日は大変だった」「ほら、起きて手伝って」「分かった」「アイちゃーん」「アイ」「分かった!」
      • すまほで、ねいる達とSMSしながら朝食
      • 母親「これも食べる?」アイ「うん」「今日のお昼、アイちゃんの好きなオムライス作っておいたからね」「ホント。やった」「あと、夜はすき焼きするからね」「なんで?」「なんでって。アイちゃんすき焼き好きでしょ」「いつもは特別な日だけじゃん」「そうだっけ。そっかぁ」「アイちゃん。今日は先生とちゃんとお話ししてみない? 先生すごくアイちゃんの事気にかけてくれてる。これからの事、ちょっとづつでも考えて見ない? どうかな?」怒った表情のアイ「考えとく」「アイちゃん」「考えておく!」「はい、はい」
      • SMSで地下庭園は明日にするとメッセージするアイ。ベランダでため息。
  • 2日目昼
    • 無人テーマパークで、アイと待ち合わせの3人
      • 桃恵「それで、そのまま学校いったの?」リカ「そう。口紅テッカテカの目はパンダ」「パンダ?」ねいる「来た」リカ「来た?」ねいる「けど。スキップしてる」リカ桃恵「え?」
      • コーンを蹴り飛ばすアイ。桃恵「どうしたんだろう」ねいる「分からない。何かあったのかも」桃恵「こういう悪夢を見た事がある。酷い結末だったよ」リカ「しばらく、様子みよう」
      • コーンを持って看板を殴り飛ばすアイ。ガラスが割れる音。
    • 地下庭園で、エッグ購入後の4人。アイだけ少し離れてしょげている。
      • アカ「おめでとう。なんとか逃げ出せたようだね」リカ「それにしても、アンチだってさ。勝手にヒーロー扱いだって、私らだって好きでやってるわけじゃないのに」アカ「残念だが理屈は通用しない。どの時代、どの世界でも出る杭は打たれる」リカ「ふん」ねいる「対策は考えてある、だったわよね」アカ「ああ。ほら、ちょうど来た」3人「ん」
      • 箱を持って歩いてくる裏アカ「まいどー」アカ「あの中に、君たちをサポートしてくれるモノが入っている」裏アカ「ま、よーするに、お助けアイテムってヤツだな」桃恵「なんだろ」リカ「さー。まー、普段使いは期待して無いよ。そんないいモノあるなら、最初っから出せよ」アカ「これはとても貴重なモノなんだ。簡単に無くされたら困るからね」裏アカ「甘えるんじゃない、ボケ。って事だ」
      • 箱の中を覗き込むリカ桃恵。4つのアクセサリー。リカ桃恵「クッソ可愛い」アカ「サービスしよう。勿論、一人一個だよ」アイ「ペンダント?」桃恵「これは、ポマンダーだね」リカ「へー」ねいる「で、どうやって使うの?」アカ「まずは、こちらの世界で羽化させる。そんなに難しくは無い。体温に反応するから両手で包んで優しくこすってやればいい。ああ、ここでやってはダメだ。うちに帰って一人の時に開けないと」桃恵「どうして」アカ「刷り込みが必要なんだ。最初に視線を交わしたものを親だと認知する。ベニと唱えれば卵からかえる。戻す時はレジ」ねいる「ラテン語ね」リカ「イケメンのママになりたいなぁ」
      • リカ「ねえ、ねえ。どんなタイプが入ってんだろ。刷り込み前なら交換っこもありだよ。ねいる、私のと替えてみるか?」ねいる「イヤ」リカ「ふんっ。一番ブスなお助け行きやがれ」桃恵「あははは」
      • 心ここにあらずのアイ。桃恵「アイ」ねいる「何か、あったの? 様子が変だから」アイ「長くなりますけど…」
    • 屋上でラブレターを持つ桃恵。泣きながら走り去る女子生徒。冬制服。同じ曇天。
    • 社長室で一人になったねいる。
    • 公園の遊具の中のリカ。
    • アイの自室の二段ベッドの下の段の中のアイ。
      • ポマンダーを羽化させる4人「ベニ」
      • 桃恵はワニ、ねいるは蛇、リカは亀。アイはカメレオン。手のひらサイズの爬虫類が登場する。
      • カメラ目線のねいる「蛇」、右腕の上を歩く亀にリカ「もしもーし」手のひらで跳ねるワニにおっかなびっくりの桃恵、頭の上にカメレオンを乗せて変な顔のアイ「リアクション困る」
    • (アイのゲーム)
      • エッグの割れる音。吉田ヤエ登場。
        • ヤエ「また」アイ「大丈夫、今回はお助けキャラがいる。ベニ」カメレオンがアンチを食べる。アイ「食べちゃった!」裏アカ「彼らはアンチが大好物なんだ」アカ「嫉妬や底意地の悪さが彼らの飯の種さ」迫りくるアンチの群れ。アイ「じゃ、お願いね」カメレオン「フエー」
      • 女子トイレ
        • アイ「アンチはどうにかなりそうだね。どしたの?」「ヤエちゃんはどうして自殺なんか?」ヤエ「見えるの」「見える?」数珠をいじりながらヤエ「死んだ人とか。強い怨念が」アイ「シックスセンスってヤツ?」「ほらぁ、そうやってみんな信じてくれない。とてつもなく怖いモノが、私にだけは見えるの」アイ「ごめん。私には分からない」ヤエ「友だちも気味悪がっていなくなった。親も先生も信じてくれない。それどころか、頭がおかしいって病院に入れられて。でも、ホントに怖かったのはそれからだった。その病院には、それこそ沢山の人の怨念が溢れてて、幽霊が見えるのなんかより、ずっとその人達の声や、恐ろしい顔が頭に一日中流れ込んできて、わーーん」
        • アイ「いい、落ち着いて。私はドックからくるボスから備えるから」ヤエ「もう、居る!」アイ「え」吹き飛ぶアイ。
      • (アイの回想)
        • 1日前の夜。風呂上がりのバスタオルを頭にのせたアイ。沢木先生「大戸さん。こんばんわ」目を背けながら「こ、こんばんわ」母親「ご飯だから、早く髪乾かしてきなさい」沢木先生「あ、手伝いますよ」母親「いえいえ、大丈夫ですから。先生は座っててください」アイ「え、一緒に…」
        • すき焼き鍋を囲む3人。母親「どうぞ」沢木先生「ありがとうございます」一口も付けずに、アイ「ごちそうさま」母親「アイちゃん。ちょっと待って。アイちゃん。ママたち、お話があるの」アイ「学校なら、まだもう少し…」母親「そうじゃないの。とにかく座って」アイ「うん」
        • 母親「落ち着いて聞いてね。ママたち、お付き合いしようかと思うんだけど」驚くアイ。母親「勿論、あなたの賛成がなければ、そうするつもりは無いから」沢木先生「うん」
        • 昼間のエッグ購入後のテーマパーク。浮かれる桃恵「叔父様とアイのママが。てことは私達、親戚って事になるんだねー」リカ「なーにはしゃいでんの」桃恵「いや、だって。ね、アイ」リカ「これが喜んでる顔かよ」桃恵「反対なの?」アイ「好きにすればいい。私には関係無いって」ねいる「ま、精一杯の抵抗ね」アイ「あと、将来絶対面倒みない。一緒にも住まない。どっかに預けてたまにしか会いに行かない、って」リカ「いいねえ、ガツンときた」
        • 桃恵「どうして。ホントのパパが可愛そうって」アイ「ううん。離婚は住んでるし、パパの方にも新しい人が居るかもしれない」桃恵「だったら、別に問題は」リカ「問題はある。はーっ。桃恵。人の話聞いてないのか?」桃恵「小糸ちゃんて子の自殺に、叔父様が関わっているかもしれないって話でしょ。だから、あり得ないって」リカ「あり得たらどうする?先生はママより年下だろ。年下の内縁の夫って事になるんだ」桃恵「だから?」リカ「だからって。内縁の夫の虐待なんて後を立たないだろ。連れ子の息子なら暴力、娘なら性的な」リカ「悪いけど、あなたのママが付き合ってきた男と叔父様を一緒にしないでほしい」リカ「なんだと!」ねいる「つまり先生は、私達の様な若い子が好きで、ママはダミー。狙いはアイの可能性もあるってこと?」桃恵「ないない。叔父様はアイが私の友達だって知ってるのよ」
        • アイ「そんな風には思わないよ。ただ私は小糸ちゃんの事がうやむやになるのが」リカ「マジ再婚ともなれば、ママのためにも先生を庇わざるおえない」桃恵「信じられない。呆れた」アイ「ごめん、桃ちゃん。そういうつもりじゃ」アカ「一体なんの話をしてるんだか」裏アカ「知らん。少なくとも、あのネックレスにどんな服が似合うのか?って話じゃないぞ」アカ「生死を賭けた戦いより、家庭問題が重要だったりもする」
        • リカ「あーあ。結局真相は小糸ちゃんを生き返らせないと分からないって事だよなー」ねいる「オッカムの剃刀。話を複雑にさせている要素がありそうね」リカ「なーになに? まーだなんかあるの」ねいる「アイも先生が好き」アイ「えっ」リカ「ぬふっ。あーっ、いえーっ」ねいる「単純な理論が最良である」アイ「何言ってるのねいる。違う、そんなこと」リカ「あははー。エモい。それは複雑でエモい」アイ「違うから。それこそあり得ないから」
    • (アイのゲームに戻る)
      • 女子トイレ
      • 腰砕けに後ずさりするヤエ「止めて!来ないで。私だって好きで見えるんじゃない。私はあなたの友達でも何でもない!」とびかかり武器を構えるアイ。何も見えないが、襲われ吹き飛ばされるアイ。ヤエ「もう止めて!」アイ「来てる? でも、私には」ヤエ「お願い。その子は殺さないで!」数珠を投げつけるヤエ。
        • アイ「数珠」数珠に触れると数珠が光だす。アイのフラッシュバック。桃恵「小糸ちゃんて子の自殺に叔父様が関わっているかも知れないって話でしょ」母親「ママたち、お付き合いしようかと思うんだけど」アイにも怪物少女が見える。ねいる「話を複雑にしてる要素がありそうね」沢木先生「コンプレックスを持つ必要はないよ。とても魅力的な瞳だからね」ねいる「アイも先生が好き」泣きながら、アイ「違う。違うから」
        • 怪物少女の攻撃を受けとめて血しぶきをとばすアイ「違うから」怪物少女「まさか」アイ「違うって言ってるのに!」怪物少女の攻撃をかわしボールペンを拾うアイ「とさかに来たー!」怪物少女に攻撃が当たる。怪物少女「お姉ちゃん。私が見えるの?」アイ「でも、友だちにはなれない」アイに抱きつくヤエ。抱きしめるアイ「辛かったね。こんな化け物たち、たった一人で」涙を浮かべながらヤエ「信じてくれるの」アイ「もちろん」ファンファーレ。煙に消えるヤエ。
    • アイのベッド
      • ポマンダーをお腹に乗せているアイ「名前はレオン君。まんまだけど。ベニ。レジ。ベニ」母親「先生、お帰りになられるわよ」沢木先生「いいです、いいです。大戸さん、また来週」不貞腐れて毛布をかぶるアイ。
  • 3日目昼
    • 食卓。オムライス。書置き
  • 夕方
    • お風呂。湯船につかり上を見上げるアイ
      • 母親の声「ただいまー。アイちゃんお風呂?」アイ「おかえり」母親「もう。脱いで脱ぎっぱなし。ママいつも言ってるでしょ、お洗濯に出す時はポケットを裏返してって。ポケットに入ってたモノ、ここ置いておくからね」いきなり風呂から飛び出してくるアイ。驚く母親。服を着ていきなり外出しようとするアイ。母親「ちょっと。アイちゃん。風邪ひく」アイ「大丈夫」母親「そんな恰好で、どこ行くの?」アイ「学校」母親「えっ」
    • 雨の中走るアイ。全力疾走。途中でコケそうになる
    • 学校の正門。雨があがり、青空が垣間見える
      • 女子生徒「沢木ー、ばいばーい」沢木先生「さようなら」
      • アイ「先生」気付かない沢木先生。走り寄るアイ。腕を掴まれる沢木先生「大戸さん?」驚きから笑顔に。沢木先生「どうしたの?」呼吸が粗いアイ。沢木先生「大戸さん。空、明るくて綺麗だよ。通り雨だったんだね」アイ「私。私…。学校行きます!」左目をさらす笑顔のアイ。
  • ED

    覚書 第5話「笛を吹く少女」

  • アバン

    • (ねいるのゲーム)
      • 夜のベイブリッジの上。銃撃戦。
        • 銃弾を避けてヨダレに走って接近するねいる。
        • ヨダレ「怖がることはない。俺は神様なんだから」ねいる「なんなのアイツは。それにこの匂い」
        • ヨダレに何かを投げつける綾香「何が神様よ。何もしないっていたじゃない!」
        • ヨダレ「クソ家出少女。世間知らずな馬鹿ども。資本主義の大原則はギブ&テイクだ。ギブ&ギブなんて存在しない」ガトリング砲乱射。「俺は神様で、愛は俺なんだ。愛が欲しくて来たのに俺を拒むのか」
        • ねいる「勝手なことしないで」綾香「ごめん。アイツの匂いも見た目も生理的に無理だったみたい」「あなたたちの考えはいつも理解しがたい。でも、そこだけは同意よ」
        • ヨダレ「おいでー。遠くには行ってないんだろ。あの時も家から一駅しか離れられなかったもんな。結局ビビって逃げ帰っても、家に居場所なんてなかったもんなあ。親に愛されないお前なんか、俺しか愛してやれないてぇのに。家出して一瞬でも救われただろう。あれはガス抜きだよ。そういう関係を築いていければ良かったんだよ。わかるだろ。互いのガスを抜き合おう」
        • ねいる「私が抜いてあげる」発砲。吹き飛ぶヨダレ。下半身が消失。走り寄って武器を突きさす。ねいる「私があなたの度肝を抜いてあげる」とどめを刺されて血しぶきをあげるヨダレ。
        • 走り寄ってくる綾香。「凄い、凄い。でも、度肝って何?」ねいる「ふぅ。でも、しばらくご飯が不味くなりそう」
        • 花火。綾香「ありがとう」ねいる「別にあなたのためじゃない。ギブ&ギブなんて気持ち悪いから」「そうだよね。でも、嬉しかった。誰かに守られるのって。えへへ」コンパスを見つめるねいる「そういうもの」
  • OP
    • アイの家の玄関。
      • チャイムを押すねいる。桃恵「ちょっと、遅れちゃったね」リカ「ここ分かりにくいんだよ」ねいる「静かにして」扉を開けるアイ「迷った」緊張のねいる「うんうん。あ、これお土産」アイ「ありがとう。あ、入って。狭いけど」「おじゃましまーす」
      • 手土産を母親に渡すねいる「青沼ねいるです」母親「まあ、ご丁寧に」リカ「ママさんこんにちわー」母親「あら」桃恵「こんにちわ」母親「あらあら。あなたが沢木先生の」桃恵「あっ。沢木桃恵です。姪です」母親「綺麗なお嬢さんねぇ」リカ「ママさん、あのケーキある?ねいるのお菓子も出して」母親「はいはい。こんなにお友達がたくさん。良かったわねぇ、アイちゃん」アイ「もうっ!」
    • アイの部屋
      • リカ「お願い、お願い、お願い」ねいる「ホント、図々しい奴ね自分のまだ残ってるじゃない」リカ「ケチぃ」桃恵「まあまあ。でもホント、アイが叔父様の生徒だったなんてね」リカ「学校じゃ、女子の人気ぶっちぎりらしいよ。そりゃそうだ。アンタも男だったらお付き合いしたいくらい。チュ」桃恵「よしてよ」アイ「小糸ちゃんも先生を好きだったみたい」桃恵「小糸ちゃんって?」ねいる「アイが助けようとしている子」桃恵「へぇ、そうなんだ」
      • リカ「あー。凄い事気付いちゃったかも」ねいる「何、どうしたの?」「じゃ、言うけど、アイの親友の小糸ちゃんは実は先生と付き合ってたんだよ。で、何かトンデモない事があったんじゃ」
    • 玄関。ピンポーン。来客。
      • 沢木先生「あれ。来客中ですか」「そうなんです、アイにお友達が」
    • アイの部屋
      • 桃恵「ちょっと待ってよ。叔父様はそんな人じゃないよ。家に保護猫をたくさん引き取ってるくらい、優しいひとなんだから」リカ「猫が好きなだけなんじゃなあい」ねいる「表と裏の顔は違うかも」リカ「それな。教師が生徒に手を出してヤバくなってポイって。あっち向いてポイって」桃恵「ありえないって」リカ「妊娠してたりして!」アイ「妊娠!?」ねいる「妊娠」リカ「そ。妊娠」激怒する桃恵「いい加減にして」
      • アイ「ゴメン」リカ「冗談だって。悪かったよ」アイ「小糸ちゃん、なんで死んだりしたのかホントに分からないから、つい」リカ「ふぅ。ママさんに相談してみたら? 先生から何か聞いてないかー、とか。ほら、毎週アイを訊ねてくるのも、もしかして証拠でも握ってんじゃーって」桃恵「ん、んっ」リカ「って事かもしれないじゃん」アイ「聞けないよ。ママ、 先生を凄く信頼しているし、私は心配ばっかりかけてるし。ケガの事だって、私が貝になってるからママも触れてこないのに」リカ「貝ねえ」
      • 笑うねいる。一同「ん」リカ「何。何かのアレルギー」ねいる「いや、貝になってるの想像できるから」「だってぇ」「でも、寝てる間に戦いに出てるって聞いたら、余計心配するだろうね」リカ「下手すりゃ、お薬かもなあ」桃恵「それこそ、信じるわけ無いよ」ねいる「そう。だから他の誰にも話せない」リカ「私達だけの、誰も知らない物語だね」アイ「誰も知らない…、物語」
    • リビング
      • 沢木先生「桃恵が」母親「ええ。先生に似てたからすぐ」「校区が違うのにどこで知り合ったんだろう」
    • (回送)
      • 美術室
        • 沢木先生「コンプレックスを持つ必要はないよ。とても魅力的な瞳だからね」アイ「はい」「僕の目からどうみえるのか? 完成したらそれを自信にして欲しい」「自信なんか」
      • 夕方
        • 小糸「先生は次の展覧会にかけてるみたいなの。賞を取ってプロの絵描きで食べて行きたいって」アイ「私の絵を?」「自信ある? 無かったら辞退した方がよくない? 先生の人生がかかってるんだから」「私」
      • 渡り廊下から美術室を望む。ひぐらしの鳴き声。
        • 小糸がモデルに沢木先生が絵を描く。それを不安げな顔で見るアイ。
    • アイの部屋。ジェンガ
      • リカ「私もアイのママさんみたいな人が良かった」アイ「なんで? リカのままは?」「ウチの毒親は酷いから、多分私産まれた時に母親の顔を見て、『やべ、こいつ親でいるより一生女でいたいタイプだ。どうしようー」って、ぜってー思った」桃恵「うふふ。はい次、リカの番」アイ「確かに、ママは、仕事も家のことも、完璧にこなせる人。でも、それで多分パパは出て行っちゃったんだと思う」リカ「プライド高い男あるあるだなあ。出来る女は逆に男をダメにする」
      • ねいる「なんで私を見るの」リカ「あんたの番だから」ねいる「時代錯誤な馬鹿女」リカ「誰が馬鹿やねん」ねいる「やめろバカ」桃恵「割と仲良しなんだね」アイ「だね」ねいる「違う」リカ「こっちはどーかなー」こらえきれずに笑い出すねいる「あははははっ」
    • (ねいるのゲーム)
      • 橋の上の無数のミテミヌフリ
        • 葵「ねぇ、あなたトリートメントしてる? ちょっと髪が痛んでいるようだけど」ねいる「勝手に触れないで」「束縛は嫌、私の自由にさせて。まあ、いいわ。ねえ、私の髪綺麗でしょ。枝毛一本だってない。今が一番綺麗なの。若さって、何者にも変えられない」「興味ない」
        • 葵「聞いてくれないの? 何故私が死んだかって」ねいる「私は目的を果たすだけ」
        • 一本隣の端にワンダーキラーの影を見てねいる「下がって」発砲。
        • 葵「少女から大人になる。さなぎが羽化する奇跡の美しさ。束の間よ。その儚さから力強さに移る驚異の美の瞬間は」
        • 巻き毛「鏡よ、鏡。世界で一番美しいのは誰? ケケケケ」高速で飛び回る巻き毛。走って逃げるねいる。
        • 葵「やがては劣化する。ウチのママなんてブタよ。いくら脂肪吸引しても、ヒアルロン酸で誤魔化しても劣化なんて止まらない。というより、止めようとする行為自体が醜いったらありゃしない。あなたも綺麗じゃない。何故死なないの?何故一番美しいその時に死なずに意味のない生に執着するの?」
        • 苦戦するねいる「やっかいね。どうやって倒せば」巻き毛「鏡よ、鏡。世界で一番美しいのは誰…」葵「ねえ、どうして死なないの? ねえ、どうして?…」
    • (ねいるのゲーム続く)
    • マンション工事現場
      • 道路を横断しはじめるリカ「来てない、来てない」ねいる「すぐそこが横断歩道なのに」「待ったらイヤじゃん」ついてゆくアイねいる桃恵
      • アイ「桃ちゃんて結構あるよね」桃恵「うん、実は結構ある」
      • 高架下を歩く4人。リカ「わーっ」ねいる「リカ、うるさい」アイ「いえぇーい」ねいる「アイ!」桃恵「響いてる、響いてる」
      • 田んぼの中を歩く4人。アイ「ここって、何育ててたんだろうね」リカ「てーか、腹減った」
      • ボーリング場のある閉鎖された建物入口。
        • 桃恵「うーん、6回くらいかな」ねいる「6回って、多いの少ないの」桃恵「さあ」アイ「それってー」桃恵「全員女の子。みんな真剣に告ってくるから大変なんだ」アイ「憧れかなあ」リカ「宝塚みたいな」アイ「うん」アイ「でも、桃ちゃん。そんなは嫌だよね」桃恵「うん」リカ「神様って残酷ねえ」
        • 施設内スピーカーから。アカ「君たち、持ち込みは禁止だよ。というより早くエッグを買って帰るんだ」リカ「ワンゲームやらしてよー。これ一種のグループセラピーみたいなもんだからさー」アイ「そうそう、一人じゃないんだって思うための」桃恵「じゃないと、私達自殺しちゃうかもー」ボーリング場に電気が入る。アカ「ワンゲームだけだよ」リカ「やったー」
        • ボーリングに興じる4人。アイ「前はピンまで届かなかったのに、マッチョになってる」スマホでアイを撮るリカ「エッグ様様だねえ。今度は桃恵ねー」桃恵「うん」リカ「お、ヤバ。完全にデート写真じゃん」桃恵「女子と写るといつもそうなっちゃうんだ。ほら」リカ「ふーん、あ、ホントだー。あ、この写真合可愛いじゃん」桃恵「これ、ハルカが撮ってくれたんだよね。ハルカは女の子として私を見てくれたんだ」アイ「自殺した友達?」桃恵「うん。だけど保健室でいきなり服を脱いで」リカ「言い寄られたんだ」桃恵「私は怖くて突き放してしまった」リカ「分かる、分かる。女子で友達だと予想外に怖くなる」桃恵「悪寒が走っちゃうんだ。ぞわっ、ぞわーって。どうすれば良かったんだろ」4人沈黙。
        • リカ「まあ、暗い話はよそう。他にもゲームはたくさんある。パーッと遊ぼうぜ」アイ「うん、そうしよ」アカ「何言ってるんだ、ワンゲームだけって約束だったじゃないか」4人「えーっ」アカ「エッグを買え、ここは…」電気が消える。直後に施設内全体の電気が付く。アカ「裏アカ!」裏アカ「ま、いいじゃねえか。よく遊び、よく戦う、さ」
        • ゲーセンを歩く4人。アイ「うわー」リカ「それ何。アイー」
        • レーシングゲームをする桃恵とねいる「まんざら、もてることが嫌いじゃないでしょ。女子相手でも」桃恵「それは、インスタとかでも女子のフォロワーは大事ってゆーか」「中途半端ね」「その気は無かったけど、楽しくなってきちゃったって事、あるじゃん」「そう? そうかも」
        • 地下庭園途中のエッグのプラントを歩く4人
        • リカ「結局、一度も勝てなかった」桃恵「あーゆーの、割と得意なんだよ」
        • ねいる「(プリクラを)始めて取った」アイ「私も」
        • 地下庭園でシートの上に座り込む4人。アカ「もう十分だろ。早くエッグを買って、帰ってから眠るんだ」リカ「ねえ、行きたくないなあ。今最高に楽しいのにー」桃恵「うん。こんなの久しぶり」アカ「全く。君が甘やかすから」裏アカ「戦士の休息って奴だろ。甘やかしの内には入らないよ」アカ「休息のし過ぎで君みたいにゆるゆるになられても困る」裏アカ「固いよ、お前」 
        • 桃恵「そういえば、ねいるの連絡先って聞いてもいい?」ねいる「ええ、あなたのも教えて」桃恵「ああ、うん。私のはこれ」
        • 寝そべって空を見つめるリカ「もう、止めねえ。エッグ買うの」桃恵「えっ」リカ「考えてみれば、ちえみの奴は勝手に死んだんだ。そりゃ確かに原因は私かもしれない。でも、死ぬのなんて反則だし、そこまで責任感じる必要ある?」ねいる「本気?」リカ「だって、そうじゃない?」ねいる「やっぱりアイが見たのは、小芝居ね」リカ「違う!女だから、その時その時で感情は爆発するだろう」桃恵「ちょっと、リカ」リカ「桃恵はどうなんだよ。責任あるか? そりゃあ、罪悪感はあるよ、私だって。でも、自分の命の危険顧みずってまで、責任感じる必要性なくないか?」桃恵「それは…」アイ「リカ。もう止めようよ」リカ「アイなんて、もっとだろ。勝手に死んだんだぞ。相談もなく。アイのせいじゃない。それなのになんで行く必要があるんだよ」アイ「私は、小糸ちゃんがどうして死んだのか、ホントの事知りたいから」リカ「興味本位で死ぬかもしれないんだぞ。ウチの親はともかく、あんないいママさんがいるのに、悲しませていいのかよ。第一、小糸が生き返りたいと思っているかどうかも分かんないじゃん!」アイ「そんなこと…」リカ「へーっ、小糸の彫像が生き返りたいって、話したわけ?」アイ「なんで、そんな事いうの!」桃恵「リカ、止めてよ」リカ「悪役やってやってんだ! 友だちなら出来たじゃんか!」
        • ねいる「ごめん、私は行く。わるいけど、行かなくちゃならない」リカ「なんでだよ。なんで自殺するような。そんな自己中のために…」アイ「リカ。ねいるは妹さんを助けに…」ねいる「違う」リカ「何が違うんだよ」ねいる「妹は私を刺した。そして逃げて橋から飛び降りた」アイ「そんな」ねいる「ICUから目覚めてその話を聞いた」リカ「だったら、なおさらそんな妹なんて」ねいる「今でも傷が疼いて眠れない。でも、あっちに行くようになってから、だいぶ薄れたの。忘れようとすると、呪いの様に傷跡が疼く。だから行く。他に理由は無い。自分のため」
        • 裏アカ「行きたくなきゃ、行かなくてもいい。罪悪感やなぞなぞなんて、それこそそのうち薄れて忘れちまう。いいんだよ。お前らは行かなくても。よかったね。なーに、思春期ってそんなものさ」
    • (ねいるのゲーム続き)
      • 再び橋の上。
        • 葵「美しさはメタモルフォーゼする一瞬の季節。生から死もそれよ。美しい肉体を自ら殺す事もメタモルフォーゼ。醜く老いてゆくのも、老いに抵抗するアンチエイジングも、まるでコメディ。あははははっ」
        • ねいる「どこかに本体がいるはず。一体誰が。誰…? 誰」葵に銃を向けると巻き毛が葵を庇う。
        • ねいる「私があなたの度肝を抜く」発砲。葵の髪の毛が一部吹き飛ぶ。爆発する巻き毛。
        • 葵「どうして」ねいる「別に。ただ、あなたにムカついたの。本当は後悔しているんでしょ。だって、もう誰も綺麗だって言ってくれないから」眼鏡の下から一滴の涙、煙に消える葵。コンパスを持つねいる。花火。ねいる「なぜ、死なないのか? 私を死に誘惑したのね」 
    • (ねいるのゲーム終わり)
    • 地下庭園
      • エッグを買うねいる。
      • アカ「お見事」裏アカ「反抗期さ。行くなと言えば行きたがる。それが自分のアイデンティティを作り上げると知っているから」アカ「ぷっ。あははははっ」
      • ガチャの前のアイ、桃恵、リカ「アイ、金貸して」アイ「持ってない」リカ「まったまたー」
  • ED

覚書 第4話「カラフル・ガールズ」

  • 2話の続き?
    • (桃恵のゲーム)
      • 寝台車で向かい合って会話する桃恵と美和
      • 美和「私、美和です」桃恵「美和ちゃんね。僕は桃…」「桃?」「まあ、何とでも」「あ、じゃあ、桃太郎さん?」「うふふ、じゃあ、それで」 
      • 美和「私、痴漢にあったんです。毎日同じ人だったんですけど、あの日は勇気を出してその人の腕を掴んだんです。この人痴漢です、って」
      • 桃恵「大丈夫だった?」「はい、すぐに周りの人が取り押さえてくれました」「良かった」「でも、何で私って。私そんなに女の子らしい方じゃないのに。よくわかりません」「そうだな」
      • 美和「ない、ですよね」「そんなことないんじゃない」「ホント?」「でも、そのオジさん、パパの会社の専務だったんです」「え」
      • 美和「パパはクビにされました。ママは何でそれくらい我慢できなかったの?触られたって事は可愛いからって事じゃない、って。うっ、う」泣きだす美和
      • 美和「私が可愛いから選ばれたんだって…」
      • 桃恵「落ち着いて。君は全然悪くない。悪くないよ。ね」桃恵の胸で泣く美和「桃太郎さん」
      • 桃恵「大丈夫。僕が守るから」「ありがとう」「肩幅、広いですね」「普通じゃない」
  • OP
    • (アイとリカのゲーム)
      • 霧の森を走るみことまことアイ
      • みこ「逃げてばっかじゃダメだよ」アイ「そんな事言ったって」まこ「そうだよ、戦わないと」アイ「この霧じゃ無理だよ」
      • 花畑で石化したリカ
      • アイ「それに私ひとりじゃ」みこ「アイちゃん」見えない所からのマダムサチコの触手に押され気味なアイ
      • まこ「アイちゃん。これ何かに使えないかな」みこ「私のも」2本のペンライトを受け取るアイ「ペンライト?ありがとう」
      • ペンライトが武器化。六本の触手に立ち向かうアイ「こりゃいいや」「よっしゃ。かかってこい」
    • (桃恵のゲーム)
      • 桃恵と会社の専務の戦い。桃恵の武器は雨傘。フェンシングスタイル?
      • 押され気味の桃恵
      • 会社の専務「触って欲しいんだろ。大人には分かるんだよ。いくら欲しいのか言って見ろ!」
      • 美和「奥さん触ればいいでしょ!好きで愛し合って結婚したんだから」
    • (アイとリカのゲーム)
      • アイ「いい加減、出てこい!」マダムサチコ「やだねー」
      • 矢の束が飛んでくる。みこ「アイちゃん」矢をかわす。「アイ大丈夫?」
      • マダムサチコ「油断大敵」触手が伸びてアイに巻きつき投げ飛ばされる。
      • 高笑いのマダムサチコ「どっちがいい?串刺しか、石にされるか」「どっちもイヤ」「なら、串刺しだ!」
    • (桃恵のゲーム)
      • 「メスにはそういう時期があるんだ」会社の専務の攻撃を受け止める桃恵。寝台車のガラスが割れる。美和「桃太郎さん」
      • 桃恵「出てきちゃダメだ」「触られて喜んでるエロガキのクセに。ちゃーんと気持ち良くしてやるからさあ」「クソ野郎」
      • 美和「わかった。触らせてあげる」
    • (アイとリカのゲーム)
      • アイ「みこちゃん、まこちゃん」まこがスマホでゆーゆの曲を再生し、触手が直前でストップしている。
      • アイ「この音楽は?」まこ「ゆーゆのファンなら、ゆーゆが見ている前で、ファンを串刺しに何て出来ない」
      • まこ「アイさん、ペンライトを上に」「振って」「照れずに」 
      • みこ「あ。まこちゃんえらい」アイ「ホントだ、早く追いかけなきゃ」
    • (桃恵のゲーム)
      • 制服のリボンを解きながら前の会社の専務に向かって歩き出す美和
      • 美和「ホントはドキドキしてたの。スリルとサスペンスってゆうか。可愛いからでしょ、私が」
      • 会社の専務「そりゃそうだ。ようやく分かり合えた」
    • (アイとリカのゲーム)
      • 森の奥にマダムサチコ本体の影を発見するアイたち
      • みこ「アイちゃん」「うん」
    • (桃恵のゲーム)
      • 美和「ええ。やさしくしてね」会社の専務(幼児言葉)「もちろんだよ。ほら、バンザーイ」シャツを脱がして掲げる会社の専務
      • こらえていた攻撃を必死で跳ね返す桃恵「うああぁぁ」会社の専務に走って接近する桃恵
    • (アイとリカのゲーム)
      • マダムサチコに走って接近するアイ「うああぁぁ」「もう、トサカにきたぞぉ!」
    • (桃恵のゲーム)
      • 桃恵「うあぁ」攻撃を左手で受け流す。右手で傘をさす桃恵「おとといおいで!」
    • (アイとリカのゲーム)
      • マダムサチコをぶった切ったアイ
    • (桃恵のゲーム)
      • 会社の専務の頭に突き刺さった桃恵の傘
      • 会社の専務「うーむ、騙したな」美和「あったりまえでしょ。あんたとなんか、死んでもイヤ」血しぶきが桃恵の頭にかぶる。
      • 会社の専務「女はすぐ騙す」
    • (アイとリカのゲーム)
      • マダムサチコ「なんちゃって」復活し触手でアイを取り押さえるマダムサチコ「バーカ、バーカ。馬鹿ガキは、みんな大人の餌食さ。うはー、うーぁははは」逃げようともがくアイ。迫りくるマダムサチコ
      • リカの武器が地面に刺さる。リカ「あなたの急所にズッキュン、バッキュン」マダムサチコをぶった切る
      • アイ「リカ!」リカ「私らはこの世界で不死身。時間で修復されるってわけ」「あっ。そっか」「さっさと片付けよ」「だね」「ユニット再結成」「うん」
      • マダムサチコ「カラフルに行きたいねえ!」
      • 武器を構えるリカ「うふっ。そーりゃーあ」マダムサチコの迫りくる触手を受け止めて切り刻む。
      • ジャンプしてマダムサチコにとびかかるアイ「せーーーっの」アイの武器でぶっ叩かれて飛び散るマダムサチコ。リカ「やり過ぎ」「ふん」リカとアイのハイタッチ。
    • (桃恵のゲーム)
      • ホームの電光表示「回送、列車がまいります」美和を後ろから抱きしめながら回送列車を見る桃恵
      • 目をつむりながら喋る美和「たった一日だけどあなたに恋をしました」「ありがとう」「あなたに出会えて本当に良かった。このまま消えてもいいですか?」「うん」
      • ホームのベンチに横に倒れ込む桃恵「はーっ。疲れたぁ」
    • ★桃恵のゲーム終了★
    • (アイとリカのゲーム)
      • 彫像に触れるリカ「やった。体温が戻ってる」まこ「私達、あなたたちのファンになっちゃった」みこ「ホント、ホント。デビューしたら駆けつけたい」アイ「いやいや。デビューしないから」まこ「ファン一号だよねえ」みことまこ「ねえー。バイバーイ」煙と消えるみことまこ
    • ★アイとリカのゲーム終了★
  • 翌日?昼
    • ねいるの病院
      • 前屈をするねいる。医者「いくらなんでも、まだ退院は早すぎる。筋肉はコツコツ取り戻してゆくしかないんだよ」
      • いきなり走り出しジャンプひねりながら着地、まるで体操選手のように。
      • 医者と看護師に挨拶するねいるとアイ「お世話になりました」アイ「予定より早く出れたね」
      • エレベータ。ねいる「アイとエッグのおかげ。あっちでの戦いは私達の体に凄い負荷をかけるみたい」「高地トレーニングみたいな」「そう」「そう言えば、私、うっすら腹筋割れてきたような」「運動部にでも入って試してみたら」「あっ、アイは学校行ってなかったね」
      • バス乗り場を歩くアイとねいる。ねいる「別に学校だけが社会じゃない」「でも、親の目もあるし」「私も学校に行ってない」「何か言われない」「別に」「そっか」
      • ねいる「この後は?」「エッグ買いに行こうかなって」「私も行っていい?」「もちろん!」
      • 歩みをとめるねいる。アイ「ねいる?」「乗って」「えぇっ」「ひとつ寄らなきゃだけど」リムジンの前に立つねいる。アイ「はい」
      • リムジンの後部座席
      • アイ「あ、そうだリカちゃんなんだけど、悪い子じゃなかったよ」「そ」「天邪鬼っていうか、態度とホントの気持ちは違うっていうか」「お財布取り戻すためじゃないの」「ううん。それは口だけだよ多分」「だといいけど」
      • どこかのでかい建物のホールを歩くねいるとアイ。アイ「おっきい。パパの会社?」
      • エレベータのボタンを押すねいる「アイは、人を信じやすい。 すぐ許しちゃう」「さっきの話」「うん」「だよね。ダメダメなとこだ」首を横に振るねいる「素敵なとこ。ダメだけど、素敵なとこ。そういう子が時々いてくれないと、私たちが救われない」
      • 46階に到着するエレベータ
      • 秘書「お待ちしておりました」「うん。友だちの大戸アイ。こっちは第一秘書の田辺美咲」「こんにちは、大戸さん」「あっ、こんにちわ」「社長、退院おめでとうございます」「うん」アイ驚いて「はーっ、社長ー!?」
  • 夕方
    • 桃恵の帰路?
      • (声のみ)アカ「他にもエッグに挑戦している子がいるんだ」
    • (回想)地下庭園(昼?)
      • 桃恵「どんな子?」裏アカ「ひまわり。かな」桃恵「なにそれ」裏アカ「見れば分かる」アカ「クセがある子たちだけどね。でも、みんないい子だよ。仲良くね」
    • (回想終わり)桃恵の帰路
      • 桃恵「ひまわりね?」すれちがいざまのアイ「ナックのポテト食べた事ないの?」ねいる「ええ」「カリカリでね。温かいとすっごく美味しいんだよ。冷めたらちょっと微妙なんだけど」「そうなんだ」「あっ、でもでも。オーブンで暖め直すという裏技があって…」
  • 翌々日?
    • ★桃恵のゲーム開始★
      • ハチ女に押さえつけられ電車に叩きつけられる桃恵
      • ハチ女「ココは女性専用車両よ。クソ男、乗りたきゃ出しな。ちょんぎってやる!」「クッ。私はこの車両に乗る権利はあるんだ」「何が言いたいんだあんたは」「つまり、僕も女子だって話」触手を切り落とす桃恵
      • ハチ女「ひえーっ。まさかっ」桃恵「おとといおいで」
      • ホームの電光表示「回送、列車がまいります」
      • 瑞希の前に立つ桃恵。瑞希「桃太郎さん」「僕のホントの名前は桃恵。沢木桃恵」「ホントに女の子なんですね」「騙すつもりはなかったんだけど。私っていうよりは、僕って感じじゃない?」
      • 瑞希「関係ないです」「お」「あなたが女の子でも、私好きになっちゃいました。愛してる。消えたくない。ずっと一緒に居たい」キスをしようと唇を知被ける瑞希。触れる直前に煙に消える瑞希
      • ホームの端に立つ彫像(ハルカ)を見つめる桃恵
      • 彫像のうなじに手の甲を振れる桃恵「うん。暖かい。意外と多いもんだね、ハルカ。君と同じ愛してるなんて」
    • (回想)真夏の保健室。コオロギの声?
      • 向き合う桃恵とハルカ。桃恵の手を取り自分の胸に当てるハルカ。セーラー服。ハルカの右手にシュシュ。
      • ハルカ「触って」桃恵を抱きしめるハルカ。呆然気味の桃恵。
    • 彫像の横
      • うずくまる桃恵
    • ★桃恵のゲーム終了★
  • 翌々日夜?
    • 地下庭園入口の公園
      • 一人歩く桃恵
  • 別の日?
    • 地下庭園
      • 藤棚の下をくぐって出て来たリカ。ベンチに座るねいる気が付く。読書していたねいると目が合う。横に座るリカ
      • リカ「私、お財布忘れちゃったのー。よかったらぁ」「よくない。あなたワザと持ち歩かないんでしょ」「だってぇ、パパが美人は財布持っちゃいけないって。それにぃ、私のお財布ちゃんが遅刻してるんだもーん」
      • ねいる「アイはお財布じゃないでしょ」「冗談じゃん」「なら、面白くないからやめて」「はんっ」
      • 通りかかる桃恵が二人に気付く。桃恵「あ、あの。私…」リカ「すっごいイケメン。ホストみたい」「ホストって…」「でも、男の子も居るんだぁ。て、当たり前かぁ。男も自殺するもんねぇ」
      • ねいる「アカ。どういう事。男子は居ないハズよ」アカ「うん。男子と女子の自殺は意味合いが違うからね。男は目的脳、女は感情脳」裏アカ「女は衝動的で他人の恋に影響されやすいからなぁ」リカ「人間関係とか?」裏アカ「それも、ある」
      • アカ「死の誘惑があったとしたら?」ねいる「死の誘惑?」リカ「こっわー。でも、なんか分かるかも」
      • アカ「誘惑に惑わされ後悔しているかもしれない。そういう子供達を生き返らせたいと願う子のためにこの場所はあるんだ」裏アカ「だぁかぁら、性別であーだこーだ言うなよ」リカ「そーだよ、差別は良くねーよ」「はあ?」
    • 地下庭園に向かう建物の前(観覧車が見える)
      • 窓ガラスに映る自分の全身を見て泣きだす桃恵。偶然通りかかるアイ「あの。大丈夫?」
      • 慌てて涙をふく桃恵「僕、あ、いや。私、今どう見える?」「えっ、泣いてる女の子」「ホントに?」「泣いてる、モデルみたいな、女の子」
      • 桃恵「ひまわり」「あ、これ。お気に入りだから、こればっかり着ちゃう」「でも、凄く可愛い」「ありがとう」
      • そこに通りかかるねいるとリカ
      • アイ「モデルさんはみんな、首筋から鎖骨のライン、凄いって感じなの」「詳しいの?」「ちょっと。小さい頃によく見てて」「へえー」「うちのママ、昔ファッション雑誌の編集長やってた事があって」
      • 歩いて近づいてくるねいる。アイ「あ、ねいる。見て見て、首。すっごい綺麗じゃない?モデルさんみたーい」「ホントだ。すらっとしていて長い。それに咽ぼとけが無い」「喉ぼとけも好きなんだよねー」「私も。喉ぼとけ好き。セクシーで好き」「だよね」「こりこりしてそう」「わかるー」
      • リカ「わっかんね。ほんじゃぁ、私の首は?親しみやすくていい首だろ」アイ「仔犬みたい」「犬?、犬?! クンクンクンクンクン。お金貸して」ねいるとアイ「バカ」桃恵「うっふふ」リカ「笑うなっての」「だって、ゴメン」笑い出す四人。
      • リカ「笑い過ぎだってーの。早くエッグ買いに行こうぜ」アイ「うん」リカ「そういや、名前は?」「私、沢木桃恵」アイ「ん?沢木」
  • ED

覚書 第3話「裸のナイフ」

  • (リカのゲーム)
    • 灯台、海岸、遠くにビル、花畑(花が枯れている)
      • ワンダーキラー「若い女は好物だ。食わせろ」
      • リカ「なら、風俗行けばいいいの」
      • エッグ少女「ありがとう、守ってくれて」「どういたしまして」エッグ少女蒸発
      • 彫像の手を触れてリカ「手汗かいて。汚ったな」
      • リカ「それにしても、こんなお花畑に囲まれて。私ならともかく、デブのあなたに似合わない」
  • OP
  • 1日目昼
    • 地下庭園
      • エッグを2個買うアイ(1個はねいるの分)
      • 登場するなり、腹痛で倒れるリカ
      • アイ「大丈夫。どこが痛むの」リカ「ア、アバラが痛い。折れちゃってるかも」
      • アイ「病院は?」リカ「あーっ、こっちの体にダメージなんて聞いてないし」
      • アカ「とても残念だけど、僕たちの預かり知る所ではないよ」裏アカ「自己責任だってよう」「慣れろよう」
      • 痛みの芝居をやめるリカ「こんなとこにも、悪い大人」「へ」「あ、もう平気平気」
      • リカ「私、川合リカ。可愛いリカ。覚えやすいっしょ」「あなたも友だちを助けに?」
      • リカ「その目、カラコン?」「へ」「別の色はめるの面白ーい。バズるかも」「あ、いや。これは」
      • リカ「気にしてたー。ゴメンネー」「それよりさー、私、お財布忘れちゃったの。悪いけど、貸してもらえないかな」「え」「2回目からお金取るなんて、聞いてなかったしさー」
      • 裏アカ「言ったよ、間違いなく」
      • リカ「まーた、お財布取りに帰るのめんどいし。お願い、絶対返すから」「え、うん、いいよ、分かった」
      • 裏アカ「絶対ねぇ」
      • リカ「ありがと」握手会の握手「また、リカに会いに来てね」「なんちゃって」
  • 1日目夜
    • ねいるの病室
      • アイは自宅のソファ、ねいるは病室のベッドでSMS。リカの事を少し会話。
  • 2日目朝
    • 大戸家
      • 冷蔵庫のカットフルーツのタッパを取り出すアイ。
      • 玄関の外、リカが座り込んで待っている。
      • 驚くアイ「うわっ、リカちゃん。何で私の家へ」
      • リカ「あいきゅん、あいやん、あーちゃん、あいぴー、あいじょりーな。なんて呼ばれてた」
      • アイ「大戸さん、あんまりあだ名とかは」
      • リカ「あー、そんな感じ。昨日こっそり付けたの。」「そうか、お金の」「ごめーん。また忘れちゃったぁ」
    • 病院廊下
      • リカ「誰か入院してるの?」「うん、ねいるって子」「ねいるが、寝ている。あはっはーん」
    • 病院病室
      • 先生「無理なリハビリは良くない」「平気です」「うーん、ちゃんと身体を休ませないと、治るものも治らない」
      • 入口のアイに気付くねいる。リカが扉をガラっと空ける
      • リカ「大丈夫ですよ、私達、まだ若いから」先生「若さを過信しちゃ、いけないよ」「ですよねー、気を付けまーす」
      • 怪訝な表情のねいる。カットフルーツを食べるみんな。
      • リカ「頂きまーす」「いただきます」「いただきます」
      • アイ「あ、そうだ、これ。無理はしないでね」エッグをねいるに差し出す。
      • ねいる「うん。わかった。ありがとう」
      • アイ「この子は川合リカちゃん。エッグを買っている時に」「そう」
      • リカ「超絶可愛いリカちゃんで、覚えてねー」ねいる「嫌だ」「ツンデレ系ね、あなた私とユニット組まない?私ジュニアアイドルだったの、知らない?渾身全力キッスって」「知らない」「解散したのよー。私以外がブス過ぎて。ねぇ、あなたとなら人気出るかも」「興味ない」
      • ねいるがつまもうとするキウイを先に取るリカ「ざーんねん」「キウイうま」
      • アイ「あ、私は」「うん、カモシカのような足ね。バックダンサー、どう?」「バック…」
    • 大戸家玄関
      • 音を立てずに玄関を入るアイ
      • 母「アイちゃん。あら、いらっしゃい。お友達?」
      • いつの間にか居たリカ。「川合リカです。可愛いリカで覚えやすい」「ちょっと」
      • 沢木先生「おかえりなさい。お友達かい。今日の所はこれで。お友達も一緒みたいですから」「あー、はい。そうですね。すみません先生」「いえいえ、僕なら大丈夫です」「今日はありがとうございます」
      • リカ「すっごいイケメンのパパだね」「パパじゃない」
      • 母「ほらほら、あがって。ロールケーキ後で持っていくわね」
    • 大戸家アイの部屋
      • リカ「顧問の先生? あっ。つか、あなたヒッキーだったの?」アイ「うん、新学期から行ってない」
      • リカ「あっ。あなた、かまちょね。顧問のイケメン先生に心配させようとしてでしょ」「違うよ。小糸ちゃんが死んじゃったから」「小糸ちゃん?」
      • アイ「うん。たった一人の友達だったんだ」「うはぁー、止めてそんな暗い話。ケーキが不味くなっちゃう」
      • アイ「リカちゃんだって、友だちを助けに」「友だちじゃない。私のファンの子。なんでも奢ってくれた私のお財布ちゃん」「お財布ちゃん…」
      • リカ「パパがねぇ、美人は財布持つ必要ない。誰かが勝手に出してくれるから。ま、離婚しちゃったけど。はっ、エッグのお金は返すよ、絶対」アイ「絶対ね」
      • ロールケーキを食べる二人
      • リカ「ちえみが死んでから私、金欠。だから、助けてお財布を取り戻す、って感じよ。ちえみってさぁ、ブスですっごいデブなんだよ。手汗もキモいくらいかくし。友だちって言うには恥ずかしくない?」アイは怒ってる。 
      • アイ「見た目で、友だちを選ぶの?」「うん。それ食べないの?ねぇねぇ」「あげない」
      • リカ「その小糸ちゃんて子は可愛かった」「うん、可愛いっていうより、綺麗」「ねいるちゃんはクール系だけど、小糸ちゃんは優しい感じ。おしとやかで清純って言うか」「あはっ、やっぱ顔じゃん」「違う!あ」
      • コップの麦茶をこぼすアイ。リカの足にかかる。雑巾を探しに部屋を出るリカ
      • リカ「アイーっ。パジャマ貸してぇー」「ん」
  • 2日目夜
    • 大戸家アイの部屋
      • ねいるとアイのSMS。リカに気を付けろ、とねいる。枕営業分からないアイ。
    • 大戸家風呂場
      • 湯船につかるリカ。右の二の腕に多数の切り傷の後。(自殺未遂?)
      • 湯船のへりにリカのポーチと折り畳み剃刀(武器?)
      • 着替えを脱衣場に置くアイ「親に連絡したの?」「あんな女、どーでもいい」「一皮むけば、ヌメヌメよ、みーんな」「長風呂するとカサカサになるよ」
      • お湯で顔につけるリカ「もう切らないよ。約束だから」
    • (回想)学校の教室
      • 扉を開けるアイ。「小糸ちゃん。部活終わった…」
      • 沢木先生と小糸抱き合ってる。泣きじゃくる小糸「アイ」沢木先生「大戸さん」 
      • 勢いよく扉を閉めるアイ「ごめんなさい」廊下を走り抜け下駄箱へ。息切れするアイ。蝉(ひぐらし)の鳴き声
    • 布団の中
      • 夢から覚めるアイ。隣に寝ていびきをかくリカ。二人ともエッグを手にしてる。
      • アイ「小糸ちゃん。どうして。原因は沢木先生なの?」
      • 扉を開くと海岸。
    • ★ゲーム開始★
      • お花畑、断崖絶壁、海、遠くにビルの峰。
      • リカ「ほら。あそこにいるのが私のお財布ちゃんのちえみ。こっからだと、ちょっと痩せて見える」
      • アイ「なんで」花びらが喋る。アカ「同期したんだよ」「同期?」裏アカ「同じ時間にとても近くで眠ったんだね。それで」
      • アイ「同期した。でも、どうして私の夢じゃないの?」裏アカ「思いが強い方に引っ張られっるんだよ」「そんなはずない!この子は友だちの事をお財布ってゆうような、そんな」
      • 欠伸をするリカ「ねー、せーので割ろ」「ん-ん」「せーの」
      • エッグ少女「みこちゃーん」「まこちゃーん」「会えた会えた。また会えた―」リカ「知り合い?」「私達、ゆーゆの大ファンで」「ね」「そう、オフ会とかライブとかねー」
      • アイ「ゆーゆ?」リカ「歌手よ。自殺した」
      • みこ「私達大ファンだから」まこ「大至急、ゆーゆを追っかけて死んだの」
      • アイ「そんな、軽い」リカ「簡単でも軽くも無い。熱狂的なファンて要するにそういう事」「とりあえずこの子たちを」「日が沈むまで守れOKね」「ミテミヌフリは居ないみたいだね」「傍観者のこと?いるよ。下が海水浴場だから」
      • 崖をよじ登ってくるミテミヌフリ。 
      • まこみこ「きゃー。何あれ可愛い」
      • アイの武器を見てリカ「いいなー。これと取り換えて欲しいっ」言い終わる前にダッシュで走り出すリカ「あっ」走り出すアイ
      • ミテミヌフリを倒してゆくアイとリカ。少し息が合っていない。
      • リカは左肩をミテミヌフリにやられる。
      • アイ「こう開けていると、やりずらいかも」「あっ」灯台に走ってゆく4人。
      • リカの右腕の傷をみてアイ「あ、傷が治ってない」「あー、これは大丈夫。これは自前だから。若気のなんちゃら」 「はーい、おしまい」
      • アイ「ちえみちゃんの事、ちゃんと教えて」「アイには関係ないでしょ」「そんなことない」
      • リカ「売れないアイドルの握手会なんてシュールなのよ。少ない人数がグルグルなんども回る」
      • リカ「ちえみはねぇ、バカ。それこそ何周も何百周も、私のためにおこずかいもお年玉も全部つぎ込んで、当然みたいにニコニコして、私に。お金持ちの金づるだって信用していたのにさ」
      • リカ「ある日、町で万引きしてるの見つけちゃってさ。あっははっ。それを換金してたのよ。」アイ「うん」神妙な顔になるリカ
      • まこ「分かる。その気持ち。分かります」みこ「私達もパパ活したもんね」
      • リカ「私は嫌だった。だからファンと友達になんかならないって。第一、デブは一緒に居たら恥ずかしいから無理って。もう来ないでって。その後、他のファンの子が教えてくれた。ちえみが死んだって。骨と皮のミイラみたいって。忘れたくても忘れない。こんなのちえみじゃない」
      • ガラスを破ってミテミヌフリ。アイ「逃げて」 撃退するリカ
      • リカ「あのちえみにもう一度合えるなら、私は何人だってぶっ殺す」「リカちゃん」
      • 灯台の螺旋階段を逃げるみこまこ。ミテミヌフリを追いかけて続くリカ。後れを取るアイ。つまづくアイ。
      • アイ「分かった。私も心のどこかで恨んでいたんだ。友だちなのにどうして相談してくれなかったんだって」「あの子達の様に一緒に死んでくれって頼まれたら。私は」 
      • アイ「どうしてっ」「私はーっ」急に力強くなるアイ。殺気。ミテミヌフリを次々倒すアイ。
      • アイ「リカちゃん。私も一緒にぶっ殺す」「はぁっ?」
      • 灯台のてっぺんで外に出るアイとリカ
      • マダムサチコ(ワンダーキラー)「私も一緒に死にたかった。ゆーゆと」みこまこを触手で巻きつける。
      • アイ「巻きつけ系?」リカ「SMですか」
      • まこ「この人、ゆーゆのストーカーで逮捕された阿佐ヶ谷マダムのサチコ」
      • アイ「サチコ」リカ「どこにでもいるのよ。一線超えちゃう妄想ちゃんが」
      • マダムサチコ「お前らが騒がしいから、ゆーゆに会えないだろ。ゆーゆはガキなんか好きじゃない。熟女好きなの」
      • アイとリカ飛びかかる。
      • みこ「助けてー!」
      • 触手を切りみこまこを取り戻すアイとリカ
      • マダムサチコ「何なんだ。お前たちは」
      • アイ「この子達を守る」リカ「化け物からね」みこまこ「あーあん」リカ「バックダンサーから昇格」
      • マダムサチコ「小娘が。お前らがチヤホヤされるのは今の内だよ」アイ「いや、おばさんみたいには」リカ「ならない、ならない」みこまこ「うんうん」
      • マダムサチコ「お黙りっ!」口から泥を吐く。
      • 泥をかぶるリコ。足から固まってゆく。
      • アイ「リカ。大丈夫」リカ「身体が動かない。ちょっとヤバいかも。アイ。頑張れ」力ない声でサムアップのリカ
      • アイ「そんな。リカ。リカ」
      • 触手を広げるマダムサチコ
  • ED

覚書 第2話「友だちの条件」

  • 1日目午前
    • 雑木林そば
      • キャリーバッグを引きながら歩くねいる、質問攻めのアイ
      • 公園、ひまわり壁画、池をまたぐ歩道、水面を見る
      • ねいる「あなたは誰のために戦っているの?」
      • アイ「もちろん小糸ちゃんのため」「友だちなんだ」
      • ねいる「本当は自分のためじゃない?」「今の自分が嫌い。だから行く。怖いけどまた行く。嫌いな自分を変えたいから」
      • アイ「あなたも?」ねいる「一緒にしないで、私は私が大好き」
      • ねいる「妹だから」「私が死なせた」アイの方を始めてみるねいる
  • OP
    • 大戸家
      • アイ帰宅。母出迎え、担任の先生も
      • 下を向き何があったか話さないアイ。先生「そんなに嫌われているのかな」アイ「別に嫌ってはいないです」
  • 1日目夜
    • 大戸家
    • (回想)午前の公園のバス停
      • アイに名刺渡すねいる、「私は奇数日、あなたは偶数日にエッグを買う。お互い二度と会わなくて済む」
      • バスに乗るねいる。「GudLuck、連絡先悪用しないでね」
    • ★ゲーム開始★
      • 理科実験室
        • エッグを割らなければ静かな学校
        • カーテンにくるまって遊んでいてこけてエッグ(鈴原南)が割れる
        • 一度、理科室の外に出て気合を入れるアイ。
        • 校内放送で行進曲。
        • 理科室の窓からのぞく南。南の手を取って廊下を逃げるアイ
        • 南はレオタード姿、新体操のリボン、白い眼鏡、紫ピンクのアイライン
      • 廊下
        • 赤小人が廊下の向こうから迫ってくる
        • 4色ボールペンで戦うアイ、さっそくダメージくらう、逃げ出す���
        • 仏花の扉に逃げ込むアイと南
      • 屋上
        • 自己紹介。アイ「安心して、小糸ちゃんを守るためにあなたを守る」
        • 南「友だちなんですね」「羨ましいな、私も友達いたら…」
        • 南「新体操部なんです」「体系を変えるな…て先生に叱られてばかりでした」
        • 南「凄い、私にも気合と根性があれば」
        • 南「私一度、朝練をサボってやろうと決心した事があったんです」「布団から出ないぞって」
        • 南「朝の通勤ラッシュ、味わって見たかったんです」
        • 南「でも、意気込んでたせいか、朝までずっと眠れなくて」
        • 南「結局、徹夜で朝練に参加したんです」
        • 南「徹夜で朦朧としていたんで、先生に一杯気合入れられちゃいました」
        • 南「私も大戸さんみたいに強かったら」
        • アイ「大丈夫。私が守るから一緒に生き残ろう」「はい」
        • 空調室外機。アカ「それだけじゃ、友だちは生き返らない」
        • 裏アカ「捕らわれの乙女を解き放つには、ワンダーキラーを倒さなきゃね」「何それ、どういう事」
        • アカ「名前があった方が分かりやすいかと思ってね」
        • アイ「生き残ればいいだけじゃないの?!」
        • 裏アカ「逃げてるだけで、物事が解決するわけないじゃないか、戦えよ若者」
        • アイ「戦えって言ったって」
        • アカ「ワンダーキラーはエッグが持つトラウマの形、二者は必ず引き付ける」
        • 裏アカ「ワンダーキラーを倒して……」
        • 扉を壊して新体操部顧問登場。
        • 顧問「不良娘に感化されたの。ちょっと目を離すとこれだ」
        • 顧問「サボってんな練習しろ鈴原」「返事!」
        • 南「すみません、先生」直角謝り。
        • アイ「南に近づくな。もう、とさかに…」
        • 南「違うの、私がダメな子だから」「すみません、もっと頑張ります」
        • アイ「何言ってんの、それが辛くて絶えられなかったんでしょ」
        • 南「私、根性無くて。だから先生は私のためにって」
        • アイが武器出現させるが、南が顧問に謝る。
        • 顧問が化け物に変化。
        • アイ「南、そいつから離れて。私が…」
        • 吹き飛ばされるアイ、意識遠のく。
      • (回想)学校ゴミ捨て場
        • 小糸の体操服と靴が汚され捨てられていた
        • 小糸「古典的な嫌がらせね」「小糸ちゃんがどうしてこんな、私と友達だから」
        • 小糸「違うよ、沢木先生に私が贔屓されているって、ヤキモチ焼かれてるみたいなの」
        • 小糸「転校生だから仕方ないのにね」「女の嫉妬で怖いね」
        • アイ「笑ってる場合じゃないよ」
      • (回想)教室のロッカーの中
        • ロッカーの外で小糸がいじめにあっているのを聞きつつ、目を伏せるアイ
        • 女生徒2名「(笑い声)ちょ、ヤバいヤバい」「こっち向きなって」「ほら」
        • 小糸「お願い、やめて」
        • 人がいなくなってから、ロッカーから出てくるアイ「大丈夫」
        • ブラウスのボタンをかける小糸「撮れた?動画」
      • 屋上
        • 顧問に吹き飛ばされ傷だらけであおむけになり目を開くアイ、階段を下るアイ
        • アイ「ごめん。私怖くて。仲間はずれが怖くて」
      • (回想)教室
        • 撮れたスマホ動画は、証拠にならない映像
        • 小糸「怖かったんだよね、ごめんね」アイ「ごめんなさい」
        • 小糸「大丈夫。頑張ってくれたって、分かるから」「ごめんなさい、ごめんなさい、ごめんなさい…」
      • 体育館扉
        • 洗濯機。裏アカ「南は哀れだよ。お前のどこが強いんだろうな」
        • アイ「うるさい。私は変わるんだ」4色ボールペンを持って武者震い
        • アイ、扉から体育館に入る。顧問に首を掴んで持ち上げられ平手打ちされる南。
        • 顧問「生理で体系変わるなんて、新体操舐めてんのか、オラ」
        • 南「ごめんなさい、許してください」
        • 舞台袖から舞台に回るアイ。
        • 顧問「これは体罰なんかじゃない、愛のムチだよ。お前を愛しているからこそなんだ」
        • 顧問「お前がいい子になった後で、苦しまない様に終わらせてやるからね」
        • 南「ありがとうございます」
        • 南が舞台のアイに気付く。行き絶え絶えで「大戸さん」
        • アイ「体外にしろよババア!」武器を持って攻撃に近づく、吹き飛ばされる
        • 南「やめて、いけないのは私なの。もうほっておいて」
        • 南「私が愛が足りなくて、根性が無くて、ブスでおどおどしていて、何もかも、だから」
        • アイ「このかまってちゃん。それって、誰かに見つけて欲しい、愛して欲しいって事だよ」
        • アイ「だからほっとかない。ほっとけないよ」
        • また、一方的に吹き飛ばされるアイ
        • 南「先生やめてください!」顧問の手をひっぱりお願いする。「私言うこと聞きますから、何でもやりますから」
        • 南を振り飛ばす顧問
        • 南のリボンを拾うアイ「よっしゃ。これなら戦える」
        • 乳首から紫のペンキ?をアイの顔にかける。目潰し
        • 南「飛んで!」アイリボンで体育館のハリを掴んでジャンプ
        • 南「右に避けて、後ろから来る」ドッグランに落ちるアイ
        • 顧問「お前さっきから何してる。私に逆らうのか?私を裏切るのか?私の愛のムチを」
        • 顧問「黙ってちゃ分からないだろ!どうなんだ逆らうのか?」
        • 直角謝りの南で、歯を食いしばる南
        • 顧問「返事しろ!鈴原」
        • 南「(小声で)ここよ。私は、ここに居るわ」
        • アイが顧問にリボンで攻撃。怪物にリボンで振り回されるアイ
        • 顧問「馬鹿な子供達。私は協会に顔が効くの。選手の選考も相談されるの」
        • アイ「だから、どうだってんだよ、この野郎!」
        • アイに殴りかかる顧問「愛のムチなのよ」南「避けて」
        • アイの顔にかすり血が出る。4色ボールペン武器化。
        • アイ「悪いけど、ただのパワハラですから」化け物消滅。
        • ホッとした笑顔の南。ひっくり返るアイ「南、大丈夫」
        • 座って手を繋ぐアイと南、アイはペンキで目が見えないまま。
        • 南「ありがとう、アイちゃん」「南とリボンのおかげだよ」
        • 南「すっごい勇気振り絞った。私もっと早くアイちゃんに会いあかったな」「うん」
        • 南「そしたら、ナックで、ゲームしたり。普通の女の子みたいに」「うん」
        • 南「私の事、ときどき思い出してくれる」「南」 
        • 煙になる南。アイ「ちきしょう」
      • ★ゲーム終了★
  • n日目夜
    • 病院の廊下
      • 廊下のベンチに座るアイと母親。アイの首はギプス
      • 手術室に運ばれてゆくねいる。動揺するアイ
    • ガーデン
      • 新しいエッグ購入するアイ
      • アカ「一つでいいのかい」「ねいると違って懸命だね、急がば回れだ」
      • 裏アカ「あいつは、死んだのか?」「分からない」「助けに行っててめえが死んだら世話ないわ」
      • アイ「お前らに何が分かる。ねいるは妹を助けにいってるんだ。一刻も早く救いたいって」
      • アカ「それはどうかな」裏アカ「あいつも本当は死にたいのかもしれない」「え」
      • アカ「だから、恐怖を感じない」
      • 水中に何か落下する映像。
      • 廊下でまっすぐこっちを見ている小糸、後ろを先生が通り過ぎて、伏見がちにそれを追う小糸
      • 湯船のお湯から顔をあげる小糸
  • m日目
    • 病院、ICU
      • 目を覚ますねいる、アイ、人差し指で「しーっ」
      • カバンからエッグを取り出し見せる
      • スマホのSMS入力「欲張るからだよ」「次、戻ったら」「友達になろう」をねいるに見せる
      • アフロ眼鏡女性(母親?)「あなた、何をしているの?」
      • アイ「あ、すみません」
      • 走り去るアイ、ベッドで目を開けているねいる
  • o日目昼
    • 病院、屋上
      • 端まで歩くねいる。ビニール袋を持ってついて行くアイ
      • アイ「リハビリは順調?」「まあね」「よかった」
      • ねいる「友だちになったら何をするの?」「一緒にナック行ったり」「行って何するの?」
      • アイ「私もあなたも食べるの。ポテトとかハンバーガーを、それを同じテーブルで同時にする?」
      • ねいる「それって楽しいの?」「どうだろ」
      • ペットボトルのジュースをねいるに渡すアイ「はい」「ありがとう」
      • 蓋を開けて匂いを嗅ぐアイ「これ、めっちゃいい匂いする」突き出すアイ
      • ねいるも嗅ぐ「ホントだ」「ね」遠くの景色を見る二人
      • 鼻でジュースの匂いを吸い込むねいる「たまにはいいかもね」
      • SMSでサムアップの画像を返信するねいる。驚くアイ
      • 目を合わさず遠景を見ているねいる。視線はそのままで口元が緩む。アイの口元も。
  • ED

覚書 第1話「子供の領分

  • 1日目早朝
    • 住宅街の交差点
      • カナブン(尻尾発光)の死骸を拾い墓を作り埋める
      • カナブンは生きておりアイに話しかける(ここから夢、現実?)
      • 「夢?」裏アカ「夢じゃダメか?」アカ「現実の方が良かった?」
      • 裏アカ「初回はサービスだ、次からは財布を持ってきな」「いくら」
      • アカ「大丈夫、絶対気に入るよ、なにせ特別なガチャだからね」
      • アカ「君の欲しいモノが入っている」
      • 裏アカ「嘘つくな、あるだろ」アカ「友だちさ」
    • 大戸家
      • 自室ベッドで目覚めると背中にエッグ(西城くるみ)
      • 寝起きで水、リビングでウォーキングマシン、風呂で湯船に水出し、昼食は一人TKG、夕方ベランダでアイス、夜学校の先生来訪、で1日終わる
  • 2日目早朝
    • 大戸家
      • 昨日の場所に向かうため、玄関扉を開く
      • カバンの中身は、スマホキャラメルコーン(あとでくるみが食べる)、エッグ
      • ★ゲーム開始★
        • どこかの学校の廊下
          • ロッカーに「死ね」のいじめの女子生徒2名
            • 顔モザイクに口紅
          • 嘲笑の校内放送「見て見ぬふり」
        • トイレに逃げ込むアイ
          • トイレットペーパーが喋る。アカ、裏アカ「エッグを早く割れ」
          • ぶつけて割ったエッグから女子生徒(西城くるみ)登場
          • 身だしなみ整えるくるみ
        • 廊下で待つアイ
          • 校内放送で行進曲
          • 茶色髪、ロール髪を右側シュシュで止める、左側髪の毛ピン止め、左耳に大きなイヤリング
          • 両手に斧の顔モザイク女子生徒
          • 不気味な赤小人
          • 斧が飛んできて、くるみの左腕に直撃、流血
          • 斧女子生徒から逃げる二人
          • 「何あれ」「知ってるでしょ。見て見ぬふりよ」「何それ」「知らない」
          • 赤小人に挟み撃ちにされ逃げ場を失う二人
          • アイの脇腹、流血
          • 「非常口」マークのロッカー発見。逃げ込む二人
        • 食堂の様に広い教室
          • 打ち解ける二人
          • アイの傷は消える(=夢)が、くるみの傷は消えない(=現実)
          • 多色ボールペン
          • チャイムが鳴るまで逃げ続ける死のゲーム
          • くるみ「あなたは目と心臓さえやられなければこの世界では不死身」
          • キャラメルコーンを食べるくるみ
          • くるみもエッグを買って友達を欲した過去がある。
          • くるみも友達居なかった(上っ面の同調の友達は居た)
          • 「親友は大事」「彼氏って別れちゃうけど、親友は永遠でしょ」
          • 「彼氏いたの?」同時に返事で二人とも黙る。
          • 赤小人の気配。アイの手を取るくるみだが、アイは一緒には行かない。
          • 「ごめん」「何で謝るの。悪いのはあいつらじゃん」「ごめんね」
          • 「私は襲われない」頭を抱えるアイ
        • 廊下を歩くアイ
          • 多色ボールペンを持つアイ
          • 白い花(すずらん、菊?…)が床に散らばる(葬儀を連想)
          • 大きな白い扉
        • 屋上
        • アイの学校
          • 教室のベランダから見下ろす
          • 女子生徒の飛び降り自殺死体、「小糸ちゃん」イワシ
          • フェンスを握り泣き崩れるアイ
        • 小糸との出会いの回想
          • 転入生「長瀬小糸」
          • アイの隣の席
          • 雨、校舎の外階段で一人スマホゲームのアイ
          • アイを見つける小糸。「一緒に帰ろう」
          • 「え」「何その反応。傷付くなぁ」「ここ静かでいいね」
          • 隣に座る小糸。目を合わせないアイ。
          • 「私なんかと一緒に居るとまずいと思う」「どうして」「ブスだから」
          • 顔を掴んで向き合わせる小糸。オッドアイに気付く。
          • 小糸を拒否して、傘もカバンもおいて逃げ出し、雨の中をとぼとぼ帰るアイ
          • 帰宅して母親に八つ当たりするアイ
          • 大戸家を訪問する小糸(部屋に入ると裸足)
          • 二段ベッドの上段シェルターに上がり込む小糸。
          • オッドアイっていうのよね」「神秘的。隠す事ないと思う」
          • 図々しく横になる小糸
          • アイからいじめ告白
          • アイの足を触り「綺麗よ」「私と友達になって」「親友になろうよ」アイを抱きしめる小糸
          • 「だめ、じゃないけど」「けど」「なれたら嬉しい」「私も」
        • 再び屋上
          • 銅像(小糸)に寄り添い涙を流すアイ
          • 「私のせいだ」「私が裏切ったから」「初めて出来た友達だったのに」
          • 銅像も涙を流す。「小糸ちゃん」その涙を顔で受け、飲みこむアイ。
          • 眼下の離れた屋上で、大きく拍手、ダブルピースのくるみ
          • くるみに迫ってくる赤小人と斧女子生徒
          • 「もう少しでチャイムなのに」逃げるくるみ
          • 多色ボールペンを持って、屋上を並走して走るが行き止まりアイ
          • 「横断歩道はみんなで渡っても怖いんだ」「もう見て見ぬふりはしない」
          • 助走ジャンプ。多色ボールペンが武器に。
          • 斧女子生徒をぶったたくアイ「もう、とさかに来たぜ」
          • 破裂して飛び散る血しぶき。
          • 赤小人たち撤収。
          • 啞然顔のくるみ。唖然顔でダブルピースのアイ
          • 握手。名前交換。
          • 「アイちゃん。お別れだね」「私の事、忘れないでね」
          • 爆発とともに煙となって消えるくるみ
          • 裏アカ「残念。助かるのはお前だけ。」アカ「でも元気出さなきゃダメだよ。親友を取り戻したいなら」「へ?」
        • 再び屋上の銅像
          • 銅像の手を握るアイ
          • 「少し暖かい」「ねぇ、もっともっと守ったら小糸ちゃんは生き返るの」「そうなんだね」涙目のアイ
      • ★ゲーム終了★
  • 2日目朝
    • アイの部屋
      • 母「アイちゃーん、ご飯(朝ごはん)」
      • スマホいじってアイの顔を観ない母
      • 目玉焼き、ハム、キャベツ千切り、プチトマト、味噌汁、ご飯
      • 鼻血と脇腹の出血。(リアル世界で傷を受けるシステム?)
  • 2日目夜
    • 病院、アイの病室
      • すすり泣く母。学校の先生。
      • 「いったい何が」「分からないんです、もしかして夜抜け出してどこかで事件に」「しっかりしてください」
      • 「小糸ちゃん…」
    • 午前中の住宅街
      • 例の場所に向かって走るアイ
      • カナブンとの会話「お財布は?」「持ってきた」
      • カナブンとの会話。アカ「やは、ケガの具合はどう?」「なんとか」「お財布は?」「持ってきた」
    • 例の場所
      • 「何人守れば小糸ちゃんは生き返る?」「同時に何人か守ったらその分早く?」
      • 裏アカ「欲張りなアホだなあ、守れなきゃお前も助からない」
      • アカ「それにね、敵があんなに楽とは限らない」裏アカ「所詮見て見ぬふり、烏合の衆さ」
      • 「くるみちゃんはどうなったの?」裏アカ「お前の友達と一緒だ、どっかの世界で彫像になっている」「彼女の友だちがあの世界に行かなければ永遠にそのまま」
      • 培養される大量のエッグ
      • 「くるみちゃんも自殺したの」アカ「ノーコメント」裏アカ「ノーコメント」
      • 洞窟を抜け、藤棚を抜け、洋館前のガーデン
      • アカはブレザー姿、ヒビ割れ眼鏡、文庫本。裏アカはチーマーっぽい。碁を打っている。
      • 先客は青山ねいる、大量にエッグを購入(少なくとも12個)
      • 一瞬アイと目が合うが、その後遠くの空を見る。
  • 続く

ウルフウォーカー

ネタバレ全開につき閲覧ご注意ください。

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はじめに

なかなかの大作映画。ちまたの評判もすこぶる良いという「ウルフウォーカー」の感想・考察ブログです。

私はもともと、カートゥーンサルーンのアニメーションは好みであり、前作の「ソング オブ ザ シー」を観て好印象を持っていました。今回、同社作品の視聴は2作目となりますが、期待を裏切らない、そしてダイナミックさでは前作を超えた力強さを持った作風に感じました。

視聴直後は、心に違和感なく染みてくる感じで、ブログに書く事はあまりないかな、と思っていたのですが、いざ書き始めて、アイルランドの歴史などに少し触れると、色々と書き留めたくなり、想像以上に書くのに時間がかかりました。

以下、いつも通りの感想考察です。

YouTubeの解説・考察動画について

考察ブログで藪から棒に、こう書くのも何なのだが、本作の考察・解説動画(約62分)があるので、是非、一度見て欲しい。

本作は、アイルランドの歴史や背景の上に作られた作品であるため、それらの知識を有していた方が、より深く理解出来ると思う。

動画は、パンフレットにも解説を書かれている、ケルト文化に詳しい鶴岡真弓教授によるものであり、下手な素人のブログを読むよりも、よっぽど正確に背景を知る事が出来ると思う。

幾何学的な記号の意味、色彩の意味、狼主観の映像の意味など、色んな所で考察されているであろうから、私のブログではそれらの詳細は割愛する。

感想・考察

デザイン面(カートゥーンサルーンアイデンティティの貫禄)

キャラクターデザインは、一目見てカートゥーンサルーンと分かる独自性を持ったデザインだと思う。図形としてはシンプル。わりと横顔のカットも多い。だけど、動いた時に全くたどたどしさが無く、生き生きと動く。非常にリッチで安心感がある。

余談ながら、キャラクターデザインのデフォルメ具合だけで言えば、パワーパフガールズのデザインが似ていると常々思っている。

今回、キャラクターと背景美術のダブル監督の体制をとっている。それだけ、背景美術が本作に占める領域が大きく、キャラクターと背景美術が共に主張し、互いに相手を潰さずに魅力を引き出してゆくという制作意図だと想像する。本作では背景は役者と同じで、デザインやカラーに意味がある、時に雄弁に物語を語る。

例えば、後半でイングランド軍が持つ炎は白と赤で表現される。それは、イングランドの国旗の色を示す。そして、狼を駆除すべく森林深く進軍するイングランド兵で、観客はイングランドアイルランド侵略を連想する、といった具合である。

デフォルメして抽象化して描くからこそ、そこにノイズの無いメッセージが込められる。無から作るからこそ一つ一つのデザインに意味がある。その、考え抜かれた映像が、カートゥーンサルーンの真骨頂だと思う。

背景その1(ケルト文化とアングロ・サクソン文化の対比)

日本人の感覚だと、自然対文明とか、「もののけ姫」だとか言われがちだが、上記の動画では、ケルト文化とアングロ・サクソン文化の対比として書かれている。私が映画で感じた違いは下記。

  • ケルト文化(メーヴ、モル、狼たち)
    • 自然と人が共存(それぞれの領域を守る)
    • 自由
    • 無益な争いはしない
  • アングロ・サクソン文化(ロビン、ビル、護国卿)
    • 人間中心主義
    • 組織による統制・束縛(=不自由)
    • 不都合な相手を力でねじ伏せる

メーヴ達の活動は自由。森を守るために人間に警告はするが、無意味な争いはしない。今回の件も母親が見つかりさえすれば、さっさと別の土地に移動するつもりだった。

これに対し、護国卿が率いるイングランド軍は統制の取れた組織であり、トップダウンの命令で機能する。劇中では護国卿は、規則を持って民を統制し、規則に従わない者には罰則を与えていた。ロビンの「今だって牢獄だわ!」と父親の「怖いんだよ!」(うろ覚え)の台詞が強烈に記憶に残っている。では、トップである護国卿は何に従い動くのか? それは、キリスト教の「主」の意志に従う。護国卿もまた、ある意味不自由な存在として描かれる。

なお、このような組織統制は、何もキリスト教や宗教に限った事ではなく、現代社会である程度以上の規模を持つ組織であれば、多かれ少なかれ、こうした不自由は伴うものであろう。

背景その2(クロムウェルアイルランド侵略)

本作の護国卿のモデルは、クロムウェルだと言われている。そして、アイルランドといえば、カトリックプロテスタントの根深い衝突を連想する。

本作の舞台、アイルランドのキルケニーは、当時カトリック同盟の首都であった。そこに、プロテスタントクロムウェルが侵略に来たという構図である。本作について、プロテスタント教徒、カトリック教徒、森の狼の3つのグルーピングで整理してみる。

項目 プロテスタント教徒 カトリック教徒 森の狼(ケルト文化)
所属国 イングランド アイルランド
登場人物 護国卿(クロムウェル
グッドフェロー(父親)
ロビン
木こり
いたずらっ子
モル(母親)
メーヴ
居住場所 城壁内 城壁外周辺 森林
侵略以前の関係 狼と共生
(狼の領域に近づかない)
人間と共生
(人間の領域に近づかない)
侵略以後の関係 カトリック教徒を支配
狼狩り、森林伐採
プロテスタント教徒による
侵略・支配
(一部に伝承信仰残る)
プロテスタント教徒による
狼狩り、森林伐採

ただ、本作ではカトリック教徒のアイルランド人の描写が少ない。プロテスタントvsカトリックは現代でも揉めている事案なので、そこを生で描くにはガチで差し障りがあるため、イングランドvs森の狼の構図を取っているのだと想像する。

本作は一応、勧善懲悪の構図を取る。メーヴが善、護国卿が悪である。

徹底したトップダウンの恐怖政治としての護国卿率いるイングランド占領軍は、トップからの命令に従い、従わぬ者には罰則。そして、その命令は護国卿というトップに集約されるが、その護国卿もまた「主」に従い主体性を持たない。

ある作戦行動について、その責任の所在を明確にしようとしても、どこまでも上位層にあがってゆき、結局、現場では誰も罪の意識を持たず、誰の意志も介入せずに大罪を犯すという、ユダヤ人迫害を行ったナチス・ドイツを題材にした映画、「ハンナ・アーレント」)を連想させる。

とは言え、私自身は本作は正義と悪の対決がメインの物語とは捉えていない。本作は、束縛による不自由からの解放の物語である、と考えている。

テーマ(二つの文化の中で板挟みになる葛藤のドラマ)

ロビンはウルフウォーカーになった事で、相容れないイングランドと森の狼の両方のグループに属する事になった。これにより生ずる、あっちを立てればこっちが立たないという板挟みの悲劇が本作のドラマの中心にあったと思う。

ロビンは、植民地アイルランドに入植したイングランド人として、行動に制約を受けてきた。具体的には父親の言いつけによる外出禁止。そもそも、侵略後の植民地の治安が平和とも思えないし、一歩城壁の外に出れば、イングランド人を憎むアイルランド人が大勢いて、身の安全を考えれば当然とも言える親心である。

しかし、この束縛が子供にとって良い事とは思えない。できるなら、外の世界をのびのびと駆け回り、自由に遊んで欲しい。

このロビンの自由に走りたい気持ちを共有するのがメーヴである。ハンターとして狼を敵とみなしていたロビン。人間を威嚇して森林を守ろうとしていたメーヴ。全く住む世界の違う対立する2人は、子供の純粋さで親友になり、意図せずウルフオォーカーの契約を交わす。ここでロビンは二つの社会に属する事になり、父親とメーヴの二者に板挟みの存在となる。

狼たちを殺さないで、というロビンの願いは合理的で至極真っ当。母親さえ見つかれば、狼たちは別の土地に去ってゆくという話なので、誰の血も流さずにWin-Winの関係である。しかし、父親が行き過ぎたロビンの行動を叱咤し、その提案が父親に届く事は無かった。

途中でウルフオォーカーの狼主観を体験するロビン。城壁を越え、森林をメーヴと駆け回る楽しさを満喫する。今までの閉じ込められた世界とは真逆な自由な時間。深まる友情。

そして、城内の高所の一室に閉じ込められるメーヴの母親との会話。私を逃がすよりも、メーヴに逃げてと伝言して、と約束する。

物語は、イングランドと狼たちの衝突に向かってゆく緊張感の中で、父親に狼を殺さないでと言っても伝わらず、メーヴに逃げてと言っても城壁内で暴れてしまい、それでも一発触発の争いを防ぎたい気持ちで最善と思われる行動をする。

この時のロビンにかかるストレスはとても大きい。ここまでのドラマの見せ方とストレスの積み上げが非常に巧く、ドラマの山場の一つになっている。

結果的に、ロビンは父親を裏切り、メーヴの母親と共に森林の中に逃げる選択をする(成り行きでもあったが)。今度は、離れ離れになった父親との対峙である。

父親も、狼を殺す職務にことごとく失敗し続けたことで護国卿からの風当たりも強くなり、同時にロビンからも狼を殺さないでとの無茶なお願いに頭を抱え、メンタルをすり減らし続けてきた。父親がメーヴの母親に致命傷を負わせたのもロビンの身を案じての事だったが、逆にロビンの反発に合う。手元には意識の無いロビンの身体が残っているが、一方的に言い付けるだけで、娘との対峙を避けて来た自分にそろそろ気付き始める。

ここで、父親はロビンと護国卿との板挟みで葛藤する。父親にとってロビンはたった一人の家族であり、ロビンを失う事は生きる意味を失う事に等しい。この父親のストレスの積み上げも、ロビン同様に丁寧に描かれており、ドラマは強く演出される。

終盤で父親もウルフオォーカーとなり、今までロビンのためにと忠義を尽くしてきたイングランドを裏切り、狼の姿で護国卿からロビンを守る。そして、ロビンも人間の姿で父親を守る。護国卿は谷底に落ち、親子の信頼関係は取り戻される。

本作を観終えた時の私の率直な感想は、ロビンと父親の板挟みの葛藤の強烈なドラマ、であった。このダイナミックさは本作の大きな魅力になっていると思う。

本作のストーリー展開は大雑把に言えば、クライムアクションなのであるが、人間ドラマの軸が明確な事、その積み上げと見せ方が巧い事、そして、それを支える演出が丁寧である事で、混乱なくロビンや父親のストレスを体験し、その後の解放感を味わうことが出来る。芸術的なビジュアル面の高評価はよく拝見するが、こうした文芸面、作劇面の実力も高いと感じた。

メッセージ(束縛からの解放と子供の友情と親子の愛)

最終的にロビンと父親は、束縛のイングランドを捨て、森林の狼たちに属して自由を手に入れ、親子の愛情を取り戻す。

二人は儀式を経てウルフオォーカーに属しているので、その状態では今まで以上にイングランドに属して暮らすには適さない体になってしまっているという面もある。

いつの時代も、社会による束縛の息苦しさは多かれ少なかれあるのだと思う。束縛は、法律や条例の社会的ルールであったり、時として雰囲気で縛る同調圧力であったり、本作のような恐怖政治だったり様々である。そして、束縛には正義の大義名分や、集団の中の最大公約数的な妥協であったり、なんらかの理性が働いている場合が多い。人間はその理性と本能の間で葛藤しながら生きている。

分かりやすい例だと、サラリーマンが家族との暮らしを大切にしたくて住宅を購入した直後に、会社から単身赴任の依頼がくるという、会社あるある話。会社に尽くすか? 家族との時間を優先するか? こうしたストレスに人間は日々さらされているからこそ、本作の束縛からの解放の物語に救われるのだろう。

ちなみに、一昔前なら会社のために単身赴任するのが当たり前の空気の方が強かった様に思うが、昨今では働き方改革や家族有っての仕事という考え方も浸透してきて、単身赴任を断るケースも多いだろう。ただ、上長はそこで単身赴任できない理由を求める。さらに上の上長にも説明、説得する必要があるためで、そこを用意して断るのが大人という事になっている。本作では敵の護国卿が恐怖政治であった事もあり、言い訳は通用しない。

そうした、束縛の壁を打ち破る原動力になったのは、ロビンの場合は友情であり、父親の場合は親子愛である。これらは、国や思想を超えて、全ての人間(=動物)に備わるモノであり、境界線を越えて通じあえる概念である。人間である以上、そこは大切にしてゆきたい、というメッセージに感じた。

ラストの余韻(新天地を求めて移動した狼たちについて)

ケルト文化を象徴する狼たちとウルフオォーカーは、一つの土地に固執する事無く、新天地を求めて移動した。

これについて、イングランドに駆逐されたという意味では戦争に負けたのではないか? という意見があるのもごもっともである。しかし、狼たちは侵略者ではなく、殺りくを好まず、ただ境界線を引いて、共生をしたいという主張であったと思う。これに対し、イングランドは不都合な事は相手を殴り倒して、時には殺りくして服従させてきたという集団なので、両者の主張は相容れる事は無い。

本作がここで話合いの解決をする、などの建設的和解を提示しなかった事は、ある意味リアルで、ドライで、そして非常に誠実である、と感じた。

ここは分かり合えるハズ、と楽観的に考える人もいるかもしれないが、侵略者とのパワーバランスを取る事は簡単ではない。

そもそも、狼たちはこの事件を、勝った負けたで捉えていない。イングランドの侵略を大地震や巨大隕石落下の天変地異みたいに感じているのではないかと想像する。

共生とは、イングランド侵略前のアイルランド人と狼たちのように、境界線を設けて互いに領域を犯さない事でしか解決しないのだと思う。

狼たちが本当に苦労するときがくるとすれば、世界の果てまでイングランドが侵攻してきて、もう森林が残っていない、という状況であろう。おそらく、その時は狼が絶滅する事になるが、それもまた哀しき運命なのかもしれない。

その時、我々は心の中で、本作のイングランド人のような振舞いをしていないか?と問いかける事になると思うが、それは、絶滅する前に回避しなければならない事なのだろう。

おわりに

本作の凄い所は、子供でもそのテーマに触れられる間口の広さと、アイルランドの歴史を知り、ラストを考えると、更に味わいが増すと言う、一粒で二度美味しい深みを持った作品である事だと思います。

もう、その意味で万人にオススメできる作品です。公開劇場は細く長く、という状況ですが、トレーラーを見て気になった人は、機会あれば是非見て欲しい、と思える作品です。

神様になった日

ネタバレ全開につき、閲覧ご注意ください。

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はじめに

TVアニメ「神様になった日」の感想・考察ブログです。

本作は、賛否両論、好みが別れる作品だと思います。SNS観測した範囲でも、感動したという肯定派だけでなく、ザル設定だの、このエピソード必要?だの、このキャラ必要?などネガ発言も否定派も多数観測しました。

私は、回収されない伏線(フック)も、枝葉で余る設定やエピソードがあっても、そこは許容できます。実際、11話までは振り回されながらも、許容して見てきました。しかし、12話で強い違和感を覚えました。それは、陽太が「愛」を持って無理ゲーをクリアしてハッピーエンドを迎えるという流れの中で、陽太の行動が「独りよがり」で本当に幸福な選択なのか?という不安を感じたからです。

本作が、マルチエンディングのゲームシナリオの感触を強く意識した作風というのは理解します。それを前提としたときに、一部の違和感は些末なノイズと思えるようになりました。その辺りも順を追って考察・解説します。

最後に、それを加味しても残る私の違和感について書きます。

感想・考察

各話の流れ(サブタイトル一覧)

サブタイトルと要点を降順に表形式にまとめる。

サブタイトル キーワード
第12話 きみが選ぶ日 ひな連れ帰り成功。映画完成、思い出、メイキング、歩み続ける陽太ひな
第11話 遊戯の日 ひな面会は1時間/日、ゲーム機、ひなを連れ帰る無理ゲー、粘り強い陽太
第10話 過ぎ去る日 転入生央人、ひなの事を無意識に避けてた陽太、ひなに会う選択、サナトリウム、期限2週間
第9話 神殺しの日 央人ハッキング、ひな頭部の量子コンピュータ(≒全知の神)、黒服に連れ去られるひな、撮影中断
第8話 海を見にいく日 撮影順調、佐藤家訪問、ロゴス症候群、母自殺、7歳で見捨てた父、その後祖父興梠博士が世話
第7話 映画撮影の日 映画撮影、陽太、ひな、伊座波、阿修羅、空、神宮司、天願、付き人、両親、借金取りの10名
第6話 祭の日 みんなで夏祭り、ひなヤキモチ、冷凍車、阿修羅陽太バイク追跡、花火大会
第5話 大魔法の日 伊座波父引きこもり、伊座波父外出に成功、ビデオレター、父娘で最後まで見る、墓参り
第4話 闘牌の日 麻雀リベルタス杯、滅茶苦茶好き勝手、陽太優勝、天願との一夜は辞退
第3話 天使が堕ちる日 妹空の先輩神宮司、ラーメン屋再生、借金取り追い返し成功
第2話 調べの日 ひな成神家来訪、シスコン、伊座波に告白失敗(映画、ピアノ)
第1話 降臨の日 ひな陽太出会い、全知の神オーディン、予知能力、世界の破滅

ゲームシナリオとしての「神様になった日」

ゲーム的要素

本作のシリーズ構成は小説ではなく、マルチエンディングのゲームシナリオの1ルートではないか?と思わせる点がいくつかある。それを感じさせる記号、文法を列挙する。

  • ヒロインが多い
    • 伊座波(幼馴染)、空(妹)、神宮司(おっとり)、天願(姉御)、ひな(ロリ)
  • 親友がいる
    • 阿修羅
  • いくつかのイベントを消化する
    • 野球、伊座波告白、ラーメン屋再生、インチキ麻雀大会、伊座波父外出、夏祭り
  • 伏線(フック)が多い
    • ひなルート以外の伏線は放置?
  • 主人公(プレイヤー)は、
    • 前半は、楽しさで導入
      • 無双(ひな助力)
      • 夫婦漫才
    • 後半は、ストレス与えて没入、共感、最後に解放
      • 凡人
      • 本人の選択である事を強調
      • 粘り強く諦めない強さ
  • ラスボスがいる
    • 司波(児童介護のプロ)

ゲーム的シナリオ構成

ストーリー構成は下記の3部構成と思われる。

話数 概要
第一部 第1話~第6話 各ヒロイン紹介、主人公無双、各イベント消化
第二部 第7話~第9話 ひな不幸な身の上話、突然の別れ、互いに好き
第三部 第10話~第12話 ひな奪還ルート選択、ひな記憶なくし幼児化、ひな連れ帰り成功、ずっと二人

まず、第一部(第1話~第6話)。

親友と幼馴染がいる状態から始まり、ひなが登場し、妹、妹の先輩、姉御とタイプの違うヒロインが次々と登場してくる。しかも、ひなのおかげで陽太は無双であり、凡人でありながら難題を順次クリアする。

前半で特徴的なのは、ひなと陽太の掛け合い漫才。プレスコで録っているとの事で息ぴったし。この楽しさは本作の前半の牽引力になっているが、これはシナリオゲームとしての醍醐味とも言えるかもしれない。

色んなイベントをこなし、それぞれの別ルートへの分岐があったかもしれないが、主人公はあくまで各ヒロインへのルートへ進むことなく(進めずに?)流されるように夏休みを過ごす。

別ルートへの導入であったイベントやひな以外のヒロイン達の存在は、伏線として回収される事無く放置される。もともとマルチルートのための分岐点であり、伏線ではないからである。

5話で伊座波と父親が母親の死と向き合い母親の死を乗り越えて前に進むドラマを挟む。これも中間に山場を入れておいたのかな、とも思う。

次に、第二部(第7話~第9話)。

ここは登場人物が全員集結して映画を撮影してゆくという話のアウトラインである。ここでひなルートに入ると考えていいだろう。

8話で、ひなについて何も知らない事に気付き、ひなの生い立ちについて両親に聞く。母親は自殺、父親はひなを捨てて再婚し新しい家庭を気付き、ひなの面倒は祖父がみていた。祖父になにかあったら両親が面倒みる約束があった。陽太はひなの父親に面会に行くが、ひなを引き取る気はないと言われ、ひなの父親に憤りを感じる。

9話で、ひなが黒服に連行され居なくなる。別れの直前、陽太はひなを好きだから守ると言い、ひなも陽太が好きだったと言う。映画撮影は中断。好き合っていた事が陽太の記憶に残る。

この第二部では、陽太は大人(社会)に憤りを覚えつつ、何も覆す事ができずに抑え込まれる構図である。

最後に、第三部(第10話~第11話)。

10話で、2学期から3学期模試までの間、陽太の中でフェードアウトしてゆくひなの記憶。大学進学ルートが濃厚になる陽太。央人により、ひなルートの選択肢がもたらされ、陽太の意志でひなルートが選択される。ミッションは期限2週間でひなを自宅に連れ帰る。山奥サナトリウムのひなは陽太の事を覚えておらず、陽太に怯えている。協力者は居ない。不安しかない無理ゲー。

11話で、凡人である陽太がたった一人で挑戦する無理ゲー。友人たちが電話越しにエールが心折れそうな陽太の背中を押す。徹夜してまでゲーム機の可能性に賭けて一人戦う陽太。少しづつ心を開くひな。

12話で、陽太の身分擬装がバレてタイムオーバー。最後の最後で陽太と一緒にいたいと言うひな。ひなを連れ帰りクリア。撮影再開し映画完成。メイキング映像の中で「良い思い出となった」と語る神だった頃のひな。ロゴス症候群治療の可能性にかけて浪人して医学部を目指す陽太。いつまでもひなと一緒という陽太。完。

この第三部では、陽太自身の決断でひなルートを選択し、たった一人で無理ゲーをクリアする。そして、いつまでもひなと一緒に暮らす未来という、ひなルートのエンディングが示される。

自主製作映画「Karma」(劇中劇)について

自主製作映画についてのメモを下記に示す。

  • 世界の破滅の危機
  • 破滅を回避するために少女アン(ひな)を生贄にする国王
  • 儀式を邪魔してアンを救う青年(陽太)
  • 世界は破滅し青年とアンが生き残る
  • Karmaの意味は、業、宿命、因縁

劇中劇は、演者と役の関係性で、役柄が演者の暗喩になっていたり、またその逆で皮肉になっていたり、という演出が一般的に考えられる。

劇中劇の物語を要約すると、青年はヒロインと世界の2択でヒロインを選択し世界は滅ぶ、という典型的な世界系の物語となっている。

実際には、陽太に選択権はなく、神殺しによってヒロインは失われ世界は救われる。

アニメとしての「神様になった日」が描いたモノ

言うまでもなく、原作脚本の麻枝准さんはゲームのシナリオライターとしての経歴があり、「原点回帰」という意味が込められているのかもしれないが、それにしてもここまでゲームっぽさを強調する意図は不明。

通常のアニメ作品としての違和感を列挙すると、

  • 回収されない伏線
    • →マルチシナリオゲームの分岐イベントと考えられる。ひなルート以外は描かれない。ある意味、残骸。
  • ザル設定・ご都合主義
    • →ゲームであれば設定・考証はコスト高になる事、シナリオの自由度を優先したい事から、敢えてザル設定・ご都合主義を多用しているのでは? ある意味、ゲームオマージュ。

というところだが、ゲームっぽさ目指したという意図であれば、敢えて作品の欠点とは言わないでおく。本筋に対する枝葉のノイズ程度の事であろう。

改めて、本作のテーマ・メッセージ的なモノを考えて見ると、

  • 選択するのは本人(他人は何も決定しない)
  • プレイするのは本人(他人は応援しかしない)
  • 凡人でも心が強ければ無理ゲーをクリアできる

といったところか。これも、まあ、納得はできる。

アニメとしての「神様になった日」の強い違和感

12話で感じた違和感をもう一度提示する。

  • ひなルートは、陽太の「独りよがり」の可能性を強く意識させている
    • ひなを介護するコストは?
    • 父親の様に介護疲れになるリスクは?
    • ロゴス症候群治療確立の夢はあるが、根拠がなく、希望的すぎないか?
    • 友達たちの「いい思い出になった」発言のよそよそしさ
      • 思い出=過去形
      • 誰も祝福していない感
    • そもそも、ひなと一緒に暮らす事が、本当にひなの幸せなのか?
      • ひなと一緒に暮らす正義は、ひなが陽太に懐いているという一点のみ
      • より充実した介護施設で暮らす方が幸せでは?

要するに、ゲームの選択が何かを得て何かを失うとするなら、陽太の選択で損失するモノを強く匂わせている。ゲームのエンドなら、他のルートを渇望させるためにあり得る演出かもしれない。しかし、小説のエンドで選択した代償をここまで強く印象付け、不安を煽る必然性は全くない。未来に向けての希望の示唆が全く無く、不安が安心を上回る。

また、劇中の陽太や登場人物はこの不安を全く抱いていない(少なくとも不安と思っている描写は無い)。あくまで、不安を感じているのは視聴者のみである。

もちろん、単純に「感動した」などのSNSコメントも見かけるので、不安を全く感じていない視聴者も居る。

マルチルートを描かないアニメである以上、これらの不安は払拭する描写か、不安を見せないようにするのが一般的なディレクションだと思う。ディレクションは、一脚本家で決定出来る事では無く、プロデューサー、監督の総合的な判断で行われるハズで、鶴の一声で決まるとは思えない。

あるいは、世間で言うところの「愛」なんて、所詮は「独りよがり」と言いたいのか? 安直な「感動」に対してもっと冷めた目で見ているという皮肉なのか?

どうしても、この不安の放置の意図だけは、図りかねる。これが、本作に対する不満点である。

おわりに

私以外にも、多くの視聴者が12話に違和感を持っていたと思いますが、その違和感の正体を自分なりに見つめ直したのが本記事です。

残念ながら、違和感について自分の中で納得いく解釈は見つけられませんでした。ある意味、作品に負けた気がします。

本作は考察し甲斐のある作品だと思いますし、他の人の考察も楽しみにしていて、これから順次見て行こうと思います。

ジョゼと虎と魚たち

ネタバレ全開につき、閲覧ご注意ください。

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はじめに

本作は、SNS観測範囲では概ね好評な作品であり、2020年アニメ映画中最高の評価の方も見受けられるという状況で鑑賞しました。なるほど、物語として良く出来ている上に、非常に分かりやすくスッと心に入ってくる作品だと思いました。

恋愛と勇気のフレーバーが絶妙に混ざった、余韻の気持ち良さのある良作だと思います。

以下、いつも通りの感想・考察です。

  • 恋愛物語(後半)を一部修正(2020.1.10追記)
  • 恋愛物語(後半)を一部修正(2020.1.11追記)

考察・感想

テーマ・物語

恋愛物語(前半)

外敵から守るため、お城の部屋に閉じ込められたお姫様がジョゼである。そして、外界に連れ出してくれる王子様が恒夫である。

二人は出会い、外界でデートをし、外界のまばゆさに圧倒されて上機嫌のジョゼ。

最初はバイトのためとはいえ、臆病でワガママでツンツンしていたお姫様が見せる子供の様な笑顔に、次第にほだされていく恒夫。

ここまでで、恋愛ドラマの恋の芽生え。

恒夫のバイト先に遊びに行き、健常者たちの眩しさの中で自分の知らない恒夫を知り、自分に恒夫は相応しくないのではないかと心苦しくなりその場を逃げ出したジョゼ。バイト仲間を悪く言われたようで、怒る恒夫。そして喧嘩別れ。

恒夫が3月に日本を離れる事が決まり、その事を連絡しにジョゼの家を訪問するが、恒夫の夢の話を共有して仲直り。しかし、肝心の3月の別れの事は切り出せず。

ここまでで、恋愛ドラマの恋の熟成。もう、完全に恋愛ドラマの文法と考えて良いだろう。

ハンデ克服の物語

ジョゼは車椅子の身体障碍者である。だから、本作が障碍者をテーマにした映画であるとは言えるのだが、作意としては障碍者=ハンデキャップを持つ者、として理解した。

ジョゼは祖母が亡くなり独りで生きていく決心をした後、管理人に海に行きたいと最後のワガママを言う。これは、ハンデ持つ者はキラキラした夢(=画家)には届かないという現実の受け入れ。涙のしょっぱさはハンデ持つ者の悔しさ。恒夫に吐き捨てるように言う、「健常者には分からん!」の台詞が重い。

直後に、恒夫は交通事故にあい、夢の道を断たれる。ここで恒夫はハンデを持つ者としての絶望を味わう。

これは、今まで恒夫が高くジョゼが低いという位置関係が、両方とも低く対等になってしまったという意味である。今まで、物理法則で高い方から低い方に流れる同情は、一旦リセットされる。もともと、恒夫は「健常者には分からん!」の回答を持ち得ていないので、自身への回答も、夢を諦めるとなる。

で、恒夫に対するジョゼの回答が図書館で読み聞かせた絵本になるのだが、絵本が出来るまでに舞と花菜の2人の存在が不可欠である。

舞の役割は、ジョゼを体当たりで鼓舞してやる気を起こさせるライバル(=負けヒロイン)。恒夫の心の中に舞が居ない事を泣く泣く認め、唯一、恒夫の心を動かせる可能性をジョゼに託して回りくどい方法でジョゼに火を付ける。

花菜の役割は、友達としての支えであり、表現技術や、精神的な応援である。

絵本作りは、ジョゼが全てを行う。ハンデを理由に誰かに任せるのではなく、周囲の協力を得て、自分の手で完成させる所に意味がある。

恒夫の心を覆う暗闇に灯りをともしたいという願いが、ハンデがあってもコツコツと進む事で夢を実現できるハズだから勇気を持って、と絵本を通して伝える。

これは皮肉にも、祖母と死別しハンデを持って一人きり生きる者として、一度は夢を諦めたジョゼ自身を否定し、ジョゼ自身の夢も肯定する事になる。

繰り返しになるが、その答えの導きは恒夫であり、舞であり、花菜ではあるが、その決断はジョゼ自身のモノである点がミソである。

ジョゼの位置エネルギーは低いが、「思い」を低い位置から高い位置に上昇させる事は出来る。勿論、低い位置からのスタートだからエネルギーはより必要になるが、夢を諦める必要は全くない。最終的に、ジョゼも仕事を持って生計を立てながら絵本作家としての夢を追い続けるという、より現実的な選択をして生きることで救われる。

物語序盤ではジョゼは恒夫にすがっていた。しかし、物語終盤ではジョゼと恒夫は対等であり互いに与え合う関係にある。

その意味で本作は間違いなく、高い所から見下ろす同情ではなく、低い所から高みを目指す事が出来るという勇気の物語に思う。

恋愛物語(後半)(2021.1.11修正)

12月24日、恒夫の退院の日、ジョゼが待ち合わせの場所に来なかったのは、恒夫との別れを決意していたからなのだが、それは何故か?

絵本の結末も、若者は魚の国に行ったきりで人魚姫は海に戻るという結末であり、恒夫に勇気を与えた後も恒夫と添い遂げるイメージはジョゼには無かった。

先の話でジョゼは一人で生きる勇気(=虎と対峙する決意)も持てた。恒夫も夢を掴む事が出来そうだ。私は、この展開でジョゼが恒夫に告白する展開があってもよいのではないかと思ったが、実際にはそうではなかった。

時系列的には、祖母死別→ダイビング中に恒夫注意散漫→舞の「同情ですから」→二度目の海岸→ジョゼの「健常者には分からん!」→恒夫交通事故という流れ。

ジョゼは舞に「同情ですから」がかなり堪えていたのだと思う。恒夫の留学の足手まといになる。好きだから迷惑をかけたくない。祖母死別で自立の準備は出来ていたのだろうが、これが決定打で恒夫から身を引いて一人で生きる決心をしただと思う。ジョゼは人魚と人間は一緒に暮せないという呪いを自分自身にかけた。

二度目の海岸はジョゼから恒夫への別れを告げるだけの目的だったハズ。それなのに、ジョゼは恒夫を怒らせた上に、恒夫の夢まで奪ってしまうという最悪の事態。ジョゼはこの罪を抱えて悶々とする。

罪滅ぼしとして、絵本の読み聞かせをして、恒夫を夢に向かって立ち直らせたのは前述の通り。恒夫はジョゼの罪を問うていないからこそ再度夢を掴みに行く流れなのに、ジョゼはケジメとして恒夫から身を引く決心を崩さなかった。

最終的に、恒夫からの好きの告白があり、ここでジョゼの呪いは解ける。そして、ジョゼの好きの返答があり、相思相愛を確認して終わる。

これは、どうみても恋愛ドラマのハッピーエンドである。

それから、ジョゼと恒夫の関係が、夏秋冬と季節を通じて(=シンクロして)表現されていた点が美しいと感じた。

ジョゼと虎と魚たち」のタイトルの意味

本作での解釈は下記に思う。

ワード 意味
ジョゼ ハンデを持つ者
厳しい現実世界
魚たち

本作は、ハンデを持つジョゼが、祖母の死別、大切な人の挫折を通して、自分自身を見つめ直し、現実世界との折衷のなかで夢を持ち続けて生きるという物語である。

当初、ワガママで世間知らずなお姫様だったジョゼが、一人で生きていく決意を持って成長してゆくドラマであった。

ハンデを持つ者でも凛として生きて行けるという姿をジョゼを通して観客に見せてくれた。この自尊心を持って「凛」としている部分が重要だと思う。その事が、本作の視聴後の良い余韻となっていると思う。

おわりに

本作は、勇気の物語と恋愛の物語の二つの要素から構成されていると思います。勇気だけだと説教臭くなると思いますし、恋愛だけだと甘すぎる。この二つのフレーバーが互いに不可欠で溶け合っている点が本作の肝だと思いました。

SNS観測範囲では、原作小説や実査映画の「障碍者」「性」に関する話題も目にしますが、もう少し抽象的な概念で広く解釈できる物語と思える事、2020年の作品である事を考えると、本作のディレクションは非常に良かったのではないかと思います。

非常に後味がすっきりした清涼飲料水の様な作品ですので、そういうのがお好きな方は是非、という感じです。

魔女見習いをさがして

ネタバレ全開につき閲覧ご注意ください。

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はじめに

本作は、「おジャ魔女どれみ」20周年を記念して作成されたファンムービーです。

しかしながら、どれみファン以外にも普遍に響く大人の女性のドラマであり、その意味で、多くの人に広く観て欲しいと思える作品となりました。

笑って泣ける良作です。

以下、感想・考察です。

感想・考察

今を生きる大人の多彩で濃厚なドラマと、それをアニメで描く意味

本作は、現代社会を生きる、3人の多様な大人のドラマを多彩に描く。その内容も、パワハラ、ヒモとの縁切り、離婚した父親との再会、喧嘩、仲直り、絵画修復の夢、恋愛、退職、進路、告白、失恋、などなどてんこ盛り。しかも、ドラマは結構な濃い口で、見応え十分。

これは、女児アニメが描いてきた、その時代の子供たちのドラマや問題を描いてきたのと等しく、今を生きる大人のそれを多彩に描く。人生生涯どれみ達のような悩みや葛藤の連続なのである。

そして、そのリアルに生きる大人たちのドラマをおジャ魔女テイストで描くところが本作の肝である。だから、アニメならではの浸透圧で、説教臭くなくスンナリ観れる。これは、子供の頃に感じた、アニメ作品で元気づけられた記憶と呼応する。

おジャ魔女テイスト故に、魔法玉が転がるシーンのワザとらしさとか、ランチで飛騨牛食べたさと食べ損ねた悔しさとか、そうした笑えるシーンを効果的に配置する。そして、感情をシリアスに感情を爆発させるシーンを織り交ぜる。いわゆる、笑って笑って泣ける演出である。

おそらく、実写ドラマではここまで笑えず、吉本新喜劇ではここまでシリアスになれない。アニメという手法が心にしみ込んでくる絶妙の浸透圧というものが、ここにあるのだと思う。

魔法=自分の内にあるモノ&仲間というテーマ

ソラ達が魔法玉に奇跡を願いを望んだ行動はあった。しかし、奇跡は起きても、それは辛い現実を叩きつけたり、相手が思い通りになるわけでもなかったり、決して自分に都合良い結果が出るわけでもなく、そうした現実に向き合う必要に迫られた、というビターな展開であった。結局、メンタルの部分は自分で乗り越えて行く、という描かれ方をしていた。だからと言って、魔法なんて存在しない、世知辛いだけのドラマだったかと言えば、そうではない点が本作のポイントに思う。

ソラ達は、マジカルステージと称して魔法玉を合わせた時の会話で、自分がコンプレックスとして悩んできた短所が長所にもなり得て、その長所を生かす事が魔法なのではないか?という、ある種の悟りに到達する。自分を見つめ自分を生かす事、自分という個性を尊重する事が、他人を笑顔にし自分も幸せにする。

そして、3人がその事を分かり合えたのは、子供の頃に観たアニメ作品を共有しているからに他ならない。自分一人で思い悩むのではなく、背中を押し合える仲間の存在が大きく描かれた。

意外とあっさりした物語のラスト

本作のラストは、魔法は自分の中にあるという気付きと、最初に聖地巡礼で訪れた鎌倉の洋館をMAHO堂として、フェアトレードコーヒーの喫茶店発達障害児の学校?として、出発する所で終わる。

特大のカタルシスがあるわけでもなく、意外とあっさりとした幕引きな感じがしないでもない。しかし、これは過去のモヤモヤをリセットし、これから再スタートというところで終わるからそう感じるのだろう。私はこのラストは本作に合っていると思う。

1つは、アニメ作品を通じて知り合った、共に背中を押し合える仲間の繋がりの象徴として、MAHO堂という場所を手に入れた事。そしてもう1つは、この物語は安泰を得て終わるのではなく、これからも続く人生で訪れるであろう、喜び、悲しみ、挫折、成功と共に生きる宣言である事。こう受け止めた時に、相応しいラストではないか、と感じた。

ラストのどれみ達、子供の頃のソラ達のほうきで夜空に飛び立ち大きな満月の中にシルエットを写して飛び出してゆく幻影。

それは、主人公達の過去の姿を俯瞰で見ながら、今後の人生にも引き継がれ、夢に向かって上昇してゆくマインドと重なる。色々なしがらみに立ち止まってしまう事があっても、仲間と共に前に一歩踏み出す事は出来るのだと肯定してくれるラストだと思う。

本作におけるアニメ作品、アニメファンの描き方について

本作は、アニメファン同士の繋がりを描いた点が新しいと思う。

少し脱線するが、実は私も2,3年前、とあるアニメ作品の熱烈ファンで、SNSで少しだけ関わった程度の面識のない4人が、居酒屋にオフ会で集まって、作品の話だけで皆でノンストップで3時間喋り続けた経験がある。それはそれは、非常に楽しい時間だった。だから、ソラ達が異常なテンションで盛り上がる気持ちは分かる。

ただし、私の場合、ソラ達と違い、他のアニメファンの方の人生まで関わるような事は無かったし、通常は、その方が気兼ねなく会話できて良いと思う。(その意味で、ソラ達は、多少ファンタジー感はあるが、だからこその物語であろう)

また、アニメファンが聖地巡礼の旅で集まると言うのも今風で良いと思った。

こうしたファン同士で話が盛り上がると言えば、昔はプロスポーツだったり、歌謡曲だったりしたが、今はアニメ作品がそういう市民権を得た時代になった。アニメ作品は子供だけでなく大人も観る。そして、内容もピンキリで、緩いのもあれば、その人の琴線に触れて人生を変えてしまうかもしれない多様なアニメ作品が作り出される。

また、ソラ達は、子供の頃に観た「おジャ魔女どれみ」を好きな気持ちを大切にしていたし、今の自分たちに置き換えて、自分達を見つめ直していた。

私が思うに、「おジャ魔女どれみ」というアニメ作品は、女児向けでありながら、その時代の子供の悩みや葛藤を切り取りドラマを組み立てる。ドラマとしては1話という物語の中で完結はするが、万人に正解という解は無い。その時々に、問題提示を繰り返してゆくスタイルだったのではないかと思う。(それは、現在のニチアサにも連面と繋がっていると思う)

ただ、女児向けに感心を持ってもらうためにも、ドラマの引き込みが上手い。それはコミカルな描写だったり、キャッチーな変身シーンで子供心を捕まえる。

その意味で、本作は時空を超えて「おジャ魔女どれみ」作品と全く同じテイストで作られていた、と感じた。

それは、「おジャ魔女どれみ」のスタッフが、当時から真面目に大人にも刺さるドラマ作りをしてきた自負と、そのドラマを受け止めた心に残った何かの芽を大切に育てたファンが居てからこそ、成立するモノであろう。

こうした、アニメ作品をリスペクトするアニメファンを描いた点も、本作の新しい点と思う。

なお、こうした心に残る良作は「おジャ魔女どれみ」に限った話ではなく、無数のアニメ作品の良作が存在する。その意味で、本作の楽しさは、より多くのアニメファンに刺さるハズで、是非、多くの人に観てもらいたい作品と感じた。

おわりに

私は、本作は物語的には弱いけど、ドラマが強い作品だと感じました。

多くの物語は完結しますが、本作は未来に向かっての門出で終わります。ある意味、凹んでた状況をリセットして、ゼロスタートする状況で終わる。だからこそ、本作は気持ちいい終わり方なのだと思います。

生きていく上でゴールなんて、それこそ死ぬときであり、それまで一生、喜怒哀楽を繰り返す。人生に簡単な答えなんて無い。という作風に感じました。それが、今のニチアサにも連綿と続いていると思います。

私はアニメファンですが、そうした良きアニメ作品をリスペクトする作品であり、その事が嬉しく思える作品でした。

最初にも書きましたが、出来るなら、より多くの人に観てもらいたい作品だなと思いました。

どうにかなる日々

ネタバレ全開につき閲覧ご注意ください。

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はじめに

本作は、4編からなるオムニバス形式の短編アニメーション映画で、尺は54分と短めの作品です。

LGBTや小学生の「性」を描きますが、サラっとした後味の作品で堅苦しくなく観れました。

以下、いつものように、感想・考察です。ちなみに、私は原作小説未読です。

考察・感想

余計なモノが無いシンプルな演出

本作は、漫画原作だが、アニメーションとしても手触りが漫画的であると感じた。もっと言えば、短編小説的であると感じた。

特に登場人物は限られて少ないので、その登場人物の気持ちに迫るための情報を整理して流す。

非常にスッキリして透明感のある映像という印象。

背景は手描きの優しさを持っている。主張し過ぎず温か味がある。キャラデザインもまたシンプルな線で描かれ、ド派手な動きもなく、シンプルな日常生活の中での動作に留まる。要するに、絵が強く主張する事は無い。

また、演者の声や、SEの音もまた、必要最低限の意図した音だけで構成されていて、非常に繊細に感じた。

要するに、リアルに写実的に、写真の様に鮮明にしてゆくのではなく、描きたい中心となるものだけを、メリハリを付けて描く。だからこそ、繊細な芝居が映える。

変な話だが、本作の劇伴の印象が全く残っていない。それぐらいさり気ない雰囲気だった。

また、モノローグもあったと思うが、舞台説明や状況説明をしない。心情に言葉を軽く添える程度で、こうであると説明する事は無く、基本はその空間での台詞のキャッチボールを味わう。

短編オムニバスという形

映画では短編オムニバス形式というのはしばしば見受けられるが、アニメーションの短編オムニバス形式というのは少ない。

アニメーション作品は全てを創作しなければならないので、美術設定やキャラクターデザインは使いまわせない短編オムニバスは勿体ないという考え方もあると思う。

しかし、それぞれのエピソードの関連性を持たせず(ただしep3,4は連作)、登場人物もかなり少なめ、作画や台詞も詰め込みはなく余白を生かすスタイル。そのため、分業に向くとも言える。

また、短編という事で尺が短いという事は、総作画カロリーも抑えられる。特に今回の作風であれば、派手なアクションや複雑な動きのシーンはほぼ無い。その分、描きこみたいカットにリソースを回す事が出来る。個人的には、ep1のソファーに座ってる上に足を重ねて座るシーンとか肉体を感じる作画で好きなのだが、そうした部分にメリハリを付けて作画出来る。

何作品分も設定やキャラを起こすのではなく、逆に描くモノを絞ってリソースを集中させて品質を担保するディレクションだと感じた。

この場合の弱点は、カタルシスだとか、感動の涙とかの積み重ねの上の盛り上げには不向きな事。ただ、小説でも同じだが、感動の長編小説だったり、ちょっとした余韻をカラフルに味わう短編連作小説だったり、どちらも美点はあり存在意義はある。

これまで、佐藤卓哉監督は、「あさがおと加瀬さん」「フラグメントタイム」と直近で短編を作り続けてきた。今回はそれをより一歩推し進めた形で、より一粒がコンパクトな短編オムニバス形式に挑戦してきたのではないかと思う。

多様な「恋」と「性」のドラマ

本作は、それぞれの短編で、少々形の変わった「恋」を描いている、と思う。オーソドックスな男女の恋愛ではない点が、味わい深い余韻を残す。

そして、それらに少々エロさを感じる描写が入ることが、作品のスパイスとなっている。

ep1は、ある女性の結婚披露宴で出会った、高校時代のレズ彼女と、短大時代のレズ彼女が、意気投合して付き合い始めるという話。

ep2は、男子校の男性教員が卒業式当日に卒業生から告白を受け、驚き喜ぶがそれっきり。毎年、卒業生の告白を待つが誰も言ってはこないという、ある意味切ない感じの話。

ep3は、親戚のAV女優が勘当され居候中の小学生男子の仲良しの女子が、興味本位でAVを視聴しその後押し入れからそのAV女優が出て来てダブルの衝撃を受ける。男子は心でAVを否定しながらも夢精したり、女子は私より親戚のAV女優が好きなんでしょ、と拗ねたり、という話。

ep4は、ep3の続きで中学生になり不愛想で振り向いてくれなくなった男子と、それでも好きで後をついて行く女子が、再び向き合ってエッチをする、というお話。

どのお話も、好きの感情がメインにあり、それと切っても切れない「性」の部分がある。

ある者は相思相愛になり、ある者は相手の登場を待ちわびる恋に恋し続けたり、ある者は子供故に大人の「性」にコンプレックスを持ったり。

現代なら、これらの関係は認められるべきものかも知れないが、一昔前なら、許されざる背徳的な関係である。そして、作品世界は建造物やテレビなどの様式から考えると30年くらい前の昭和末期と思われる。登場人物たちは、これらの秘めたる恋心を誰にも言えず、内面に抱えて生きる。だからこそ尊く、そして微笑える。もし、これを2020年の現代でやったら、もっとカジュアルな作品になってしまっていただろう。

「どうにかなる日々」というタイトル

繰り返しになるが、本作はカタルシスや感動の涙はない。エッセイのように断片的で、軽快に日常の悲喜こもごもを描く。

誰かが誰かを好きな気持ちがあり、それが上手くいったり、いかなかったり。決して好きな気持ちや現状を否定する事無い。そんな状況でもなんとかなる。それでも地球は回っている。

オムニバス形式で描く事で、形は違えども、誰もがそんな気持ちを持ち生きているんだよ、というメッセージに感じた。

おわりに

いつも作品を食べ物に例えようとするのですが、大作映画がレストランのフルコースだとすると、本作は、紅茶と一緒に食べるジャムを塗ったスコーンのような感じで、肩ひじ張らないけど、バターたっぷりで素性の良いお菓子のような雰囲気に感じました。とはいえ、エロというスパイスも効いていて、ある種の駄菓子感もあります。

何も考えずに見ていると、サッと終わってしまいますが、自分とは違う感覚の登場人物の感覚を手繰ってゆくと、味わいがある。ある意味、スルメイカ味もある作品だと思いました。